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第一章 非日常へ
26話 良く食べる少女
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勢いよくリビングに入って来た彼女を見て微笑ましい気持ちになり思わず笑みがこぼれてしまう。
夕飯は朝の味付け的にシンプルな方が好きなのかもしれないと思ったけど……、ぼくが好きな味付けにしたかったのでお肉を香草と一緒に炒めて香りづけして味は軽く調味料で整えて落ち着かせた。
そしてそこに水洗いして刻んだ野菜を盛り付けて食事のバランスが偏らないように気を付けてある。
それにパンも真ん中に切り込みを入れて食材を挟みやすくもしてあるので完璧だ。
「では、食べましょうか」
「おぅっ!腹減って限界だったんだっ!……いただきます!」
彼女は勢いよく椅子に座り夕食を食べ始める。
昨日見て思ったけど本当に気持ちの良い食べっぷりだと思う。
そういえば聞きそびれていたけれど彼女は食べれない物があるのだろうか……、そんな疑問が浮かぶけれど美味しそうに食べているから問題無い筈だ。
「ごちそうさまっ!夕飯も美味かったぜ?」
「それはありがとうございますございます」
あっという間に食べ終えてしまった彼女を見て嬉しい気持ちになるけど、ぼくはまだ食べ終わっていない。
そんなぼくを見ながら笑顔で食事が終わるのを待ってくれている彼女を見て申し訳ない気持ちになるけど、待つ位なら早く食べずにゆっくり食べたら良いのになと思う。
「……待たせてしまって申し訳ございません」
「いや、俺が早く食い過ぎただけだから気にすんな……それより色々と話しようぜ?」
いったい何の話がしたいのだろうか……、一緒に住む為のルールは決めたし他にも粗方話終えた筈だ。
「明日から助手としてお前と働くんだろ?どうすりゃいいんだ?」
「あぁ……、そういえば話してませんでしたね」
どうすればいいか……、正直言って特にやって貰いたい事は無い。
彼女は治癒術を使えない魔術師だし何が出来るのかと言われたら治癒術のサポートは出来ないだろう。
薬の知識も無いだろうからそこは少しずつ教えて行くとして何をして貰おうか……。
「レースおめぇ……、その顔やっぱり何も考えて無かっただろ」
「まぁ……すいません」
「謝らなくても良いって、それなら俺が勝手に出来る事探すわ」
出来る事を探す……か、確かにそうして貰えると助かる気がする。
そこから彼女が出来そうな事が出来たら任せてしまえば良いのかもしれないけど、そうすると彼女に渡す給金をどうするかだ。
そこもしっかりと話さなければならないだろう。
「後はよぉ、働く以上依頼とは別に金を貰いてぇんだけど……」
「それならどれくらい欲しいですか?」
「ん?あぁ、この村で生活出来るなら幾らでも問題ねぇよ」
「えぇ、わかりました」
本当にそれでいいのか心配になるけれど彼女がそれでいいと言うならそれで良いんだろう。
話がまとまったみたいだし後は大丈夫だろうか……、取り合えず良い加減食器を片そうか。
「今日は俺が食器を片しておくからおめ……レースはさっさと休んでろ。」
「え?でも…」
「遠慮すんなっ、これから一緒に住むんだからこれ位やらせろ」
そういうと彼女は食器を空間収納にしまうと歩いてキッチンに入って行ってしまう。
やってくれるならお願いしてしまって良いだろうし、言葉に甘えさせて貰おう。
「それならお願いします……、部屋に戻ってゆっくり休ませて貰いますね」
「おぅっ!さっさと寝ろよ?」
それにしても今日は疲れた気がする。
食べて直ぐ寝てしまうのは体に悪いけど部屋に戻ってもう眠ってしまおうか……、それにお風呂は別に入らなくても治癒術があるから問題無い。
部屋に戻る最中にリビングから鼻歌が聞こえてくるけれど、ぼくは体力がそこまで無いから羨ましい。
「久しぶりの戦闘はやっぱり体力がきつい……」
…部屋に入ると眼鏡をいつもの場所に置いて直ぐに横になる。
この二日間色んな事があったおかげで本当に疲れた……。
これがこれからも続くのかもしれないと思うと憂鬱になるけれど何処かでこの非日常が楽しく感じるぼくがいた。
ただ…朝起きたらあんな事になるとは誰が予想出来ただろうか……
夕飯は朝の味付け的にシンプルな方が好きなのかもしれないと思ったけど……、ぼくが好きな味付けにしたかったのでお肉を香草と一緒に炒めて香りづけして味は軽く調味料で整えて落ち着かせた。
そしてそこに水洗いして刻んだ野菜を盛り付けて食事のバランスが偏らないように気を付けてある。
それにパンも真ん中に切り込みを入れて食材を挟みやすくもしてあるので完璧だ。
「では、食べましょうか」
「おぅっ!腹減って限界だったんだっ!……いただきます!」
彼女は勢いよく椅子に座り夕食を食べ始める。
昨日見て思ったけど本当に気持ちの良い食べっぷりだと思う。
そういえば聞きそびれていたけれど彼女は食べれない物があるのだろうか……、そんな疑問が浮かぶけれど美味しそうに食べているから問題無い筈だ。
「ごちそうさまっ!夕飯も美味かったぜ?」
「それはありがとうございますございます」
あっという間に食べ終えてしまった彼女を見て嬉しい気持ちになるけど、ぼくはまだ食べ終わっていない。
そんなぼくを見ながら笑顔で食事が終わるのを待ってくれている彼女を見て申し訳ない気持ちになるけど、待つ位なら早く食べずにゆっくり食べたら良いのになと思う。
「……待たせてしまって申し訳ございません」
「いや、俺が早く食い過ぎただけだから気にすんな……それより色々と話しようぜ?」
いったい何の話がしたいのだろうか……、一緒に住む為のルールは決めたし他にも粗方話終えた筈だ。
「明日から助手としてお前と働くんだろ?どうすりゃいいんだ?」
「あぁ……、そういえば話してませんでしたね」
どうすればいいか……、正直言って特にやって貰いたい事は無い。
彼女は治癒術を使えない魔術師だし何が出来るのかと言われたら治癒術のサポートは出来ないだろう。
薬の知識も無いだろうからそこは少しずつ教えて行くとして何をして貰おうか……。
「レースおめぇ……、その顔やっぱり何も考えて無かっただろ」
「まぁ……すいません」
「謝らなくても良いって、それなら俺が勝手に出来る事探すわ」
出来る事を探す……か、確かにそうして貰えると助かる気がする。
そこから彼女が出来そうな事が出来たら任せてしまえば良いのかもしれないけど、そうすると彼女に渡す給金をどうするかだ。
そこもしっかりと話さなければならないだろう。
「後はよぉ、働く以上依頼とは別に金を貰いてぇんだけど……」
「それならどれくらい欲しいですか?」
「ん?あぁ、この村で生活出来るなら幾らでも問題ねぇよ」
「えぇ、わかりました」
本当にそれでいいのか心配になるけれど彼女がそれでいいと言うならそれで良いんだろう。
話がまとまったみたいだし後は大丈夫だろうか……、取り合えず良い加減食器を片そうか。
「今日は俺が食器を片しておくからおめ……レースはさっさと休んでろ。」
「え?でも…」
「遠慮すんなっ、これから一緒に住むんだからこれ位やらせろ」
そういうと彼女は食器を空間収納にしまうと歩いてキッチンに入って行ってしまう。
やってくれるならお願いしてしまって良いだろうし、言葉に甘えさせて貰おう。
「それならお願いします……、部屋に戻ってゆっくり休ませて貰いますね」
「おぅっ!さっさと寝ろよ?」
それにしても今日は疲れた気がする。
食べて直ぐ寝てしまうのは体に悪いけど部屋に戻ってもう眠ってしまおうか……、それにお風呂は別に入らなくても治癒術があるから問題無い。
部屋に戻る最中にリビングから鼻歌が聞こえてくるけれど、ぼくは体力がそこまで無いから羨ましい。
「久しぶりの戦闘はやっぱり体力がきつい……」
…部屋に入ると眼鏡をいつもの場所に置いて直ぐに横になる。
この二日間色んな事があったおかげで本当に疲れた……。
これがこれからも続くのかもしれないと思うと憂鬱になるけれど何処かでこの非日常が楽しく感じるぼくがいた。
ただ…朝起きたらあんな事になるとは誰が予想出来ただろうか……
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