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婚約祝賀会前編
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レイナス王国の王女とドラグーン王国の王太子の婚約発表は城の大広間にて執り行われることになった。
平時には使用される事があまりない大広間には瑞々しい生花が配置され、磨き込まれた床は蝋燭の灯りに反射してそれなりの光度が保たれている。
この広さの部屋を掃除した宮仕えの人達は偉大だと思うよ、これだけの生花を集めるだけでもかなりの労力が居るだろうなぁ。
そんな彼等の努力の集大成には現在沢山の参列者で溢れかえっている。
朝からあれでもない、これでもないと着せ替え人形と化していけど、最終的に採用されたのはまたもやかぼちゃパンツ!
この国って子供の正装かぼちゃパンツじゃあるまいな?
当たり前のように会場に子供の姿はない。
今さらだけど、子供ってどうやって遊ぶんだっけ?
「ぶー・・・・・・(退屈・・・・・・)」
あの倒れたアリーシャさんとアルスさんはなったんだろう?結局ロブルバーグ大司教様はあの後一度も訪ねて来ることが無かった。
お陰で気分は待て!を貰ったワンコな気分。
取り敢えず目の前に広がったフロアではミリアーナ叔母様とクラインセルト殿下に祝辞を述べるために、沢山の人だかりが出来ている。
そして国王である父様とお母様の前にも人だかり。
「あーう(祝賀会って疲れるわ)」
もっと心弾む華やかなイメージがあったけどね、まぁ料理も飾付けも立派ですよ?でもな~、動けないのは頂けないわ。
「シオル殿下?あまり元気が無いようですが大丈夫ですか?」
今日のシオル係はレーシャさん。本来なら侍女である彼女は同席出来ないんだけど、急遽父様の指示で参加となった。
「お熱は無いようですが、お部屋に戻られますか?」
いつものお仕着せではなくドレスアップしたレーシャさんは心配そうに顔を覗き込んでくれる。
「あーう(大丈夫)」
言葉は通じて無いのでにっこりと笑うことにする。どこかほっとしたように私を抱き直すと背中を擦ってくれた。
「アルトバール陛下、リステリア王妃陛下。この度はミリアーナ殿下の御婚約おめでとうございます」
双太陽神教の大司教を顕すローブを身に纏い、現れたロブルバーグ大司教様は優雅に一礼すると顔をあげた。
「大司教様、この度は我が妹の為に祝福を授けて頂けるとのこと、御礼を申し上げる。」
「勿体無き御言葉。なに儂にできることは限られておりますがな。」
確かに本人は引退を宣言していたが、正式にはまだ大司教の地位のままらしい。
「シオル殿下も御機嫌麗しゅう。」
「あーう!あーう!あーう!(待ってました!だっこ~!飽きた~!)」
「あらあら、シオル殿下急にどうされたのですか?」
ロブルバーグ大司教様に必死に両手を伸ばして暴れ始めた私に困惑したままレーシャさんが慌てているけど気にしませんよ!
脱出、脱出!
「陛下、妃陛下。シオル殿下を抱かせて頂いても?」
ロブルバーグ大司教様は苦笑しながらも保護者に許可を求めてくれた。
「ふふ、シオルは本当にロブルバーグ大司教様が好きですね。宜しければ抱いてやって下さいまし。」
対応に困っていたレーシャさんが、国王夫妻が許可を出したことで漸く開放してくれた。
「シオル殿下今日も元気一杯ですなぁ。」
「あーぶー、あーあーぶ?(こんばんは、あの後どうなったの?)」
バシバシとロブルバーグ大司教様の胸元を叩く、この体は長時間起きているのに向かないので本題は早めに切り出すに限る。
「ほほほ、まぁ直ぐに解る。あまり急かすものではない。」
悪い笑みを浮かべて会場に視線を向ける。なに?これから何か始めるの?
楽団の奏でる曲がワルツへと変わると、次第に広間の中心から人が壁際まで移動し始める。
すっかり空いた空間に今日の主役である二人が出てくると、音楽に合わせて舞い始めた。
武芸を嗜むミリアーナ叔母様、実は余りダンスは上手くないのだが、クラインセルト殿下のリードが上手いのか問題なくリズムにのってターンを決めていた。
くるりくるりとターンの度にドレスの裾が美しくと広がる。
曲が終わると沢山の讚美が広間中から送られ、そのまま円の外へと歩き出した。
そんな二人へと人の合間を縫うように近づく男を捉えたのは偶然だと思う。
貴族が着ている盛装と遜色ない服を身に纏っているが、違和感が拭えないのだ。隠しきれない殺気を駄々漏れにしながらも、その顔には暗い笑みを浮かべている。
「来おったな」
誰がって多分あの気持ち悪い感じがする男だろうなぁ。
どうやら父様も気が付いているのだろう、ロブルバーグ大司教様と目配せすると側に控えていた騎士に指示をだしていた。
「さぁて始まるぞ?一体何が釣れるかのぅ。」
「あう!ぶー(愉しそう!参加出来ないのが残念だわ)」
「仕方が無かろう。儂は歳を取りすぎたし御主は赤子じゃ。生後一年に満たない赤子をこのような場に同席させる方が規格外じゃ。」
呆れたように肩を竦めて見せられた。
「陛下は自分か王妃陛下の目の届く所に御主がおらんと落ち着かぬようじゃ、まぁ御主の自業自得じゃな。」
う~ん、最近妙にお母様が部屋に居るとは思っていたけど気のせいじゃなかったのね。
御仕事の邪魔してご免なさい。
ロブルバーグ大司教様が言っている自業自得がこの前の夜間徘徊の事だとして、今日の一代イベントに参加できる様になったのはまぁ良かったかな。
「ほれ接触したぞ?」
平時には使用される事があまりない大広間には瑞々しい生花が配置され、磨き込まれた床は蝋燭の灯りに反射してそれなりの光度が保たれている。
この広さの部屋を掃除した宮仕えの人達は偉大だと思うよ、これだけの生花を集めるだけでもかなりの労力が居るだろうなぁ。
そんな彼等の努力の集大成には現在沢山の参列者で溢れかえっている。
朝からあれでもない、これでもないと着せ替え人形と化していけど、最終的に採用されたのはまたもやかぼちゃパンツ!
