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第九章 戦いの中で……
33話 嘘付き針千本
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カエデを守るにはどうしたらいいか。
栄花騎士団の最高幹部の人達はソラさんを除いて着いて来てくれるだろうけど、幾ら強くても団長と幹部の人達……そして一般団員が敵に回った場合、数の暴力の前では無力だ。
特に……教授が作る魔導具とか、Bランク昇格試験の時に戦って思ったけど、ぼくの怪力を使った一撃を防ぐ当たり、あれを量産されていた場合勝ち目は無いだろう。
ならどうすればいいのか、ぼくなりに考えては見るけど……現状は敵対しない事を選んだ方が利口だという認識にしかならない。
『レース君、今俺が聞いた事は聞かなかった事にしておくから安心して欲しい、彼女は栄花騎士団の最高幹部達にとって必要な人だからね……これを団長に話しはしないよ』
耳元でライさんの言葉が聞こえる。
取り合えず、彼が聞かなかった事にしてくれるなら現状は問題無いだろう。
『それにだ……、亜神となった薬王ショウソクを味方につける事が出来ている現状は、戦力的にも大変好ましいと言えるね、Sランク冒険者【滅尽】焔の炎姫と同じくSランクに匹敵すると思われる戦力【紅獅子】ケイスニル・レイフ及び【死人使い】ルード・フェレス、この異常な戦力の内滅尽はアキラが相手してくれるが……後者の二名のどちらかを薬王ショウソクが相手してくれるとなった場合、勝機は十分にある筈だよ』
アキラさんは説明を忘れたのだろうか、ケイスニルがライさんの中ではまだ生きている事になっているらしい。
彼はマスカレイドとの戦いで亡くなったし死体は解体されて、魔導具の素材になってしまった。
……更にはマスカレイドがこっちに向かっているという事実を何故、ちゃんと伝えてないのだろうか。
「えっと……レースさん?どうしたのですか?」
「あぁ、ちょっと心配にな事が出来てさ……、カエデはアキラさんから何か聞いてる?」
「アキラさんからですか……?いえ、特には聞いてな、あぁ……あの人またですか」
「……また?」
「ほら、アキラさんって話してる時に物事を伝えたつもりになってたりする悪い癖があるじゃないですか、多分……それで言い忘れてたんだと思いますよ?、えっとレースさん、試しにアキラさんが伝える筈だった内容を話してくれませんか?」
……そんな馬鹿な事がって一瞬思ったけど、確かにアキラさんは結構そういう所があるから否定が出来なくなってしまう。
けどぼくといる時はなるべくそんな事が無いように、気を使って話してくれていた筈なんだけど……仲間の前では直ってなかったようだ。
取り合えずマリステラとの間にあった事を簡潔に説明してみると……
『……彼は昔からいつも大事な事を伝え忘れるな、レース君がいて助かったよ』
「これは予想以上に最悪な事になりそうですね……、ケイスニルが死んで変わりに第三勢力として【黎明】マスカレイドがこの国に向かっている、さすがにこれは私もどうなるか想像が出来ません」
「……第三勢力?」
「えぇ、ケイスニルが裏切ったとマスカレイドが思っているという事は、ルードに関しても同じ考えに至っている筈です、なのでこの場合戦闘の最中にマスカレイドが乱入して来た場合三つ巴の戦いになってもおかしくはないですね」
つまりルードと戦ってる最中にあのハイエンドモデルとマスカレイドが乱入してくる。
ケイスニルを楽に倒せる人型の魔導具だから間違いなくぼくよりも強いだろうし、そんな状況になったらカエデの言うように最悪としか言えない。
「これはダートお姉様だけでも一度メセリーに帰した方がいいかもしれませんね」
「……多分だけど、家に帰すよりもここの方が安全だと思うよ?」
「それはどうしてですか?」
「シャルネに襲撃された場合、無防備なダートを一人にするのは余りにも危ないと思う」
「……それは確かにそうですけど、戦場に残す方が今は危険だと思いますよ?あっちにはジラルドさんやクロウさん、それにSランク冒険者【叡智】カルディア様に彼女の弟子でもある【魔王】ソフィア・メセリー様もいます……それに栄花騎士団最高幹部のアンさんとヒジリさんも、正直過剰とも言える戦力が揃ってますから……いくら【天魔】シャルネ・ヘイルーンと言えど手は出せないと思いますよ?」
確かに戦力としては申し分ないと思うけど、ダートの精神状況を考えると今は側にいた方がいい筈だ。
それに本人も帰るのを嫌がるだろうし……仮に無理矢理にでも帰そう物なら無理をしてでも戻ってこようとする気がする。
そんな状況になるかもしれないと分かっていて、戻すのは良くないだろう。
「それでもぼくはダートをここに残した方が安全だと思う」
「……そこまで言うなら分かりました、なら私とランちゃんでダートお姉様の事を何としてでも守り抜くので、レースさんも無事に戻って来てくださいね?」
「大丈夫、多少の怪我はするだろうけど……左腕を失った時みたいなことは絶対にしないから」
「……約束ですよ?嘘ついたら針を千本でも万本でも飲ませますからね?」
「……針?」
……どうして嘘をついたら針を飲むのだろう。
疑問に思っていると、壁がゆっくりと人の形に盛り上がっていく。
