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第6話♡ 知りたくなかった夫の秘密
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「ラウル、部屋の扉を開けてくださいませ」
「すまない・・・実は鍵を紛失し、鍵のレスキューさんに依頼をしようともう数十年。熟練の匠の技が光るこの錠前。未だ解錠に至っていなくて…」
ラウル。嘘はいけません。
鍵のレスキューさんがこの国に開業をしたのは5年前。数十年前にレスキューさんはいないのです。
何より、こちらの棟。婚約となった5年前。わたくしが16歳の時は更地で御座いました。ラウルのお父様が「いずれこちらを本館にすればいいから」と少々体当たりをしようが崩れることも無いように全ての壁の中に鋼を仕込み、私の部屋の扉は家の中なのに鍵が5カ所で1分以内に解錠しなければリセットされる仕組み。
足元の絨毯も壁紙もまだ真新しく・・・つ・ま・り。新築をしたばかり。
完成の際、竣工パーティーには私も車椅子で出席を致しました。
嫁いで1年。この屋敷は少し先輩で築3年で御座います。
こんな解りやすい嘘を吐いてまで何かを隠そうとしている。
――まさか!既に愛人を引き入れている?――
だとすれば昨夜のマッサージは‥‥ ”挑発∞” だというの?!
そうだとすれば・・・地球に生まれた謎が解けましたわ。
私、潔く身を引きますのに。義両親にも2人を認めて欲しいと口添えをしますのに。
――至らない私には期待すらしていなかったと言う事だわ――
サッと手をあげ、小指だけを立てて「チッチッチ」
通常は「違う。違う」は人差し指を軽く横に振るのですがここは敢えて小指で御座います。
「な、なんだ・・・その小指は‥ゆびきりげんまんか?」
「御存じありませんの?甘柿でも干し柿でもない渋柿の3人組。センターを務める薬〇様が靴箱のラブレターなんか少女漫画にもないぜと否定をする際の仕草をご教授をされておりますのに」
ラウルが真似をして小指を「チッチッチ」
首を傾げている今こそ攻め時。
「やっておしまい!!」
「はいッ」
使用人さんにお願いをした私。鍵の解錠など不要です。
扉ごと外せばいいのです。
「待て!待ってくれ。その先は‥‥アァァーッ!!」
断末魔のようなラウルの悲鳴。
ご安心くださいませ。窓はあるのに緞帳のようなブ厚いカーテンで覆われた部屋は真っ暗。
何も見えません。
しかし外観からここに窓があると狙いを定め、カーテンをシャッと引くと壁に手枷のようなオブジェ。
「これは‥‥」
「違うんだよ!これはッ!」
「何故壁にオブジェを?」
「オブジェ?」
初めて知りました。お義母様もお義父様もラウルが芸術に傾倒しているなんて聞いておりません。ですが…そうですわね。私なら‥。
正方形を模したような配置は面白くないので、ズレを生じさせますのに・・・。
ハッ!いけない。素人には解らないこの配置の意味がきっとあるんだわ。
そして次に開けたカーテンが大きな…そう壁一面の鏡に光を反射し向かいのオブジェを照らします。
やっとオブジェを正方形に配置した意図が判った気がします。
「素晴らしいわ!ラウルッ」
「え?素晴らしい?・・・違うんだ。エディットこれはッ!」
「解ります。光の反射そして影を利用した芸術なのですね」
「芸術?!」
「えぇ。時々美術館に参りますが角度によって顔を変える造形美と申しましょうか。ラウルは女性ではなく芸術に傾倒されていたのですね。てっきり不貞‥‥」
照らされたのは壁のオブジェだけでは御座いません。
昼間以上に明るくなった部屋は鏡が必要以上に照らしております。
途切れた言葉。そこには摩訶不思議な幼児玩具が御座いました。
「ラウル。どうしてこの木馬は座面が尖っているのです?これでは座れません。ほら。跨ぐとラウルでも床につま先すら届かない位置に座面が御座いますわ」
口を池の鯉のようにはくはくとするだけのラウル。
――問うより調べろと言う事ですのね――
私ったら。不貞ではなく芸術。間違いを知ったばかりで「教えてちゃん」になる所でした。取扱説明書がどこかにあるはず・・・と部屋を見渡せば箱が見えます。
パカっと開けてみると見知った顔が‥‥。
――これは、私?――
バサバサと取り出し、捲ってみると髪の長さや結い方からすれば12歳、13歳当時かしら?と思う私の絵ばかり。
「まさか・・・私・・・」
「すまないっ!出来心などと言い訳は出来ないが説明させてくれっ」
「説明には及びません。私、指名手配されていましたの?(うるる)」
「指名手配?!そんな事はされていない!」
慌てて近寄って来たラウルが棚の上にあった小箱にあたり、小箱の蓋が床に落ちてパカっと開きます。
「こ、この髪色・・・」
間違いございません。これは私の髪。
私の髪は変わった癖があり、伸びてくると毛先がクルンと巻くのです。
春の野草。ゼンマイのようになる髪の束。
――まさか不貞でもなく、芸術でもなく呪術で呪い殺そうと?――
私の予想の斜め上をいくラウル。
やはり次期宰相、侮れません。
カルト教に手を出していた。そして私は‥‥生贄だったのね。
「すまない・・・実は鍵を紛失し、鍵のレスキューさんに依頼をしようともう数十年。熟練の匠の技が光るこの錠前。未だ解錠に至っていなくて…」
ラウル。嘘はいけません。
鍵のレスキューさんがこの国に開業をしたのは5年前。数十年前にレスキューさんはいないのです。
何より、こちらの棟。婚約となった5年前。わたくしが16歳の時は更地で御座いました。ラウルのお父様が「いずれこちらを本館にすればいいから」と少々体当たりをしようが崩れることも無いように全ての壁の中に鋼を仕込み、私の部屋の扉は家の中なのに鍵が5カ所で1分以内に解錠しなければリセットされる仕組み。
足元の絨毯も壁紙もまだ真新しく・・・つ・ま・り。新築をしたばかり。
完成の際、竣工パーティーには私も車椅子で出席を致しました。
嫁いで1年。この屋敷は少し先輩で築3年で御座います。
こんな解りやすい嘘を吐いてまで何かを隠そうとしている。
――まさか!既に愛人を引き入れている?――
だとすれば昨夜のマッサージは‥‥ ”挑発∞” だというの?!
