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しおりを挟む「納得できたようだし、続けるぞ?」
そうだった。
御薙の気持ちが確認出来てよかったよかった…で終わりではなく、これから始まるところだったのだ。
改めて確認されるとなんだか恥ずかしくてつい逃げたくなってしまうが、もう制止する理由は一つも残っていない。覚悟を決めるしかなかった。
「おおお手柔らかにお願いします…」
「……それはどうだろうな?」
「えっ、なん、ふぁ…っ?」
不穏な言葉と共に鎖骨のあたりをべろりと舐められて、聞き返すつもりが間抜けな声が出てしまう。
御薙は顔を伏せたまま続けた。
「今までは、俺に抱かれるのがお前にとって不本意なことかもしれなかったから遠慮してる部分があったが、もうそこは気にしなくていいんだろ」
冬耶は(え…、あれで加減されてたの?)と凍り付く。
御薙との行為は冬耶にとってはいつも刺激的で、むしろこれまで以上に一体何があるのだろうか。
「そういうわけだから、今日からは手加減はしねえ」
「そ、それは…、あっ!」
「お前って敏感だよな」
「んっ…、そんな、こと…、」
胸の先に強く吸いつかれ、もう片方は揉みしだかれて、今更女性の体になっていたことを思い出した。
話しているうちに体が変化したことをすっかり忘れて、ずっと『冬耶』として会話をしていた。
そんなところでも、御薙は本当にどちらの姿でも同じ人間と認識してくれているのだと実感する。
こっそり感動している間も、胸を弄る手はそのままに、もう片方の手が下へと滑っていった。
柔らかい肉をかきわけ、秘められた場所へと指が滑る。
「あっ…、」
指が往復するたびいやらしい音がして、まだ大したこともしていないのにそこが湿っていることがわかった。
「お前もその気だな」
ニヤリと悪い顔に覗き込まれ、自分でも気付いていなかった己の状態を突きつけられて、耳が熱くなる。
「んぅ、待っ…、はぅ、」
ぬるりと、節の太い指が潜り込んできた。
潤いと柔らかさを確かめるような慎重な動きの後、すぐに二本に増やされる。
内部を拡げられても苦痛はなく、自分が興奮していることを思い知らされた。
「あっ、あっ…!」
中の感じてしまう場所を押されて、びくんと腰が跳ねる。
「ひゃ、そこ、ゃ…っ」
「ここ、お前の好きなところだろ」
「あっ、だ、だめ、これ…っ、」
駄目と言いながらも、指よりも太いものでそこを擦られる快楽を記憶している身体は、物欲しそうに指を食い締めて御薙の言葉を肯定した。
からかうような動きにも、腰が揺れてしまう。
「あ…、あ…っ、」
溺れかけた時、ぬぷ、と音を立てて指が抜かれた。
「っあ……、」
切ない声が漏れる。
もっと、と思ってしまったことが、恥ずかしい。
恐る恐る見上げると、御薙にはお見通しのようだった。
「もう少し色々可愛がってやりたいが、それは今後のお楽しみに取っておくな」
「ぇ…、」
「さっきから焦らされて、俺も限界だ」
体を起こした御薙が、勃ちあがったものを見せつけるように扱く。
その凶悪なサイズに、冬耶は無意識にごくりと喉を鳴らした。
「は…ッ、ん、」
襞を搔き分け、ずるりと大きなものが入ってくる。
「っ…きついな…、流石に少し早かったか。…大丈夫か?」
「んっ……」
気遣う言葉に、冬耶は何度も頷いた。
痛みはないが、とても身体が熱くて、胸の鼓動がうるさい。
理由はわかっていた。御薙と繋がることに興奮しているのだ。
身じろぐ拍子にきゅっと締め付けてしまい「急かすなよ」と笑われる。
わざとではない主張しようとしたが、すぐに御薙が抽挿を始めて、言葉にならなかった。
「んッ…、あ、はっ…、あっ!ふか、い…っ」
ぐっと打ち下ろされた楔が、恐いほど奥に入り込む。
「っ…、やべ、吸い付いて、」
「あっ、やぁ、奥、したら…っだめ、あっ、あっ、あんっ…、」
何度も突かれると、声が止まらなくなった。
「やっ、こわれ、ちゃ…っあっ、あっ、あっ…!」
ビクンと腰が跳ねて、目の前に星が散る。
急激な絶頂の後、緩やかに下りてくるはずが、御薙が動きを止めないので、下りてこられなくなった。
「あっ!待っ…、やぁ、今、いって、~~っ」
過ぎる刺激に、冬耶は半泣きで御薙を押し戻そうとする。
だが、手加減しないと公言した男は、その力ない手を取るとベッドに押さえつけて、更に冬耶を追い詰めた。
「は、っ…悪い、もう少し、」
「も、もう、無理…っ、ふぁ、あっ!あ、あぁっ…!」
やはり、手加減は必要なのではないか。
御薙に翻弄されるまま、冬耶は霞む頭の片隅で切実にそう思っていた。
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