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第八章 戦いの先にある未来
9話 精霊術とメイディについて
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取り合えずいつまでも冒険者ギルドの会議室を占領しているのは良くないから家に帰って全員で部屋にいるけど、協力要請の事を聞いた時のカエデはどうやらその事を知らなかったみたいで驚いた顔をしていた。
本来なら団長と副団長に事前に話が来るらしいのだけれど……
「……カエデちゃんに情報が入ってなかったっておかしいよね」
「だよなぁ、そもそもウィリアムだっけ?あいつが伝えに来るのがおかしいんだよ」
「確かにそうですけど……もしかしたら情報が回って来て来なかっただけかもしれないので、お父さ……いえ団長に連絡してみます」
「え、あぁ……うん」
カエデは通信端末を取り出して団長に連絡をし始めるけど、何やら戸惑った顔をしている。
暫くすると通話が終わったようで端末をしまうが……
「……カエデちゃんどうしたの?」
「あ、いえ、そのどうやら婚約をした大事な時期だから情報を入れないようにしていたそうで……、暫くは栄花騎士団の副団長の仕事は休んでもいいと言われました」
「あぁ、カエデの親父が気を使ってたって事か」
「気遣いは分かるのですけど嬉しくないです、私は栄花騎士団の副団長としてしっかりと働きたいのに……」
こういう時どういう声を掛ければいいのだろうか。
正直カエデとは付き合いが長いけど、今迄は治癒術の教える弟子みたいに思ってた所があるから婚約をして親しい間柄にはなったけど、どう接すればいいのか分からない所がある。
「あー、えっとでもさ、協力要請の方にカエデは一緒に行くんだし大丈夫じゃないかな、ほら何て言えばいいか分からないけど、そうすれば栄花騎士団の仕事で出来ると思う」
「そ、そうですよねありがとうございます」
「へぇ、不器用ながらにも寄り添えてんじゃん、少しだけ父さんの事見直したぜ?」
「少しって……、まぁいいけど」
確かに不器用だけどちゃんと寄り添えてるのならそれで良いと思う。
それにぼくに言える事はこれ位しかないけどカエデが安心してくれたのならそれでいい。
「とりあえずメイディに行く事になるわけだけど……、カエデはどういう国か知ってたりする?」
「どう言う国と言われても、以前団長に連れられて行った時は国の殆んどが森に覆われていて、空気が綺麗な所ですね……、後は知識としてですが国民の殆んどがエルフ族と獣人族で人族は少数しかいません、後は精霊と呼ばれる魔力で肉体が作られた独自の言語を話す生物がいます、この生物と契約して精霊術と呼ばれる独自の術が発展していて、そうですねストラフィリアで【炎精】ガイストが使っていた炎の魔術がそれです」
「あぁ、そういえばあいつが精霊について俺とルミィに説明してたっけか……、確か紅焔だっけか、でもさあいつら魔法生物って、基本的に物質としての肉体を持たない代わり不安定な生物で自然の魔力が無ければ身体を維持する事が出来ずに崩壊してしまうんだろ?」
「えぇ、自身の魔力を分け与える事で身体の維持を助け変わりに協力な術を使って貰うとかなんとか……、ただこの精霊術を扱う術師、メイディでは精霊術師と呼ばれてますが彼等の戦闘力は契約した精霊との相性で変わるらしいので、ガイストのように強力な術者はいないそうですよ?」
「……精霊との相性?」
精霊との相性で強さが変わるという事は、もしかして自分との相性が良くない精霊と契約した場合弱くなるということだろうか……。
精霊術に関しては詳しくないから良く分からないけどぼくの一族が使う魔術は雪だから、そういう意味ではガイストの使っていた炎の精霊とは相性が悪い気がする。
「はい、例えば水属性の人が火属性の精霊と契約した場合お互いの魔力の相性が悪いせいで、力を発揮する事が出来ませんし、それ以外にも好戦的な性格の人が温厚で生物を傷付ける事を嫌う性格の精霊と契約しても言う事を聞いてくれないと、栄花騎士団の資料室で調べた事があります」
「それならガイストは契約している精霊と相性が悪いと思うんだけど……、ほらストラフィリアの王族って雪の魔術を使うから」
「もしかしたら雪の魔術では無いのかもしれませんよ?、レースさんの実兄である【福音】ゴスペル様は剣の魔術を使いますし必ずしも属性が遺伝するわけではありませんし、それにゴスペル様とガイストの母親の持っている属性が火属性だったのかもしれませんよ?」
「あぁ、それなら納得できるかもなぁ、ガイストの奴自分の精霊は師匠であるSランク冒険者【滅尽】焔の炎姫から分けて貰った神霊だって言ってたしなぁ、何でも精霊が一定の魔力を蓄えた後に進化する事が出来るとかで、自然を意のままに操る事が出来るとか言ってたぜ?、後気になったんだけどさ……あいつは精霊を力でねじ伏せて言う事を聞かせれば誰でも契約できるって言ってたぞ?」
「ガイストの師匠が焔の炎姫様……それは本当ですか?、もしそうでしたらマスカレイドと協力関係にある可能性があるので気を付けた方がいいかもしれません……、それに神霊という言葉も初めて聞きましたし、力でねじ伏せる方法がある事も初耳です」
……カエデが深刻な顔をして黙ってしまう。
もしかしてだけどアキラさんとその仲間の人達の任務はぼく達が思っている以上に危険なのかもしれない。
