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過去に遡って……
19話
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とりあえずアーロの事に関してはこれでいいけど私の服はどうしよう。
脱がされて上だけ肌着になってしまっているのは凄い恥ずかしい。
「あの……ステラ、私が着る服って何かあったりする?」
「マリスお嬢様がお召しになられる服ですか……この家には女性物の服は私のしか、あ、いえ少しだけお待ちください……確かお隣に年頃の娘がいるのでもしかしたら子供の頃の服が残ってるかもしれません」
「母ちゃん、それなら俺が取って来るよ……ほら、マリス様を脱がしちまったの俺だし」
「いえ、私が行くわ……いきなり男の子が尋ねて来て女の子の服を貸して欲しい何て来たら、ただでさえ働いてないのに更に周囲からの評判が下がってしまうわよ」
「俺は外に出ないんじゃなくて勉強してんだよ、畑を継げねぇ以上モンスター狩りしか出来る事無いんだから、奴らの事を俺なりに調べてんだ」
調べてるって……モンスターに関しての資料は町長等、町や村を管理する役職の方が管理してるから、アーロのような子供が独学で調べる事は出来ない筈。
「という事だからマリスお嬢様の事頼んだわよ?……くれぐれも変な事をしないようにね」
「しねぇよ!母ちゃんがいつも女の子には優しくしろって言ってんだろ?だから大丈夫だって」
「……信じてるからね」
そうしてステラが急いで家を出ると私はアーロの方を見て……
「……私を脱がしてあんな事したのに良くそんな事を言えるわね」
「いや、だからあれはほんと悪かったって……だから責任取って」
「悪いけど私は貴族であなたは平民よ?夫婦になんてなれないわよ……だから護衛騎士になって貰うの、精々これから頑張ってよね」
「それは分かったけど、俺は成人するまでの間何をしてればいいんだ?」
「えっと……考えてなかったかも、町長さんの所に行ってモンスターの本を読んだり、身体を鍛える為に剣を振ったりとか?」
アーロがこの町で出来る事と言ったらそれ位?いや……一応平民だから税を納める為の仕事はした方がいいと思うし。
けど私が思いつくのはそれくらいで……えっと、どうすればいいんだろ。
「剣を振るよりも、兄貴が親父から継いだ畑を手伝いに行って、農具を振ってた方が身体が鍛えられるよ」
「……そうなの?」
「マリス様は知らないと思うけど、畑仕事ってかなりの力仕事なんだぜ?雪が降るまでの間重い農具を使って地面を耕したり、刈り取る作業は慣れてる大人達でも悲鳴を上げる程だからな」
「知らなかったわ、私……お野菜は収穫が終わった物しか見た事無かったし、お肉やパンもそうだけど調理された状態の物しか今まで見た事無かったもの」
「まぁ、貴族様はそうだろうな、平民だって凄い頑張ってるんだぜ?……まぁ俺はやる気が無いからこうやって畑仕事しないでモンスターについて調べたりしてたんだけどさ──」
それってそんな自慢気に言う事なの?って思うけど、触れてしまったら話がこじれそうだから敢えて何も言わない。
だってやり直す前の一番最初の人生の時にお母様が教えてくれたもの……
『マリス、人との会話は時に何も言わずに黙っている方が必要なの……あなたは分からないでしょうけど、黙する事も会話なのよ』
って……まぁ当時の私はそれがどういう事か分からずに、そのまま学園に行って色々とやらかしたり恥ずかしい目にあったけど、この何度か死んでやり直してる今なら分かる気がする。
敢えて黙って何も言わない事で、相手は自分の話を聞いてくれていると感じて話を次に繋げやすくなるのかもしれない。
「──ってな感じで、町長と一緒にモンスターの間引き作業に参加した人達に聞いて色々と俺なりに調べたんだよ」
「へぇ……凄いのね」
「だろ?そこで特にやべぇって思ったのはスライムなんだよな……、あいつら身体が液体で出来てて物理的な攻撃、例えば殴るとか蹴るとかあるじゃん?それが効かなくて領主様の魔法や、町長が持ってる魔法の道具が無いと倒せないらしいんだよ」
「……?魔法って平民は使えないの?」
