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第九章 戦いの中で……
66話 悪星と炎精 ダート視点
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自身の下半身を受け取ったマリステラが、そこから器用に半分になった修道服を剥ぎ取ると脚を通して腰のあたりで押さえながら……
「ちょっと……誰かベルトか紐持ってない?このままだと落ちてまた半裸の変態にあーしがなっちゃうんだけど?」
「すまぬなそこの、えっと……茶色い髪の娘、何か結ぶ物はあったら貸してくれんか?」
「え?……あ、はい、とりあえず服を治すのに作るのに使う布で良ければ……」
「それで構わんよ、感謝するぞ?」
ガイストが布を受け取ると慣れた手つきで、修道服に穴を開けて布を通して行くと後ろでリボンのように結んで落ちないように固定する。
「ガイストさん、結構慣れてるんですね」
「……昔、着る物にすら困る時があった時に覚えてのぅ、それ以降自分の手で服を作ったりとかが趣味になってしまったんじゃよ」
「ねー、凄いでしょ?ガイストちゃんって、料理がおいしくない以外は良いお嫁さんになると思わない?」
「……あぁ、こやつの事は気にせんで良い、まともに相手をしていたら話にならんからな」
そう言うと、空いている椅子にガイストが腰をかけて何かを催促するような仕草をする。
えっと……もしかして何かして欲しいの?
「……なんじゃおぬし、義姉が尋ねて来たというのにお茶の一つも出さんのか?」
「え?あ……」
「ダート義姉様は今お腹の中に子供がいるので、安静にしておかなければいけないんです」
「なに?それは本当か……?それなら我の気遣いが足りんかったな、知っておれば祝いの品でも持って来たというのに、で?そこの茶色い髪のはレースとはどういう関係じゃ?……まさかとは思うが第二婦人とは言うまいな」
「……婚儀はまだですが、婚約させて頂いている栄花のキリサキ・カエデと申します」
カエデちゃんがお茶を淹れながら自己紹介をすると二人に手渡して行く。
そして驚いたような顔をしたガイストが私達の方を見ながら……
「キリサキじゃと!?つまりおぬしは栄花騎士団の関係者か、まさかこんなところで会う事になるとはのぅ」
「えぇ、なので私も将来的にあなたの義妹になりますね」
「そうかぁ……我にこんな可愛らしい妹が二人も増えるとはのぅ、ミュラッカやルミィは美しい妹じゃが、可愛いと美しいが合わさり最強じゃな!」
そう言って一人大きな声で笑いだすガイストさんを見ると、ヴォルフガングお義父様を殺した人と同一人物だとは思えなくて困惑してしまう。
あの時と全然印象が違くて、別人のような気がして……
「ガイストさん……、もしかして何か印象変わった?」
「ん?あー、それはねぇ、あーしのおかげなんだよねぇ」
「……え?」
「シャルネお母さんの魔力特性【精神汚染】の効果で、復讐に囚われちゃってたんだよねぇ、だからぁさあーしの力で何とかしてあげちゃったらこんな感じでぇ、大人しくなった感じかなぁ」
シャルネお母さん?……シャルネって、Sランク冒険者【天魔】シャルネ・ヘイルーンの事?それとも名前がたまたま同じなだけ?
「それってもしかして……」
「うん、シャルネ・ヘイルーンはあーしのママだよ?パパは、キリサキ・ゼンでー、カエデちゃんとは親戚みたいな感じー?」
「え?……あ、え?あの、それってどういう……」
「だよねー、そういう反応するよねー、まぁ詳しい話はカエデちゃんのぉ……お父様に聞いてみたら分かるんじゃないかなぁ、だってさぁあの国にはあの古の大戦で唯一の勝者【豊穣神】プリムラスグロリアがまだいるし、あなたの家系はあれと深い関わりがあるんだからぁ、聞けば教えてくれるんじゃないかなぁって……ふふ、聞くの怖い?真実を知るのが嫌?それならあーしが今すぐ教えてあげよ……いたっ!」
「……よさんか馬鹿者が!我の義妹を虐めるのは幾らおぬしに縁があると言えど容赦はせぬぞ!」
ガイストの背後に炎が燃え上がったかと思うと、そこから炎を纏ったトカゲが現れる。
その子が下を出しながら小さな火を出すと、マリステラの服にそのまま近づいて……
「ちょ!まって!まってって!あーしが悪かったから修道服を燃やさないで!」
「なら大人しく本題を言うのじゃな……、その為に我をここまで連れて来たのじゃろ?」
「……あんたを連れて来たのはレース君との約束だからよ、まったくもう、ほんとあんたってさいてーね、あーしをなんだと思ってるわけ?」
「人の形をした化け物じゃろ?」
「……こんな奴助けるんじゃ無かったわー、んじゃ本題に入るんだけどぉ、これを見て欲しいんだよねぇ」
……マリステラがそういうと空中に半透明の板のような物が現れ、レース達の姿が映し出される。
マスカレイドと対峙しているようで、何やら話をしているみたいだけど彼が持っている大筒に光が集まったかと思うと凄まじい閃光と共に首都が激しく揺れ、思わず椅子から転げ落ちそうになるけど、カエデちゃんが咄嗟に身体を支えてくれたおかげで助かった。
そして映像が消えたかと思うと……『このままだとレースくんさぁ、マスカレイドに殺されちゃうと思うんだけど……良かったら取引しない?私ね?分け合ってこの国から出れないんだけどぉ、条件を満たせば分体だけでも自由になれるの、だからぁあーしのお願いを聞いてくれた助けてあげるよ?』と椅子から立ち上がり、不気味な笑みを浮かべながら近づいてくるのだった。
「ちょっと……誰かベルトか紐持ってない?このままだと落ちてまた半裸の変態にあーしがなっちゃうんだけど?」
「すまぬなそこの、えっと……茶色い髪の娘、何か結ぶ物はあったら貸してくれんか?」
「え?……あ、はい、とりあえず服を治すのに作るのに使う布で良ければ……」
「それで構わんよ、感謝するぞ?」
ガイストが布を受け取ると慣れた手つきで、修道服に穴を開けて布を通して行くと後ろでリボンのように結んで落ちないように固定する。
「ガイストさん、結構慣れてるんですね」
「……昔、着る物にすら困る時があった時に覚えてのぅ、それ以降自分の手で服を作ったりとかが趣味になってしまったんじゃよ」
「ねー、凄いでしょ?ガイストちゃんって、料理がおいしくない以外は良いお嫁さんになると思わない?」
「……あぁ、こやつの事は気にせんで良い、まともに相手をしていたら話にならんからな」
そう言うと、空いている椅子にガイストが腰をかけて何かを催促するような仕草をする。
えっと……もしかして何かして欲しいの?
「……なんじゃおぬし、義姉が尋ねて来たというのにお茶の一つも出さんのか?」
「え?あ……」
「ダート義姉様は今お腹の中に子供がいるので、安静にしておかなければいけないんです」
「なに?それは本当か……?それなら我の気遣いが足りんかったな、知っておれば祝いの品でも持って来たというのに、で?そこの茶色い髪のはレースとはどういう関係じゃ?……まさかとは思うが第二婦人とは言うまいな」
「……婚儀はまだですが、婚約させて頂いている栄花のキリサキ・カエデと申します」
カエデちゃんがお茶を淹れながら自己紹介をすると二人に手渡して行く。
そして驚いたような顔をしたガイストが私達の方を見ながら……
「キリサキじゃと!?つまりおぬしは栄花騎士団の関係者か、まさかこんなところで会う事になるとはのぅ」
「えぇ、なので私も将来的にあなたの義妹になりますね」
「そうかぁ……我にこんな可愛らしい妹が二人も増えるとはのぅ、ミュラッカやルミィは美しい妹じゃが、可愛いと美しいが合わさり最強じゃな!」
そう言って一人大きな声で笑いだすガイストさんを見ると、ヴォルフガングお義父様を殺した人と同一人物だとは思えなくて困惑してしまう。
あの時と全然印象が違くて、別人のような気がして……
「ガイストさん……、もしかして何か印象変わった?」
「ん?あー、それはねぇ、あーしのおかげなんだよねぇ」
「……え?」
「シャルネお母さんの魔力特性【精神汚染】の効果で、復讐に囚われちゃってたんだよねぇ、だからぁさあーしの力で何とかしてあげちゃったらこんな感じでぇ、大人しくなった感じかなぁ」
シャルネお母さん?……シャルネって、Sランク冒険者【天魔】シャルネ・ヘイルーンの事?それとも名前がたまたま同じなだけ?
「それってもしかして……」
「うん、シャルネ・ヘイルーンはあーしのママだよ?パパは、キリサキ・ゼンでー、カエデちゃんとは親戚みたいな感じー?」
「え?……あ、え?あの、それってどういう……」
「だよねー、そういう反応するよねー、まぁ詳しい話はカエデちゃんのぉ……お父様に聞いてみたら分かるんじゃないかなぁ、だってさぁあの国にはあの古の大戦で唯一の勝者【豊穣神】プリムラスグロリアがまだいるし、あなたの家系はあれと深い関わりがあるんだからぁ、聞けば教えてくれるんじゃないかなぁって……ふふ、聞くの怖い?真実を知るのが嫌?それならあーしが今すぐ教えてあげよ……いたっ!」
「……よさんか馬鹿者が!我の義妹を虐めるのは幾らおぬしに縁があると言えど容赦はせぬぞ!」
ガイストの背後に炎が燃え上がったかと思うと、そこから炎を纏ったトカゲが現れる。
その子が下を出しながら小さな火を出すと、マリステラの服にそのまま近づいて……
「ちょ!まって!まってって!あーしが悪かったから修道服を燃やさないで!」
「なら大人しく本題を言うのじゃな……、その為に我をここまで連れて来たのじゃろ?」
「……あんたを連れて来たのはレース君との約束だからよ、まったくもう、ほんとあんたってさいてーね、あーしをなんだと思ってるわけ?」
「人の形をした化け物じゃろ?」
「……こんな奴助けるんじゃ無かったわー、んじゃ本題に入るんだけどぉ、これを見て欲しいんだよねぇ」
……マリステラがそういうと空中に半透明の板のような物が現れ、レース達の姿が映し出される。
マスカレイドと対峙しているようで、何やら話をしているみたいだけど彼が持っている大筒に光が集まったかと思うと凄まじい閃光と共に首都が激しく揺れ、思わず椅子から転げ落ちそうになるけど、カエデちゃんが咄嗟に身体を支えてくれたおかげで助かった。
そして映像が消えたかと思うと……『このままだとレースくんさぁ、マスカレイドに殺されちゃうと思うんだけど……良かったら取引しない?私ね?分け合ってこの国から出れないんだけどぉ、条件を満たせば分体だけでも自由になれるの、だからぁあーしのお願いを聞いてくれた助けてあげるよ?』と椅子から立ち上がり、不気味な笑みを浮かべながら近づいてくるのだった。
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