そして……それが見覚えのある人物、ショウソクへと変わると『……俺の準備は出来た、後は戦いが始まるまでの間、自由な時間をこの部屋で過ごせ』と言葉にするのだった。
栄花騎士団の最高幹部の人達はソラさんを除いて着いて来てくれるだろうけど、幾ら強くても団長と幹部の人達……そして一般団員が敵に回った場合、数の暴力の前では無力だ。
特に……教授が作る魔導具とか、Bランク昇格試験の時に戦って思ったけど、ぼくの怪力を使った一撃を防ぐ当たり、あれを量産されていた場合勝ち目は無いだろう。
ならどうすればいいのか、ぼくなりに考えては見るけど……現状は敵対しない事を選んだ方が利口だという認識にしかならない。
『レース君、今俺が聞いた事は聞かなかった事にしておくから安心して欲しい、彼女は栄花騎士団の最高幹部達にとって必要な人だからね……これを団長に話しはしないよ』
耳元でライさんの言葉が聞こえる。
取り合えず、彼が聞かなかった事にしてくれるなら現状は問題無いだろう。
『それにだ……、亜神となった薬王ショウソクを味方につける事が出来ている現状は、戦力的にも大変好ましいと言えるね、Sランク冒険者【滅尽】焔の炎姫と同じくSランクに匹敵すると思われる戦力【紅獅子】ケイスニル・レイフ及び【死人使い】ルード・フェレス、この異常な戦力の内滅尽はアキラが相手してくれるが……後者の二名のどちらかを薬王ショウソクが相手してくれるとなった場合、勝機は十分にある筈だよ』
アキラさんは説明を忘れたのだろうか、ケイスニルがライさんの中ではまだ生きている事になっているらしい。
彼はマスカレイドとの戦いで亡くなったし死体は解体されて、魔導具の素材になってしまった。
……更にはマスカレイドがこっちに向かっているという事実を何故、ちゃんと伝えてないのだろうか。
「えっと……レースさん?どうしたのですか?」
「あぁ、ちょっと心配にな事が出来てさ……、カエデはアキラさんから何か聞いてる?」
「アキラさんからですか……?いえ、特には聞いてな、あぁ……あの人またですか」
「……また?」
「ほら、アキラさんって話してる時に物事を伝えたつもりになってたりする悪い癖があるじゃないですか、多分……それで言い忘れてたんだと思いますよ?、えっとレースさん、試しにアキラさんが伝える筈だった内容を話してくれませんか?」
……そんな馬鹿な事がって一瞬思ったけど、確かにアキラさんは結構そういう所があるから否定が出来なくなってしまう。
けどぼくといる時はなるべくそんな事が無いように、気を使って話してくれていた筈なんだけど……仲間の前では直ってなかったようだ。
取り合えずマリステラとの間にあった事を簡潔に説明してみると……
『……彼は昔からいつも大事な事を伝え忘れるな、レース君がいて助かったよ』
「これは予想以上に最悪な事になりそうですね……、ケイスニルが死んで変わりに第三勢力として【黎明】マスカレイドがこの国に向かっている、さすがにこれは私もどうなるか想像が出来ません」
「……第三勢力?」
「えぇ、ケイスニルが裏切ったとマスカレイドが思っているという事は、ルードに関しても同じ考えに至っている筈です、なのでこの場合戦闘の最中にマスカレイドが乱入して来た場合三つ巴の戦いになってもおかしくはないですね」
つまりルードと戦ってる最中にあのハイエンドモデルとマスカレイドが乱入してくる。
ケイスニルを楽に倒せる人型の魔導具だから間違いなくぼくよりも強いだろうし、そんな状況になったらカエデの言うように最悪としか言えない。
「これはダートお姉様だけでも一度メセリーに帰した方がいいかもしれませんね」
「……多分だけど、家に帰すよりもここの方が安全だと思うよ?」
「それはどうしてですか?」
「シャルネに襲撃された場合、無防備なダートを一人にするのは余りにも危ないと思う」
「……それは確かにそうですけど、戦場に残す方が今は危険だと思いますよ?あっちにはジラルドさんやクロウさん、それにSランク冒険者【叡智】カルディア様に彼女の弟子でもある【魔王】ソフィア・メセリー様もいます……それに栄花騎士団最高幹部のアンさんとヒジリさんも、正直過剰とも言える戦力が揃ってますから……いくら【天魔】シャルネ・ヘイルーンと言えど手は出せないと思いますよ?」
確かに戦力としては申し分ないと思うけど、ダートの精神状況を考えると今は側にいた方がいい筈だ。
それに本人も帰るのを嫌がるだろうし……仮に無理矢理にでも帰そう物なら無理をしてでも戻ってこようとする気がする。
そんな状況になるかもしれないと分かっていて、戻すのは良くないだろう。
「それでもぼくはダートをここに残した方が安全だと思う」
「……そこまで言うなら分かりました、なら私とランちゃんでダートお姉様の事を何としてでも守り抜くので、レースさんも無事に戻って来てくださいね?」
「大丈夫、多少の怪我はするだろうけど……左腕を失った時みたいなことは絶対にしないから」
「……約束ですよ?嘘ついたら針を千本でも万本でも飲ませますからね?」
「……針?」
……どうして嘘をついたら針を飲むのだろう。
疑問に思っていると、壁がゆっくりと人の形に盛り上がっていく。
そして……それが見覚えのある人物、ショウソクへと変わると『……俺の準備は出来た、後は戦いが始まるまでの間、自由な時間をこの部屋で過ごせ』と言葉にするのだった。
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