162 / 192
117 疲労困憊
しおりを挟む
カークの金色の長い髪は風になびいて、とても絵になった。思わず見惚れてしまうほどに。
「何見てんのよ?」
「ごめん、綺麗だなって。」
「あら♡」
「髪がね、光を受けて水面みたい。」
「髪だけ?一言多いわ。」
嘘、本当にカークは美人だ。
「バースは何か言っていた?」
なんとなく下心とやらを聞く機会を逸してしまったて、話題を戻した。
「そうね。…あんたが古文書を探しに行く少し前だったかな。バースがもう糧になりたいって言いだしてね。ナツは止めてたわ。フユやDは理由を聞いてたような気がする。それから、結局今回は止めておくって話になったの。でも、バースのテリトリーに大地とかいう人が入っちゃった時に『悪い、アキや谷の皆のことは頼んだ。やっぱり今じゃなくちゃいけねぇ。今は亡き国の神のご加護を。』って言ったきり村に出てっちゃった。あんたが悲しむだろなって分かってたのに、止めなくて悪かったわ。」
もしその時私がバースを止められる位置にいたなら、止めさせたとは思う。今でも、ニューゲームを止めるために例えばモンスターの誰かを殺さなくてはならなくなったとしたら決断できるかわからない。そういういろんな足りない覚悟のせいで、優しい周りに迷惑をかけていると思った。
「ううん。バースがその時じゃないとダメだって思った何かがあったんだと思う。私こそ気を遣わせて…ごめん…?」
目の前がチカチカして、少し気分が悪い。あれ?貧血?
「ちょっと!アキ?!」
気づくとカークの腕の中だ。
「ごめん…。なんか、しんどい。」
ここに来て、この体たらく。
「ああ、もう!謝らなくていいから!もうちょっとくらい人に甘えなさい。」
そう言ってカークは私を抱き抱えた。
「カーク?歩けるよ?」
「しーっ!あんた、分かってないわ。」
しかし何故かそのままお姫様抱っこで家路についた。
家に戻って、みんなに謝らなくちゃとか色々考えていたけれど、自分の部屋にそのまま放り込まれた。
「アキー!ごめんなさいー!」
ベッドに寝かされると、なんだか体が鉛のように重い。そんな私にハルが泣きながらすがる。
「ハル?大丈夫だよ。なんか体が重いだけだし。」
「僕のせいだ。アキが頑張り屋さん過ぎるの知ってたから、僕が止めなきゃだった!」
おいおい泣きながら話す事を繋げると、私が早く祠を回りきりたいと言ったから結構無謀な行程で回っていたらしい。回復魔法の効果か、全然疲労を感じなかったから分からなかった。
「ハルは私の願いを叶えようとしてくれてたんだね。」
ハルの分体の一つは家で家事を手伝っていた。バースが死んだ時直接は知らされてないけれど、何かあった事はわかった。でも、それを私に知らせても心労を募らせるだけだと思って黙っていてくれたみたい。
「ちゃんとできなくてごめんなさい!」とハルは謝るけれど、落ち度は一つも無い。むしろ、私がみんなに甘えまくった結果だ。
私こそごめんね、と謝って仲直り。ただ、ハルにとって私の絶対性を知った。
「ハルはバースのこと、どう思った?」
カークと話したから、というわけでは無いけれどハルも悲しんでいるならそれに添いたいと思った。私だけ見送りをした訳だし。けれど、ハルの答えは私の予想と大きく異なるものだった。
「どうって…ちょっとさみしいけど、幸せで良かったなって思ったよ。役割を全うして死を迎える事は魔獣としては羨ましい事だし。アキは人間で、しかも他所の人だから、死はとても辛い事なんだよね。」
だから、大丈夫。僕もみんなも、アキが悲しまないように死んだりしないように頑張る!と真剣な顔で言われた。
ハルは私が生まれた時から育てている。なのにここまで感覚が違うというのは、彼が魔獣だからだろうか?ハルにとって生死はあまり重要ではなく、使命を果たすかどうかが大事であった。そして、その使命は私が悲しくない事であり、私の願いが叶う事。
こんなに近くにずっと一緒にいたのに、こんな時まで気がつかないなんて。
「ハル、バースが亡くなって取り乱しちゃったし、今ちょっと体調悪いけど、サポートしてくれてありがとう。すごく助かったし感謝してる。」
そう言うと、ハルはにっこりと笑顔になった。
ハルは使令だからか、疲れは無いそうで家事してくる!と出て行った。分体一人は私の影の中に残して。
ほぼ入れ替わりで、ナツが少しだけ気まずそうに食事を持って来てくれた。
「これな、Dの旦那が作ってくれたんやで。しかも美味いねん。」
実は起き上がるのも一苦労だったので、介助してもらいながら食べる。卵おかゆのような優しい味で美味しい。意外だ。
私がしてしまった非礼を謝まると、ナツは苦笑いした。
「ナツ?」
「いや、先謝られて困ってん。Dの旦那にも『これ持って仲直りして来い』言われて。なんやかっこ悪いわ。」
「困らなくてもいいですよ。それに、バースを止めようとしたって聞きました。なのに責めるような態度をとっちゃって…」
「止められへんかったんや。せやし、変わらへん。」
違う、と思うけれど断固とした確信は無くて何も言えない。お粥を口にしながら、それでもこの人も同じ立場なら同じ事をやるだろうなと思った。
「今、アキ…えいこサンが思てること当てたろか?」
そう言えば二人きりだったか、と気がついた。私の下に付いた人には皆、人がいるところではアキと呼ぶようにと言ったけれど、二人きりの時にわざわざ名前で呼び直すなんてナツは律儀だな、とぼーっと考えた。
「俺がバースと同じ立場やったらやっぱり同じ事やったんやろなって思ってへん?」
「違うんですか?」
「いや、おうとる。」
「なんの新鮮さも無いですね。」
そんなに何でも私は顔に出てるのか、と思うとちょっと凹む。目の前の人はもっと凹んでいたけれど。
「でも、それなら何故バースを止めたんですか?」
「なんでやろ?多分変えとうなかったから、ちゃうかな。」
「変えたく無い?」
「あの、みんなでワイワイしとる感じが好きやってん。せやから、もう少し先延ばししとうて。」
「それは、分かります。」
あの、暖かな空間を思い出して思わず私は涙が溢れた。
「うわっ!すまん…。」
「私泣いてばかりですね。すみません。」
「いや、ええねん。泣いてくれて、ええねんけど。」
本気で慌ててる姿を見て、今度は笑ってしまった。忙しいやっちゃな、とナツも笑った。
「でな、話戻すけどバースの事ゆるしてやって欲しいねん。」
「え?」
私がバースの事を怒ってる?そんなハズない。
「私、怒ってるように見えますか?」
「いや、見えへん。けど、相談も報告もせんと自分の命使って自分がやるべきやと思った事やってまう事、えいこサンは納得せえへんやろなって。」
「…、それって実はサタナさん自身の事を言ってますか?」
以前彼はその通りのことをした。
「俺はな、今生きとるしええねん。反省も挽回もできる。せやけど、バースの気持ちもめっちゃ分かる。納得とか共感とかせんでもええんやけど、ただ、そういう生き方しかでけへん奴もおるって理解はして欲しい。」
許すとは、赦すではなく許容して欲しい、という事だったらしい。
私が答えないでいると、今すぐやなくてもええんやけどな、と言い残してサタナさんも出て行った。
私はバースの死自体は受け入れられたと思う。バースに何がしかの確信があって死を早めた事も必然があったのだろうと理解しつつある。
そして、バースが身を呈して教えてくれたから、私の覚悟も決まりかけている。
皮肉にも、これも必然の理由の一つ、私が覚悟を決めるために必要な事だったとも言えてしまうのが嫌だった。
「何見てんのよ?」
「ごめん、綺麗だなって。」
「あら♡」
「髪がね、光を受けて水面みたい。」
「髪だけ?一言多いわ。」
嘘、本当にカークは美人だ。
「バースは何か言っていた?」
なんとなく下心とやらを聞く機会を逸してしまったて、話題を戻した。
「そうね。…あんたが古文書を探しに行く少し前だったかな。バースがもう糧になりたいって言いだしてね。ナツは止めてたわ。フユやDは理由を聞いてたような気がする。それから、結局今回は止めておくって話になったの。でも、バースのテリトリーに大地とかいう人が入っちゃった時に『悪い、アキや谷の皆のことは頼んだ。やっぱり今じゃなくちゃいけねぇ。今は亡き国の神のご加護を。』って言ったきり村に出てっちゃった。あんたが悲しむだろなって分かってたのに、止めなくて悪かったわ。」
もしその時私がバースを止められる位置にいたなら、止めさせたとは思う。今でも、ニューゲームを止めるために例えばモンスターの誰かを殺さなくてはならなくなったとしたら決断できるかわからない。そういういろんな足りない覚悟のせいで、優しい周りに迷惑をかけていると思った。
「ううん。バースがその時じゃないとダメだって思った何かがあったんだと思う。私こそ気を遣わせて…ごめん…?」
目の前がチカチカして、少し気分が悪い。あれ?貧血?
「ちょっと!アキ?!」
気づくとカークの腕の中だ。
「ごめん…。なんか、しんどい。」
ここに来て、この体たらく。
「ああ、もう!謝らなくていいから!もうちょっとくらい人に甘えなさい。」
そう言ってカークは私を抱き抱えた。
「カーク?歩けるよ?」
「しーっ!あんた、分かってないわ。」
しかし何故かそのままお姫様抱っこで家路についた。
家に戻って、みんなに謝らなくちゃとか色々考えていたけれど、自分の部屋にそのまま放り込まれた。
「アキー!ごめんなさいー!」
ベッドに寝かされると、なんだか体が鉛のように重い。そんな私にハルが泣きながらすがる。
「ハル?大丈夫だよ。なんか体が重いだけだし。」
「僕のせいだ。アキが頑張り屋さん過ぎるの知ってたから、僕が止めなきゃだった!」
おいおい泣きながら話す事を繋げると、私が早く祠を回りきりたいと言ったから結構無謀な行程で回っていたらしい。回復魔法の効果か、全然疲労を感じなかったから分からなかった。
「ハルは私の願いを叶えようとしてくれてたんだね。」
ハルの分体の一つは家で家事を手伝っていた。バースが死んだ時直接は知らされてないけれど、何かあった事はわかった。でも、それを私に知らせても心労を募らせるだけだと思って黙っていてくれたみたい。
「ちゃんとできなくてごめんなさい!」とハルは謝るけれど、落ち度は一つも無い。むしろ、私がみんなに甘えまくった結果だ。
私こそごめんね、と謝って仲直り。ただ、ハルにとって私の絶対性を知った。
「ハルはバースのこと、どう思った?」
カークと話したから、というわけでは無いけれどハルも悲しんでいるならそれに添いたいと思った。私だけ見送りをした訳だし。けれど、ハルの答えは私の予想と大きく異なるものだった。
「どうって…ちょっとさみしいけど、幸せで良かったなって思ったよ。役割を全うして死を迎える事は魔獣としては羨ましい事だし。アキは人間で、しかも他所の人だから、死はとても辛い事なんだよね。」
だから、大丈夫。僕もみんなも、アキが悲しまないように死んだりしないように頑張る!と真剣な顔で言われた。
ハルは私が生まれた時から育てている。なのにここまで感覚が違うというのは、彼が魔獣だからだろうか?ハルにとって生死はあまり重要ではなく、使命を果たすかどうかが大事であった。そして、その使命は私が悲しくない事であり、私の願いが叶う事。
こんなに近くにずっと一緒にいたのに、こんな時まで気がつかないなんて。
「ハル、バースが亡くなって取り乱しちゃったし、今ちょっと体調悪いけど、サポートしてくれてありがとう。すごく助かったし感謝してる。」
そう言うと、ハルはにっこりと笑顔になった。
ハルは使令だからか、疲れは無いそうで家事してくる!と出て行った。分体一人は私の影の中に残して。
ほぼ入れ替わりで、ナツが少しだけ気まずそうに食事を持って来てくれた。
「これな、Dの旦那が作ってくれたんやで。しかも美味いねん。」
実は起き上がるのも一苦労だったので、介助してもらいながら食べる。卵おかゆのような優しい味で美味しい。意外だ。
私がしてしまった非礼を謝まると、ナツは苦笑いした。
「ナツ?」
「いや、先謝られて困ってん。Dの旦那にも『これ持って仲直りして来い』言われて。なんやかっこ悪いわ。」
「困らなくてもいいですよ。それに、バースを止めようとしたって聞きました。なのに責めるような態度をとっちゃって…」
「止められへんかったんや。せやし、変わらへん。」
違う、と思うけれど断固とした確信は無くて何も言えない。お粥を口にしながら、それでもこの人も同じ立場なら同じ事をやるだろうなと思った。
「今、アキ…えいこサンが思てること当てたろか?」
そう言えば二人きりだったか、と気がついた。私の下に付いた人には皆、人がいるところではアキと呼ぶようにと言ったけれど、二人きりの時にわざわざ名前で呼び直すなんてナツは律儀だな、とぼーっと考えた。
「俺がバースと同じ立場やったらやっぱり同じ事やったんやろなって思ってへん?」
「違うんですか?」
「いや、おうとる。」
「なんの新鮮さも無いですね。」
そんなに何でも私は顔に出てるのか、と思うとちょっと凹む。目の前の人はもっと凹んでいたけれど。
「でも、それなら何故バースを止めたんですか?」
「なんでやろ?多分変えとうなかったから、ちゃうかな。」
「変えたく無い?」
「あの、みんなでワイワイしとる感じが好きやってん。せやから、もう少し先延ばししとうて。」
「それは、分かります。」
あの、暖かな空間を思い出して思わず私は涙が溢れた。
「うわっ!すまん…。」
「私泣いてばかりですね。すみません。」
「いや、ええねん。泣いてくれて、ええねんけど。」
本気で慌ててる姿を見て、今度は笑ってしまった。忙しいやっちゃな、とナツも笑った。
「でな、話戻すけどバースの事ゆるしてやって欲しいねん。」
「え?」
