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第三章 戦う意志と覚悟
15話 依頼の出し方
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そういえばぼくと同じ心器を覚える人が四人に増えるという事はコルク達も栄花騎士団の任務に同行したりするのだろうか。
それともただ冒険者の仕事で必要だから力が欲しいのだろうかと思ったけどどうなのだろう。
もし後者の場合はコルクは既に冒険者を辞めているから違う気がするから前者だろうか。
「ねぇダート、どうしてコルク達は心器を覚えたいのかな」
「え?珍しいねレースが、他人に興味を持つなんて……どうしたの?」
「珍しいって……ぼくの事をいったいなんだと、まぁそこは後で教えて貰うとして単純に気になるんだ。アキラさんってぼくに魔術の指導と戦闘指南に来た訳だけどその理由って彼等の仕事に同行して貰うかもしれないって言う理由だしさ……と言う事はコルク達ももしかしたら同行するのかなって」
ダートから見たぼくはそんなに他人に興味がないように見えるのだろうか。
もしそうならちょっとだけ悲しくなる、でも確かに彼女に会う前はそこまで人と関わろうとしなかったからそういう印象を持たれててもしょうがないのかもしれない。
……一度持たれた印象って簡単には変わらないからもっと頑張らないのかもしれないけど、ぼくからしたら、百人の人がいたらその人達全員に好感を持たれるよりもその中の一割位の友人がいればどうでも良いって言うのがあるけど……友達とかコルク位しかいないけどね。
「コーちゃんは付いて来てくれると思うけど、ジラルドさんは何か昔レースにお世話になった恩を返したいって言ってたから来てくれるんじゃないかな」
「恩って言われても彼等の怪我を治しただけなのにね」
「だけって言うけどそのおかげで今もこうやって生きていて、冒険者として活躍出来てるって言うのはジラルドさんからしたら感謝してもしきれないんじゃない?」
そう言われてもぼくからしたら必要な治療をしただけだ。
でもそれに恩義を感じて力を貸してくれるというのは嬉しいものがある。
「ならクロウも来てくれるのかな……」
「俺か?……そうだな、君が指名依頼を出すなら考えよう」
いつの間にぼく達の近くに来たのか、疲れた顔をしたクロウがぼくの前に立っていた。
ダートは気付いていたようで反応に困っているぼくの顔を見て笑っている。
……教えてくれたら良かったのにと不満に思うけど、彼女の笑顔の前ではどうでも良くなる。
「依頼って……どうすればいいの?」
「そうだな、今取り出すから待っていろ」
クロウはそういうと後ろに取り付けている道具袋から書類を取り出して渡してくれる。
依頼の内容と期日やAランク冒険者に依頼を出す場合に発生する費用に関しての資料と、実際の依頼書だ。
……つまりこの資料を見ながらこの依頼書に記入をしろって事かな。
「あいつの事だ……どうせ無償で手伝うと言いそうだが、俺達は冒険者でそれで生活をしている以上はしっかりと貰う物は貰わなければやってられん……その書類を見て理解出来たら書いて渡してくれ、後で俺からギルドに提出しておく」
「えっと、クロウさん?……それだけ見せられてもレースには分からないと思うよ?」
「……そうなのか?」
「ほら、こういうのって冒険者ギルドの窓口で職員さんの説明を受けながら書くものじゃない?」
何となく書き方は分かったので書いてはいるけれど、この期日はどうすればいいのだろうか……。
「ほら、レースが困ってるじゃない……、何処か分からない所があったら私が教えるからね?」
「ありがとうダート、依頼内容は取り合えず【依頼主であるレースの護衛】って事にしたんだけどこの期日の所はどうすればいいのかな……ってダート?」
護衛と聞いた瞬間にダートの眼の色が変わり顔が一瞬にして無表情になる。
ぼくはいったい何かをしてしまったのだろうか。
「レースの護衛は私だけだよ?……他の人に何て絶対に任せたくない」
「えっと……建前上そういう風に書いてるだけで本当に護衛をしてもらう訳じゃ……」
「でも嫌なのっ!」
ダートがここまで声を荒げる姿を初めて見たぼくは思わず目を丸くしてしまう。
本当にいったいどうしたのかと思っていると、遠くでアキラさんと話し合いをしていたジラルドやコルクも気付いたらしく会話を止めてこちらを見ている。
これは気まずいなと思っていたら、コルクが笑顔で近付いて来た。
「ダー、どうしたん?そんな声を荒げて……」
「あのねコーちゃん、レースがね私以外の人に護衛を依頼しようとしてるの、見てこの依頼書、私の仕事なのに取られちゃう……」
「んん?……複数人の護衛を付ける事なら良くある事やん?ってあぁ、成程そう言う事ね…レースちょっとダーを借りるで」
コルクはそういうとダートの手を取ってぼくとクロウから離れてアキラさん達の元へ戻って行く。
本当にどうしてしまったのだろうか……
「……凄い子に好かれたものだな、あれと一緒になったら異性の匂いがしただけで機嫌を損ねそうだ」
「今一言っている事が分からないんだけど?」
「君はもう少し、ダート君の事を理解する努力をしてあげた方が良いと言いたいが今はやるべきことをやろう……、取り合えず依頼内容は彼女が嫌がっていたのを踏まえて【依頼主の友人である『コルク』の護衛】という事にしよう。そうだな……期間は特に設けず依頼の続行をするかどうかは月の終わりに依頼主と話し合いその都度更新するという事でこちらで手続きしておく、これなら問題無い筈だ」
「……ならそれでお願いします。ダートが嫌がる姿を見たくないからね」
ただAランク冒険者を雇う度に、月に金貨一枚と言うのは高いなぁって思う。
この世界の通貨は基本白金貨、金貨、銀貨、銅貨だけれど銅貨百枚で銀貨一枚、銀貨十枚で金貨一枚で滅多にみる事は無いけど金貨十枚で白金貨一枚で……この診療所の一人当たりの診察料が大体銀貨一枚だ。
月の収益が大体金貨五枚だけどその内金貨二枚は薬草の仕入れや備品の購入に充てられているし月のぼく達の給料が二人で合計して金貨二枚で一般的な人の給料が銀貨三枚からしたらかなり資産はある方だけど、残りの金貨一枚は出来れば残しておきたいお金なのだけれど……この町に徐々に人が増えて来ている以上は患者が増えるだろうし必要な経費として今は割り切った方が良いのかもしれない。
「依頼料の方も問題無いので確認お願いします」
「了解した。内容も特に問題は無いから俺達はコルクの護衛と言う事でこの町に滞在する……ただ一つ依頼とは別に確認したい事があるのだが、その依頼一本だけだと生活に困る可能性があるから定期的に他の依頼も受けたいのだが良いか?」
「そう言う事なら大丈夫だよ……」
「なら依頼成立だな、これから宜しく頼む」
「こちらこそお願いします。」
……ぼくとクロウが握手をして依頼の締結を確認するとダートもコルクと一緒に戻って来た。
彼女にこの形で決まったと話すとどうしたのかぱっと花が咲いたかのような笑みを浮かべて何故かぼくに勢いよく抱き着いてくる。
さっきから機嫌が悪くなったり良くなったりと今日のダートは忙しい人だなと思いながらそんな彼女を受け止めるのだった。
それともただ冒険者の仕事で必要だから力が欲しいのだろうかと思ったけどどうなのだろう。
もし後者の場合はコルクは既に冒険者を辞めているから違う気がするから前者だろうか。
「ねぇダート、どうしてコルク達は心器を覚えたいのかな」
「え?珍しいねレースが、他人に興味を持つなんて……どうしたの?」
「珍しいって……ぼくの事をいったいなんだと、まぁそこは後で教えて貰うとして単純に気になるんだ。アキラさんってぼくに魔術の指導と戦闘指南に来た訳だけどその理由って彼等の仕事に同行して貰うかもしれないって言う理由だしさ……と言う事はコルク達ももしかしたら同行するのかなって」
ダートから見たぼくはそんなに他人に興味がないように見えるのだろうか。
もしそうならちょっとだけ悲しくなる、でも確かに彼女に会う前はそこまで人と関わろうとしなかったからそういう印象を持たれててもしょうがないのかもしれない。
……一度持たれた印象って簡単には変わらないからもっと頑張らないのかもしれないけど、ぼくからしたら、百人の人がいたらその人達全員に好感を持たれるよりもその中の一割位の友人がいればどうでも良いって言うのがあるけど……友達とかコルク位しかいないけどね。
「コーちゃんは付いて来てくれると思うけど、ジラルドさんは何か昔レースにお世話になった恩を返したいって言ってたから来てくれるんじゃないかな」
「恩って言われても彼等の怪我を治しただけなのにね」
「だけって言うけどそのおかげで今もこうやって生きていて、冒険者として活躍出来てるって言うのはジラルドさんからしたら感謝してもしきれないんじゃない?」
そう言われてもぼくからしたら必要な治療をしただけだ。
でもそれに恩義を感じて力を貸してくれるというのは嬉しいものがある。
「ならクロウも来てくれるのかな……」
「俺か?……そうだな、君が指名依頼を出すなら考えよう」
いつの間にぼく達の近くに来たのか、疲れた顔をしたクロウがぼくの前に立っていた。
ダートは気付いていたようで反応に困っているぼくの顔を見て笑っている。
……教えてくれたら良かったのにと不満に思うけど、彼女の笑顔の前ではどうでも良くなる。
「依頼って……どうすればいいの?」
「そうだな、今取り出すから待っていろ」
クロウはそういうと後ろに取り付けている道具袋から書類を取り出して渡してくれる。
依頼の内容と期日やAランク冒険者に依頼を出す場合に発生する費用に関しての資料と、実際の依頼書だ。
……つまりこの資料を見ながらこの依頼書に記入をしろって事かな。
「あいつの事だ……どうせ無償で手伝うと言いそうだが、俺達は冒険者でそれで生活をしている以上はしっかりと貰う物は貰わなければやってられん……その書類を見て理解出来たら書いて渡してくれ、後で俺からギルドに提出しておく」
「えっと、クロウさん?……それだけ見せられてもレースには分からないと思うよ?」
「……そうなのか?」
「ほら、こういうのって冒険者ギルドの窓口で職員さんの説明を受けながら書くものじゃない?」
何となく書き方は分かったので書いてはいるけれど、この期日はどうすればいいのだろうか……。
「ほら、レースが困ってるじゃない……、何処か分からない所があったら私が教えるからね?」
「ありがとうダート、依頼内容は取り合えず【依頼主であるレースの護衛】って事にしたんだけどこの期日の所はどうすればいいのかな……ってダート?」
護衛と聞いた瞬間にダートの眼の色が変わり顔が一瞬にして無表情になる。
ぼくはいったい何かをしてしまったのだろうか。
「レースの護衛は私だけだよ?……他の人に何て絶対に任せたくない」
「えっと……建前上そういう風に書いてるだけで本当に護衛をしてもらう訳じゃ……」
「でも嫌なのっ!」
ダートがここまで声を荒げる姿を初めて見たぼくは思わず目を丸くしてしまう。
本当にいったいどうしたのかと思っていると、遠くでアキラさんと話し合いをしていたジラルドやコルクも気付いたらしく会話を止めてこちらを見ている。
これは気まずいなと思っていたら、コルクが笑顔で近付いて来た。
「ダー、どうしたん?そんな声を荒げて……」
「あのねコーちゃん、レースがね私以外の人に護衛を依頼しようとしてるの、見てこの依頼書、私の仕事なのに取られちゃう……」
「んん?……複数人の護衛を付ける事なら良くある事やん?ってあぁ、成程そう言う事ね…レースちょっとダーを借りるで」
コルクはそういうとダートの手を取ってぼくとクロウから離れてアキラさん達の元へ戻って行く。
本当にどうしてしまったのだろうか……
「……凄い子に好かれたものだな、あれと一緒になったら異性の匂いがしただけで機嫌を損ねそうだ」
「今一言っている事が分からないんだけど?」
「君はもう少し、ダート君の事を理解する努力をしてあげた方が良いと言いたいが今はやるべきことをやろう……、取り合えず依頼内容は彼女が嫌がっていたのを踏まえて【依頼主の友人である『コルク』の護衛】という事にしよう。そうだな……期間は特に設けず依頼の続行をするかどうかは月の終わりに依頼主と話し合いその都度更新するという事でこちらで手続きしておく、これなら問題無い筈だ」
「……ならそれでお願いします。ダートが嫌がる姿を見たくないからね」
ただAランク冒険者を雇う度に、月に金貨一枚と言うのは高いなぁって思う。
この世界の通貨は基本白金貨、金貨、銀貨、銅貨だけれど銅貨百枚で銀貨一枚、銀貨十枚で金貨一枚で滅多にみる事は無いけど金貨十枚で白金貨一枚で……この診療所の一人当たりの診察料が大体銀貨一枚だ。
月の収益が大体金貨五枚だけどその内金貨二枚は薬草の仕入れや備品の購入に充てられているし月のぼく達の給料が二人で合計して金貨二枚で一般的な人の給料が銀貨三枚からしたらかなり資産はある方だけど、残りの金貨一枚は出来れば残しておきたいお金なのだけれど……この町に徐々に人が増えて来ている以上は患者が増えるだろうし必要な経費として今は割り切った方が良いのかもしれない。
「依頼料の方も問題無いので確認お願いします」
「了解した。内容も特に問題は無いから俺達はコルクの護衛と言う事でこの町に滞在する……ただ一つ依頼とは別に確認したい事があるのだが、その依頼一本だけだと生活に困る可能性があるから定期的に他の依頼も受けたいのだが良いか?」
「そう言う事なら大丈夫だよ……」
「なら依頼成立だな、これから宜しく頼む」
「こちらこそお願いします。」
……ぼくとクロウが握手をして依頼の締結を確認するとダートもコルクと一緒に戻って来た。
彼女にこの形で決まったと話すとどうしたのかぱっと花が咲いたかのような笑みを浮かべて何故かぼくに勢いよく抱き着いてくる。
さっきから機嫌が悪くなったり良くなったりと今日のダートは忙しい人だなと思いながらそんな彼女を受け止めるのだった。
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