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第十章 魔導国学園騒動
23話 この子は凄くない
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この何とも言えない教室の雰囲気をどうするべきだろうか。
頭に血が昇り、感情のままにエスペランサに向かおうとしていた生徒も理解が追い付かないようで、動きが止まってしまっている。
そして暫くして、怒りのピークが過ぎたのか舌打ちして、自分の席に着いた辺りどうでも良くなってしまったのかもしれない。
「……それにカエデ様という名前という事は、多分響き的に栄花の方ですわよね?」
「えぇ、そうですが……エスペランサさん、今は授業中ですよ?」
「授業の時間はまだありますわ、私エスペランサ・アドリアーナ・ウィリアムの親族に、メセリーから栄花へと栄転し、なんと今は栄花騎士団にて幹部をしているウァルドリィ・ワイズ・ウイリアムがいるのですけれど、ご存じで?」
「……?勿論存じてますけど、それがどうしたんですか?」
「ちゃんと知ってるようで良かったですわ、私あなたに提案がありますのっ!将来的にレース先生を学園から私専属の教師として、屋敷に迎えさせて頂きたいと思うのですけど……その際には、お辛いと思いますがカエデ様には離縁して貰いますわ、大丈夫ダリアさんは私の大事なお友達なので一緒に着いて来て頂きますわ」
何を言ってるんだろうかこの子は、ぼくを専属の教師として連れて行くとか離縁して貰うとか。
さっきの態度とは全然違って、何だか落ち着きが無いというか彼女の行動にズレが多くて反応に困る。
「あの……」
「なんですの?まさか……出来ないとは言いませんわよね?、私は貴族であなたは平民ですのよ?優秀な血を取り込むのは貴族として当たり前の事で、義務ですわよ?」
「あの……エスペランサさん、ここは学園で、わ、わた、私達生徒だよ?」
「スパルナさん、何を仰りますの?あなたも貴族なのですから自覚を持たないといけませんわよ、貴族が学園に通うのは魔術や治癒術等を学ぶのもそうですが、優秀な能力を持つ者を見つける事も目的でしょう?」
「わ、わた……わたし、ここには生徒として、魔導具を学びに来て……だから、そういうの良くないよ」
スパルナが必死に止めようとしてくれているけど、エスペランサの勢いに押され気味だ。
こういう時にダリアは何をしているのかと思って彼女の方を見るけど……ぼくとカエデを見て、面白そうにニヤニヤと笑っている辺り、どのようにこの問題を解決するのか楽しく見守っているのだろう。
「まぁ……スパルナさん、それだと嫁ぎ遅れますわよ?」
「でも、えっと……」
「あの、二人で盛り上がってるのはいいんですけど、たかが栄花騎士団の幹部を血縁に持つだけで、どうしてそんなに偉そうに周囲に威張る事が出来るんですか?」
「あなたっ!平民の癖してその言葉使いはなんですの?それにたかが幹部の血縁といいますが、そう言うという事はカエデ様は余程自分の家系に自身がおありなのでしょうね、それならレース様の奥方という事ですし、旧名を特別に聞いて差し上げますわ」
「……分かりました」
旧名って言われてもまだ、ぼくとカエデは結婚して正式な夫婦になった訳では無いから、まだキリサキ・カエデから変わっていない。
彼女はどう動くのだろうかと思っていると、黒板へと向かうと備えつけられている杖を手に持ち先端に魔力の光を灯すと、自分の名前を栄花の文字で書いて行く。
「読めないと思うので言葉にしますが斬、裂、楓、と書いて、キリサキ・カエデと申します、家系に自身があるのかと言われましたが、あちらの国では貴族の中でも最上位の家系に生まれ、父は栄花騎士団の団長を務めており、私は次代の団長として同じく栄花騎士団にて副団長をしてます」
「え……あ?、え?レース様、それは本当なのですか?」
「うん、そうだね?カエデは栄花騎士団の副団長でぼくの二人目の奥さんだよ」
「……エスペランサさん、あなたはウィリアム教授の事を誇らしく思っているみたいですが、貴族としての立場や彼の名前を使い偉ぶるのは止めた方がいいですよ?だって凄いのは彼であって、血縁であるあなたはまだ何も出来てない子供じゃないですか、私もお父様である団長の立場を言った以上は人の事言えませんけど、以下に自分が偉いのか自慢するよりもスパルナさんが言うように、ここは学ぶべき場所であり未来の伴侶を探す場所ではないですよ」
まだ未成年で幼いエスペランサからしたら、血縁に立派な学者がいてその人が他国の素晴らしい組織に栄転したとなったら誇らしいだろう。
けど、カエデが言うようにそれは彼女が凄いのではなく、結果を出して成功したウィリアム教授が凄いとしかいない。
けど……ここまで正論をぶつけない方がいい気がするのはぼくの考えすぎだろうか。
「で、でも……私」
「それにそこまで、ウィリアム教授の名前を使い、私のように栄花騎士団の関係者が聞いたら彼の立場や、そこから家に伝わったらどうなると思いますか?教授は騎士団での信用を失い失職するリスクや、家系に関してはメセリーと栄花という二つの国の間で国際的な問題を起こした事となり、お家を取り潰されるかもしれませんよ?」
「カエデ、そろそろ止まった方がいいよ」
「でもレースさん、無責任な発言には責任を取らせないと……」
「エスペランサはまだ子供なんだから、おかしな事をしてもちゃんと見守って導いてあげなきゃダメだよ、むしろ今みたいに上から言って心を折りに行くのは良くないし、むしろ失敗したならやり直すチャンスを上げた方がいいと思うんだ」
……ぼくはそう言いながらエスペランサに近づくと、『カエデが言うのは確かに正しい所はあるけど、若い内は沢山失敗するんだから次から気を付ければいいよ、ぼくも結構やらかしては周りに怒られたり注意されて来たからさ、だから大丈夫だよ』と言いながら彼女の頭を撫でると、何故か頬を染めてぼくを見て来て、これはいったいどうしたのだろうかと心配になる。
けど……そろそろ授業を再開しないと時間が無くなってしまうから、教壇へと戻ると治癒術に関する基礎的な知識に関しての授業を再開するのだった。
頭に血が昇り、感情のままにエスペランサに向かおうとしていた生徒も理解が追い付かないようで、動きが止まってしまっている。
そして暫くして、怒りのピークが過ぎたのか舌打ちして、自分の席に着いた辺りどうでも良くなってしまったのかもしれない。
「……それにカエデ様という名前という事は、多分響き的に栄花の方ですわよね?」
「えぇ、そうですが……エスペランサさん、今は授業中ですよ?」
「授業の時間はまだありますわ、私エスペランサ・アドリアーナ・ウィリアムの親族に、メセリーから栄花へと栄転し、なんと今は栄花騎士団にて幹部をしているウァルドリィ・ワイズ・ウイリアムがいるのですけれど、ご存じで?」
「……?勿論存じてますけど、それがどうしたんですか?」
「ちゃんと知ってるようで良かったですわ、私あなたに提案がありますのっ!将来的にレース先生を学園から私専属の教師として、屋敷に迎えさせて頂きたいと思うのですけど……その際には、お辛いと思いますがカエデ様には離縁して貰いますわ、大丈夫ダリアさんは私の大事なお友達なので一緒に着いて来て頂きますわ」
何を言ってるんだろうかこの子は、ぼくを専属の教師として連れて行くとか離縁して貰うとか。
さっきの態度とは全然違って、何だか落ち着きが無いというか彼女の行動にズレが多くて反応に困る。
「あの……」
「なんですの?まさか……出来ないとは言いませんわよね?、私は貴族であなたは平民ですのよ?優秀な血を取り込むのは貴族として当たり前の事で、義務ですわよ?」
「あの……エスペランサさん、ここは学園で、わ、わた、私達生徒だよ?」
「スパルナさん、何を仰りますの?あなたも貴族なのですから自覚を持たないといけませんわよ、貴族が学園に通うのは魔術や治癒術等を学ぶのもそうですが、優秀な能力を持つ者を見つける事も目的でしょう?」
「わ、わた……わたし、ここには生徒として、魔導具を学びに来て……だから、そういうの良くないよ」
スパルナが必死に止めようとしてくれているけど、エスペランサの勢いに押され気味だ。
こういう時にダリアは何をしているのかと思って彼女の方を見るけど……ぼくとカエデを見て、面白そうにニヤニヤと笑っている辺り、どのようにこの問題を解決するのか楽しく見守っているのだろう。
「まぁ……スパルナさん、それだと嫁ぎ遅れますわよ?」
「でも、えっと……」
「あの、二人で盛り上がってるのはいいんですけど、たかが栄花騎士団の幹部を血縁に持つだけで、どうしてそんなに偉そうに周囲に威張る事が出来るんですか?」
「あなたっ!平民の癖してその言葉使いはなんですの?それにたかが幹部の血縁といいますが、そう言うという事はカエデ様は余程自分の家系に自身がおありなのでしょうね、それならレース様の奥方という事ですし、旧名を特別に聞いて差し上げますわ」
「……分かりました」
旧名って言われてもまだ、ぼくとカエデは結婚して正式な夫婦になった訳では無いから、まだキリサキ・カエデから変わっていない。
彼女はどう動くのだろうかと思っていると、黒板へと向かうと備えつけられている杖を手に持ち先端に魔力の光を灯すと、自分の名前を栄花の文字で書いて行く。
「読めないと思うので言葉にしますが斬、裂、楓、と書いて、キリサキ・カエデと申します、家系に自身があるのかと言われましたが、あちらの国では貴族の中でも最上位の家系に生まれ、父は栄花騎士団の団長を務めており、私は次代の団長として同じく栄花騎士団にて副団長をしてます」
「え……あ?、え?レース様、それは本当なのですか?」
「うん、そうだね?カエデは栄花騎士団の副団長でぼくの二人目の奥さんだよ」
「……エスペランサさん、あなたはウィリアム教授の事を誇らしく思っているみたいですが、貴族としての立場や彼の名前を使い偉ぶるのは止めた方がいいですよ?だって凄いのは彼であって、血縁であるあなたはまだ何も出来てない子供じゃないですか、私もお父様である団長の立場を言った以上は人の事言えませんけど、以下に自分が偉いのか自慢するよりもスパルナさんが言うように、ここは学ぶべき場所であり未来の伴侶を探す場所ではないですよ」
まだ未成年で幼いエスペランサからしたら、血縁に立派な学者がいてその人が他国の素晴らしい組織に栄転したとなったら誇らしいだろう。
けど、カエデが言うようにそれは彼女が凄いのではなく、結果を出して成功したウィリアム教授が凄いとしかいない。
けど……ここまで正論をぶつけない方がいい気がするのはぼくの考えすぎだろうか。
「で、でも……私」
「それにそこまで、ウィリアム教授の名前を使い、私のように栄花騎士団の関係者が聞いたら彼の立場や、そこから家に伝わったらどうなると思いますか?教授は騎士団での信用を失い失職するリスクや、家系に関してはメセリーと栄花という二つの国の間で国際的な問題を起こした事となり、お家を取り潰されるかもしれませんよ?」
「カエデ、そろそろ止まった方がいいよ」
「でもレースさん、無責任な発言には責任を取らせないと……」
「エスペランサはまだ子供なんだから、おかしな事をしてもちゃんと見守って導いてあげなきゃダメだよ、むしろ今みたいに上から言って心を折りに行くのは良くないし、むしろ失敗したならやり直すチャンスを上げた方がいいと思うんだ」
……ぼくはそう言いながらエスペランサに近づくと、『カエデが言うのは確かに正しい所はあるけど、若い内は沢山失敗するんだから次から気を付ければいいよ、ぼくも結構やらかしては周りに怒られたり注意されて来たからさ、だから大丈夫だよ』と言いながら彼女の頭を撫でると、何故か頬を染めてぼくを見て来て、これはいったいどうしたのだろうかと心配になる。
けど……そろそろ授業を再開しないと時間が無くなってしまうから、教壇へと戻ると治癒術に関する基礎的な知識に関しての授業を再開するのだった。
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