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最終話☆さよなら、旦那様
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第二王子が捕縛された知らせは離れにいるカミーユの元にも知らされた。
「直ぐに登城するっ」
「えっ?お兄様、今日はリアとお芝居の約束でしょう?」
「何を言ってるんだ。そんな事をしている場合じゃない事くらい判ってくれ」
「あの意地悪な人でしょう?放っておけばいいのよ。捕まったのにどうしてお兄様が行かなきゃいけないの?お兄様が捕まっちゃったらどうするの」
しかし、面倒な者たちがカミーユの来るのを待ち構えていた。
この屋敷、そして足元にある土地、遠く離れた領地。全てを担保に入れて堰が切れたようにカミーユはエミリアの欲しがるままに物をまた買い与えてきた。
「利息だけでもいいんですけどね?」
待ち構えていたのは借金取りである。数日前に期限が来たが利息も払う事は出来なかった。
エミリアのドレスや宝飾品などは一式用意をすれば3千万は下らない。
それを週に3,4回と繰り返していけばいつかは尽きる。
エミリアはカミーユとの思い出があるからと手にしたものは絶対に手放さない。
カミーユはそれがまた嬉しかった。
贈り物を使ってくれないのは気に入らなかったのかと悩みもするが、贈った物を売られてしまうといい気はしない。エミリアが大事に取っておいてくれる行為はカミーユには喜びでもあった。
だから例え利息だけだと言っても全ての不動産となれば払える額ではない。
数か月であれば支払いも待ってくれるだろう。カミーユは安易に考えていたし、それでも押しかけて来るようなら屋敷で執務をしているブランディーヌも聞こえが悪いため、払ってくれるかも知れないと思った。
借金取りたちと押し問答をしているところに家令と数人の執事が来た。
カミーユはこれ幸いと借金取りの相手をするように言いつけた。
「お断りいたします」
「な、なんだって?!当主の命令が聞けないのか?」
「おぉっと待った」
家令たちのもとに行こうとしたカミーユの前に借金取りが1人立ちはだかった。
「返す、返さない。どっち?」
「返す。返すに決まってるだろう。ただ今は持ち合わせがないんだ」
「あるじゃないですか」
「は?何処にあるというんだ?」
カミーユは周囲を見回した。利息だけでも大きな旅行用のカバンにいっぱいになる量だ。そんなものがここにある筈がない。まさかエミリアを娼館に売るのかと青ざめた。
「し、娼館に売るなんて非人道的な事をしてみろ。訴えてやるからな」
「何を言ってるんです?今時娼館?流行りませんよ。何より娼館に行くような女、いないでしょう?」
「失礼だな!異母妹は21歳だ。狙ってるんだろう?」
「は?あのね…冗談はやめてください。それだと娼館じゃなく見世物小屋、珍獣も今は空き待ちなんですよ」
言い合いをしても何の解決にならないのは解っている。
だが、カミーユはそんな事よりも早く登城をしなければならなかった。
「楽しそうだね。何をしてるんだ?仲間に入れて欲しいね」
「こ、これは第一王子殿下にはご機嫌麗しく、益々の――」
「こんな所でやめてくれないか?いい加減王族というだけで変に崇められて辟易してるんだ」
第一王子の隣にはブランディーヌが立っている。
カミーユはブランディーヌに向かって手招きをした。
「何の真似ですの?それからこれは何の騒ぎですの」
「そうだね。君たちは…伯爵家の使用人?」
判り切っているのに第一王子は少しおどけて借金取りたちに問いかけた。
「いや、俺たちは貸したものを返してくれないので。約束は守って貰わないと困るんですよ。もう貴族様なのに期日を過ぎても全~然。俺らも困ってるんです」
「違うんです。確かに金を借りてはいるのですが手違いで‥‥ブランディーヌ!すまないが彼らに利息分だけでも持たせてやってくれないだろうか」
ブランディーヌは「はぁ~」と溜息を吐いた。
「お幾らですの?」
「い、いや…正確な額は判らなくて…執務室!執務室に行けば判る」
