18 / 23
第一章 目覚めたらそこは……
17話 食の好み
しおりを挟む
口に入れて味がする事に思わず驚いてしまい固まってしまう。
もしやとは思うが、味覚が無くなったのでは無く……感じづらくなっただけなのかもしれない。
そうだった場合少しずつ味を薄くしていけば治る可能性がある
(病気になりそうなくらいに甘い……、リーゼちゃん、ミコトちゃん大丈夫?)
(無理……、甘すぎて気持ち悪い、でも食感はいいからなんだか頭の中がおかしくなりそう)
(……だよね、でもキクちゃんから出されたのを残すのは失礼だと思うから、お姉ちゃんが全部食べるね?)
(セツ姉!?無理しちゃだめだよ!兄貴も止めて!)
頭の中が二人の会話で賑やかだ。
止めてと言われるが、個人的にはしっかりと味がして美味しく感じる分出来る事なら全て食べてしまいたいくらいだ。
「えっと……キクさん、これ作るときに味見とかしたの?」
「してないけど?……料理は全部見様見真似でやれば美味しく出来るものでしょ?」
「……全然美味しくないよ?試しに食べてみて?」
「え?うん……、うわぁなにこれ病気になりそう」
「キクさんこんなの出しちゃだめだよ……、兄貴もそう思うで……しょ?」
ミコトがこちらを見て言葉を詰まらせる。
黙々と食べているだけなのにいったいどうしたというのか……、まるで危険な物を見るような顔をされても困るのだが。
「えっとイフリーゼ……、作った私が言うのもどうかと思うけど無理して食べないでいいんだけど?」
「無理はしていない、むしろ味がしっかりとしていて美味しく感じるくらいだな……、二人がいらないのなら全部食べるから貰うぞ?」
「え。えぇ……あの本当においしいの?」
「あぁ、これなら毎日でも食べたい位だな、個人的にはもっと味が濃い方が好みだ」
「な、ならイフリーゼがここに泊まる時に私がここに居たら、特別に私があなたの面倒を見てあげるわ、か、感謝する事ね!」
顔を赤くしながら言うがそんなに嬉しいのだろうか。
そもそも出された食事はしっかりと食べるのは当たり前のだと思うが……。
(兄貴……、これ本当においしいの?)
(あぁ、だから大丈夫だ、ミコトとセツナの分も含めて私が全部食べる)
(リーゼちゃん、無理しないでね?)
(無理はしない)
そう頭の中で会話をしながら無言で出された物を食べ終わると、キクが急いで空いたお皿をまとめて持ち立ち上がり……
「じゃ、じゃあ!私もう行くから皆はゆっくり休んでよね!後で夕飯とか持ってくるから!」
「あぁ、楽しみにしている」
「あなたの分は私が責任を持って作るから、覚悟しとく事ね!」
「食事に覚悟も無いだろう?さっきの美味しさでキクの食事について信用をしているからな」
「う、うるさいわよ!もう!なんなのあなたっ!ほんっと……ありがと」
そういうと耳まで赤らめて部屋を出て行くが、何ていうか忙しい奴だ。
とはいえ先ほどまで賑やかだったこの部屋が彼女が出て行った事で静かになってしまい……。
「……賑やかだったな」
「兄貴が誰かと話していて楽しそうにしてるところ私初めて見たかも」
「そうか?」
「うん……、私が覚えてる兄貴っていつも私の事を心配してたりそれ以外だと、いつも何かに悩んだような顔ばかりしてたからさ」
(リーゼちゃんは思いつめやすい性格してるからね……、でも自分が正しいと思った事には真っすぐに動けるところもあるから、お姉ちゃんは大好きだよ?)
思いつめやすい性格である事は自分でも自覚している。
ただ……大戦の時は覚えている限りではその性格が災いして非常になれなかった。
戦った者たちはみな大事なものを守ろうと必死だったが、私はその者達を誰一人として殺す事が出来ず、氷に閉じ込めていつ目覚めるのか分からない眠りへとと落としただけだ。
それに関して誰かが笑顔で何かを言っていた気がするが、それが何かはぼんやりとして思い出せそうにない。
「……まぁ、過去の事よりも大事なことは今だ、とりあえずだが明日の事はどうする?」
「明日ってそのまま洞窟に帰るんじゃないの?」
「予定としてはそうだが、昇格試験の事も然りまずはどんな事をするのか情報を集めたりした方が良いのではないか?」
(でもどうするの?)
どうするかまでは考えてはいないが、どこかしらに過去の昇格試験の記録がある筈だ。
それを見る事さえできるのなら問題ないだろう。
「それならさ兄貴、先輩の冒険者に聞けばいいんじゃない?」
「先輩?私達と繋がりがある冒険者か……」
(それならお夕飯の時にキクちゃんに聞いてみたら良いんじゃないかな)
「……なるほど、確かにキクなら教えてくれそうだな」
「なら決まりだね、それなら兄貴に任せちゃおうかな……多分だけど私よりも兄貴の方がキクさんと仲良くなれそうだし」
……何故私に対応を任せるのかと一瞬不満に思ったが、ミコトがそういうのなら試してみるのも良いだろう。
そう思いながら夕飯の時間まで特にやることが無い私達は今頃洞窟はどうなっているのだろうかと話しつつゆっくりと時間をつぶすのだった。
もしやとは思うが、味覚が無くなったのでは無く……感じづらくなっただけなのかもしれない。
そうだった場合少しずつ味を薄くしていけば治る可能性がある
(病気になりそうなくらいに甘い……、リーゼちゃん、ミコトちゃん大丈夫?)
(無理……、甘すぎて気持ち悪い、でも食感はいいからなんだか頭の中がおかしくなりそう)
(……だよね、でもキクちゃんから出されたのを残すのは失礼だと思うから、お姉ちゃんが全部食べるね?)
(セツ姉!?無理しちゃだめだよ!兄貴も止めて!)
頭の中が二人の会話で賑やかだ。
止めてと言われるが、個人的にはしっかりと味がして美味しく感じる分出来る事なら全て食べてしまいたいくらいだ。
「えっと……キクさん、これ作るときに味見とかしたの?」
「してないけど?……料理は全部見様見真似でやれば美味しく出来るものでしょ?」
「……全然美味しくないよ?試しに食べてみて?」
「え?うん……、うわぁなにこれ病気になりそう」
「キクさんこんなの出しちゃだめだよ……、兄貴もそう思うで……しょ?」
ミコトがこちらを見て言葉を詰まらせる。
黙々と食べているだけなのにいったいどうしたというのか……、まるで危険な物を見るような顔をされても困るのだが。
「えっとイフリーゼ……、作った私が言うのもどうかと思うけど無理して食べないでいいんだけど?」
「無理はしていない、むしろ味がしっかりとしていて美味しく感じるくらいだな……、二人がいらないのなら全部食べるから貰うぞ?」
「え。えぇ……あの本当においしいの?」
「あぁ、これなら毎日でも食べたい位だな、個人的にはもっと味が濃い方が好みだ」
「な、ならイフリーゼがここに泊まる時に私がここに居たら、特別に私があなたの面倒を見てあげるわ、か、感謝する事ね!」
顔を赤くしながら言うがそんなに嬉しいのだろうか。
そもそも出された食事はしっかりと食べるのは当たり前のだと思うが……。
(兄貴……、これ本当においしいの?)
(あぁ、だから大丈夫だ、ミコトとセツナの分も含めて私が全部食べる)
(リーゼちゃん、無理しないでね?)
(無理はしない)
そう頭の中で会話をしながら無言で出された物を食べ終わると、キクが急いで空いたお皿をまとめて持ち立ち上がり……
「じゃ、じゃあ!私もう行くから皆はゆっくり休んでよね!後で夕飯とか持ってくるから!」
「あぁ、楽しみにしている」
「あなたの分は私が責任を持って作るから、覚悟しとく事ね!」
「食事に覚悟も無いだろう?さっきの美味しさでキクの食事について信用をしているからな」
「う、うるさいわよ!もう!なんなのあなたっ!ほんっと……ありがと」
そういうと耳まで赤らめて部屋を出て行くが、何ていうか忙しい奴だ。
とはいえ先ほどまで賑やかだったこの部屋が彼女が出て行った事で静かになってしまい……。
「……賑やかだったな」
「兄貴が誰かと話していて楽しそうにしてるところ私初めて見たかも」
「そうか?」
「うん……、私が覚えてる兄貴っていつも私の事を心配してたりそれ以外だと、いつも何かに悩んだような顔ばかりしてたからさ」
(リーゼちゃんは思いつめやすい性格してるからね……、でも自分が正しいと思った事には真っすぐに動けるところもあるから、お姉ちゃんは大好きだよ?)
思いつめやすい性格である事は自分でも自覚している。
ただ……大戦の時は覚えている限りではその性格が災いして非常になれなかった。
戦った者たちはみな大事なものを守ろうと必死だったが、私はその者達を誰一人として殺す事が出来ず、氷に閉じ込めていつ目覚めるのか分からない眠りへとと落としただけだ。
それに関して誰かが笑顔で何かを言っていた気がするが、それが何かはぼんやりとして思い出せそうにない。
「……まぁ、過去の事よりも大事なことは今だ、とりあえずだが明日の事はどうする?」
「明日ってそのまま洞窟に帰るんじゃないの?」
「予定としてはそうだが、昇格試験の事も然りまずはどんな事をするのか情報を集めたりした方が良いのではないか?」
(でもどうするの?)
どうするかまでは考えてはいないが、どこかしらに過去の昇格試験の記録がある筈だ。
それを見る事さえできるのなら問題ないだろう。
「それならさ兄貴、先輩の冒険者に聞けばいいんじゃない?」
「先輩?私達と繋がりがある冒険者か……」
(それならお夕飯の時にキクちゃんに聞いてみたら良いんじゃないかな)
「……なるほど、確かにキクなら教えてくれそうだな」
「なら決まりだね、それなら兄貴に任せちゃおうかな……多分だけど私よりも兄貴の方がキクさんと仲良くなれそうだし」
……何故私に対応を任せるのかと一瞬不満に思ったが、ミコトがそういうのなら試してみるのも良いだろう。
そう思いながら夕飯の時間まで特にやることが無い私達は今頃洞窟はどうなっているのだろうかと話しつつゆっくりと時間をつぶすのだった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
なろう390000PV感謝! 遍歴の雇われ勇者は日々旅にして旅を住処とす
大森天呑
ファンタジー
〜 報酬は未定・リスクは不明? のんきな雇われ勇者は旅の日々を送る 〜
魔獣や魔物を討伐する専門のハンター『破邪』として遍歴修行の旅を続けていた青年、ライノ・クライスは、ある日ふたりの大精霊と出会った。
大精霊は、この世界を支える力の源泉であり、止まること無く世界を巡り続けている『魔力の奔流』が徐々に乱れつつあることを彼に教え、同時に、そのバランスを補正すべく『勇者』の役割を請け負うよう求める。
それも破邪の役目の延長と考え、気軽に『勇者の仕事』を引き受けたライノは、エルフの少女として顕現した大精霊の一人と共に魔力の乱れの原因を辿って旅を続けていくうちに、そこに思いも寄らぬ背景が潜んでいることに気づく・・・
ひょんなことから勇者になった青年の、ちょっと冒険っぽい旅の日々。
< 小説家になろう・カクヨム・エブリスタでも同名義、同タイトルで連載中です >

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる