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50-2 ウランさんのお茶
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部屋に戻って寛いでいると、シャルさんからウランさんが帰ってきたと知らされた。
知らされついでに服まで着替えさせられた。
嫌な予感しかしない。
で、案の定ウランさんの部屋に行って茶葉を渡したらコレだ。
ウランさんのOTZ。不憫で仕方ない。
ウランさんの私室にお邪魔するのは、初めてだった。
お忙しいからと入り口で断ったけど、勧められて部屋に入る。
「今日は特別可愛らしいですね。そんな貴女が訪ねてきてすぐ帰すわけにはいきません。」
そうかそうか、この衣装のチョイスはシャルさんです。
明日は朝早いので、マリちゃんも帰ってきた。
『僕もう免許皆伝なんだ!』と嬉しそうにしている。
ナデナデをせがむマリちゃんを一旦肩に乗せ、両手でウランさんに贈り物を渡す。
「昨日街に出かけたので、いつもお世話になっているお礼に、と。お茶なのですが。。。」
と渡したら、すごく嬉しそうに「開けても?」なんて聞くから、「もちろん。」と答えましたさ。
包みを開けた瞬間、ウランさんの顔は紅くなり、信じられないと言った風で手を口に当てた。
そんなに好きなお茶なの?
なんて思う程抜けてはおりません。
シャルさんに嵌められたらしい。
「…これの意味をご存知ですか?」
「シャルさんからお好きなお茶だと聞きましたので。」
即答したら、「そうですか、そうですよね。」と膝からフニャフニャと崩れ落ちたのであります。
私悪くないよね?!でも、なにこの罪悪感。デジャブ感。
「すみません。どう言う意味があったのでしょうか?」
「これは、『会えない間寂しいです。』と言う意味があります。だから、一緒にこのお茶を飲んで気持ちを温めあいましょう、と。
シャルにはお仕置きが必要ですね。」
「なんだ、あながち間違いじゃなくて良かったです。」
ベタに『愛してます』とか『Kiss me』とかの意味かと思ったけど、それぐらいなら許容範囲。
包みにお茶を戻そうとしていたウランさんの手がぴたりと止まる。表情は『無』だ。あれぇ?
「こちらに来てから、みんなと離れるの初めてですから、やっぱりちょっと緊張します。」
「では、一杯お茶はいかがですか?」
そう言って、しまいかけたお茶を見せてくれた。
あ、と思ったけど気づかないふりをして元気に返事をする。
「はい!」
ウランさんは笑いを堪えながらお茶の準備をしに行ってくれた。しかし、こっちの文化をもっと勉強しなきゃ。
さっきの茶葉のパッケージには天蓋付きのベッドが書いてあった。買う時は深く考えてませんでした。そう言えば店員さんが意味深な笑顔だったような?
まぁ、寒い夜に飲むって意味もあるんだろうけど、ね。
意味は『Kiss me』より酷かった。
お茶はとても美味しかったし、もっと寒い季節ならもっと美味しかっただろう。
「ところで何故ハンコを指に差しているのですか?」
唐突にウランさんに聞かれた。やっぱりハンコは指に差すものじゃないよねぇ。
「サンサンに貰ったんです。万一の時にも使えるそうなので、お守りみたいに肌身から離さず持っておこうかと思ったんですけど、小さいものだから。」
と右手の小指を見せる。
「でも、ぶかぶかですよ?余計無くしそうに思いますが。」
「ほんとは左手の薬指にピッタリなんですけど、流石にそこに嵌る訳には行かなくて。」
「何故ですか?」
興味深そうに聞いてくるので、こちらに結婚指輪と言う文化はないらしい。
「私の国では結婚すると指輪を贈りあって左手の薬指に嵌るという習慣があるんです。」
「それは、面白いですね。」
ウランさんは、徐おもむろに首周りから細いチェーンを取り出した。それにはいくつかハンコがぶら下がっている。それを外して、私のハンコを通す。それから私の後ろに回った。
「あの?」
「ハンコは普通このようにして待つものですよ。今はスペアが無いので、このままお使い下さい。」
チェーンを留める指が首筋にあたって、くすぐったい。
「いいんですか?」
「それは国有のハンコなので、悪用されないように常に携帯して下さいね。ハンコもチェーンも濡れても大丈夫なものなので入浴の際もお持ちください。」
あ、仕事モードね。
軽くてつけている感じがしないチェーンだ。ありがたく拝借する。
「本当に万一があってサタナ達とはぐれたら、コレを使って下さいね。」
と耳朶を指さした。
「はい、ありがとうございます。」
お茶を飲み終わり、部屋を失礼しようとしたらちゃんと入口までエスコートしてくれた。
ドアを開ける直前で、まるで壊れ物を扱うようにふんわり抱きしめられる。
「会えない間、私は寂しく想います。無事に帰ってきてください、私の愛しい人。」
そうきたか。
『ママは僕が守るから大丈夫!』
元気に答えるマリちゃんに、ウランさんはふっと笑いかけた。
「頼りにしています。小さな魔道士殿。」
部屋に戻り、マリちゃんに何度目かになる説明をする。この世界の事、私の事、私がこれからする事。マリちゃんの事。
『大丈夫!僕の準備も整ったよ!』
みんな宛に手紙を一通書いて、署名とハンコを押し、机の上に置いておく。不用意に開けられないよう表書きもバッチリだ。
これで本当に準備は全て整った。
翌朝、馬3頭に分かれて出発した。城を見上げる。
私が3ヶ月ほど過ごした所はとても大きく、暖かい居場所だった。
知らされついでに服まで着替えさせられた。
嫌な予感しかしない。
で、案の定ウランさんの部屋に行って茶葉を渡したらコレだ。
ウランさんのOTZ。不憫で仕方ない。
ウランさんの私室にお邪魔するのは、初めてだった。
お忙しいからと入り口で断ったけど、勧められて部屋に入る。
「今日は特別可愛らしいですね。そんな貴女が訪ねてきてすぐ帰すわけにはいきません。」
そうかそうか、この衣装のチョイスはシャルさんです。
明日は朝早いので、マリちゃんも帰ってきた。
『僕もう免許皆伝なんだ!』と嬉しそうにしている。
ナデナデをせがむマリちゃんを一旦肩に乗せ、両手でウランさんに贈り物を渡す。
「昨日街に出かけたので、いつもお世話になっているお礼に、と。お茶なのですが。。。」
と渡したら、すごく嬉しそうに「開けても?」なんて聞くから、「もちろん。」と答えましたさ。
包みを開けた瞬間、ウランさんの顔は紅くなり、信じられないと言った風で手を口に当てた。
そんなに好きなお茶なの?
なんて思う程抜けてはおりません。
シャルさんに嵌められたらしい。
「…これの意味をご存知ですか?」
「シャルさんからお好きなお茶だと聞きましたので。」
即答したら、「そうですか、そうですよね。」と膝からフニャフニャと崩れ落ちたのであります。
私悪くないよね?!でも、なにこの罪悪感。デジャブ感。
「すみません。どう言う意味があったのでしょうか?」
「これは、『会えない間寂しいです。』と言う意味があります。だから、一緒にこのお茶を飲んで気持ちを温めあいましょう、と。
シャルにはお仕置きが必要ですね。」
「なんだ、あながち間違いじゃなくて良かったです。」
ベタに『愛してます』とか『Kiss me』とかの意味かと思ったけど、それぐらいなら許容範囲。
包みにお茶を戻そうとしていたウランさんの手がぴたりと止まる。表情は『無』だ。あれぇ?
「こちらに来てから、みんなと離れるの初めてですから、やっぱりちょっと緊張します。」
「では、一杯お茶はいかがですか?」
そう言って、しまいかけたお茶を見せてくれた。
あ、と思ったけど気づかないふりをして元気に返事をする。
「はい!」
ウランさんは笑いを堪えながらお茶の準備をしに行ってくれた。しかし、こっちの文化をもっと勉強しなきゃ。
さっきの茶葉のパッケージには天蓋付きのベッドが書いてあった。買う時は深く考えてませんでした。そう言えば店員さんが意味深な笑顔だったような?
まぁ、寒い夜に飲むって意味もあるんだろうけど、ね。
意味は『Kiss me』より酷かった。
お茶はとても美味しかったし、もっと寒い季節ならもっと美味しかっただろう。
「ところで何故ハンコを指に差しているのですか?」
唐突にウランさんに聞かれた。やっぱりハンコは指に差すものじゃないよねぇ。
「サンサンに貰ったんです。万一の時にも使えるそうなので、お守りみたいに肌身から離さず持っておこうかと思ったんですけど、小さいものだから。」
と右手の小指を見せる。
「でも、ぶかぶかですよ?余計無くしそうに思いますが。」
「ほんとは左手の薬指にピッタリなんですけど、流石にそこに嵌る訳には行かなくて。」
「何故ですか?」
興味深そうに聞いてくるので、こちらに結婚指輪と言う文化はないらしい。
「私の国では結婚すると指輪を贈りあって左手の薬指に嵌るという習慣があるんです。」
「それは、面白いですね。」
ウランさんは、徐おもむろに首周りから細いチェーンを取り出した。それにはいくつかハンコがぶら下がっている。それを外して、私のハンコを通す。それから私の後ろに回った。
「あの?」
「ハンコは普通このようにして待つものですよ。今はスペアが無いので、このままお使い下さい。」
チェーンを留める指が首筋にあたって、くすぐったい。
「いいんですか?」
「それは国有のハンコなので、悪用されないように常に携帯して下さいね。ハンコもチェーンも濡れても大丈夫なものなので入浴の際もお持ちください。」
あ、仕事モードね。
軽くてつけている感じがしないチェーンだ。ありがたく拝借する。
「本当に万一があってサタナ達とはぐれたら、コレを使って下さいね。」
と耳朶を指さした。
「はい、ありがとうございます。」
お茶を飲み終わり、部屋を失礼しようとしたらちゃんと入口までエスコートしてくれた。
ドアを開ける直前で、まるで壊れ物を扱うようにふんわり抱きしめられる。
「会えない間、私は寂しく想います。無事に帰ってきてください、私の愛しい人。」
そうきたか。
『ママは僕が守るから大丈夫!』
元気に答えるマリちゃんに、ウランさんはふっと笑いかけた。
「頼りにしています。小さな魔道士殿。」
部屋に戻り、マリちゃんに何度目かになる説明をする。この世界の事、私の事、私がこれからする事。マリちゃんの事。
『大丈夫!僕の準備も整ったよ!』
みんな宛に手紙を一通書いて、署名とハンコを押し、机の上に置いておく。不用意に開けられないよう表書きもバッチリだ。
これで本当に準備は全て整った。
翌朝、馬3頭に分かれて出発した。城を見上げる。
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