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第14話 領地行きの許可を取り付ける
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「領地に行く件ですが、侯爵夫妻のお心の中だけに留めて頂きたいのです」
「ジェイには伝えるなと?」
「えぇ。海のものとも山のものとも思えない事を今から行うのです。成功した時のサプライズは大きければ大きいほど楽しいでしょう?」
イリスの中では結婚式を行ってまだ24時間も経っていないのが今だが、もう確定&認定している事がある。
【ラジェットとメアリーに関わってはいけない】である。
危険だ、面倒だと解っていてわざわざ関わる必要はない。
世間一般は判らないがイリスの感覚からして「弟の嫁」に献身的に寄り添うラジェットは非常に気持ちが悪い。
これが弟のライモンドが不慮の事故で亡くなったばかりなど事情があれば、義理とは言え家族が寄り添うのは解るが、20歳を超えているメアリー。
ライモンドが放蕩者でたんぽぽの綿毛のように風に吹かれるままあちこちに出掛けて長期に渡って家を空けるのは解っていての結婚。1人で寂しいのならライモンドについて行けばいいし、従者も同行しているのだから月に数回、帰らないのなら会いに行けばいいだけ。
旅費などライモンドに渡される金をメアリーも自由に使っているのだから何とでもなるのだ。
こういうヤカラとは距離を置くに限る。
3年はまだ始まったばかりで道のりは遠いがゴールが見えている分イリスは幸運。
なので、「貴方の息子と距離を置きたい」と直球を投げるのではなくサプライズと誤魔化した本音は次男のラッセルの事業にもチャチャを入れて壊したメアリーを遠ざけたい。それに尽きる。
貴族の女性が茶会を開くのはきゃっきゃウフフと楽しくお喋りを楽しんで、甘い菓子に舌鼓を打つためではない。夜会もだか家の事業に有利で有益な情報を引っ張ったり、家と家を繋ぐパイプの役目もある。
それをただの歓談、余興のように何もわからないのに飛び入ってかき回すようなTPOの判らない人間は不要なのだ。
レント侯爵に寄ればメアリーがライモンドと結婚したのは15歳の時。
潰れた理由は「偽装」なので廃業し潰れる直前まで優雅な生活をしていた事だろう。
イリスのように10歳前後から集金に回ったり、あくせく働いていれば茶会の重要性は理解出来たはずなのだから。
それに物理的距離のある別居であっても婚姻期間の算定には含まれる。
現にライモンドとメアリーは結婚後に顔を合わせたのはこの2、3年で日数にして1カ月に足らないが、ちゃんとカウントされているのだ。
物理的に距離を置けば面倒事に巻き込まれる事もない。
ラジェットだって別棟に住まいを移すイリスが本宅で泊まる時に「出て行ってくれ」と頼まなくて済むだろうし、メアリーだって「部屋の使い心地」を身を挺して行わなくて済む。
――あら?皆がWINWINじゃないの!素敵だわ――
「では、調査隊の編成が終わり、出立の日が決まったら教えてください。今日から昼間の間は実家で経理の仕事をしますが夜には戻りますので」
「ははは。イリスさんは働くのが好きなんだね」
「何もしなくてもお腹は空きます。だけど働いてお腹ぺこぺこになった方が食事をより美味しく食べられるからです。同じものなら美味しく食べたいじゃないですか。私、食いしん坊なんですよ?」
朝食のプレートもペロリと平らげたイリスだからかレント侯爵夫妻はクスリと笑って頷いた。
「ジェイには伝えるなと?」
「えぇ。海のものとも山のものとも思えない事を今から行うのです。成功した時のサプライズは大きければ大きいほど楽しいでしょう?」
イリスの中では結婚式を行ってまだ24時間も経っていないのが今だが、もう確定&認定している事がある。
【ラジェットとメアリーに関わってはいけない】である。
危険だ、面倒だと解っていてわざわざ関わる必要はない。
世間一般は判らないがイリスの感覚からして「弟の嫁」に献身的に寄り添うラジェットは非常に気持ちが悪い。
これが弟のライモンドが不慮の事故で亡くなったばかりなど事情があれば、義理とは言え家族が寄り添うのは解るが、20歳を超えているメアリー。
ライモンドが放蕩者でたんぽぽの綿毛のように風に吹かれるままあちこちに出掛けて長期に渡って家を空けるのは解っていての結婚。1人で寂しいのならライモンドについて行けばいいし、従者も同行しているのだから月に数回、帰らないのなら会いに行けばいいだけ。
旅費などライモンドに渡される金をメアリーも自由に使っているのだから何とでもなるのだ。
こういうヤカラとは距離を置くに限る。
3年はまだ始まったばかりで道のりは遠いがゴールが見えている分イリスは幸運。
なので、「貴方の息子と距離を置きたい」と直球を投げるのではなくサプライズと誤魔化した本音は次男のラッセルの事業にもチャチャを入れて壊したメアリーを遠ざけたい。それに尽きる。
貴族の女性が茶会を開くのはきゃっきゃウフフと楽しくお喋りを楽しんで、甘い菓子に舌鼓を打つためではない。夜会もだか家の事業に有利で有益な情報を引っ張ったり、家と家を繋ぐパイプの役目もある。
それをただの歓談、余興のように何もわからないのに飛び入ってかき回すようなTPOの判らない人間は不要なのだ。
レント侯爵に寄ればメアリーがライモンドと結婚したのは15歳の時。
潰れた理由は「偽装」なので廃業し潰れる直前まで優雅な生活をしていた事だろう。
イリスのように10歳前後から集金に回ったり、あくせく働いていれば茶会の重要性は理解出来たはずなのだから。
それに物理的距離のある別居であっても婚姻期間の算定には含まれる。
現にライモンドとメアリーは結婚後に顔を合わせたのはこの2、3年で日数にして1カ月に足らないが、ちゃんとカウントされているのだ。
物理的に距離を置けば面倒事に巻き込まれる事もない。
ラジェットだって別棟に住まいを移すイリスが本宅で泊まる時に「出て行ってくれ」と頼まなくて済むだろうし、メアリーだって「部屋の使い心地」を身を挺して行わなくて済む。
――あら?皆がWINWINじゃないの!素敵だわ――
「では、調査隊の編成が終わり、出立の日が決まったら教えてください。今日から昼間の間は実家で経理の仕事をしますが夜には戻りますので」
「ははは。イリスさんは働くのが好きなんだね」
「何もしなくてもお腹は空きます。だけど働いてお腹ぺこぺこになった方が食事をより美味しく食べられるからです。同じものなら美味しく食べたいじゃないですか。私、食いしん坊なんですよ?」
朝食のプレートもペロリと平らげたイリスだからかレント侯爵夫妻はクスリと笑って頷いた。
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