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137 『大団円エンディング』その後で《完結》

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やあやあ、君みたいな可愛い子が来訪者だなんて驚きだよ!初めまして!この世界は君も驚く事ばかりだろう?僕はアランだ。この研究所の代表をしている。アランと呼んでくれれば良いよ。

見知らぬ世界に独りで来たんだ。心細いだろうけれど、必ず帰れるよう支援させてもらうよ!きっと君のご両親も心配されているだろう……。え?そうなの?いや、例え年頃の娘の前でもラブラブラブラブしてるようなご両親でも流石に娘が消えたら取り乱されると思うよ?ご心配なく?いやいや。

えーっと、国から渡された資料は見せて貰ったけど、本当に魔力強いんだねぇ。あ、魔力って分かんないか。来訪者がくる世界には魔法、無いらしいもんね。無いよね?
いやぁ、ごめんごめん。なんせ来訪者来るなんて、もう何百年ぶりなんだ。おまけに新時代になってからは初めて。昔は魔力と聖力があったり今と全然違っててねぇ。当時は破壊の神が定期的に世界を滅ぼしていたらしいんだよ。すごく恐ろしい話だよね。それで、来訪者の女性である魔女とか聖女って呼ばれる人が世界の寿命を延ばしたりしてたとか。まぁ、そのうち興味があったら、話聞いてよ。こう見えて僕、あの時代の研究者でその道じゃ第一人者と呼ばれてるくらいだからさ。

え?興味ある?嬉しいな。いや、でも本当にロマンの時代でもあったんだよ。特に君みたいな女性にぜひ教えたいラブロマンスや、未だに解明されてない謎がいっぱいだ。今でもその時代を題材とした人気の物語は枚挙に暇が無いんだよ。

有名なのはティラとマリアンヌの物語だけど、あれは創作だって事が分かっている。モデルは分かってるんだけどね。魔人の最後の王、テルラ。この人、なんと来訪者なんだよ。そうだ、来訪者がどれだけ僕らにとって特別かってのも、あの話をすれば分かってもらえるかもしれないなぁ。ふむ。

当時世界に恐怖を与えていた破壊神は聖女によって、この世界の守護神にされた。その時に魔力と聖力が統合されたりして今の魔法体系が出来たんだ。破壊神に戦いを挑んだのは聖女と九人のガーディアン。聖女も素晴らしい女性だけど、ガーディアンって呼ばれた男達が、これがもう全員カッコイイ。

さっき言ったテルラって人は来訪者で、聖女の幼馴染だった。聖女の国から聖女と共にこちらに飛ばされたんだけど、聖より三年も前の時間軸に到着して、なんと聖女が来るまでに魔人の王になったんだよ。本当に凄い。戦いの後は聖女が世界の王となったんだけど、その下で今の世界の基礎を作るのに尽力されたんだ。

そちらの世界も王っていたのかな?こちらでは王は特別な血筋だけれど、国を動かすのは民衆から選ばれた人がメインなんだよ。前時代は王が全てを決めていたらしいから、全然違う。まぁでも、今の王族はテルラの弟で来訪者のネフと聖女ツキコの血筋だから、魔力がとんでもないしある意味神みたいなもんだけど。

え?ガーディアンのそれぞれの血筋も強いんじゃないかって?鋭い!いいね!僕と一緒に研究する?あ、しない……?

おほん、ガーディアンの血筋の魔力ももちろん強かった。だけど、今は王族と婚姻で統合されちゃったんだ。そもそも聖人の最後の王であるキュラスとその腹心だったヒノト、それからテルラの弟子ジェードの三人しか子を残さなかった。残り五人もイケメンだったらしいのにねぇ、みんな未婚。不思議だ。

この五人も謎が多くてね。あ、テルラはさっき説明したね。うん。魔人だと他に二人いる。ウランという元宰相でテルラ王の右腕たった人はね、戦いの後は研究に打ち込んで数々の発明をしたんだ。政治も出来て研究もできるなんて人、本当にいたのかって思うよ。記録は多少誇張はあるものだしね。

もう一人はサタナっていう元商人。昔の商人って魔獣が跋扈していた中行商していたからか、他にも魔力の強い人達が記録に残っている。その中でも彼は抜きん出ていた。でも、どう抜きんでていたかの詳細は不明なんだよね。戦いの後は後遺症があったらしくて、酷く長患いしていた。今なら治療魔法も確立されているんだけどねぇ。だけど、戦いの後は孤児院に財産を豪快にブッ込んだりしたとか、なかなか豪快なエピソードのある人なんだ。
とても人気者だったような記述もあるんだけれど、本当に親しかった人は一握り。その一握りの人達は彼の事を書き遺さなかった。実は闇を抱えていたのかもと僕は考えている。ロマンだ。


