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第一章 死んだらそこは異世界でした

27話 何故か捕らえられてしまいました

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 なんだか困った事になっちゃったかも……。
ゼンさんが取り押さえてくれたところまでは良かったけど、その後首都の中から武器を持った人達が沢山出て来て、私達の言い分を聞かずに詰所に連れていかれたかと思うと……何故か牢に入れられてしまった。

「……えぇ、私達襲われた側なのに何で?」
「このご時世だからな、問題を起こしたら拘束されてもしかたないとは思うけど、これはひでぇな」
「だよね?ゼンさんもそう思うよね?」
「いや、俺は何でカーティス達は捕まらなかったのかって事が気に入らないだけだよ、シャルネが襲われた時に後ろに下がって他人の振りして隠れたぞあいつ」

 んー、それはしょうがないんじゃないかな。
だって妊婦さんを背負っているのに、こんな狭い牢屋に押し込められたら何が起きるか分からないし……、もしかしたらストレスとかで体に負担が掛かってお腹の中の子に影響が出てしまうかもだし、カー君はたぶん私の事をゼンさんに任せて大事な奥さんを守る事を優先したんじゃないかな……。

「隠れたんじゃなくて奥さんを守ったんじゃない?ほら、ダニエラさんは妊婦さんだし」
「……あ、あぁそういやそうだったな、わりぃ頭に血が上ってて忘れてた」
「忘れちゃダメだと思うよ……?」
「だよなぁ……反省するわ、とはいえ今はそれよりもこの状態をどうするかだな……、出るだけなら鉄格子を壊せばいいけどそれでいいか?」
「それでいいかって、脱獄するの?」

 ここで待ってれば衛兵さんが来て簡単な事情聴取の後に無罪で外に出れると思うんだけど、なんで態々脱獄何ていう危ない事をするのかな。
だって私達は被害者だよ?悪いのは突然武器を持って襲ってきた方で……、むしろ私が驚いて翼を出してこの前の人みたいに死ななくて良かったと感謝してもらいたい位だよ。
でも……その襲撃してきた犯人がどうなったのかと言うと、一緒に捕らえられた後余りにも暴れるせいで、両手足を縛られて口に布を突っ込まれた状態で私達の隣で横になって眼を血走らせながら唸ってる。

「あぁ、今の俺にはこの首都で何の力も無いからな……、マチザワも立場的に罪人疑惑がある人物を牢から出すわけにもいかないしな、まぁ一人心当たりがないわけじゃねぇけど、俺とは性格的な相性が悪いからな出来れば仮を作りたくないな」
「相性が悪いって……もしかして女の人?」
「ん?それってどういう意味だ?」
「えっと……、ほらゼンさんって集落だと男の人達とは仲良さげだったけど女の人からは良い印象あんまり持たれてなかったみたいだし?」
「意外と俺の事良く見てんだな、集落だとほら俺は唯一のこの世界の人間っていう事もあったけど、ほらいつも食料を狩って獣や血の匂いがついてたろ?それがあいつらから見たら良い印象持たれなかったみたいでさ……、まぁそれに関しては俺のせいだからしょうがないけど、あいつの場合違うな……シャルネの言うように女だけど単純に気が合わないんだよ」

 獣や血の匂いがするって、食料を獲って来て貰ってたのに良くそんな事が出来るなぁって思う。
私なら失礼な態度何て出来ないし、逆に凄い感謝するけど……

「そんな悲しそうな顔しなくていい、俺がやりたくてやってた事だからな……、って事でやるぞ?」
「でも脱獄したら追われるんじゃない?」
「ならここに残るか?、昔と変わってないなら、お偉いさん達の犬である衛兵達は疑わしくは罰せよを良しとする集団だからな、何が起きても補償出来ねぇぞ?特にシャルネは見た目は良いからな……死ぬまで何をされるかなんて言わなくても分かんだろ?」
「怖いから着いていくけど……何でそんな修羅の国みたいになってるの?」
「修羅の国か……そりゃあ上手い例えだな、いくら表面上は平和でも中身は何処までも腐ってるあたりその通りだと思うぜ、まぁお偉いさん方の中には現状を変えようと頑張ってる奴もいるらしいけどな」

 でも武器になる物は捕らえられる時に取られてしまったけど、その状態でどうやって逃げるのかな。
もしかしてファンタジーに良くある両腕に力を入れて鉄格子を引きちぎったり、左右に広げたりするのかも?あ、ちょっとわくわくするかも……!。

「その偉い人が頑張ってくれるといいね……」
「まぁ、そこんとこは俺達が悩んでもしょうがねぇさ……、マチザワとセイラを慕う奴らが勝手にやればいいんだから」
「……セイラ?」
「さっき言った俺と相性が悪い奴だよ……、戦う事が好きな俺とは逆の性格をしている女でさ、やることなす事……しまいには考える事まで綺麗に逆の方向を向いているから、良い奴でも精神的に疲れんだよ」

……困ったようにゼンさんが言葉にすると、何処から二本の剣を取り出して両手に持つと壁の方を向いて構える。
そして意識を集中したかと思うとカッ!っと目を見開き牢屋の壁をまるで紙を斬るみたいに何度か剣を振ったかと思うと、一瞬で塵も残さずに消えてしまい外の明かりが入り込んで来るのだった。
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