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そして学園へ……
12話
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小屋の中には行商人の仲間たちがいるかもしれない。
意思を封じられたセレスティアを救う為とはいえ、三人で危険な事をしていいのだろうか。
「アーロ、今から小屋の扉を開けますので、あなたはマリス様の身の安全を最優先に考えて行動しなさい」
「……了解しました!」
「……大きな声を出すのは止めなさい、敵に居場所を教えるような事をするのは良くないわ」
「ご、ごめん……」
どうしてこの状況で大声を出そうと思えたのか。
アーロの行動に少しだけ頭が痛くなりながら、ヘルガが扉を開けるのを待つ。
「……ん?」
「ヘルガ、どうしたのかしら?」
「あ、いえ……っ!」
少しだけ扉を開けて中を伺うように、ゆっくりと隙間から中を覗き込んでいたヘルガが驚いたような声を上げる。
そして、腰に下げているポーチから筒状の物を取り出すと、半分に折って中に投げ入れて……
「アーロ、マリス様の耳と眼を塞ぎなさい……、あなたは慣れていると思うから耐えるように」
「……ちょ、あれかよ!マリス様ごめん、ちょっとの間耐えてくれ!」
「……へ?」
いきなりアーロが私の頭を強く抱きしめるようにして耳と目を塞ぐと、隙間から一瞬まばゆい光が見えた気がした。
「なに?今の……」
「あぁ、耳がきぃぃんってしていてぇ!」
「でも今回は気絶しないで耐えられたから偉いと思うけど?」
「そりゃ、マリス様の前で気絶するわけにはいかないだろ」
私の前で見栄を張ってかっこつけようとしなくても別にいいのにと思うけど、アーロが気絶していたら私も同じように気を失なっていたかもしれない。
「……二人とも、さっきのは何?」
「なんでも暴徒鎮圧用らしいぞ……です」
「アーロ、それでは説明不足よ……、マリス様、今のは騎士の備品の一つで、自身の魔力を吸わせてから半分に折り投擲することで相手の意識を奪う道具です」
騎士の備品にそんな便利な道具があるなんて知らなかった。
いや……前の人生では騎士と深く関わるような事が無かったのが理由だろう。
あの頃は小屋の近くで野営をする事無く、最短経路での移動をしていたせいで、セレスティアが奴隷として捕らえられている事も知らずにシルヴァ王子に出会う事になった。
……今思うともしかしたら彼がお忍びでこの付近に来ていたのは、彼女を助け出す為だったのかもしれない。
「お喋りはこれくらいにしましょう、先に小屋に入りますので……私の指示があったら入って来てください」
「えぇ……」
「りょ、了解」
ヘルガが扉を開けて小屋の中に入ると、暫くして指示が聞こえてくる。
その声に従って彼女の元へ急いで向かうと、そこにあったのは……
「……誰もいない?」
「えぇ、おかしいですね、行商人がいたのなら護衛となる者達がいる筈なのに……」
「もしかしたら、行商人がやられたのを見て逃げたんじゃないか……です」
「そんな筈は、確かに先程誰かの気配があったのですが……」
「もしかしたら気のせいだったのかもしれないわね」
小屋の中に入って誰もいない以上、勘違いかもしれない……でもそうやって考えるのは何かが違う気がする。
行商人が一人で奴隷を連れてどうしてここにいるのか、その理由が私には理解が出来ないし。
何よりも……商品である奴隷をたった一人だけ連れている事自体が異常だ。
それらを踏まえて考えてみると、既に逃亡を許してしまったとしか……。
「気のせい?この私が……?」
「ヘルガさんが勘違い何てするものかよ!、護衛騎士の中でも戦いが得意な方なんだぜ?です!」
「……自分で言うのもどうかとは思いますが、私は領主でマリウス様の元でモンスターの討伐を経験していくうちに、近くに何者かがいたら直ぐに反応できるようになっております、なので勘違いと言う可能性は低いかと」
ヘルガがそこまで言うのなら、本当に誰かがいたのかもしれない。
戦闘経験が少ない私よりも、実戦経験豊富な彼女の言葉を信じてあげるべきだと思う。
「そこまで言うなら信じるわ、でも……ならいったい誰の気配だったのかしら……、ん?これは」
「マリス様、何か見つけたのですか?」
とりあえず小屋の中を見渡しながら歩いてみると、窓から入って来る光を浴びて輝く糸のような物が目に映る。
その場に屈んで触れてみると、髪の毛のような手触りで……
「えぇ、髪の毛かしら……それも凄い長い……」
「髪の毛?それにしては本当に凄い長いな、ここまで長かったら床に着いてるんじゃないか?です」
「……鮮やかで綺麗なピンク色ですね、もしかして他に奴隷として捕まった人がいたのでは?」
「なら追わないと……」
セレスティア以外に捕まって奴隷にされている人がいるのかもしれない。
そう思うと、今すぐにでも助けてあげたいし……でも、この小屋の中にあるであろう奴隷契約の書類を探すのも必要で、ここにいる三人では人の手が足りない気がする。
「なら俺が急いでリバスト護衛騎士隊長に連絡してきます!」
そんな私の気持ちを察したのか、アーロが走って小屋を出て行く。
「……アーロ」
「あの子なりにマリス様の力になろうと必死なようね」
「えぇ、私の立派な使用人で未来の護衛騎士だもの……、察してくれて嬉しいわ」
「そうですね……では、今は私達に出来る事をやりましょうか、奴隷契約の書類があの行商人の荷物にあると思いますし」
ヘルガはそう言葉にすると、行商人の荷物だと思われる一つの大きなカバンに向かってある出す。
そして何かの仕掛けが無いか確認するかのように確認をしたかと思うと、持ち手を強く握って勢いよく壁に向かって投げつけた。
意思を封じられたセレスティアを救う為とはいえ、三人で危険な事をしていいのだろうか。
「アーロ、今から小屋の扉を開けますので、あなたはマリス様の身の安全を最優先に考えて行動しなさい」
「……了解しました!」
「……大きな声を出すのは止めなさい、敵に居場所を教えるような事をするのは良くないわ」
「ご、ごめん……」
どうしてこの状況で大声を出そうと思えたのか。
アーロの行動に少しだけ頭が痛くなりながら、ヘルガが扉を開けるのを待つ。
「……ん?」
「ヘルガ、どうしたのかしら?」
「あ、いえ……っ!」
少しだけ扉を開けて中を伺うように、ゆっくりと隙間から中を覗き込んでいたヘルガが驚いたような声を上げる。
そして、腰に下げているポーチから筒状の物を取り出すと、半分に折って中に投げ入れて……
「アーロ、マリス様の耳と眼を塞ぎなさい……、あなたは慣れていると思うから耐えるように」
「……ちょ、あれかよ!マリス様ごめん、ちょっとの間耐えてくれ!」
「……へ?」
いきなりアーロが私の頭を強く抱きしめるようにして耳と目を塞ぐと、隙間から一瞬まばゆい光が見えた気がした。
「なに?今の……」
「あぁ、耳がきぃぃんってしていてぇ!」
「でも今回は気絶しないで耐えられたから偉いと思うけど?」
「そりゃ、マリス様の前で気絶するわけにはいかないだろ」
私の前で見栄を張ってかっこつけようとしなくても別にいいのにと思うけど、アーロが気絶していたら私も同じように気を失なっていたかもしれない。
「……二人とも、さっきのは何?」
「なんでも暴徒鎮圧用らしいぞ……です」
「アーロ、それでは説明不足よ……、マリス様、今のは騎士の備品の一つで、自身の魔力を吸わせてから半分に折り投擲することで相手の意識を奪う道具です」
騎士の備品にそんな便利な道具があるなんて知らなかった。
いや……前の人生では騎士と深く関わるような事が無かったのが理由だろう。
あの頃は小屋の近くで野営をする事無く、最短経路での移動をしていたせいで、セレスティアが奴隷として捕らえられている事も知らずにシルヴァ王子に出会う事になった。
……今思うともしかしたら彼がお忍びでこの付近に来ていたのは、彼女を助け出す為だったのかもしれない。
「お喋りはこれくらいにしましょう、先に小屋に入りますので……私の指示があったら入って来てください」
「えぇ……」
「りょ、了解」
ヘルガが扉を開けて小屋の中に入ると、暫くして指示が聞こえてくる。
その声に従って彼女の元へ急いで向かうと、そこにあったのは……
「……誰もいない?」
「えぇ、おかしいですね、行商人がいたのなら護衛となる者達がいる筈なのに……」
「もしかしたら、行商人がやられたのを見て逃げたんじゃないか……です」
「そんな筈は、確かに先程誰かの気配があったのですが……」
「もしかしたら気のせいだったのかもしれないわね」
小屋の中に入って誰もいない以上、勘違いかもしれない……でもそうやって考えるのは何かが違う気がする。
行商人が一人で奴隷を連れてどうしてここにいるのか、その理由が私には理解が出来ないし。
何よりも……商品である奴隷をたった一人だけ連れている事自体が異常だ。
それらを踏まえて考えてみると、既に逃亡を許してしまったとしか……。
「気のせい?この私が……?」
「ヘルガさんが勘違い何てするものかよ!、護衛騎士の中でも戦いが得意な方なんだぜ?です!」
「……自分で言うのもどうかとは思いますが、私は領主でマリウス様の元でモンスターの討伐を経験していくうちに、近くに何者かがいたら直ぐに反応できるようになっております、なので勘違いと言う可能性は低いかと」
ヘルガがそこまで言うのなら、本当に誰かがいたのかもしれない。
戦闘経験が少ない私よりも、実戦経験豊富な彼女の言葉を信じてあげるべきだと思う。
「そこまで言うなら信じるわ、でも……ならいったい誰の気配だったのかしら……、ん?これは」
「マリス様、何か見つけたのですか?」
とりあえず小屋の中を見渡しながら歩いてみると、窓から入って来る光を浴びて輝く糸のような物が目に映る。
その場に屈んで触れてみると、髪の毛のような手触りで……
「えぇ、髪の毛かしら……それも凄い長い……」
「髪の毛?それにしては本当に凄い長いな、ここまで長かったら床に着いてるんじゃないか?です」
「……鮮やかで綺麗なピンク色ですね、もしかして他に奴隷として捕まった人がいたのでは?」
「なら追わないと……」
セレスティア以外に捕まって奴隷にされている人がいるのかもしれない。
そう思うと、今すぐにでも助けてあげたいし……でも、この小屋の中にあるであろう奴隷契約の書類を探すのも必要で、ここにいる三人では人の手が足りない気がする。
「なら俺が急いでリバスト護衛騎士隊長に連絡してきます!」
そんな私の気持ちを察したのか、アーロが走って小屋を出て行く。
「……アーロ」
「あの子なりにマリス様の力になろうと必死なようね」
「えぇ、私の立派な使用人で未来の護衛騎士だもの……、察してくれて嬉しいわ」
「そうですね……では、今は私達に出来る事をやりましょうか、奴隷契約の書類があの行商人の荷物にあると思いますし」
ヘルガはそう言葉にすると、行商人の荷物だと思われる一つの大きなカバンに向かってある出す。
そして何かの仕掛けが無いか確認するかのように確認をしたかと思うと、持ち手を強く握って勢いよく壁に向かって投げつけた。
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