聖人だとカナトだね。彼は戦いの前にエピソードが多い人だ。カナトはヒノトと兄弟だった。彼らは聖人の国で神官という国王並みに権力のある一族だったんだ。だけどカナトは幼い時から強い力を持ち、更にとても信心深く、信者からかなり信頼されていた。父親が健在の時から、神官としての圧倒的な才能を認められて実質的なトップとして働いていたらしい。神に愛されすぎて、聖女が降臨する前に神隠しにあい凄い力を授かったとか、伝説の武器を具現化して仲間に渡したとか、もう人じゃ無いよね。戦いが終わった直後に消えてしまったのも、神に愛されすぎた所以と言われている。

最後に謎の男。名前すら知られていないけど、とりあえずすごく強かったそうだ。彼の情報は聖女も他のガーディアンも一切残していない。来訪者だったのでは、と考えられている。新時代になってから、時々発明者不明の画期的なマシーンや革新的な技術の進歩がある事があったんだけど、彼の活躍だという人もいたらしい。聖女が降臨される前にも似たように色んな技術が民間に広がった事が記録されていて、その時も謎の男がいたとされているからね。同一人物じゃ無いかという事だ。今となっては分からない。

謎といえば、守護神が生まれた時聖女とガーディアンには祝福が与えられたらしい。だけど、それが何だったかはほとんど伝わっていない。心の中の一番の願いだったとされている。

聖女は隠された真実を知る力を得て、ネフは聖女をこちらの世界留めるよう願ったらしい。キュラスは多分民の安寧を願ったと考えられているんだけど公式な記録では無い。まぁ、心の奥にある一番の願いなんて個人的なものだし、普通は残さないよね。君はなんだと思う?

あい?愛!いいね。鋭い!実は唯一伝わっている祝福がある。ジェードは恋人との幸せな未来を願ったって公言していたらしい。長い戦いの後にパッと思いつくのは、普通最愛の人だろうしね。

聖女の祝福の内容が分かったのも偶然と言っていいものだった。聖女が亡くなった後しばらく経ってから、聖女の日記が見つかったんだ。日記と言っても、一方的な手紙のようなものだ。宛先は元の世界にいる親友。内容は日々の出来事や思いなどだった。だけど、中身を精査しているとどうやらその親友は悪の精霊と呼ばれる存在だったと分かった。

悪の精霊というのは、昔からおとぎ話で語られてもいた存在なんだけど、実際に居たともされている。やった事は王族のパーティーを台無しにしたとかの可愛いイタズラから、村の近くに恐ろしいモンスターを放ったとかまで、まぁ色々やってた。だけど、実際に精霊にあったはずの人は記憶があいまいだっり、話しているうちに支離滅裂になったり、記憶が抜け落ちたりしていた。
聖女の日記では精霊とも世界を救うために裏で活躍したかの様に書かれている。

それが見つかった時は大騒動だったらしい。ある人はその日記が偽物か創作だ。真実なら聖女が亡くなる前に公表されていたはずだと言うし、いやいや混迷の時代にあえて過去の出来事を公表するのは更なる観覧を招くだけだったから文書で残したんだろうと主張する学者もいた。真実は不明だけれど、今ではその日記が聖女の書き記したものには違いがないと判明している。

それにどうやら精霊は聖女が来る前に元の世界に帰ったらしいんだよね。その後の目撃談も無いし。君のいた世界とこちらは時間時間は同じなのかな?君の服装やらを見る限り、聖女達と同じ時間軸から来てるように思えるんだよね。服が記録の物とよく似ている。

もしかして、それっぽい人知り合いにいない?居ないよねぇ。

え?心当たりがある?しかもガーディアンも?ちょっとまってくれ、それじゃあガーディアンと精霊は深い愛で繋がっていたって事になるよ?そう言う仕組みはあると記録にはあるけど……いや、待てよ。じゃあ神の祝福としてあちらに行きたいと願ったか?いやいや、ガーディアンは悪の精霊と面識があったと日記には書かれていたけど、彼らは完璧に精霊との記憶を失っていたとも書かれていたんだ。それこそあり得ないだろう。

うーん。あ、研究所の案内のために来てもらったのに話し込んじゃったね。ごめんごめん。だけど君の観察眼は鋭いし、話をもっと聞きたい。時間が許す限り協力してくれないかい?もちろん、当初の目的通り、異世界に帰るための研究を最優先した上でだが……かまわない?ありがとう!助かるよ!

そうだ!君のことをなんて呼んだらいいかな?できればあまり堅苦しくなく呼びたいんだけど…
え?いいの?ありがとう。可愛い響きの名前だねぇ!これからよろしく頼むよ!マリちゃん!




※あとがき
これにて本編完結です。長々とお付き合い頂きありがとうございました。

現在番外編ifとして
・サタナエンディング
・セレスエンディング
・大地、ジェード、ディナエンディング
・ウランエンディング
・カナトエンディング
・キュラスエンディング
について準備を進めております。

流石に少し疲れてしまったので、しばらく休養後に順次投稿となると思います。ご理解のほどよろしくお願いいたします。

※ifエンディング構想のために推しキャラアンケートを実施していました。ご協力ありがとうございました。
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