私がバースの事を怒ってる?そんなハズない。
「私、怒ってるように見えますか?」
「いや、見えへん。けど、相談も報告もせんと自分の命使って自分がやるべきやと思った事やってまう事、えいこサンは納得せえへんやろなって。」
「…、それって実はサタナさん自身の事を言ってますか?」
以前彼はその通りのことをした。
「俺はな、今生きとるしええねん。反省も挽回もできる。せやけど、バースの気持ちもめっちゃ分かる。納得とか共感とかせんでもええんやけど、ただ、そういう生き方しかでけへん奴もおるって理解はして欲しい。」
許すとは、赦すではなく許容して欲しい、という事だったらしい。
私が答えないでいると、今すぐやなくてもええんやけどな、と言い残してサタナさんも出て行った。
私はバースの死自体は受け入れられたと思う。バースに何がしかの確信があって死を早めた事も必然があったのだろうと理解しつつある。
そして、バースが身を呈して教えてくれたから、私の覚悟も決まりかけている。
皮肉にも、これも必然の理由の一つ、私が覚悟を決めるために必要な事だったとも言えてしまうのが嫌だった。
0
お気に入りに追加
1,000
あなたにおすすめの小説
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。
その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。
そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。
なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。
私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。
しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。
それなのに、私の扱いだけはまったく違う。
どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。
当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
悪役令嬢はお断りです
あみにあ
恋愛
あの日、初めて王子を見た瞬間、私は全てを思い出した。
この世界が前世で大好きだった小説と類似している事実を————。
その小説は王子と侍女との切ない恋物語。
そして私はというと……小説に登場する悪役令嬢だった。
侍女に執拗な虐めを繰り返し、最後は断罪されてしまう哀れな令嬢。
このまま進めば断罪コースは確定。
寒い牢屋で孤独に過ごすなんて、そんなの嫌だ。
何とかしないと。
でもせっかく大好きだった小説のストーリー……王子から離れ見られないのは悲しい。
そう思い飛び出した言葉が、王子の護衛騎士へ志願することだった。
剣も持ったことのない温室育ちの令嬢が
女の騎士がいないこの世界で、初の女騎士になるべく奮闘していきます。
そんな小説の世界に転生した令嬢の恋物語。
●表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_)
●毎日21時更新(サクサク進みます)
●全四部構成:133話完結+おまけ(2021年4月2日 21時完結)
(第一章16話完結/第二章44話完結/第三章78話完結/第四章133話で完結)。
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。
木山楽斗
恋愛
弱小貴族で、平民同然の暮らしをしていたルリアは、両親の死によって、遠縁の公爵家であるフォリシス家に引き取られることになった。位の高い貴族に引き取られることになり、怯えるルリアだったが、フォリシス家の人々はとても良くしてくれ、そんな家族をルリアは深く愛し、尊敬するようになっていた。その中でも、義兄であるリクルド・フォリシスには、特別である。気高く強い彼に、ルリアは強い憧れを抱いていくようになっていたのだ。
時は流れ、ルリアは十六歳になっていた。彼女の暮らす国では、その年で魔法学校に通うようになっている。そこで、ルリアは、兄の学園に通いたいと願っていた。しかし、リクルドはそれを認めてくれないのだ。なんとか理由を聞き、納得したルリアだったが、そこで義妹のレティが口を挟んできた。
「お兄様は、お姉様を共学の学園に通わせたくないだけです!」
「ほう?」
これは、ルリアと義理の家族の物語。
※基本的に主人公の視点で進みますが、時々視点が変わります。視点が変わる話には、()で誰視点かを記しています。
※同じ話を別視点でしている場合があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる