公爵夫妻は今日も〇〇

cyaru

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第7話♡  除霊の依頼を検討

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こうしてはいられません。

穀潰しと呼ばれようが、怠慢夫人と呼ばれようがまだ呼ばれた事が無いので、今は「それでもいい」と思えますが、生贄だけは勘弁願いたいものです。

きっとどこからか怪しげな二人が出て来て「モスラ~やッ!モスラ~」と奇妙な祈りを捧げた後は、生贄台代わりのオブジェではなく拘束具に手足を固定され黒ヤギと一緒に「メベェェェ~」と最後の雄叫びを上げるんだわ。

ブルルッ!!

脚が悪いから何処にも逃げることが出来ないと踏んで・・・クッ!責任から結婚したのではなく、マルマルと太らせてから悪魔に生贄として捧げようとしていたなんで!

そう言えば求婚らしい求婚もなかったのだわ。

「神の御前おんまえにて身を委ねたるぅ~」ってやすし師匠に競艇の予想を願ったわけでもないわ!
プ〇ポーズは大作戦の前に作戦すらなかったのよ。

悔しくなった私は踵を返し、部屋に戻ろうとしたのですが走れる訳ではなく直ぐにラウルに追いつかれ、「逃がしまへんでぇ」とまるで背後霊のように私の背中にベッタリと・・・。

冝〇愛子様と〇田無道様、どちらの方が除霊に向いているのかしら。
実家に頼んで早速依頼をせねばなりません。


「待ってくれ。エディット。話を聞いてくれ」
「聞きたくありません。聞いたら戻れないんでしょう!」
「戻っていいから!」
「‥‥本当に?」

悪魔と契約した者に真実を問うなど愚かな私。
ですが「めぇぇ♡」と鳴くしかないヤギのようにラウルの腕から逃げる術がなかったのです。

「あんなものを見たら逃げ出したくなる気持ちはよくわかる!」
「なら…処分してくださいます?」
「それは・・・」

口籠るラウル。
神聖な儀式に使う道具ですもの…おいそれと処分など出来るはずもありません。
ラウルの良心、人の心に縋ろうとした私が甘かったのです。

「話を聞いてくれ・・・ないか」
「はい」

――聞くだけならタダですものね――

「こっちへ・・・手を取ってもいいかな?」
「縛りませんよね?」
「うっ・・・そんな事はしないよ」

怪しげな間は御座いましたが、見た所拘束をするような道具は持っているようには見えません。
私は、ラウルに手を引かれあの庭にあるガゼボへと案内をされたのです。


「エディット、驚かせてしまってすまない。だが、どうして扉を外そうとしたりしたんだ?いや!それがダメだと言うのではなく、この1年そんな事をしなかったのにと思って」

「ラウルの不貞を疑っていたのです」

「不貞?!私が?あり得ないよ!エディットがいるのに他の女性に傾倒するなんて!」

世の「夫」は皆、そう言うのです。
開き直って「あぁ!浮気したよ。それの何処が悪い!」などとイキる男は二束三文以下のドチンピラ。
大抵は失うものの大きさを考えますから、なるだけ穏便に。証拠を何処まで掴んでいるかで駆け引きをしようと試みるものだ…と「熟年離縁のススメ」という本には書いておりました。

お義母様の書棚でその本を見つけた時は複雑な心境で御座いました。
だって、「お庭の医学~薬草ってここにもあるんだ~」というカバーとわざわざ入れ替えていたんですもの。
「マカ」のお試しハガキが切り取られていた事に更に複雑な思いが致しました。

「誓って不貞などはしていない。なんでも聞いてくれ。こうなった以上全てを隠さずにエディットには話をするよ」
「では、少しお待ちください」
「構わないが、なにかあるのか?」
「占いで決めたいと思います」

悪魔に傾倒しているのです。言ってみれば当たるも八卦当たらぬも八卦な占いや神頼み。ならば私も同じを事をしてやろうと思ったのです。

「何の占いをすると言うんだ」
「花占いです。花びらを、嘘~ホント~と交互に千切り最後に残った1枚でラウルを信じるかどうか決めます」
「判った付き合うよ」

手近にあったので手に取ったのは見事に咲いたラナンキュラス。
失敗で御座いました。

1枚、2枚とラウルも手伝ってくれるのですが、小ぶりなものでも花びらは200枚を下らないラナンキュラス。見事な花を庭師さんの手によって咲かせているので250を超えても終わらないのです。

おまけにガゼボは屋外にあり、屋根はあっても壁はない。
冬の風は冷たい上に意外と強いので、折角並べた花びらが飛んでしまい、その度に「258!覚えていてくださいませ!」と飛んだ花びらを2人でせっせと集める始末。

ですが用意の良いラウル。花びらを小さな袋に入れて280まで数えることが出来たのです。残りの花びらの数を見て私は数えるのをやめました。

だって、ラウルは花びらを全て押し花風に栞にして大事に使うと言うんだもの。勢いだけでお花をダメにしてしまった私は自分が恥ずかしくなってしまったのです。


そんな私にラウルはにこりと微笑み、頭をポンポンと優しく撫でます。

「まだ残っているが、もういいのか?」
「いいです。話を聞く前にどうするか決めるなんて・・・花に悪いことをしてしまいました」
「だけど、エディットが栞の材料を作ってくれたから、今後は調べ物が捗りそうだ。ありがとう」

悪魔に心を売ると優しさも嘘になると言いますが、ラウルからは嘘は感じられません。そう、ラウルは何時だって優しかったのです。

尤も、意地悪をすればマルマルと太らせる前に逃げられるからかも知れませんが。
覚悟を決めて私はラウルに伝えたのです。


「ラウル。離縁してください」
「しないよ。結婚前もだけど時々侍女たちに言ってたようだが離縁はしない」
「それは責任からでしょう?こんな足にしてしまったという責任です」
「エディット・・・ずっと前にも言ったけれど確かに怪我をさせた責任はある。でも結婚は別問題だ」

――ならやっぱり生贄?――

しかし、ラウルは驚くような事を言ったのです。

「私は負傷する前からエディットを妻にと願っていた」
「え・・・・」

そんな前から目をつけられていたの?




★~★
次は19時10分です(*^-^*)
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