「執務もしなくなりもう10カ月。どこにそんな書類を?」
「えぇっと…引き出しの真ん中…いや一番下だったかな」
「よろしいわ。こちらに署名を頂けるかしら?それで全てが片付きますわ」
カミーユの顔が一気に綻んで、脂下がった表情になった。
「この紙とペンを渡して頂けるかしら」
「畏まりました」
手渡された用紙を見てカミーユは更に青ざめた。
「これは離縁書じゃないか…どうして?!」
「この1年間、お約束は守って頂けなかった事が残念でなりませんわね。執務をし、公務をこなす。それがわたくしの条件、貴方は言動を改めると仰ったけれど‥近親でなんて…あなたの愛は行き過ぎているのです」
「そんな不潔な事を言わないでくれ!何か誤解をしている!」
騒ぐ声は本宅にも聞こえるが離れにも当然聞こえている。
飛び出して行ったカミーユの声が未だに聞えてくることに離れからエミリアが出てきた。
「不潔ってなんですの?お兄様」
「リアっ!言ってやってくれ。私とリアは爛れた関係などではないと!」
カミーユの頼みにエミリアは顔を真っ赤にしてカミーユの隣に小走りで寄ってくると言い放った。
「お兄様とは湯殿や寝所でご一緒するだけですわ!家族なんですもの。当たり前ですわ」
「ぷっ」と吹き出して第一王子は肩を揺らした。
「待って。待って。まさか湯殿って…まさかと思うけど寝所でも湯殿と同じで何も着てないとか言わないよね」
「着てるわけないじゃないですか!そんなの!わたくしが寒がりだからお兄様が一緒に寝てくれただけですわ!何が悪いのです!」
「いや、あのさ、寒がり、冷え性なのであれば寝間着などを着用しない?裸で一緒に寝てる理由が寒がりだからって初めて聞くんだけど。湯殿でも寒いから?いや湯なんだから寒くはないよね?」
「湯殿は洗い合うに決まってるじゃないですか!」
「リアっ!やめろ!それ以上言うな!何も言うな!」
「何を言ってるんですの?お兄様、はっきり言ってあげてください。他人である妻には出来ない事でも家族なら出来る事なんだって!」
「やめてくれぇ…リアァァァ」
その場に蹲り、頭を抱えたカミーユにブランディーヌはもう一度聞いた。
「どうしますの?署名を頂けるかしら?それで全てが片付きますわ」
「嫌だ…離縁なんかしたくない…」
「ならば何故また同じ事を繰り返したのです?前回の支払い全てを肩代わりし必死になって返したというのに。もうあんな思いはごめんですわ。何が嬉しくて異母妹と同衾している変態借金魔の妻をせねばならないのですか」
第一王子は蹲るカミーユの向かいにしゃがみ込んで肩を叩いた。
「夫婦はさ、元々他人なんだよ。元に戻るだけでもしかするとまたチャンスはあるかも知れないだろう?お互い独身になるんだから」
その言葉にカミーユは震えながら離縁書にサインをすると、サッと届けを手にした第一王子は証人の欄にサインを書き込んだ。
「第一王子の私が証人なんだ。ま、決済するのも私だからちゃんと受理しておくよ」
第一王子が立ち上がるとブランディーヌは従者に命じた。
「不審者を屋敷の外に放り出して頂戴」
「畏まりました」
執事の他に伯爵家から男性従者もやってきてカミーユとエミリアの腕を掴みあげた。
「何をするんだ!ディー!どういう事だ?!」
「痛いっ!離してよ!」
「どういうも何も。離縁をしましたので他人。同時に借金はわたくしの物でしょう?」
「それはそうだが…」
「これで借金の甲と乙が一緒になりましたの。お判りになりません?不動産を担保に金を貸していたのはわたくし個人。離縁と引き換えにその借金を貰い受けましたの。自分で自分に借金とはなりませんもの」
「騙したのか?!」
「そうよ!この卑怯者!」
「なんとでも。ただ、その借金で色々と好き勝手に買い物を楽しんだのは誰?」
「なら俺たちには爵位と買った品物しかないって事じゃないか!」
ブランディーヌは、おや?と首を傾げた。
カミーユの目の前に借用書を突きつけると、指先だけを表に出し文字をなぞる。
「不動産の内部に於いてはそれを附随するものとする。読めません?」
「読めるがそれがなんだ?!」