そうだとすれば・・・地球に生まれた謎が解けましたわ。
私、潔く身を引きますのに。義両親にも2人を認めて欲しいと口添えをしますのに。
――至らない私には期待すらしていなかったと言う事だわ――
サッと手をあげ、小指だけを立てて「チッチッチ」
通常は「違う。違う」は人差し指を軽く横に振るのですがここは敢えて小指で御座います。
「な、なんだ・・・その小指は‥ゆびきりげんまんか?」
「御存じありませんの?甘柿でも干し柿でもない渋柿の3人組。センターを務める薬〇様が靴箱のラブレターなんか少女漫画にもないぜと否定をする際の仕草をご教授をされておりますのに」
ラウルが真似をして小指を「チッチッチ」
首を傾げている今こそ攻め時。
「やっておしまい!!」
「はいッ」
使用人さんにお願いをした私。鍵の解錠など不要です。
扉ごと外せばいいのです。
「待て!待ってくれ。その先は‥‥アァァーッ!!」
断末魔のようなラウルの悲鳴。
ご安心くださいませ。窓はあるのに緞帳のようなブ厚いカーテンで覆われた部屋は真っ暗。
何も見えません。
しかし外観からここに窓があると狙いを定め、カーテンをシャッと引くと壁に手枷のようなオブジェ。
「これは‥‥」
「違うんだよ!これはッ!」
「何故壁にオブジェを?」
「オブジェ?」
初めて知りました。お義母様もお義父様もラウルが芸術に傾倒しているなんて聞いておりません。ですが…そうですわね。私なら‥。
正方形を模したような配置は面白くないので、ズレを生じさせますのに・・・。
ハッ!いけない。素人には解らないこの配置の意味がきっとあるんだわ。
そして次に開けたカーテンが大きな…そう壁一面の鏡に光を反射し向かいのオブジェを照らします。
やっとオブジェを正方形に配置した意図が判った気がします。
「素晴らしいわ!ラウルッ」
「え?素晴らしい?・・・違うんだ。エディットこれはッ!」
「解ります。光の反射そして影を利用した芸術なのですね」
「芸術?!」
「えぇ。時々美術館に参りますが角度によって顔を変える造形美と申しましょうか。ラウルは女性ではなく芸術に傾倒されていたのですね。てっきり不貞‥‥」
照らされたのは壁のオブジェだけでは御座いません。
昼間以上に明るくなった部屋は鏡が必要以上に照らしております。
途切れた言葉。そこには摩訶不思議な幼児玩具が御座いました。
「ラウル。どうしてこの木馬は座面が尖っているのです?これでは座れません。ほら。跨ぐとラウルでも床につま先すら届かない位置に座面が御座いますわ」
口を池の鯉のようにはくはくとするだけのラウル。
――問うより調べろと言う事ですのね――
私ったら。不貞ではなく芸術。間違いを知ったばかりで「教えてちゃん」になる所でした。取扱説明書がどこかにあるはず・・・と部屋を見渡せば箱が見えます。
パカっと開けてみると見知った顔が‥‥。
――これは、私?――
バサバサと取り出し、捲ってみると髪の長さや結い方からすれば12歳、13歳当時かしら?と思う私の絵ばかり。
「まさか・・・私・・・」
「すまないっ!出来心などと言い訳は出来ないが説明させてくれっ」
「説明には及びません。私、指名手配されていましたの?(うるる)」
「指名手配?!そんな事はされていない!」
慌てて近寄って来たラウルが棚の上にあった小箱にあたり、小箱の蓋が床に落ちてパカっと開きます。
「こ、この髪色・・・」
間違いございません。これは私の髪。
私の髪は変わった癖があり、伸びてくると毛先がクルンと巻くのです。
春の野草。ゼンマイのようになる髪の束。
――まさか不貞でもなく、芸術でもなく呪術で呪い殺そうと?――
私の予想の斜め上をいくラウル。
やはり次期宰相、侮れません。
カルト教に手を出していた。そして私は‥‥生贄だったのね。
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