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しおりを挟む天王寺の愛撫は丁寧だった。
その価値をましろ自身に教えるように、指と唇が丹念に身体を辿っていく。
普段意識をしていないような場所も天王寺に触れられると気持ちが良くて、身体が震えて甘い声が漏れてしまって恥ずかしい。
臍から胸まで舐め上げられると身体の中心が疼き、首をもたげて震える先端から蜜が溢れたのがわかった。
「あっ、あ……、」
雫が伝い落ちる感触にも感じて、そこにもっと直接的な刺激がほしくなってしまう。
「ち……さま、あっ……切ないです、」
「擦って欲しいのか?」
「んっ……、はしたなくて、ごめんなさ……」
そんなところを触って欲しいと強請るなんて、嫌われてしまったらどうしようと心配になる。
それでも縋ることができるのは天王寺しかいなくて。
恐る恐る見上げると、額に優しいキスが降った。
「いつも欲しがっているのは俺の方だ。……お前も、もっと」
「ちーさま……、あ!あ……っ、」
ましろも欲しがっていいのだと教えられ、ほっとしたのも束の間、伸びてきた熱い手に硬くなった性器を握り込まれる。
それだけでびくんと腰が跳ねて、摩擦を加えられるまでもなく、天王寺の手を汚してしまった。
「っぁ…………、は、……」
「我慢させてしまっていたな」
天王寺がもう片方の手で、宥めるように頭を撫でてくれる。
だが、熱を解放したのに、切なさが完全に消えてくれない。
天王寺が欲しい。
天王寺にももっと気持ちよくなってもらいたい。
……ましろも欲しがっていいと思ってくれるのならば。
「ちぃ……さま……も、」
「ましろ……」
整わない息のまま、一緒に気持ちよくなりたいのだと想いを込めて見上げると、天王寺はぐっと眉を寄せ、すぐにましろをうつぶせにひっくり返した。
両手で割り開くように秘められた場所を暴かれてしまい、恥ずかしさに手繰った枕に顔を埋める。
「や、だめ……っ」
吐息がかかり、震える蕾に舌を差し入れられると、背筋がぞくりと慄いた。
羞恥も戸惑いもあるが、もはやましろの身体は、覚えてしまったその先の快楽への期待を始めている。
硬くした舌で入口を押し拡げるようにされることも、指で内壁を擦られることも、全部気持ちがいい。
再び勃ち上がったものがシーツに擦れ、いけないと思うのに腰が動いてしまう。
「あっ、あぁ……っ、ん、ちー様……っ」
「痛くないか?」
「は、い……っ、あっ、そこ、したら……っ、ぁ」
腹側にある膨らみをこりこりされると、きゅうっと爪先が丸まり、指を締めつけながら、再び達してしまっていた。
「ぅ……」
「ましろ」
「あ……」
立て続けの絶頂に力が抜けて身動きできずにいると、低く抑えた声で名前を呼ばれ、どきりと鼓動が跳ねた。
次の瞬間、押し当てられた太いものが、ぐっと入ってくる。
「っぁ、あぁっ…」
衝撃にシーツを掻くと、その手をぎゅっと握られた。
「ましろ……っ」
切実な声音に胸が騒ぐ。
今、天王寺はどんな顔をしているのだろう。
どうしてそんな声で自分を呼ぶのか。
振り返ろうとしたが、抽挿が開始されたことでそれどころではなくなってしまう。
「あっ、あっ、あぁっ……、んっ、あ……!ち……さま、ちぃ、さまっ……」
乱暴ではないが、どこか余裕のない動きで奥を突かれ、声が止まらなくなる。
繋がっていることが嬉しい。
天王寺の本当の気持ちはわからないけれど、望んで貰えるのならば、ましろを全て差し出したかった。
「あ、あっ、やぁ、おく、きもち……っあ!」
「っく、」
「あぁ…………っ!」
最奥に熱いものが注がれて、彼が自分で快楽を得てくれていたのだと思うと、ましろもまた何度目かの絶頂に押し上げられる。
「、……は……」
「……ましろ」
まだ息も乱れたまま、天王寺はましろを抱き締めた。
強い抱擁が、彼の気持ちのような気がして、ほっと息を吐く。
「きもち……よかった、ですか……?」
「……………ああ」
「よかった……」
微笑んだましろは、ぎゅっとその腕を抱き締め返した。
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