「中にあるものも全て抵当に入っていたという事ですの。爵位も、ドレスも宝石も全部って事ですわ」
第一王子はまた失笑しカミーユに申し訳なさそうな顔をして告げた。
「確かにそうなるね。聞いた以上私が証人だ」
まだ騒ぐカミーユにブランディーヌはそっとカミーユの髪を手櫛で梳いた。
「貴方の事は愛していた事もありました。そうでなければ体は開きません。でも私は貴方の家族には成れなかった。貴方の異母妹さんの言葉。心に沁みましたわ。出会う前に戻りましょう。お互いに」
「待ってくれ。本当に何もなくなってしまう!生きていけないっ」
ブランディーヌはくすっと笑った。
「大丈夫。あなたにはエミリアさんという愛しい異母妹が残っております。エミリアさんも良かったわね。流行り廃りのあるドレスや宝飾品と違って未来永劫変わらぬ異母兄が残りましたものね?」
従者に連れられて行く2人に背を向けてブランディーヌは第一王子を屋敷の中に案内した。
「これからどうするのだ?」
「そうですね…海の向こうの大陸に渡って…海に潜りますわ」
「泳げないのに?」
「マシューとの愛に溺れておりますもの。海には溺れませんわ」
その後、ブランディーヌは全ての財産を処分し海の向こうの大陸に渡る船に乗船した。
巨額の資産は新しくブロイ伯爵となった兄に基金として託し不慮の事故で両親を失った子供に成人までの学費や生活費が支給されるようになった。
「イノシシに追いかけられてる男なら森に入って行ったよ」
カミーユとエミリアによく似た生物は度々目撃されたが、捕まえた者はいない。
Fin
予定より5話多くなってしまいました<(_ _)>
コメント、沢山ありがとうございます。
今日は3回目の予防接種なので直ぐに返信が出来るか判りませんが、まだかな~っと気長に待って頂けると嬉しいです(*^-^*)
「直ぐに登城するっ」
「えっ?お兄様、今日はリアとお芝居の約束でしょう?」
「何を言ってるんだ。そんな事をしている場合じゃない事くらい判ってくれ」
「あの意地悪な人でしょう?放っておけばいいのよ。捕まったのにどうしてお兄様が行かなきゃいけないの?お兄様が捕まっちゃったらどうするの」
しかし、面倒な者たちがカミーユの来るのを待ち構えていた。
この屋敷、そして足元にある土地、遠く離れた領地。全てを担保に入れて堰が切れたようにカミーユはエミリアの欲しがるままに物をまた買い与えてきた。
「利息だけでもいいんですけどね?」
待ち構えていたのは借金取りである。数日前に期限が来たが利息も払う事は出来なかった。
エミリアのドレスや宝飾品などは一式用意をすれば3千万は下らない。
それを週に3,4回と繰り返していけばいつかは尽きる。
エミリアはカミーユとの思い出があるからと手にしたものは絶対に手放さない。
カミーユはそれがまた嬉しかった。
贈り物を使ってくれないのは気に入らなかったのかと悩みもするが、贈った物を売られてしまうといい気はしない。エミリアが大事に取っておいてくれる行為はカミーユには喜びでもあった。
だから例え利息だけだと言っても全ての不動産となれば払える額ではない。
数か月であれば支払いも待ってくれるだろう。カミーユは安易に考えていたし、それでも押しかけて来るようなら屋敷で執務をしているブランディーヌも聞こえが悪いため、払ってくれるかも知れないと思った。
借金取りたちと押し問答をしているところに家令と数人の執事が来た。
カミーユはこれ幸いと借金取りの相手をするように言いつけた。
「お断りいたします」
「な、なんだって?!当主の命令が聞けないのか?」
「おぉっと待った」
家令たちのもとに行こうとしたカミーユの前に借金取りが1人立ちはだかった。
「返す、返さない。どっち?」
「返す。返すに決まってるだろう。ただ今は持ち合わせがないんだ」
「あるじゃないですか」
「は?何処にあるというんだ?」
カミーユは周囲を見回した。利息だけでも大きな旅行用のカバンにいっぱいになる量だ。そんなものがここにある筈がない。まさかエミリアを娼館に売るのかと青ざめた。
「し、娼館に売るなんて非人道的な事をしてみろ。訴えてやるからな」
「何を言ってるんです?今時娼館?流行りませんよ。何より娼館に行くような女、いないでしょう?」
「失礼だな!異母妹は21歳だ。狙ってるんだろう?」
「は?あのね…冗談はやめてください。それだと娼館じゃなく見世物小屋、珍獣も今は空き待ちなんですよ」
言い合いをしても何の解決にならないのは解っている。
だが、カミーユはそんな事よりも早く登城をしなければならなかった。
「楽しそうだね。何をしてるんだ?仲間に入れて欲しいね」
「こ、これは第一王子殿下にはご機嫌麗しく、益々の――」
「こんな所でやめてくれないか?いい加減王族というだけで変に崇められて辟易してるんだ」
第一王子の隣にはブランディーヌが立っている。
カミーユはブランディーヌに向かって手招きをした。
「何の真似ですの?それからこれは何の騒ぎですの」
「そうだね。君たちは…伯爵家の使用人?」
判り切っているのに第一王子は少しおどけて借金取りたちに問いかけた。
「いや、俺たちは貸したものを返してくれないので。約束は守って貰わないと困るんですよ。もう貴族様なのに期日を過ぎても全~然。俺らも困ってるんです」
「違うんです。確かに金を借りてはいるのですが手違いで‥‥ブランディーヌ!すまないが彼らに利息分だけでも持たせてやってくれないだろうか」
ブランディーヌは「はぁ~」と溜息を吐いた。
「お幾らですの?」
「い、いや…正確な額は判らなくて…執務室!執務室に行けば判る」
「執務もしなくなりもう10カ月。どこにそんな書類を?」
「えぇっと…引き出しの真ん中…いや一番下だったかな」
「よろしいわ。こちらに署名を頂けるかしら?それで全てが片付きますわ」
カミーユの顔が一気に綻んで、脂下がった表情になった。
「この紙とペンを渡して頂けるかしら」
「畏まりました」
手渡された用紙を見てカミーユは更に青ざめた。
「これは離縁書じゃないか…どうして?!」
「この1年間、お約束は守って頂けなかった事が残念でなりませんわね。執務をし、公務をこなす。それがわたくしの条件、貴方は言動を改めると仰ったけれど‥近親でなんて…あなたの愛は行き過ぎているのです」
「そんな不潔な事を言わないでくれ!何か誤解をしている!」
騒ぐ声は本宅にも聞こえるが離れにも当然聞こえている。
飛び出して行ったカミーユの声が未だに聞えてくることに離れからエミリアが出てきた。
「不潔ってなんですの?お兄様」
「リアっ!言ってやってくれ。私とリアは爛れた関係などではないと!」
カミーユの頼みにエミリアは顔を真っ赤にしてカミーユの隣に小走りで寄ってくると言い放った。
「お兄様とは湯殿や寝所でご一緒するだけですわ!家族なんですもの。当たり前ですわ」
「ぷっ」と吹き出して第一王子は肩を揺らした。
「待って。待って。まさか湯殿って…まさかと思うけど寝所でも湯殿と同じで何も着てないとか言わないよね」
「着てるわけないじゃないですか!そんなの!わたくしが寒がりだからお兄様が一緒に寝てくれただけですわ!何が悪いのです!」
「いや、あのさ、寒がり、冷え性なのであれば寝間着などを着用しない?裸で一緒に寝てる理由が寒がりだからって初めて聞くんだけど。湯殿でも寒いから?いや湯なんだから寒くはないよね?」
「湯殿は洗い合うに決まってるじゃないですか!」
「リアっ!やめろ!それ以上言うな!何も言うな!」
「何を言ってるんですの?お兄様、はっきり言ってあげてください。他人である妻には出来ない事でも家族なら出来る事なんだって!」
「やめてくれぇ…リアァァァ」
その場に蹲り、頭を抱えたカミーユにブランディーヌはもう一度聞いた。
「どうしますの?署名を頂けるかしら?それで全てが片付きますわ」
「嫌だ…離縁なんかしたくない…」
「ならば何故また同じ事を繰り返したのです?前回の支払い全てを肩代わりし必死になって返したというのに。もうあんな思いはごめんですわ。何が嬉しくて異母妹と同衾している変態借金魔の妻をせねばならないのですか」
第一王子は蹲るカミーユの向かいにしゃがみ込んで肩を叩いた。
「夫婦はさ、元々他人なんだよ。元に戻るだけでもしかするとまたチャンスはあるかも知れないだろう?お互い独身になるんだから」
その言葉にカミーユは震えながら離縁書にサインをすると、サッと届けを手にした第一王子は証人の欄にサインを書き込んだ。
「第一王子の私が証人なんだ。ま、決済するのも私だからちゃんと受理しておくよ」
第一王子が立ち上がるとブランディーヌは従者に命じた。
「不審者を屋敷の外に放り出して頂戴」
「畏まりました」
執事の他に伯爵家から男性従者もやってきてカミーユとエミリアの腕を掴みあげた。
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「痛いっ!離してよ!」
「どういうも何も。離縁をしましたので他人。同時に借金はわたくしの物でしょう?」
「それはそうだが…」
「これで借金の甲と乙が一緒になりましたの。お判りになりません?不動産を担保に金を貸していたのはわたくし個人。離縁と引き換えにその借金を貰い受けましたの。自分で自分に借金とはなりませんもの」
「騙したのか?!」
「そうよ!この卑怯者!」
「なんとでも。ただ、その借金で色々と好き勝手に買い物を楽しんだのは誰?」
「なら俺たちには爵位と買った品物しかないって事じゃないか!」
ブランディーヌは、おや?と首を傾げた。
カミーユの目の前に借用書を突きつけると、指先だけを表に出し文字をなぞる。
「不動産の内部に於いてはそれを附随するものとする。読めません?」
「読めるがそれがなんだ?!」
「中にあるものも全て抵当に入っていたという事ですの。爵位も、ドレスも宝石も全部って事ですわ」
第一王子はまた失笑しカミーユに申し訳なさそうな顔をして告げた。
「確かにそうなるね。聞いた以上私が証人だ」
まだ騒ぐカミーユにブランディーヌはそっとカミーユの髪を手櫛で梳いた。
「貴方の事は愛していた事もありました。そうでなければ体は開きません。でも私は貴方の家族には成れなかった。貴方の異母妹さんの言葉。心に沁みましたわ。出会う前に戻りましょう。お互いに」
「待ってくれ。本当に何もなくなってしまう!生きていけないっ」
ブランディーヌはくすっと笑った。
「大丈夫。あなたにはエミリアさんという愛しい異母妹が残っております。エミリアさんも良かったわね。流行り廃りのあるドレスや宝飾品と違って未来永劫変わらぬ異母兄が残りましたものね?」
従者に連れられて行く2人に背を向けてブランディーヌは第一王子を屋敷の中に案内した。
「これからどうするのだ?」
「そうですね…海の向こうの大陸に渡って…海に潜りますわ」
「泳げないのに?」
「マシューとの愛に溺れておりますもの。海には溺れませんわ」
その後、ブランディーヌは全ての財産を処分し海の向こうの大陸に渡る船に乗船した。
巨額の資産は新しくブロイ伯爵となった兄に基金として託し不慮の事故で両親を失った子供に成人までの学費や生活費が支給されるようになった。
「イノシシに追いかけられてる男なら森に入って行ったよ」
カミーユとエミリアによく似た生物は度々目撃されたが、捕まえた者はいない。
Fin
予定より5話多くなってしまいました<(_ _)>
コメント、沢山ありがとうございます。
今日は3回目の予防接種なので直ぐに返信が出来るか判りませんが、まだかな~っと気長に待って頂けると嬉しいです(*^-^*)
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今回もラストまでお付き合いいただきありがとうございました。<(_ _)>
完結を待ちきれず感想を送らせて頂いて、丁寧な返信にニヨニヨしながら他の皆様の感想をなぞらせていただいていたら……
「この兄妹にはモデルがいます」
のcyaru様のお言葉。
…感想欄でまでゾッとするお話、ありがとうございます😭
お身体ご自愛くださいませ♡
コメントありがとうございます。<(_ _)>
おやっ?!やはり完結後のコメントを楽しみにされておられるという噂は本当だった?!Σ( ̄□ ̄|||)
事実は小説より奇なりと申します通り、何故かワシの知ってる(決して知人のレベルではなく…)人って癖が強いと言いますか、ネタの宝庫?が多いんですよねぇ。
