37 / 58
37
しおりを挟む
ハァ、ハァ。
非常事態用の皮鎧を装備していると、少しだが動きづらさを感じる。
そのせいか急ぎ走っていても、普段より若干速度が遅い。
しかし相手が武器を所持している以上、最大限に備えなければならない為、装備を身軽にするわけにいかない。
どんな用件で来たのだろう。
走りながら、色々考えを巡らす。
『非常事態』とはラクラス村、ひいては村人に対して、外部要因の脅威が迫っている事を指している。
その段階はレベル『1』から『5』までランク付けしており、レベル『1』は顔見知りではない武装した人物、もしくはパーティが、この村に近づいて来ている場合だ。
例え貧相な装備だとしても、実力は未知数の為、油断をせずに警戒する為に、俺がそう定めた。
レベル『2』は、ラクラス村に対して、明らかな敵意や悪意を感じる人物、もしくはパーティが訪れた場合。
レベル『3』は、自警団だけでは対処出来ないかもしれない脅威が訪れた場合。
十人程度の、腕の立つような集団がコレに該当する。
レベル『4』は、ラクラス村の存亡が難しい程の脅威が訪れた場合。
訓練された軍隊や、百人以上の荒くれ者達などを想定しており、村を放棄して逃げる選択をしなければならないレベル。
そして最高レベルの『5』。
これはティナの為に設けた段階。
レベル『4』ではカテゴライズ出来ないような、計りし得ない力を持つ人物が訪れた場合だ。
この世界に本当に居るかどうかわからないが、風の噂で聞く『勇者』や『魔王』などの伝説級の存在がそれに該当する。
なぜ『勇者』が該当するか、疑問だよな。
ティナの『絶対人質』。
おそらくだが、そんな伝説級の人物達にも、例外なくスキルは発動するだろう。
そうなった場合、誰が彼女を救えるだろう。
無論、俺は無条件で救おうと行動するが、果たして何処まで自分の力が通用するか、分からない。
毎日鍛錬し、ある程度自信はついている。
ついてはいるが、ティナを救う為に、俺の命と引き換えになるかもしれない。
いや。
それも、烏滸がましい考えかもな。
そうならない為にも、レベル『5』に該当する様な事態が発生したら、即座にティナを連れて逃げる事を決めている。
だがこの村以外に、ティナは安息を得るのは難しいのだから、それも茨の道になるだろう。
悲しいスキル。
本当に、何の為に存在する能力なんだろうか。
改めて思い、苦々しさから目線が下がる。
流れる地面を見ながら悲哀にくれていたが、大きな声に気を取り直した。
「責任者は、まだですか!」
二十代前半らしき男性の声。
その声は、人だかりが出来た門外から響いていた。
無理に押し通る事はせずに、『責任者』の到着を待っている。
だがその事実が、カイルの心に焦りを生じさせる。
荒くれ者ではないのか。
ハッシュがレベル『5』も有り得ると言っていたのは、この事か!
良く出来た人物。
その人物が率いるパーティ。
『勇者』一行かもしれないと、カイルも疑わざるを得なかった。
非常事態用の皮鎧を装備していると、少しだが動きづらさを感じる。
そのせいか急ぎ走っていても、普段より若干速度が遅い。
しかし相手が武器を所持している以上、最大限に備えなければならない為、装備を身軽にするわけにいかない。
どんな用件で来たのだろう。
走りながら、色々考えを巡らす。
『非常事態』とはラクラス村、ひいては村人に対して、外部要因の脅威が迫っている事を指している。
その段階はレベル『1』から『5』までランク付けしており、レベル『1』は顔見知りではない武装した人物、もしくはパーティが、この村に近づいて来ている場合だ。
例え貧相な装備だとしても、実力は未知数の為、油断をせずに警戒する為に、俺がそう定めた。
レベル『2』は、ラクラス村に対して、明らかな敵意や悪意を感じる人物、もしくはパーティが訪れた場合。
レベル『3』は、自警団だけでは対処出来ないかもしれない脅威が訪れた場合。
十人程度の、腕の立つような集団がコレに該当する。
レベル『4』は、ラクラス村の存亡が難しい程の脅威が訪れた場合。
訓練された軍隊や、百人以上の荒くれ者達などを想定しており、村を放棄して逃げる選択をしなければならないレベル。
そして最高レベルの『5』。
これはティナの為に設けた段階。
レベル『4』ではカテゴライズ出来ないような、計りし得ない力を持つ人物が訪れた場合だ。
この世界に本当に居るかどうかわからないが、風の噂で聞く『勇者』や『魔王』などの伝説級の存在がそれに該当する。
なぜ『勇者』が該当するか、疑問だよな。
ティナの『絶対人質』。
おそらくだが、そんな伝説級の人物達にも、例外なくスキルは発動するだろう。
そうなった場合、誰が彼女を救えるだろう。
無論、俺は無条件で救おうと行動するが、果たして何処まで自分の力が通用するか、分からない。
毎日鍛錬し、ある程度自信はついている。
ついてはいるが、ティナを救う為に、俺の命と引き換えになるかもしれない。
いや。
それも、烏滸がましい考えかもな。
そうならない為にも、レベル『5』に該当する様な事態が発生したら、即座にティナを連れて逃げる事を決めている。
だがこの村以外に、ティナは安息を得るのは難しいのだから、それも茨の道になるだろう。
悲しいスキル。
本当に、何の為に存在する能力なんだろうか。
改めて思い、苦々しさから目線が下がる。
流れる地面を見ながら悲哀にくれていたが、大きな声に気を取り直した。
「責任者は、まだですか!」
二十代前半らしき男性の声。
その声は、人だかりが出来た門外から響いていた。
無理に押し通る事はせずに、『責任者』の到着を待っている。
だがその事実が、カイルの心に焦りを生じさせる。
荒くれ者ではないのか。
ハッシュがレベル『5』も有り得ると言っていたのは、この事か!
良く出来た人物。
その人物が率いるパーティ。
『勇者』一行かもしれないと、カイルも疑わざるを得なかった。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
彼女の母は蜜の味
緋山悠希
恋愛
ある日、彼女の深雪からお母さんを買い物に連れて行ってあげて欲しいと頼まれる。密かに綺麗なお母さんとの2人の時間に期待を抱きながら「別にいいよ」と優しい彼氏を演じる健二。そんな健二に待っていたのは大人の女性の洗礼だった…
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
なりゆきで、君の体を調教中
星野しずく
恋愛
教師を目指す真が、ひょんなことからメイド喫茶で働く現役女子高生の優菜の特異体質を治す羽目に。毎夜行われるマッサージに悶える優菜と、自分の理性と戦う真面目な真の葛藤の日々が続く。やがて二人の心境には、徐々に変化が訪れ…。
前略、旦那様……幼馴染と幸せにお過ごし下さい【完結】
迷い人
恋愛
私、シア・エムリスは英知の塔で知識を蓄えた、賢者。
ある日、賢者の天敵に襲われたところを、人獣族のランディに救われ一目惚れ。
自らの有能さを盾に婚姻をしたのだけど……夫であるはずのランディは、私よりも幼馴染が大切らしい。
「だから、王様!! この婚姻無効にしてください!!」
「My天使の願いなら仕方ないなぁ~(*´ω`*)」
※表現には実際と違う場合があります。
そうして、私は婚姻が完全に成立する前に、離婚を成立させたのだったのだけど……。
私を可愛がる国王夫婦は、私を妻に迎えた者に国を譲ると言い出すのだった。
※AIイラスト、キャラ紹介、裏設定を『作品のオマケ』で掲載しています。
※私の我儘で、イチャイチャどまりのR18→R15への変更になりました。 ごめんなさい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる