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第十章 魔導国学園騒動
58話 傭兵団への依頼 ダート視点
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結局、昨日はレースは帰って来なかった。
それどころか、ダリアも帰って来ていない……これはさすがに何かおかしいんじゃないかと感じて、カエデちゃんと一緒に学園に行って近くの職員の人に聞いてみると
「レース先生ですか?……本日は学園長から昨日緊急の連絡で、急遽休校という事になったので、来ていないと思いますよ?」
という言葉が返って来た。
なら何故この人は学園にいるのだろうかと、気になって訪ねてみると……学園内の警備を任されている職員さんらしい。
それならいるのも当然だろう……けど、そんな人が見た事が無いという事はレース達は何処に行ったのか。
不安になったせいか、ちょっとだけお腹が苦しい気がする……たぶん、お腹の中の子も私の不安を感じているのかも。
「ダートお姉様……、大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないかも……何か、お腹が苦しい気がして」
「え!?それって……どうして早く教えてくれないんですか!」
「……ごめんね?だって、レースやダリアの事が心配で」
「心配なのは分かりますけど、無理だけはしないでください」
確かにカエデちゃんの言う通りだ……。
私一人の身体じゃ無いのに、無理をしてし、周囲の人に心配を掛けさせてしまうのは良くないし、それ以上にお腹の中の子に影響を与えてしまうのは良くない
「……うん、ごめんねカエデちゃん」
「とりあえず何処か休める場所に行きましょうか」
「家に戻るとサリッサさんがいるから心配かけちゃうから、他のところにちょっと行きたいからいいかな」
「いいですけど何処に行くんですか?」
「ほら、クイストの外に開拓者たちが作った集落があるでしょ?」
レースが帰って来ない事に、何だか凄い嫌な予感がする。
だから……集落を拠点にしているSランク冒険者【死絶】カーティス・ハルサー率いる【死絶傭兵団】に、彼の捜索を依頼してみようと思う。
……冒険者ギルドに頼るという方法も無い訳では無いんだけど、そんな事をしたらジラルドさんやコーちゃんが心配するだろうし、クロウさんに関してはいつかのトレーディアスの一件のような事になるかもしれないから、内緒にしておいた方がいい。
「あの死絶傭兵団の拠点があるあそこですか?」
「うん、そこで死絶傭兵団に依頼を出そうと思うの」
「依頼って、ダートお姉様……レースさんが帰って来ないだけで、傭兵団に依頼を出すのはちょっと過剰なのではないですか?」
「……そうかな」
「はい、こういうのは依頼をするなら、まずは冒険者ギルドを通しておいた方がいいと思いますよ?」
確かにカエデちゃんからしたら、過剰に感じるかもしれないし、冒険者ギルドに頼った方がいいと思うのは当然……だと思う。
でもこればっかりは、私なりの考えがあるから譲る気は無い。
「私もそう思うけど、何だか嫌な予感がして……」
「それって冒険者ギルドに頼れない程にですか?」
「うん……、ほらあっちに依頼するとジラルドさん達の耳に入るから、心配させちゃうかもしれないでしょ?だから、そんな事させたくなくて」
「なるほど……、そういう事なら彼らに頼りましょうか」
カエデちゃんが納得してくれたみたいで私を見て頷いてくれたのを見て、指先に魔力の光を灯す。
そして空間を切り裂いて、集落までの位置を繋ぐと二人で移動をする。
「──ですから!レース様達が今危険な目にあっていますの!だから助けてくださいまし!」
「助けてって言われても、彼の居場所が分からないのに探すのは難しいものがありますよ?」
そこにはミオちゃんとサリアさんがいて、何やらレースに対して話しているのが聞こえる。
危険な目にあっていると言ってるけど、いったい何が起きているのか。
最近は特に何か問題が起きたわけでも無くて、どちらかというと平穏な日常が続いていたのに……
「……ミオちゃん、レースに何があったの?」
「何があったも何も、私は途中で気を失ってしまったから良く分かりませんわ!けど……マスカレイドの研究室に転移して、それでそれで……そこで、あっあぁ!?」
「ミオラーム様!?」
「ちょっとミオちゃん大丈夫!?」
ミオちゃんが、眼を大きく見開いて頭を抱えながら悲鳴を上げる。
もしかして、私なんかでは予想がつかない程に大きな問題が起きているのかもしれない。
二人は大丈夫だろうかと本格的に心配になるけど、今は彼女の事を優先した方が良さそう。
「……これは、えっとどう反応すればいいんですかね」
「今はミオちゃんの事を見てあげた方が……」
「それなら私が対応しますから、ダートお姉様はサリア様とご依頼の話を進めてください」
「え?依頼って、ダートさんも?……何か今日は仕事が多く来る日ですねぇ、僕ちょっと嬉しいですよ、やっとこの国でもちゃんと稼げるようになったって事ですからね!ふふんっ、これで死絶傭兵団のお財布も潤うってものです!さぁさぁ、お話ください!」
……サリアさんはそう言うと、何時の間に取り出したのか義肢の手元に見た事が無い道具を出現させる。
そして周囲の魔力が集まって来て一枚の紙へと変わると、ポケットからペンを取り出して『では、詳しい依頼内容と報酬について記載の程お願いします!』と笑顔で対応してくれるのだった。
それどころか、ダリアも帰って来ていない……これはさすがに何かおかしいんじゃないかと感じて、カエデちゃんと一緒に学園に行って近くの職員の人に聞いてみると
「レース先生ですか?……本日は学園長から昨日緊急の連絡で、急遽休校という事になったので、来ていないと思いますよ?」
という言葉が返って来た。
なら何故この人は学園にいるのだろうかと、気になって訪ねてみると……学園内の警備を任されている職員さんらしい。
それならいるのも当然だろう……けど、そんな人が見た事が無いという事はレース達は何処に行ったのか。
不安になったせいか、ちょっとだけお腹が苦しい気がする……たぶん、お腹の中の子も私の不安を感じているのかも。
「ダートお姉様……、大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないかも……何か、お腹が苦しい気がして」
「え!?それって……どうして早く教えてくれないんですか!」
「……ごめんね?だって、レースやダリアの事が心配で」
「心配なのは分かりますけど、無理だけはしないでください」
確かにカエデちゃんの言う通りだ……。
私一人の身体じゃ無いのに、無理をしてし、周囲の人に心配を掛けさせてしまうのは良くないし、それ以上にお腹の中の子に影響を与えてしまうのは良くない
「……うん、ごめんねカエデちゃん」
「とりあえず何処か休める場所に行きましょうか」
「家に戻るとサリッサさんがいるから心配かけちゃうから、他のところにちょっと行きたいからいいかな」
「いいですけど何処に行くんですか?」
「ほら、クイストの外に開拓者たちが作った集落があるでしょ?」
レースが帰って来ない事に、何だか凄い嫌な予感がする。
だから……集落を拠点にしているSランク冒険者【死絶】カーティス・ハルサー率いる【死絶傭兵団】に、彼の捜索を依頼してみようと思う。
……冒険者ギルドに頼るという方法も無い訳では無いんだけど、そんな事をしたらジラルドさんやコーちゃんが心配するだろうし、クロウさんに関してはいつかのトレーディアスの一件のような事になるかもしれないから、内緒にしておいた方がいい。
「あの死絶傭兵団の拠点があるあそこですか?」
「うん、そこで死絶傭兵団に依頼を出そうと思うの」
「依頼って、ダートお姉様……レースさんが帰って来ないだけで、傭兵団に依頼を出すのはちょっと過剰なのではないですか?」
「……そうかな」
「はい、こういうのは依頼をするなら、まずは冒険者ギルドを通しておいた方がいいと思いますよ?」
確かにカエデちゃんからしたら、過剰に感じるかもしれないし、冒険者ギルドに頼った方がいいと思うのは当然……だと思う。
でもこればっかりは、私なりの考えがあるから譲る気は無い。
「私もそう思うけど、何だか嫌な予感がして……」
「それって冒険者ギルドに頼れない程にですか?」
「うん……、ほらあっちに依頼するとジラルドさん達の耳に入るから、心配させちゃうかもしれないでしょ?だから、そんな事させたくなくて」
「なるほど……、そういう事なら彼らに頼りましょうか」
カエデちゃんが納得してくれたみたいで私を見て頷いてくれたのを見て、指先に魔力の光を灯す。
そして空間を切り裂いて、集落までの位置を繋ぐと二人で移動をする。
「──ですから!レース様達が今危険な目にあっていますの!だから助けてくださいまし!」
「助けてって言われても、彼の居場所が分からないのに探すのは難しいものがありますよ?」
そこにはミオちゃんとサリアさんがいて、何やらレースに対して話しているのが聞こえる。
危険な目にあっていると言ってるけど、いったい何が起きているのか。
最近は特に何か問題が起きたわけでも無くて、どちらかというと平穏な日常が続いていたのに……
「……ミオちゃん、レースに何があったの?」
「何があったも何も、私は途中で気を失ってしまったから良く分かりませんわ!けど……マスカレイドの研究室に転移して、それでそれで……そこで、あっあぁ!?」
「ミオラーム様!?」
「ちょっとミオちゃん大丈夫!?」
ミオちゃんが、眼を大きく見開いて頭を抱えながら悲鳴を上げる。
もしかして、私なんかでは予想がつかない程に大きな問題が起きているのかもしれない。
二人は大丈夫だろうかと本格的に心配になるけど、今は彼女の事を優先した方が良さそう。
「……これは、えっとどう反応すればいいんですかね」
「今はミオちゃんの事を見てあげた方が……」
「それなら私が対応しますから、ダートお姉様はサリア様とご依頼の話を進めてください」
「え?依頼って、ダートさんも?……何か今日は仕事が多く来る日ですねぇ、僕ちょっと嬉しいですよ、やっとこの国でもちゃんと稼げるようになったって事ですからね!ふふんっ、これで死絶傭兵団のお財布も潤うってものです!さぁさぁ、お話ください!」
……サリアさんはそう言うと、何時の間に取り出したのか義肢の手元に見た事が無い道具を出現させる。
そして周囲の魔力が集まって来て一枚の紙へと変わると、ポケットからペンを取り出して『では、詳しい依頼内容と報酬について記載の程お願いします!』と笑顔で対応してくれるのだった。
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