過去話のシェリーもですが、ここまでの奴おらんやろ?って思われがちな部分が実はさらに飛びぬけてたりとかしますので‥‥暇はしませんね(笑)あ、多少着色はしてますけどね(*^-^*)
あとは…仕事(本業です)がちょっと特殊なので第三者から見ると「イってる」人が多いとよく言われるんですよ。ここのところは基本が在宅ですけどそれまでは短い時で当日、長い時で数か月とか転々としてたので、色んなキャラ(キャラって言うの?)がいるんですよ(笑)
多分日の当たらない所(基本が空調完備の窓ナシ、認証キーの部屋で作業)に長く居ると「素」が出るっていうんですかねぇ。セルフのドMなんかもいますよ(爆)
話の中でクズを育てたりもしますが、リアルはもう出来合ってて目も合わさない方がいいレベルのやつ多いんでド田舎に住んでおります(笑)時々馴染の友達が来て「そう言えば、アイツってさ…」みたいな話をするんですが、思うのは…生きてる以上、育つんだな(爆)で御座います<(_ _)>
時々そういうのも出していきますが冬場は余計にゾッとしちゃいますよねぇ( ̄ー ̄)ウーン
暑い時期限定にしとく??なぁんて(笑)
今日はかなり楽になりました(*^-^*)
お心遣いありがとうございます。
次回は近日中に‥‥秘密よ♡
ありがとうございます。
キリ番もなかなかない事なのに、2度目なんて光栄です。
口唇紋と肉球🐾をダブルで押させて、頂きます。
副反応がお辛い状況ですので、無理をされずゆっくり体を休めて下さい。
添い寝は、体調が戻られてからでいいですよ(笑)
楽しみにお待ちしております。
冷蔵庫の中身が充実している週末に是非お越し下さい。
金曜日の我が家の冷蔵庫は、結構悲惨です😭
いつも思うのですが、コメント欄を読ませて頂くと、自分とは違う見方がたくさんあってとても面白いですね。
どうしても、偏った見方になってしまう時があるのですが、「あー、なるほど」とか「そこ気付かなかった」とか…。
cyaruさんもいつも丁寧に補足して下さったり、コメント返して下さったりするので、よりお話が楽しめます。
いつも拙い私のコメントにも丁寧に返して下さって、ありがとうございます🙇♀️
更新楽しみにしています。
コメントありがとうございます。<(_ _)>
今回も完結した時はまだ100には到達していなかったんですけども、ワクチンから帰ってフゥハァしていると、おや?100番目キター!!っとなりました(*^▽^*)
10月に娘が打ったのがモデル●だったので、(ファ●ザー、フ●イザー、モデル●)熱が高いのかなと、ワシとドルシー君は3回ともフ●イザーだったんで甘く見ておりました_| ̄|○
ロキソニンが効いてる間は楽なんですけど…切れたら地獄です(笑)こんなに全身が痛いのは扁桃腺で43.1度を叩きだした時以来でございますよ。
ですが、悲しいかな仕事が在宅勤務。熱があろうとなかろうと毎朝のリモート会議は行われるし…。日曜日に打つもんじゃないなと…ま、もう4回目はしませんけども(笑)
広い邸宅にもう一度行けるなんて夢のようだ~ヾ(@⌒▽⌒@)ノ
冷蔵庫の中身も開いた瞬間ぱぁぁヽ(^o^)丿 っと喜びの舞をまた踊れるなんて♡
エリックにクジャクの舞を教えてもらわ‥‥イカン…あれ全裸やん!!マクシムの腰布は汚れてるしな(笑)
コメントを頂くと、自分はこういうつもりで書いたけれど、見る人によって捉え方は違うな~っとワシも勉強になっております(*^-^*)
直接声を届けてくださるので、本当にありがたいです。
誤字脱字の報告も、なかなか「違ってるよ」って言い難いんですよね。でも教えてくださるって感謝しかない。リアルだと聞きたくても聞けないし、ネットが普及してるので調べろって言われるけれど、「こういう事もありますよ」ってネットでは調べるにもワードが判らない事も楽しくお話しを読めるって素敵です♡
ワシこそ作文のような…いや駄文か(笑)読んでくださるのでとても嬉しいですよ(*^-^*)
「おっ。新しいやつ?」ってクリック(タップ)してもらえる話を投稿出来る様に頑張ります。\(^0^)