この国って子供の正装かぼちゃパンツじゃあるまいな?
当たり前のように会場に子供の姿はない。
今さらだけど、子供ってどうやって遊ぶんだっけ?
「ぶー・・・・・・(退屈・・・・・・)」
あの倒れたアリーシャさんとアルスさんはなったんだろう?結局ロブルバーグ大司教様はあの後一度も訪ねて来ることが無かった。
お陰で気分は待て!を貰ったワンコな気分。
取り敢えず目の前に広がったフロアではミリアーナ叔母様とクラインセルト殿下に祝辞を述べるために、沢山の人だかりが出来ている。
そして国王である父様とお母様の前にも人だかり。
「あーう(祝賀会って疲れるわ)」
もっと心弾む華やかなイメージがあったけどね、まぁ料理も飾付けも立派ですよ?でもな~、動けないのは頂けないわ。
「シオル殿下?あまり元気が無いようですが大丈夫ですか?」
今日のシオル係はレーシャさん。本来なら侍女である彼女は同席出来ないんだけど、急遽父様の指示で参加となった。
「お熱は無いようですが、お部屋に戻られますか?」
いつものお仕着せではなくドレスアップしたレーシャさんは心配そうに顔を覗き込んでくれる。
「あーう(大丈夫)」
言葉は通じて無いのでにっこりと笑うことにする。どこかほっとしたように私を抱き直すと背中を擦ってくれた。
「アルトバール陛下、リステリア王妃陛下。この度はミリアーナ殿下の御婚約おめでとうございます」
双太陽神教の大司教を顕すローブを身に纏い、現れたロブルバーグ大司教様は優雅に一礼すると顔をあげた。
「大司教様、この度は我が妹の為に祝福を授けて頂けるとのこと、御礼を申し上げる。」
「勿体無き御言葉。なに儂にできることは限られておりますがな。」
確かに本人は引退を宣言していたが、正式にはまだ大司教の地位のままらしい。
「シオル殿下も御機嫌麗しゅう。」
「あーう!あーう!あーう!(待ってました!だっこ~!飽きた~!)」
「あらあら、シオル殿下急にどうされたのですか?」
ロブルバーグ大司教様に必死に両手を伸ばして暴れ始めた私に困惑したままレーシャさんが慌てているけど気にしませんよ!
脱出、脱出!
「陛下、妃陛下。シオル殿下を抱かせて頂いても?」
ロブルバーグ大司教様は苦笑しながらも保護者に許可を求めてくれた。
「ふふ、シオルは本当にロブルバーグ大司教様が好きですね。宜しければ抱いてやって下さいまし。」
対応に困っていたレーシャさんが、国王夫妻が許可を出したことで漸く開放してくれた。
「シオル殿下今日も元気一杯ですなぁ。」
「あーぶー、あーあーぶ?(こんばんは、あの後どうなったの?)」
バシバシとロブルバーグ大司教様の胸元を叩く、この体は長時間起きているのに向かないので本題は早めに切り出すに限る。
「ほほほ、まぁ直ぐに解る。あまり急かすものではない。」
悪い笑みを浮かべて会場に視線を向ける。なに?これから何か始めるの?
楽団の奏でる曲がワルツへと変わると、次第に広間の中心から人が壁際まで移動し始める。
すっかり空いた空間に今日の主役である二人が出てくると、音楽に合わせて舞い始めた。
武芸を嗜むミリアーナ叔母様、実は余りダンスは上手くないのだが、クラインセルト殿下のリードが上手いのか問題なくリズムにのってターンを決めていた。
くるりくるりとターンの度にドレスの裾が美しくと広がる。
曲が終わると沢山の讚美が広間中から送られ、そのまま円の外へと歩き出した。
そんな二人へと人の合間を縫うように近づく男を捉えたのは偶然だと思う。
貴族が着ている盛装と遜色ない服を身に纏っているが、違和感が拭えないのだ。隠しきれない殺気を駄々漏れにしながらも、その顔には暗い笑みを浮かべている。
「来おったな」
誰がって多分あの気持ち悪い感じがする男だろうなぁ。
どうやら父様も気が付いているのだろう、ロブルバーグ大司教様と目配せすると側に控えていた騎士に指示をだしていた。
「さぁて始まるぞ?一体何が釣れるかのぅ。」
「あう!ぶー(愉しそう!参加出来ないのが残念だわ)」
「仕方が無かろう。儂は歳を取りすぎたし御主は赤子じゃ。生後一年に満たない赤子をこのような場に同席させる方が規格外じゃ。」
呆れたように肩を竦めて見せられた。
「陛下は自分か王妃陛下の目の届く所に御主がおらんと落ち着かぬようじゃ、まぁ御主の自業自得じゃな。」
う~ん、最近妙にお母様が部屋に居るとは思っていたけど気のせいじゃなかったのね。
御仕事の邪魔してご免なさい。
ロブルバーグ大司教様が言っている自業自得がこの前の夜間徘徊の事だとして、今日の一代イベントに参加できる様になったのはまぁ良かったかな。
「ほれ接触したぞ?」
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