ダートやダリアも心配そうにカエデを見ているけど、暫くして『皆さん、もしかしたらこの協力要請で合流する事になる任務はSランク冒険者と戦う事になる可能性があります、それにアキラさん達はこの事を知らない可能性があるので明日にでも直ぐ現地へと行き合流しましょう』と真剣な顔でそう口にするのだった。
本来なら団長と副団長に事前に話が来るらしいのだけれど……
「……カエデちゃんに情報が入ってなかったっておかしいよね」
「だよなぁ、そもそもウィリアムだっけ?あいつが伝えに来るのがおかしいんだよ」
「確かにそうですけど……もしかしたら情報が回って来て来なかっただけかもしれないので、お父さ……いえ団長に連絡してみます」
「え、あぁ……うん」
カエデは通信端末を取り出して団長に連絡をし始めるけど、何やら戸惑った顔をしている。
暫くすると通話が終わったようで端末をしまうが……
「……カエデちゃんどうしたの?」
「あ、いえ、そのどうやら婚約をした大事な時期だから情報を入れないようにしていたそうで……、暫くは栄花騎士団の副団長の仕事は休んでもいいと言われました」
「あぁ、カエデの親父が気を使ってたって事か」
「気遣いは分かるのですけど嬉しくないです、私は栄花騎士団の副団長としてしっかりと働きたいのに……」
こういう時どういう声を掛ければいいのだろうか。
正直カエデとは付き合いが長いけど、今迄は治癒術の教える弟子みたいに思ってた所があるから婚約をして親しい間柄にはなったけど、どう接すればいいのか分からない所がある。
「あー、えっとでもさ、協力要請の方にカエデは一緒に行くんだし大丈夫じゃないかな、ほら何て言えばいいか分からないけど、そうすれば栄花騎士団の仕事で出来ると思う」
「そ、そうですよねありがとうございます」
「へぇ、不器用ながらにも寄り添えてんじゃん、少しだけ父さんの事見直したぜ?」
「少しって……、まぁいいけど」
確かに不器用だけどちゃんと寄り添えてるのならそれで良いと思う。
それにぼくに言える事はこれ位しかないけどカエデが安心してくれたのならそれでいい。
「とりあえずメイディに行く事になるわけだけど……、カエデはどういう国か知ってたりする?」
「どう言う国と言われても、以前団長に連れられて行った時は国の殆んどが森に覆われていて、空気が綺麗な所ですね……、後は知識としてですが国民の殆んどがエルフ族と獣人族で人族は少数しかいません、後は精霊と呼ばれる魔力で肉体が作られた独自の言語を話す生物がいます、この生物と契約して精霊術と呼ばれる独自の術が発展していて、そうですねストラフィリアで【炎精】ガイストが使っていた炎の魔術がそれです」
「あぁ、そういえばあいつが精霊について俺とルミィに説明してたっけか……、確か紅焔だっけか、でもさあいつら魔法生物って、基本的に物質としての肉体を持たない代わり不安定な生物で自然の魔力が無ければ身体を維持する事が出来ずに崩壊してしまうんだろ?」
「えぇ、自身の魔力を分け与える事で身体の維持を助け変わりに協力な術を使って貰うとかなんとか……、ただこの精霊術を扱う術師、メイディでは精霊術師と呼ばれてますが彼等の戦闘力は契約した精霊との相性で変わるらしいので、ガイストのように強力な術者はいないそうですよ?」
「……精霊との相性?」
精霊との相性で強さが変わるという事は、もしかして自分との相性が良くない精霊と契約した場合弱くなるということだろうか……。
精霊術に関しては詳しくないから良く分からないけどぼくの一族が使う魔術は雪だから、そういう意味ではガイストの使っていた炎の精霊とは相性が悪い気がする。
「はい、例えば水属性の人が火属性の精霊と契約した場合お互いの魔力の相性が悪いせいで、力を発揮する事が出来ませんし、それ以外にも好戦的な性格の人が温厚で生物を傷付ける事を嫌う性格の精霊と契約しても言う事を聞いてくれないと、栄花騎士団の資料室で調べた事があります」
「それならガイストは契約している精霊と相性が悪いと思うんだけど……、ほらストラフィリアの王族って雪の魔術を使うから」
「もしかしたら雪の魔術では無いのかもしれませんよ?、レースさんの実兄である【福音】ゴスペル様は剣の魔術を使いますし必ずしも属性が遺伝するわけではありませんし、それにゴスペル様とガイストの母親の持っている属性が火属性だったのかもしれませんよ?」
「あぁ、それなら納得できるかもなぁ、ガイストの奴自分の精霊は師匠であるSランク冒険者【滅尽】焔の炎姫から分けて貰った神霊だって言ってたしなぁ、何でも精霊が一定の魔力を蓄えた後に進化する事が出来るとかで、自然を意のままに操る事が出来るとか言ってたぜ?、後気になったんだけどさ……あいつは精霊を力でねじ伏せて言う事を聞かせれば誰でも契約できるって言ってたぞ?」
「ガイストの師匠が焔の炎姫様……それは本当ですか?、もしそうでしたらマスカレイドと協力関係にある可能性があるので気を付けた方がいいかもしれません……、それに神霊という言葉も初めて聞きましたし、力でねじ伏せる方法がある事も初耳です」
……カエデが深刻な顔をして黙ってしまう。
もしかしてだけどアキラさんとその仲間の人達の任務はぼく達が思っている以上に危険なのかもしれない。
ダートやダリアも心配そうにカエデを見ているけど、暫くして『皆さん、もしかしたらこの協力要請で合流する事になる任務はSランク冒険者と戦う事になる可能性があります、それにアキラさん達はこの事を知らない可能性があるので明日にでも直ぐ現地へと行き合流しましょう』と真剣な顔でそう口にするのだった。
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