283 / 585
第七章 変わりすぎた日常
31話 朝食と侍女のお仕事
しおりを挟む
朝になって直ぐの事、ダリアが勢いよくぼく達の部屋のドアを開けると……
「ミュラッカはともかく、お前等も夜にうるさくなるのいい加減にしろっ!まともに寝れねぇじゃねぇかっ!」
と叩き起こされ、驚いて起きたぼく達は急いで着替えて部屋を出ると……キッチンの方から何やら美味しそうな匂いがする。
いったい何かと思いながらリビングへと入ると、頭を深く下げて頭を下げているサリッサの姿と美味しそうな朝食がテーブルの上に沢山並んでいた。
ストラフィリアの料理のように身体の芯から温まる様に作られた物ではなく、メセリーで良くある片手で持って食べやすい食事だ。
パンの間に肉や野菜を挟まれたそれは、魔術や治癒術を研究して新たな術を作り出す者達が好む物で、ぼくもダートに止められるまでは食べながら参考書を読んで徹夜しながら研究に励んでいたくらいに作りやすいし、そして何よりも食べやすい。
「レース様、ダート様おはようございます」
「サリッサ……?、この料理はどうしたの?」
「これですか?これからお世話になるのですから侍女の私が作るのは当然です、主人の身の回りの世話をするのも仕事の一つなので」
「ありがとう……、でも家事は今迄ぼくとダートが交代しながらやってたから毎日やらなくても大丈夫だよ?」
「……っ!?、そんな訳には行きませんっ!先程も申しましたが侍女は主人の身の回りの世話をし、時には手足となり雑用を行なうのが私の役目であり存在意義、私の仕事を取らないでくださいませっ!」
サリッサが真剣な顔をしてこっちを見る。
……これはぼくの方が折れないと、彼女のプライドを傷付けてしまうだろう。
「ならこれから身の回りの事をお願いするよ」
「はいっ!ありがとうございますっ!」
何ていうか本当に嬉しそうだ……、でもサリッサに身の回りの事を全て任せてしまうといつか自分では何も出来なくなる気がして正直不安でしかない。
でもそれを彼女に言うとまた同じやり取りが続きそうだから今は黙っていようと思う。
「サリッサさん、この料理の数作るの大変だったんじゃない?、次からは時間がある時に私も手伝うから言ってね?」
「ダート様、ありがとうございます、その時は宜しくお願い致しますね」
「あ、じゃあぼくも……」
「レース様は結構です、ストラフィリアでは家事は女性の戦場であり力を示す事が出来る唯一の場所と言われていますので、馴染みは無いとは思いますがご理解ください」
「え、あぁ……うん」
やっぱりあの国はおかしいこういうのは皆でやった方が良いと思うのに……、ミュラッカがそこも変えてくれる事に期待するしか無いか。
「ところでお二人はリビングでゆっくりとお話しをしていて大丈夫なのですか?、本日は朝から冒険者ギルドに行き大事な依頼の説明を受けると昨晩聞いていたので、歩きながら食べれる物をテーブルに用意したのですが……」
「あっ!?、ごめんサリッサっ!早く行かないと遅れるっ!」
「レース落ち着いて、今から出れば待ち合わせには間に合うから」
「でも、高ランクの冒険者は時間絶対に守るんで……んぐっ!?」
「その高ランク冒険者の私が大丈夫って言ってるの、だから食べながらゆっくり向かおう?ね?」
焦ったぼくを落ち着かせるように、テーブルの上に置かれていたパンを喋っている口の中に入れると、ダートも手に取って食べる。
正直驚いて味が分からないから、次は食べさせてくれるなら一言でもいいから言葉にしてからにして欲しい……。
「ん、おいしっ、サリッサさんありがとう、これすっごい美味しいっ!」
「ふふ、そう言って頂けるとメセリーの料理を王城内の書庫で調べておいて良かったです」
「今度作り方教えて?レースに作って食べさせてあげたいから」
「はい、それなら今度一緒に作りましょう」
「うん、約束だよサリッサ!」
……そういえばぼく達を起こしに行ったダリアの姿が見えないけど、どうしたのだろうか周囲を見るけど姿が見当たらない、これはもしかして何かあったのかと思って心配をしていると……
「ダリアちゃんも一緒に寝るのぉっ!」
「だぁっ!俺は起こしに来たんだって!抱き着いてベッドに引きずり込むのやめろぉっ!」
「時間になったらサリッサが起こしに来るのっ!」
「だぁもうっ!分かった!分かったからっ!」
どうやら三階に行ってルミィを起こそうとしてくれていたみたいだけど……、ベッドの中に引きずり込まれてしまったらしい。
取り合えず無事だったみたいだからいいか……
「ふふ、あの二人はストラフィリアにいる時からこうなんですよ?何て言いますか、実の姉妹みたいで微笑ましいです」
「ダリアに仲の良い家族が出来て良かったよ……、じゃあぼく達は行くから留守の方宜しくね」
「はい、レース様、ダート様いってらっしゃいませ……、冒険者のお仕事は大変だと思いますが無事に帰られますよう祈っておりますね」
「ありがとう、じゃあいってきます」
「サリッサさん、いってくるねっ!」
……そう言って家を出たぼく達は、外の階段を降りて診療所のようすを見ると……どうやら今日も師匠がソフィアを連れて手伝いに来てくれているようで、ぼく達に気付いた彼女がこっちに向かって手を振ってくれるけど……、眼に涙を浮かべて助けを求めていたように思えたのは気のせいだろうか。
そんな事を思いながらぼく達は冒険者ギルドへと向かうのだった。
「ミュラッカはともかく、お前等も夜にうるさくなるのいい加減にしろっ!まともに寝れねぇじゃねぇかっ!」
と叩き起こされ、驚いて起きたぼく達は急いで着替えて部屋を出ると……キッチンの方から何やら美味しそうな匂いがする。
いったい何かと思いながらリビングへと入ると、頭を深く下げて頭を下げているサリッサの姿と美味しそうな朝食がテーブルの上に沢山並んでいた。
ストラフィリアの料理のように身体の芯から温まる様に作られた物ではなく、メセリーで良くある片手で持って食べやすい食事だ。
パンの間に肉や野菜を挟まれたそれは、魔術や治癒術を研究して新たな術を作り出す者達が好む物で、ぼくもダートに止められるまでは食べながら参考書を読んで徹夜しながら研究に励んでいたくらいに作りやすいし、そして何よりも食べやすい。
「レース様、ダート様おはようございます」
「サリッサ……?、この料理はどうしたの?」
「これですか?これからお世話になるのですから侍女の私が作るのは当然です、主人の身の回りの世話をするのも仕事の一つなので」
「ありがとう……、でも家事は今迄ぼくとダートが交代しながらやってたから毎日やらなくても大丈夫だよ?」
「……っ!?、そんな訳には行きませんっ!先程も申しましたが侍女は主人の身の回りの世話をし、時には手足となり雑用を行なうのが私の役目であり存在意義、私の仕事を取らないでくださいませっ!」
サリッサが真剣な顔をしてこっちを見る。
……これはぼくの方が折れないと、彼女のプライドを傷付けてしまうだろう。
「ならこれから身の回りの事をお願いするよ」
「はいっ!ありがとうございますっ!」
何ていうか本当に嬉しそうだ……、でもサリッサに身の回りの事を全て任せてしまうといつか自分では何も出来なくなる気がして正直不安でしかない。
でもそれを彼女に言うとまた同じやり取りが続きそうだから今は黙っていようと思う。
「サリッサさん、この料理の数作るの大変だったんじゃない?、次からは時間がある時に私も手伝うから言ってね?」
「ダート様、ありがとうございます、その時は宜しくお願い致しますね」
「あ、じゃあぼくも……」
「レース様は結構です、ストラフィリアでは家事は女性の戦場であり力を示す事が出来る唯一の場所と言われていますので、馴染みは無いとは思いますがご理解ください」
「え、あぁ……うん」
やっぱりあの国はおかしいこういうのは皆でやった方が良いと思うのに……、ミュラッカがそこも変えてくれる事に期待するしか無いか。
「ところでお二人はリビングでゆっくりとお話しをしていて大丈夫なのですか?、本日は朝から冒険者ギルドに行き大事な依頼の説明を受けると昨晩聞いていたので、歩きながら食べれる物をテーブルに用意したのですが……」
「あっ!?、ごめんサリッサっ!早く行かないと遅れるっ!」
「レース落ち着いて、今から出れば待ち合わせには間に合うから」
「でも、高ランクの冒険者は時間絶対に守るんで……んぐっ!?」
「その高ランク冒険者の私が大丈夫って言ってるの、だから食べながらゆっくり向かおう?ね?」
焦ったぼくを落ち着かせるように、テーブルの上に置かれていたパンを喋っている口の中に入れると、ダートも手に取って食べる。
正直驚いて味が分からないから、次は食べさせてくれるなら一言でもいいから言葉にしてからにして欲しい……。
「ん、おいしっ、サリッサさんありがとう、これすっごい美味しいっ!」
「ふふ、そう言って頂けるとメセリーの料理を王城内の書庫で調べておいて良かったです」
「今度作り方教えて?レースに作って食べさせてあげたいから」
「はい、それなら今度一緒に作りましょう」
「うん、約束だよサリッサ!」
……そういえばぼく達を起こしに行ったダリアの姿が見えないけど、どうしたのだろうか周囲を見るけど姿が見当たらない、これはもしかして何かあったのかと思って心配をしていると……
「ダリアちゃんも一緒に寝るのぉっ!」
「だぁっ!俺は起こしに来たんだって!抱き着いてベッドに引きずり込むのやめろぉっ!」
「時間になったらサリッサが起こしに来るのっ!」
「だぁもうっ!分かった!分かったからっ!」
どうやら三階に行ってルミィを起こそうとしてくれていたみたいだけど……、ベッドの中に引きずり込まれてしまったらしい。
取り合えず無事だったみたいだからいいか……
「ふふ、あの二人はストラフィリアにいる時からこうなんですよ?何て言いますか、実の姉妹みたいで微笑ましいです」
「ダリアに仲の良い家族が出来て良かったよ……、じゃあぼく達は行くから留守の方宜しくね」
「はい、レース様、ダート様いってらっしゃいませ……、冒険者のお仕事は大変だと思いますが無事に帰られますよう祈っておりますね」
「ありがとう、じゃあいってきます」
「サリッサさん、いってくるねっ!」
……そう言って家を出たぼく達は、外の階段を降りて診療所のようすを見ると……どうやら今日も師匠がソフィアを連れて手伝いに来てくれているようで、ぼく達に気付いた彼女がこっちに向かって手を振ってくれるけど……、眼に涙を浮かべて助けを求めていたように思えたのは気のせいだろうか。
そんな事を思いながらぼく達は冒険者ギルドへと向かうのだった。
0
お気に入りに追加
133
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

生徒がどんどん消えていくんですが
ポケっこ
ファンタジー
『金白学園』は元気な生徒達が通う平和な学園だ。
新学期だが俺は余計なことには手を出さないと決めた。
ある時クラスの生徒がどんどん行方不明になってしまい、ないよー君と原因を突き止めようとするがー?
裏世界と現実世界が繋がる、不思議な物語!

異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる