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VOL:18 推理するレイニー
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整理をしてみるとグラウペルとの婚約が国王と祖父の間で纏まったのは婚約破棄の翌日。
いわば受付をすっ飛ばして「国が認めた」書類が出来た。
王家に圧力を掛けたと噂が広がりだしたのは10日ほど経ってから。
正式に第3王子グラウペルとパウゼン侯爵家のレイニーが婚約をしたと公表したのは昨日。日数にすれば17日目。
10日目くらいから今日までの噂は殆どがグラウペル絡み。前半の噂がベースとなってレイニーが悪女になっている。
「内部を知る者?!内通者がいるという事か!」
グラウペルは「失敬な」とでも言いたげに立ち上がったが、レイニーは「案外簡単に見つかると思いますよ」さらりと流した。
パウゼン侯爵は全てを突き止めた後なのだろう。グラウペルには目も向けずレイニーに問うた。
「どうしてそう言える。書類を目にした文官かも知れないのに」
レイニーはトントン。書類の一部に指を落とした。
「噂の内容からすると90%の確率で女性が首謀者で尚且つ、殿下との婚約に異議がある者でしょう。婚約の締結に於いて王家の事は悪く言っておりません。後釜にでも納まりたいのでしょうね。だって、王家が悪く言われたら、運よく後釜に納まっても後始末は大変ですもの。噂はそれだけ厄介ですわ」
富豪というだけでやっかみを受けるのはいつもの事で哀しいかな慣れもある。
フェリッツとの婚約でおめでとうの言葉を貰っても言葉の裏まで読むのが貴族。「入り婿」だとどうしても蔑まれてしまうので、その点においてレイニーを負け組と揶揄する意味も含まれていた。
今までならそれも愛想笑いで受け流していたが、今のレイニーは違う。
もう気を配ってあげよう、場を悪くすることはしないでおこうという自分は捨てたのだ。
刃を向けられて盾で防ぐ前にこちらから喉元に刃を突きつける。最大の防御は攻撃なのである。
「だって噂を流している方は私の事は御存じないようですもの。元々あまり他家との付き合いをしなかった私ですから噂に乗っかった情報しかない。でも、殿下との婚約は公表される前から知っている。文官の線もあるでしょうけども、文官であれば通常の手順とは異なり先に国王決済がある婚約です。本当に王家に対し圧力を掛けるなら殿下には失礼ですが帝国の王子の方が当家には有益です。そう考えればどちらが申し込んできたかなど一目瞭然。文官の線は消えます。それも判らないような文官を雇い入れているのなら・・・殿下との婚約は即座に破棄し他国の子息と婚約した方が良いでしょう」
「なるほどな。それで?」
「婚約の詳細ではなく概要を知る者になりますので、高位貴族が残ります。高位貴族なら低位貴族の令嬢を行儀見習いで迎え入れていますから、妙齢の令嬢がいる家で低位貴族の令嬢を見習いで受け入れている家。尚且つ社交をよくされているご令嬢となれば絞り込めるでしょう。同時に今朝の事は御存じのようですから今、現在も屋敷の周囲には間者を配置されているでしょう。取り押さえてみれば証人に出来るかと」
「取り押さえてどうする?」
「お話を聞けば宜しいのでは?私がお話を聞いても宜しゅうございますが」
レイニーの言葉が途切れると、パウゼン侯爵は声をあげて笑い出しパンパンと2度手を打ち鳴らした。すると、さっき書類を持ってきた執事とは別の執事が一礼し、後ろ手に縛りあげられた男を連れて部屋に入って来た。
グラウペルは男の顔を見て目を見開いた。
いわば受付をすっ飛ばして「国が認めた」書類が出来た。
王家に圧力を掛けたと噂が広がりだしたのは10日ほど経ってから。
正式に第3王子グラウペルとパウゼン侯爵家のレイニーが婚約をしたと公表したのは昨日。日数にすれば17日目。
10日目くらいから今日までの噂は殆どがグラウペル絡み。前半の噂がベースとなってレイニーが悪女になっている。
「内部を知る者?!内通者がいるという事か!」
グラウペルは「失敬な」とでも言いたげに立ち上がったが、レイニーは「案外簡単に見つかると思いますよ」さらりと流した。
パウゼン侯爵は全てを突き止めた後なのだろう。グラウペルには目も向けずレイニーに問うた。
「どうしてそう言える。書類を目にした文官かも知れないのに」
レイニーはトントン。書類の一部に指を落とした。
「噂の内容からすると90%の確率で女性が首謀者で尚且つ、殿下との婚約に異議がある者でしょう。婚約の締結に於いて王家の事は悪く言っておりません。後釜にでも納まりたいのでしょうね。だって、王家が悪く言われたら、運よく後釜に納まっても後始末は大変ですもの。噂はそれだけ厄介ですわ」
富豪というだけでやっかみを受けるのはいつもの事で哀しいかな慣れもある。
フェリッツとの婚約でおめでとうの言葉を貰っても言葉の裏まで読むのが貴族。「入り婿」だとどうしても蔑まれてしまうので、その点においてレイニーを負け組と揶揄する意味も含まれていた。
今までならそれも愛想笑いで受け流していたが、今のレイニーは違う。
もう気を配ってあげよう、場を悪くすることはしないでおこうという自分は捨てたのだ。
刃を向けられて盾で防ぐ前にこちらから喉元に刃を突きつける。最大の防御は攻撃なのである。
「だって噂を流している方は私の事は御存じないようですもの。元々あまり他家との付き合いをしなかった私ですから噂に乗っかった情報しかない。でも、殿下との婚約は公表される前から知っている。文官の線もあるでしょうけども、文官であれば通常の手順とは異なり先に国王決済がある婚約です。本当に王家に対し圧力を掛けるなら殿下には失礼ですが帝国の王子の方が当家には有益です。そう考えればどちらが申し込んできたかなど一目瞭然。文官の線は消えます。それも判らないような文官を雇い入れているのなら・・・殿下との婚約は即座に破棄し他国の子息と婚約した方が良いでしょう」
「なるほどな。それで?」
「婚約の詳細ではなく概要を知る者になりますので、高位貴族が残ります。高位貴族なら低位貴族の令嬢を行儀見習いで迎え入れていますから、妙齢の令嬢がいる家で低位貴族の令嬢を見習いで受け入れている家。尚且つ社交をよくされているご令嬢となれば絞り込めるでしょう。同時に今朝の事は御存じのようですから今、現在も屋敷の周囲には間者を配置されているでしょう。取り押さえてみれば証人に出来るかと」
「取り押さえてどうする?」
「お話を聞けば宜しいのでは?私がお話を聞いても宜しゅうございますが」
レイニーの言葉が途切れると、パウゼン侯爵は声をあげて笑い出しパンパンと2度手を打ち鳴らした。すると、さっき書類を持ってきた執事とは別の執事が一礼し、後ろ手に縛りあげられた男を連れて部屋に入って来た。
グラウペルは男の顔を見て目を見開いた。
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