「ん?あぁ……一部では平民でも生まれつき魔力って言うのが凄いある一族が一子相伝の技術っつう不思議な技を使う、魔法使いって呼ばれてる奴等って位だって聞いた事あるけど、見た事無いから知らね、むしろ魔法が使えるのは貴族や使用人の中でも主人に気に入られた奴しか基本的に使えないって母ちゃんから聞いた事あるぜ?、だから俺達平民に出来るのは精々武器を振るか領主様や町長を守る為の肉壁になる位だよ」
お父様やお母様が当たり前のように魔法を使ってたからそれが当然だと思ってた。
けど実際は使える人が限られる物だったみたいで、今まで私が常識だと感じていた物が音を立てて崩れるような感覚に襲われる。
確かに……死んでやり直す前、魔王だった時も私を討伐しに来た勇者と呼ばれる人達は魔法を使って来る人は滅多にいなかった気がする。
剣に魔力を込めて光らせて、我が国に伝わる聖剣とかいう人がいたり……禍々しく脈打っている黒い血管のような物を浮かべた武器に、自身の血を吸わせて魔力の刃を飛ばしたりしてくる変な人なら見た事あるけど、あれ等は魔法って言うよりも武器が特殊なんだと思う。
だって……魔力を全部吸われてカラカラの死体になったり、血を全て失ってその場で死んでしまったりとか、思い出すだけで恐怖その物で……頭の中に当時の記憶が浮かぶだけでも吐き気や眩暈に襲われそうになる。
今は一度死んで人生をやり直してる最中だというのに……
「おい、顔色が悪いけど大丈夫か?」
「……ちょっとダメかも、横になれる場所とかあるかしら」
「あぁ、それなら俺のベッドを使えよ、母ちゃんが戻って来るまで寝てていいからさ」
「うん、じゃあ……そうさせて貰うわね」
アーロの言葉に甘えてベッドを借りるけど……何だか変な感じがする。
木の板に直接シーツを敷いたかのような感じがして、背中が痛くなりそうって言うか何時もの身体が沈んで優しく包まれるような心地よさが無い。
もしかして……平民が使うベッドってこんな劣悪な環境なの?って思いながら眼を閉じると、手を優しく包まれるような感じがして薄く眼を開ける。
すると……私の手を握りながら、頭を撫でてくれるアーロの姿があって、幼い頃お昼寝の時間にステラが良くやってくれたのを思い出して懐かしい気持ちになった。
脱がされて上だけ肌着になってしまっているのは凄い恥ずかしい。
「あの……ステラ、私が着る服って何かあったりする?」
「マリスお嬢様がお召しになられる服ですか……この家には女性物の服は私のしか、あ、いえ少しだけお待ちください……確かお隣に年頃の娘がいるのでもしかしたら子供の頃の服が残ってるかもしれません」
「母ちゃん、それなら俺が取って来るよ……ほら、マリス様を脱がしちまったの俺だし」
「いえ、私が行くわ……いきなり男の子が尋ねて来て女の子の服を貸して欲しい何て来たら、ただでさえ働いてないのに更に周囲からの評判が下がってしまうわよ」
「俺は外に出ないんじゃなくて勉強してんだよ、畑を継げねぇ以上モンスター狩りしか出来る事無いんだから、奴らの事を俺なりに調べてんだ」
調べてるって……モンスターに関しての資料は町長等、町や村を管理する役職の方が管理してるから、アーロのような子供が独学で調べる事は出来ない筈。
「という事だからマリスお嬢様の事頼んだわよ?……くれぐれも変な事をしないようにね」
「しねぇよ!母ちゃんがいつも女の子には優しくしろって言ってんだろ?だから大丈夫だって」
「……信じてるからね」
そうしてステラが急いで家を出ると私はアーロの方を見て……
「……私を脱がしてあんな事したのに良くそんな事を言えるわね」
「いや、だからあれはほんと悪かったって……だから責任取って」
「悪いけど私は貴族であなたは平民よ?夫婦になんてなれないわよ……だから護衛騎士になって貰うの、精々これから頑張ってよね」
「それは分かったけど、俺は成人するまでの間何をしてればいいんだ?」
「えっと……考えてなかったかも、町長さんの所に行ってモンスターの本を読んだり、身体を鍛える為に剣を振ったりとか?」
アーロがこの町で出来る事と言ったらそれ位?いや……一応平民だから税を納める為の仕事はした方がいいと思うし。
けど私が思いつくのはそれくらいで……えっと、どうすればいいんだろ。
「剣を振るよりも、兄貴が親父から継いだ畑を手伝いに行って、農具を振ってた方が身体が鍛えられるよ」
「……そうなの?」
「マリス様は知らないと思うけど、畑仕事ってかなりの力仕事なんだぜ?雪が降るまでの間重い農具を使って地面を耕したり、刈り取る作業は慣れてる大人達でも悲鳴を上げる程だからな」
「知らなかったわ、私……お野菜は収穫が終わった物しか見た事無かったし、お肉やパンもそうだけど調理された状態の物しか今まで見た事無かったもの」
「まぁ、貴族様はそうだろうな、平民だって凄い頑張ってるんだぜ?……まぁ俺はやる気が無いからこうやって畑仕事しないでモンスターについて調べたりしてたんだけどさ──」
それってそんな自慢気に言う事なの?って思うけど、触れてしまったら話がこじれそうだから敢えて何も言わない。
だってやり直す前の一番最初の人生の時にお母様が教えてくれたもの……
『マリス、人との会話は時に何も言わずに黙っている方が必要なの……あなたは分からないでしょうけど、黙する事も会話なのよ』
って……まぁ当時の私はそれがどういう事か分からずに、そのまま学園に行って色々とやらかしたり恥ずかしい目にあったけど、この何度か死んでやり直してる今なら分かる気がする。
敢えて黙って何も言わない事で、相手は自分の話を聞いてくれていると感じて話を次に繋げやすくなるのかもしれない。
「──ってな感じで、町長と一緒にモンスターの間引き作業に参加した人達に聞いて色々と俺なりに調べたんだよ」
「へぇ……凄いのね」
「だろ?そこで特にやべぇって思ったのはスライムなんだよな……、あいつら身体が液体で出来てて物理的な攻撃、例えば殴るとか蹴るとかあるじゃん?それが効かなくて領主様の魔法や、町長が持ってる魔法の道具が無いと倒せないらしいんだよ」
「……?魔法って平民は使えないの?」
「ん?あぁ……一部では平民でも生まれつき魔力って言うのが凄いある一族が一子相伝の技術っつう不思議な技を使う、魔法使いって呼ばれてる奴等って位だって聞いた事あるけど、見た事無いから知らね、むしろ魔法が使えるのは貴族や使用人の中でも主人に気に入られた奴しか基本的に使えないって母ちゃんから聞いた事あるぜ?、だから俺達平民に出来るのは精々武器を振るか領主様や町長を守る為の肉壁になる位だよ」
お父様やお母様が当たり前のように魔法を使ってたからそれが当然だと思ってた。
けど実際は使える人が限られる物だったみたいで、今まで私が常識だと感じていた物が音を立てて崩れるような感覚に襲われる。
確かに……死んでやり直す前、魔王だった時も私を討伐しに来た勇者と呼ばれる人達は魔法を使って来る人は滅多にいなかった気がする。
剣に魔力を込めて光らせて、我が国に伝わる聖剣とかいう人がいたり……禍々しく脈打っている黒い血管のような物を浮かべた武器に、自身の血を吸わせて魔力の刃を飛ばしたりしてくる変な人なら見た事あるけど、あれ等は魔法って言うよりも武器が特殊なんだと思う。
だって……魔力を全部吸われてカラカラの死体になったり、血を全て失ってその場で死んでしまったりとか、思い出すだけで恐怖その物で……頭の中に当時の記憶が浮かぶだけでも吐き気や眩暈に襲われそうになる。
今は一度死んで人生をやり直してる最中だというのに……
「おい、顔色が悪いけど大丈夫か?」
「……ちょっとダメかも、横になれる場所とかあるかしら」
「あぁ、それなら俺のベッドを使えよ、母ちゃんが戻って来るまで寝てていいからさ」
「うん、じゃあ……そうさせて貰うわね」
アーロの言葉に甘えてベッドを借りるけど……何だか変な感じがする。
木の板に直接シーツを敷いたかのような感じがして、背中が痛くなりそうって言うか何時もの身体が沈んで優しく包まれるような心地よさが無い。
もしかして……平民が使うベッドってこんな劣悪な環境なの?って思いながら眼を閉じると、手を優しく包まれるような感じがして薄く眼を開ける。
すると……私の手を握りながら、頭を撫でてくれるアーロの姿があって、幼い頃お昼寝の時間にステラが良くやってくれたのを思い出して懐かしい気持ちになった。
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