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2章:上限突破
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ノーマルカードである【元傭兵】ドーマンは、手元に4枚ある。
カードランクを『ノーマルレア」にする為には、同じカードが5枚必要だから、あと1枚買えばいい。。
「『【元傭兵】ドーマン』の一番安い販売価格は、『宝石硬貨』20パル、『星内貨幣』500シェル、『寄付ポイント』5ポイントだよ。どの課金を使ってもいいんだ」
「あぁ、好きな種類のお金を使えるってことなんだ…。寄付ポイントしかないけど」
「『寄付ポイント』5ポイントでノーマルカード『【元傭兵】ドーマン』を1枚購入するね。『寄付ポイント』は2495ポイントになったよ」
「ドーマンのカードランクを上げるのは、どうすればいい?」
「『実体化』している間はカードランクを上げる事が出来ないよ」
「いきなり家からドーマンがいなくなったら、2人とも騒がないかな」
「ボクが他の姿になってる時は、拠点は消えるんだ」
当然、星内ではそうなるだろうと思っていたけど、この場所にいる案内人は概念みたいなものだと思っていたから意外だ。
「拠点が消えたら、中にいたラーデルとティセルはもう一度実体化することになる?」
「『召喚島』に来ている時は、拠点の中の時間は止まるんだ。ボクが拠点以外の姿になるからね。でも、また元の場所に戻って拠点になったら、拠点の中にいた英雄の時間も動き出すよ。だから、実体化しなくても大丈夫。でも、星の中でボクが拠点の姿をやめる時は、拠点の中にいる人は全員拠点の外に出ないと駄目だよ」
「それって、人以外の動物とかもだよね?」
「潰れても死なないなら大丈夫だよ」
この場所にいる案内人は、実体を伴っているという扱いじゃない。
だから、ここにいる間は拠点の中に人がいても問題ない、ということなんだろう。
星内にいる案内人は、肉体がある、ということになる。
「じゃあ、ドーマンをランクアップしよう」
「ランクを上げたいカードは、『召喚箱』から『待機箱』に移してね」
白い獣が巨大な箱になったので、その中にあったドーマンのカードを取る。
灰色の箱に変化した後、そこに重ねて入っていたドーマンのカードの上に、召喚箱から取った1枚を置いた。
「『【元傭兵】ドーマン』をランクアップするよ」
案内人の声と同時に、カードが光り始める。カード内の文字が判別できないくらい光った後、5枚のカードがぴたりとくっつき、1枚のカードになった。
「『【元傭兵】ドーマン』は、ノーマルレアになったよ」
「ここからレアにするのに必要なカードは…」
少し、考えてみる。
ノーマルレアのカードをレアにするのに必要なカードは5枚。
でもそれは、『ノーマルレア』が5枚だ。
「『元傭兵ドーマン』のカードって、ノーマルレア状態のものは売ってる?」
「『【元傭兵】ドーマン』はノーマルカードが20件。ノーマルレアカードが2件あるよ。ノーマルレアカードは合計2枚販売されているね」
「ノーマルカード5枚で、ノーマルレアのドーマンのランクを上げられると思う?」
「ノーマルレアのランクを上げるには、ノーマルレアのカードが5枚必要だよ」
「やっぱりそうか…」
となると、ノーマルレアのドーマンを2枚買って、ノーマルレアのドーマンが3枚。
残りの2枚はノーマルをノーマルレアにする必要があるから、ノーマルが10枚。
「ノーマルレアのドーマンは買えそう?寄付ポイントで」
「『【元傭兵】ドーマン』のノーマルレアは、『寄付ポイント』20ポイントが1枚。『寄付ポイント』25ポイントが1枚あるよ」
「買えそうだね。あと、ノーマルを10枚買って、ノーマルレアのドーマンを5枚にしよう」
「『寄付ポイント』は2400ポイントになったよ」
買ったカードは待機箱にまとめて入っていた。
ノーマルカード5枚を1つにしてランクを上げるのが2回。その後、ノーマルレアカード5枚を重ねる。
光に包まれ、5枚のカードが1枚のカードになる、その見え方はまったく同じだった。
出来上がったカードを箱から取り出し、眺める。
「『元傭兵ドーマン』…で、レアだ」
カードの右上に表示されている文字が『レア』になっていた。
ノーマルレアになった段階ではカード内の文字を確認していなかったけど、レアになったドーマンは、表示が変わっていた。
【元傭兵】ドーマン
金稼ぎのため、過去に傭兵をやっていた男。
かつての輝きを取り戻し、新たな力を手に入れようとしている。
【カードランク】
レア
【レベル】
1
【性別】
男
【年齢】
37
【属性】
地
【種族】
人間
【所属】
トルマン・グリス→?
【攻撃力】
1000
【防御力】
1000
【回復力】
1000
【通常スキル】
剣/斧/盾
大工
【特殊スキル】
なし
【特殊能力】
限界を超えしもの
「…『新たな力を手に入れようとしている』…今から手に入れるっていう表現だよね」
数値が上がっただけで、特に大きく変わったところはないけれど、説明に書かれている『新たな力』が気になる。
「レアカード『【元傭兵】ドーマン』は、肩書変更が可能だよ。レアカード『【戦士】ドーマン』に変更する事が出来るんだ」
「戦士のほうが強くなるのかな」
「『【戦士】ドーマン』は、特殊スキルを持っているよ」
「ん~…」
スキルを見る感じ、ドーマンは剣や斧を扱う戦士だ。『新たな力』は、肩書を変えて特殊スキルを得ることを指してるのかもしれないけど、新たな力という感じがしない。
「まぁ、今はいいや。本人に聞くよ。先にラーデルとティセルもランクアップさせたいし」
ラーデルのカードは販売数が少なかったから、レアまでは上げることが出来ないかもしれない。
そう考えて先に確認してもらうと、兵士ラーデルはノーマルだけ8枚売られていた。全部買ってもノーマルレアにできるだけで、レアにはかなり足りない。
ティセルはノーマルが102枚。ノーマルレアが12枚売られていたので、一旦、レアまでランクを上げておく。
価格も、ノーマルレアは最安値で1枚12ポイントだったから、一番集めやすい。
レアの上であるスーパーレアにも出来るのかな?
「ティセルのレアカードを5枚作ればスーパーレアにもできる?」
「レアカードからは、ランクアップ用アイテムも必要になるよ」
「そのアイテムがあれば、ティセルはスーパーレアにできるってことかな?」
「出来るよ」
案内人が肯定したので、間違いはない。
「えーと…計算…」
でも、計算が面倒だ。
「ノーマルレア10枚で…レア2枚になって…ノーマルレア2枚とノーマル15枚でレア1枚になって…ノーマル25枚でノーマルレア1枚になるから…えぇと…それで、レア1枚で…つまり、ノーマル50枚でレア2枚になるから…あ~…何枚必要?」
「ノーマルカードだけだと125枚だよ。『カード市場』で販売しているノーマルレアカードを12枚買うなら、ノーマルカードは65枚必要だよ。ヴィータはノーマルカードを3枚持っているから、『カード市場』で62枚買うと揃うよ」
「ほんと便利だなぁ」
計算しなくても全部教えてくれるのは助かる。ほんと助かる。
「じゃあ、その計算で買おうか。ラーデルも全部買おう」
「ノーマルカード『【兵士】ラーデル』を8枚。ノーマルカード『【旅人】ティセル』を62枚。ノーマルレアカード『【旅人】ティセル』を12枚購入するね」
「うん、よろしく」
「「『寄付ポイント』は1770ポイントになったよ」
ラーデルは1枚10ポイントとお高めだ。
ノーマルレアになると強くなるのかな?
【兵士】ラーデル
トルマン・グリス連盟で働く兵士。
槍と裁縫が得意で、武具や服の修繕を頼まれている。
【カードランク】
ノーマルレア
【レベル】
1
【性別】
男
【年齢】
25
【属性】
地
【種族】
人間
【所属】
トルマン・グリス
【攻撃力】
200
【防御力】
600
【回復力】
400
【通常スキル】
剣/槍
裁縫
武具修繕
【特殊スキル】
なし
「…武具修繕。装備の修理ができるってこと?」
「スキル『武具修繕』は、武器や防具の修理が出来るよ。『裁縫』スキルの上位スキルなんだ」
「なるほど」
だから高いのか。
レアになってもスキルに変化が無かったドーマンより、ラーデルのほうが使いやすいってことかな。
「ティセルはラーデルよりだいぶ安かったけど…」
【旅人】ティセル
ロンバー・ダルキア王国内を旅する商人。
各地で手に入れたアイテムを、別の町で売って生活している。
【カードランク】
レア
【レベル】
1
【性別】
男
【年齢】
28
【属性】
風
【種族】
人間
【所属】
ロンバー・ダルキア→?
【攻撃力】
500
【防御力】
1000
【回復力】
1500
【通常スキル】
小剣
商売
【特殊スキル】
なし
【特殊能力】
限界を超えしもの
「…説明もスキルも変わりなし、なのかな」
一応ノーマルカードのほうと比べてみると、『ロンバー・ダルキア王国内を旅する旅人』が『ロンバー・ダルキア王国内を旅する商人』に変わっていた。旅人が商人になっただけだ。戦闘力の面で見ると、ドーマンよりだいぶ頼りない…ということなんだろう。
ただ、数値だけで見れば、ノーマルレアとレアの間には結構差がある。
「旅人以外のカードは売ってる?」
「ノーマルカード『【商人】ティセル』、ノーマルレアカード『【商人】ティセル』は売ってるよ」
「レアは無いんだね」
ラーデルのノーマルレアを売っていなかったのは、ノーマルレアでも使えるから売らないということだろう。
一方で、ティセルは使えないと思われている。
「可能性としては、ウルトアレアにもなれるってことだよね。ノーマルカードの肩書のまま」
「出来るよ」
「ノーマルをウルトアレアにするのに必要なノーマルカードの枚数って何枚なんだろ」
「3125枚だよ」
「ちょっと現実的な枚数じゃないなぁ…」
「召喚術師が持っているカードは、2枚目以降は『カード交換』でも手に入るよ。『同じカードランク』の要らないカードを3枚で、ヴィータが持っている同じランクのカードを貰えるんだ。『【旅人】ティセル』以外のノーマルカードを3枚なら、ノーマルカード『【旅人】ティセル』を1枚。『【旅人】ティセル』以外のノーマルレアカードを3枚なら、ノーマルレアカード『【旅人】ティセル』を1枚貰えるよ」
「その方法だと3000枚超えるんじゃない?必要枚数」
「『カードランク』レア以上でも同じだよ」
「ん~…つまり、ティセルをスーパーレアにすれば、他のスーパーレア3枚と交換できるってことか」
私は今、1枚だけスーパーレアのカードを持っている。
私のレベルが足りなくて実体化する資格がないカード。『【星紡ぐもの】きな』だ。
彼女は特殊スキルが4種類ある。攻撃力、防御力、回復力などの高いが、これはレベルが高いからかもしれない。
それでも、今レアであるドーマンやティセルが、一段階上のスーパーレアになったところで、いきなり特殊スキルを3つも4つも取得するとは思えなかった。
同じカードランクになっても、数値や能力比較では勝てないんだろう。元々のカードランクが低ければ、その差は埋められない。
「ノーマルから上げても、交換で入手しても、どっちも現実的じゃないんだろうけど…出来たら、面白いよね」
「ヴィータは、面白いかどうかで決めるの?」
「どうだろ。他に優先するものが無いなら…そうかもね」
数字やスキルの差は、ただのカードなら埋めることはできないだろう。でも、人として考え動くなら、絶対的なものは無い。集団として動けば、なおさらだ。
「とりあえずランクは上がったし、拠点に戻ろうか」
案内人に声をかけ、拠点の2階に戻る。
木で作られた小さな窓の隙間から光が漏れ入っているから、もう朝になったんだろう。
「おはよう。寝台なかったけど寝れた?」
1階に移動すると、木床の上に2人転がっていた。
寒そうに毛布を被っていたドーマンが先に起き上がり、辺りを見回す。
「…あいつは…どうした?」
「あいつ…って、ラーデルのこと?」
ゆっくり身を起こしたのはティセルだ。傍に置いてあった背嚢を開き始める。
「シロ。ラーデルが居ないんだけど」
「他の召喚術師が先に『実体化』してるよ」
「あぁ…そうか」
ノーマルレアのラーデルは使い勝手が良いから、実体化し続けている人がいるんだろう。
「ラーデルはしばらく召喚できないみたい。シロ。実体化できるようになったら教えてよ」
「そうするね」
「…ヴィータ様」
背嚢の中を確認していたティセルが顔を上げる。何かに驚いたような表情だ。
「鞄の中身が…変わっています。これは、一体…」
「…俺達の服も…こんなに変わる事あるか?」
そう呟いたドーマンの服装は、半袖半ズボンから長袖長ズボンになっている。金属製の胸当て、手甲、脛当てを装着していて、腰のベルトには長剣を差していた。頭にも金属製の鍔の無い兜を被っている。多分そのまま横に寝転がったら痛いと思う。
ティセルは元々旅装という感じの格好だったからほとんど変わりないけど、今はその服の上から革製の胴着を着ていた。
「あなた達はランクが上がったんだよ。多分、昨日までより強くもなってると思うけど」
「…召喚術師の仲間がある日突然強くなる事があると…そう、聞いたことはあります。それが召喚術師の類稀なる力なのでしょう。ですが…所持している物まで変わるとは」
「…懐かしい、剣だ」
ティセルは背嚢の中身が変わったことに驚き、ドーマンは剣を抜いて感慨深そうにしている。
レアカードになった2人は絵も変化してたから、見た目の変化はわかっていたけど、持ち物まで変わるなんて、面白いシステムだ。
「一応訊くけど…鎧とか脱げる?」
「えっ…?」
私の問いに、多少もたつきながらティセルは革の胴着を脱ぐ。
ドーマンも同じように金属製の装備を外したので、私は安堵した。
絵に描かれていた恰好を変えることが出来るなら、私もこの暑い衣装が脱げるということだ。
早く涼しい恰好がしたい。
「よし。朝飯の準備をするか」
軽く腕まくりをしたドーマンが厨房に入って行き、背嚢の中身を確認し終えたティセルも後に続く。
カマドを使って調理するのだから、時間はかかるだろう。
私は再び2階に戻って、召喚術師としての仕事をすることにした。
カードランクを『ノーマルレア」にする為には、同じカードが5枚必要だから、あと1枚買えばいい。。
「『【元傭兵】ドーマン』の一番安い販売価格は、『宝石硬貨』20パル、『星内貨幣』500シェル、『寄付ポイント』5ポイントだよ。どの課金を使ってもいいんだ」
「あぁ、好きな種類のお金を使えるってことなんだ…。寄付ポイントしかないけど」
「『寄付ポイント』5ポイントでノーマルカード『【元傭兵】ドーマン』を1枚購入するね。『寄付ポイント』は2495ポイントになったよ」
「ドーマンのカードランクを上げるのは、どうすればいい?」
「『実体化』している間はカードランクを上げる事が出来ないよ」
「いきなり家からドーマンがいなくなったら、2人とも騒がないかな」
「ボクが他の姿になってる時は、拠点は消えるんだ」
当然、星内ではそうなるだろうと思っていたけど、この場所にいる案内人は概念みたいなものだと思っていたから意外だ。
「拠点が消えたら、中にいたラーデルとティセルはもう一度実体化することになる?」
「『召喚島』に来ている時は、拠点の中の時間は止まるんだ。ボクが拠点以外の姿になるからね。でも、また元の場所に戻って拠点になったら、拠点の中にいた英雄の時間も動き出すよ。だから、実体化しなくても大丈夫。でも、星の中でボクが拠点の姿をやめる時は、拠点の中にいる人は全員拠点の外に出ないと駄目だよ」
「それって、人以外の動物とかもだよね?」
「潰れても死なないなら大丈夫だよ」
この場所にいる案内人は、実体を伴っているという扱いじゃない。
だから、ここにいる間は拠点の中に人がいても問題ない、ということなんだろう。
星内にいる案内人は、肉体がある、ということになる。
「じゃあ、ドーマンをランクアップしよう」
「ランクを上げたいカードは、『召喚箱』から『待機箱』に移してね」
白い獣が巨大な箱になったので、その中にあったドーマンのカードを取る。
灰色の箱に変化した後、そこに重ねて入っていたドーマンのカードの上に、召喚箱から取った1枚を置いた。
「『【元傭兵】ドーマン』をランクアップするよ」
案内人の声と同時に、カードが光り始める。カード内の文字が判別できないくらい光った後、5枚のカードがぴたりとくっつき、1枚のカードになった。
「『【元傭兵】ドーマン』は、ノーマルレアになったよ」
「ここからレアにするのに必要なカードは…」
少し、考えてみる。
ノーマルレアのカードをレアにするのに必要なカードは5枚。
でもそれは、『ノーマルレア』が5枚だ。
「『元傭兵ドーマン』のカードって、ノーマルレア状態のものは売ってる?」
「『【元傭兵】ドーマン』はノーマルカードが20件。ノーマルレアカードが2件あるよ。ノーマルレアカードは合計2枚販売されているね」
「ノーマルカード5枚で、ノーマルレアのドーマンのランクを上げられると思う?」
「ノーマルレアのランクを上げるには、ノーマルレアのカードが5枚必要だよ」
「やっぱりそうか…」
となると、ノーマルレアのドーマンを2枚買って、ノーマルレアのドーマンが3枚。
残りの2枚はノーマルをノーマルレアにする必要があるから、ノーマルが10枚。
「ノーマルレアのドーマンは買えそう?寄付ポイントで」
「『【元傭兵】ドーマン』のノーマルレアは、『寄付ポイント』20ポイントが1枚。『寄付ポイント』25ポイントが1枚あるよ」
「買えそうだね。あと、ノーマルを10枚買って、ノーマルレアのドーマンを5枚にしよう」
「『寄付ポイント』は2400ポイントになったよ」
買ったカードは待機箱にまとめて入っていた。
ノーマルカード5枚を1つにしてランクを上げるのが2回。その後、ノーマルレアカード5枚を重ねる。
光に包まれ、5枚のカードが1枚のカードになる、その見え方はまったく同じだった。
出来上がったカードを箱から取り出し、眺める。
「『元傭兵ドーマン』…で、レアだ」
カードの右上に表示されている文字が『レア』になっていた。
ノーマルレアになった段階ではカード内の文字を確認していなかったけど、レアになったドーマンは、表示が変わっていた。
【元傭兵】ドーマン
金稼ぎのため、過去に傭兵をやっていた男。
かつての輝きを取り戻し、新たな力を手に入れようとしている。
【カードランク】
レア
【レベル】
1
【性別】
男
【年齢】
37
【属性】
地
【種族】
人間
【所属】
トルマン・グリス→?
【攻撃力】
1000
【防御力】
1000
【回復力】
1000
【通常スキル】
剣/斧/盾
大工
【特殊スキル】
なし
【特殊能力】
限界を超えしもの
「…『新たな力を手に入れようとしている』…今から手に入れるっていう表現だよね」
数値が上がっただけで、特に大きく変わったところはないけれど、説明に書かれている『新たな力』が気になる。
「レアカード『【元傭兵】ドーマン』は、肩書変更が可能だよ。レアカード『【戦士】ドーマン』に変更する事が出来るんだ」
「戦士のほうが強くなるのかな」
「『【戦士】ドーマン』は、特殊スキルを持っているよ」
「ん~…」
スキルを見る感じ、ドーマンは剣や斧を扱う戦士だ。『新たな力』は、肩書を変えて特殊スキルを得ることを指してるのかもしれないけど、新たな力という感じがしない。
「まぁ、今はいいや。本人に聞くよ。先にラーデルとティセルもランクアップさせたいし」
ラーデルのカードは販売数が少なかったから、レアまでは上げることが出来ないかもしれない。
そう考えて先に確認してもらうと、兵士ラーデルはノーマルだけ8枚売られていた。全部買ってもノーマルレアにできるだけで、レアにはかなり足りない。
ティセルはノーマルが102枚。ノーマルレアが12枚売られていたので、一旦、レアまでランクを上げておく。
価格も、ノーマルレアは最安値で1枚12ポイントだったから、一番集めやすい。
レアの上であるスーパーレアにも出来るのかな?
「ティセルのレアカードを5枚作ればスーパーレアにもできる?」
「レアカードからは、ランクアップ用アイテムも必要になるよ」
「そのアイテムがあれば、ティセルはスーパーレアにできるってことかな?」
「出来るよ」
案内人が肯定したので、間違いはない。
「えーと…計算…」
でも、計算が面倒だ。
「ノーマルレア10枚で…レア2枚になって…ノーマルレア2枚とノーマル15枚でレア1枚になって…ノーマル25枚でノーマルレア1枚になるから…えぇと…それで、レア1枚で…つまり、ノーマル50枚でレア2枚になるから…あ~…何枚必要?」
「ノーマルカードだけだと125枚だよ。『カード市場』で販売しているノーマルレアカードを12枚買うなら、ノーマルカードは65枚必要だよ。ヴィータはノーマルカードを3枚持っているから、『カード市場』で62枚買うと揃うよ」
「ほんと便利だなぁ」
計算しなくても全部教えてくれるのは助かる。ほんと助かる。
「じゃあ、その計算で買おうか。ラーデルも全部買おう」
「ノーマルカード『【兵士】ラーデル』を8枚。ノーマルカード『【旅人】ティセル』を62枚。ノーマルレアカード『【旅人】ティセル』を12枚購入するね」
「うん、よろしく」
「「『寄付ポイント』は1770ポイントになったよ」
ラーデルは1枚10ポイントとお高めだ。
ノーマルレアになると強くなるのかな?
【兵士】ラーデル
トルマン・グリス連盟で働く兵士。
槍と裁縫が得意で、武具や服の修繕を頼まれている。
【カードランク】
ノーマルレア
【レベル】
1
【性別】
男
【年齢】
25
【属性】
地
【種族】
人間
【所属】
トルマン・グリス
【攻撃力】
200
【防御力】
600
【回復力】
400
【通常スキル】
剣/槍
裁縫
武具修繕
【特殊スキル】
なし
「…武具修繕。装備の修理ができるってこと?」
「スキル『武具修繕』は、武器や防具の修理が出来るよ。『裁縫』スキルの上位スキルなんだ」
「なるほど」
だから高いのか。
レアになってもスキルに変化が無かったドーマンより、ラーデルのほうが使いやすいってことかな。
「ティセルはラーデルよりだいぶ安かったけど…」
【旅人】ティセル
ロンバー・ダルキア王国内を旅する商人。
各地で手に入れたアイテムを、別の町で売って生活している。
【カードランク】
レア
【レベル】
1
【性別】
男
【年齢】
28
【属性】
風
【種族】
人間
【所属】
ロンバー・ダルキア→?
【攻撃力】
500
【防御力】
1000
【回復力】
1500
【通常スキル】
小剣
商売
【特殊スキル】
なし
【特殊能力】
限界を超えしもの
「…説明もスキルも変わりなし、なのかな」
一応ノーマルカードのほうと比べてみると、『ロンバー・ダルキア王国内を旅する旅人』が『ロンバー・ダルキア王国内を旅する商人』に変わっていた。旅人が商人になっただけだ。戦闘力の面で見ると、ドーマンよりだいぶ頼りない…ということなんだろう。
ただ、数値だけで見れば、ノーマルレアとレアの間には結構差がある。
「旅人以外のカードは売ってる?」
「ノーマルカード『【商人】ティセル』、ノーマルレアカード『【商人】ティセル』は売ってるよ」
「レアは無いんだね」
ラーデルのノーマルレアを売っていなかったのは、ノーマルレアでも使えるから売らないということだろう。
一方で、ティセルは使えないと思われている。
「可能性としては、ウルトアレアにもなれるってことだよね。ノーマルカードの肩書のまま」
「出来るよ」
「ノーマルをウルトアレアにするのに必要なノーマルカードの枚数って何枚なんだろ」
「3125枚だよ」
「ちょっと現実的な枚数じゃないなぁ…」
「召喚術師が持っているカードは、2枚目以降は『カード交換』でも手に入るよ。『同じカードランク』の要らないカードを3枚で、ヴィータが持っている同じランクのカードを貰えるんだ。『【旅人】ティセル』以外のノーマルカードを3枚なら、ノーマルカード『【旅人】ティセル』を1枚。『【旅人】ティセル』以外のノーマルレアカードを3枚なら、ノーマルレアカード『【旅人】ティセル』を1枚貰えるよ」
「その方法だと3000枚超えるんじゃない?必要枚数」
「『カードランク』レア以上でも同じだよ」
「ん~…つまり、ティセルをスーパーレアにすれば、他のスーパーレア3枚と交換できるってことか」
私は今、1枚だけスーパーレアのカードを持っている。
私のレベルが足りなくて実体化する資格がないカード。『【星紡ぐもの】きな』だ。
彼女は特殊スキルが4種類ある。攻撃力、防御力、回復力などの高いが、これはレベルが高いからかもしれない。
それでも、今レアであるドーマンやティセルが、一段階上のスーパーレアになったところで、いきなり特殊スキルを3つも4つも取得するとは思えなかった。
同じカードランクになっても、数値や能力比較では勝てないんだろう。元々のカードランクが低ければ、その差は埋められない。
「ノーマルから上げても、交換で入手しても、どっちも現実的じゃないんだろうけど…出来たら、面白いよね」
「ヴィータは、面白いかどうかで決めるの?」
「どうだろ。他に優先するものが無いなら…そうかもね」
数字やスキルの差は、ただのカードなら埋めることはできないだろう。でも、人として考え動くなら、絶対的なものは無い。集団として動けば、なおさらだ。
「とりあえずランクは上がったし、拠点に戻ろうか」
案内人に声をかけ、拠点の2階に戻る。
木で作られた小さな窓の隙間から光が漏れ入っているから、もう朝になったんだろう。
「おはよう。寝台なかったけど寝れた?」
1階に移動すると、木床の上に2人転がっていた。
寒そうに毛布を被っていたドーマンが先に起き上がり、辺りを見回す。
「…あいつは…どうした?」
「あいつ…って、ラーデルのこと?」
ゆっくり身を起こしたのはティセルだ。傍に置いてあった背嚢を開き始める。
「シロ。ラーデルが居ないんだけど」
「他の召喚術師が先に『実体化』してるよ」
「あぁ…そうか」
ノーマルレアのラーデルは使い勝手が良いから、実体化し続けている人がいるんだろう。
「ラーデルはしばらく召喚できないみたい。シロ。実体化できるようになったら教えてよ」
「そうするね」
「…ヴィータ様」
背嚢の中を確認していたティセルが顔を上げる。何かに驚いたような表情だ。
「鞄の中身が…変わっています。これは、一体…」
「…俺達の服も…こんなに変わる事あるか?」
そう呟いたドーマンの服装は、半袖半ズボンから長袖長ズボンになっている。金属製の胸当て、手甲、脛当てを装着していて、腰のベルトには長剣を差していた。頭にも金属製の鍔の無い兜を被っている。多分そのまま横に寝転がったら痛いと思う。
ティセルは元々旅装という感じの格好だったからほとんど変わりないけど、今はその服の上から革製の胴着を着ていた。
「あなた達はランクが上がったんだよ。多分、昨日までより強くもなってると思うけど」
「…召喚術師の仲間がある日突然強くなる事があると…そう、聞いたことはあります。それが召喚術師の類稀なる力なのでしょう。ですが…所持している物まで変わるとは」
「…懐かしい、剣だ」
ティセルは背嚢の中身が変わったことに驚き、ドーマンは剣を抜いて感慨深そうにしている。
レアカードになった2人は絵も変化してたから、見た目の変化はわかっていたけど、持ち物まで変わるなんて、面白いシステムだ。
「一応訊くけど…鎧とか脱げる?」
「えっ…?」
私の問いに、多少もたつきながらティセルは革の胴着を脱ぐ。
ドーマンも同じように金属製の装備を外したので、私は安堵した。
絵に描かれていた恰好を変えることが出来るなら、私もこの暑い衣装が脱げるということだ。
早く涼しい恰好がしたい。
「よし。朝飯の準備をするか」
軽く腕まくりをしたドーマンが厨房に入って行き、背嚢の中身を確認し終えたティセルも後に続く。
カマドを使って調理するのだから、時間はかかるだろう。
私は再び2階に戻って、召喚術師としての仕事をすることにした。
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この作品はカクヨム、小説家になろう、pixiv、エブリスタにも投稿しています。
不定期投稿ですが、なるべく毎日投稿を目指しています。
普通の女子高生だと思っていたら、魔王の孫娘でした
桜井吏南
ファンタジー
え、冴えないお父さんが異世界の英雄だったの?
私、村瀬 星歌。娘思いで優しいお父さんと二人暮らし。
お父さんのことがが大好きだけどファザコンだと思われたくないから、ほどよい距離を保っている元気いっぱいのどこにでもいるごく普通の高校一年生。
仲良しの双子の幼馴染みに育ての親でもある担任教師。平凡でも楽しい毎日が当たり前のように続くとばかり思っていたのに、ある日蛙男に襲われてしまい危機一髪の所で頼りないお父さんに助けられる。
そして明かされたお父さんの秘密。
え、お父さんが異世界を救った英雄で、今は亡きお母さんが魔王の娘なの?
だから魔王の孫娘である私を魔王復活の器にするため、異世界から魔族が私の命を狙いにやって来た。
私のヒーローは傷だらけのお父さんともう一人の英雄でチートの担任。
心の支えになってくれたのは幼馴染みの双子だった。
そして私の秘められし力とは?
始まりの章は、現代ファンタジー
聖女となって冤罪をはらしますは、異世界ファンタジー
完結まで毎日更新中。
表紙はきりりん様にスキマで取引させてもらいました。
天職はドロップ率300%の盗賊、錬金術師を騙る。
朱本来未
ファンタジー
魔術師の大家であるレッドグレイヴ家に生を受けたヒイロは、15歳を迎えて受けた成人の儀で盗賊の天職を授けられた。
天職が王家からの心象が悪い盗賊になってしまったヒイロは、廃嫡されてレッドグレイヴ領からの追放されることとなった。
ヒイロは以前から魔術師以外の天職に可能性を感じていたこともあり、追放処分を抵抗することなく受け入れ、レッドグレイヴ領から出奔するのだった。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
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ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
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