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まだなの?
第35話 カーネと野望
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私はコンコンと妹の部屋の扉をノックする。
しかし、いつまで経っても返事は帰ってこなかった。
「リリー?開けるよ?」
仕方なくゆっくりと扉を開け、その隙間から部屋の中を確認する。
辺りには色々な物が散乱していた。
「リリー?」
少し警戒しながら部屋の扉を開き切ると、布団が妙に膨らんでいるのを発見した。
如何やらそこに隠れているらしい。
一瞬、何かの事件に巻き込まれたのかと思いヒヤッとした。
胸を撫で下ろして布団に近づくと、その場でしゃがみ込む。
「リリー。お客さんだよ」
声を掛けてみるが返事はない。
…しかしピクリともしないという事はどういう事だろうか。
臆病なリリーであればビクついたり、逃げだしたりするはずである。
「リリー?」
私が布団を少し捲ると、そこには胸に手を当て、息苦しそうに激しく息をするリリーの姿があった。
「リリー?!」
私はすぐに布団を剥すと、妹の体を揺すった。
その顔は真っ青で今にも死んでしまいそうだった。
焦る私の声を聴いてか、コランと仮面の少年も扉の縁からこちらを覗き込む。
「どうしたの?」
少年の言葉が耳に入ると、焦りでいっぱいだった私の頭に知性が戻った。
そうだ。この少年ならなんとかできるかもしれない。
「リリーが!妹の様子がおかしいんだ!」
それを聞いた少年とコランは急いでこちらにかけてくる。
そしてリリーの様子を見た少年はおもむろに布団で妹の顔を覆った。
息苦しそうにしている妹の顔をである。
「お前!何を!」
私は少年をつき飛ばそうとするが、しゃがみこんだ少年はびくともしなかった。
その感覚はまるで岩を押しているようで、まるで動かせる気がしない。
ならば刃物で。と懐に手を伸ばしたところでコランに肩を掴まれる。
「落ち着いて!大丈夫!彼が変な事をするはずがないわ!…それに、ほら、段々リリーちゃんの呼吸が落ち着いて来てる」
コランに言われた通り、妹の様子をよく観察してみると、荒かった胸の動きがだんだんと落ち着いて来ていた。
しばらくするとリリーの呼吸は正常に戻り、それを見た少年が安堵の息を吐く。
そしてすぐに布団を妹の顔から取り払うと、妹の汗を懐から出した布で拭った。
私も安らかに息をして眠る妹の姿を見て安堵する。
一時はどうなる事かと思ったが、彼がいなければ妹を救う事は出来なかっただろう。
「すまなかった…。ありがとう」
私がお礼を言うと、彼は「いえいえ」と、笑顔で答え「こちらも勘違いをさせるような行動をとってしまい申し訳ありませんでした」と続けた。
彼は相当な御人好しらしい。
…これなら付け入る隙は十分にありそうだった。
私は再度「ありがとう」と彼に礼を言うと、リリーの容態を軸に、他愛もない話と混ぜ込んで、彼の事を聞きだしていく。
彼は本当に無防備だった。力と知識こそあれど、私の言葉は鵜呑みにし、私の聞いた事はぺらぺらと喋った。
よくこんな子どもが今まで生きてこれたと思う。
本当に力と知識だけで生き残ってきたのだとすればこんなに使える駒は無いと思った。
欲しい。手に入れたい。使いたい。私の頭をそんな感情が駆け巡る。
何のため?勿論妹の為だ。
妹と私が安心して安全な場所で暮らすため。その為には彼が必要なのだ。
勿論彼を害すつもりもない。
その庇護下に置いてもらえば、お零れを貰えればそれで十分なのだ。
私は彼に心から感謝しつつ、その甘美な香りに舌なめずりをする。
絶対に逃がさない。私の、私達の獲物なのだから。
しかし、いつまで経っても返事は帰ってこなかった。
「リリー?開けるよ?」
仕方なくゆっくりと扉を開け、その隙間から部屋の中を確認する。
辺りには色々な物が散乱していた。
「リリー?」
少し警戒しながら部屋の扉を開き切ると、布団が妙に膨らんでいるのを発見した。
如何やらそこに隠れているらしい。
一瞬、何かの事件に巻き込まれたのかと思いヒヤッとした。
胸を撫で下ろして布団に近づくと、その場でしゃがみ込む。
「リリー。お客さんだよ」
声を掛けてみるが返事はない。
…しかしピクリともしないという事はどういう事だろうか。
臆病なリリーであればビクついたり、逃げだしたりするはずである。
「リリー?」
私が布団を少し捲ると、そこには胸に手を当て、息苦しそうに激しく息をするリリーの姿があった。
「リリー?!」
私はすぐに布団を剥すと、妹の体を揺すった。
その顔は真っ青で今にも死んでしまいそうだった。
焦る私の声を聴いてか、コランと仮面の少年も扉の縁からこちらを覗き込む。
「どうしたの?」
少年の言葉が耳に入ると、焦りでいっぱいだった私の頭に知性が戻った。
そうだ。この少年ならなんとかできるかもしれない。
「リリーが!妹の様子がおかしいんだ!」
それを聞いた少年とコランは急いでこちらにかけてくる。
そしてリリーの様子を見た少年はおもむろに布団で妹の顔を覆った。
息苦しそうにしている妹の顔をである。
「お前!何を!」
私は少年をつき飛ばそうとするが、しゃがみこんだ少年はびくともしなかった。
その感覚はまるで岩を押しているようで、まるで動かせる気がしない。
ならば刃物で。と懐に手を伸ばしたところでコランに肩を掴まれる。
「落ち着いて!大丈夫!彼が変な事をするはずがないわ!…それに、ほら、段々リリーちゃんの呼吸が落ち着いて来てる」
コランに言われた通り、妹の様子をよく観察してみると、荒かった胸の動きがだんだんと落ち着いて来ていた。
しばらくするとリリーの呼吸は正常に戻り、それを見た少年が安堵の息を吐く。
そしてすぐに布団を妹の顔から取り払うと、妹の汗を懐から出した布で拭った。
私も安らかに息をして眠る妹の姿を見て安堵する。
一時はどうなる事かと思ったが、彼がいなければ妹を救う事は出来なかっただろう。
「すまなかった…。ありがとう」
私がお礼を言うと、彼は「いえいえ」と、笑顔で答え「こちらも勘違いをさせるような行動をとってしまい申し訳ありませんでした」と続けた。
彼は相当な御人好しらしい。
…これなら付け入る隙は十分にありそうだった。
私は再度「ありがとう」と彼に礼を言うと、リリーの容態を軸に、他愛もない話と混ぜ込んで、彼の事を聞きだしていく。
彼は本当に無防備だった。力と知識こそあれど、私の言葉は鵜呑みにし、私の聞いた事はぺらぺらと喋った。
よくこんな子どもが今まで生きてこれたと思う。
本当に力と知識だけで生き残ってきたのだとすればこんなに使える駒は無いと思った。
欲しい。手に入れたい。使いたい。私の頭をそんな感情が駆け巡る。
何のため?勿論妹の為だ。
妹と私が安心して安全な場所で暮らすため。その為には彼が必要なのだ。
勿論彼を害すつもりもない。
その庇護下に置いてもらえば、お零れを貰えればそれで十分なのだ。
私は彼に心から感謝しつつ、その甘美な香りに舌なめずりをする。
絶対に逃がさない。私の、私達の獲物なのだから。
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