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柚子の歩み 2
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その事をゆうさんに話すと、
「…家族になれたんだね。ほんとは、柚子に一緒の生活を押し付けてしまったのでは
ないかと後悔していたの。無理をさせていたのではないかって。」
私がゆうさんの手を取り、首を振って否定すると
「あのね…あくまでも柚子の話から想定しただけで、根拠はないんだけど…。食べる
事で人と同じように補給出来たりするの…かも。柚子さえ良ければ、いろいろ試して
みない?今後、有効な手段になるかも知れないと思うんだけど…。」
私もゆうさんの考えに同意した。
式神が、本来持ち合わせていない能力を身に着けようとする時、式神自身だけでは
超えられない限界がある。
それを主がサポートする意思と、主が作ってくれたり与えてくれるものによって、
より効果的に習得出来る事が分かってきた。
それは、ゆうさんと私だけではなく、左京さんと猿豆も同様だった。
お互いに情報を共有しデータを集めていくと、他にも確証は持てなかったが、推測
出来る事も出てきて、それは杏や鴉山椒によって明らかになった。
果実の実る名を持つと、周囲の変化や違いを察知する事が出来る。
動物の名を持つと、気配を感じる事が出来て動物特有の勘が働くという事。
だから猿豆と鴉山椒は、動物と実る植物の名を持っていた為、両方の能力が備わっ
ている事が分かった。
お狐様によると、式神は形になった時点で備わった以上の能力を、主が後から加え
る事も、式神が学び習得したなどという事も聞いた事がないらしい。
それでも、私たちには目指せる先がある。それが嬉しかった。
食事だけではなく、お菓子や飲み物といったものも含め、主が作ったものなら効果
は絶大だったし、購入したものであっても主から貰う事で一定の効果はあった。
色々が分かってから篠辺では、主と式神が一緒に食事をする事も、お菓子を食べる
事も、それらを作る事も一緒に行うようになった。
依頼を熟す時にも、それらは効果を発揮し、防御力も戦闘力も補えた。
そうやって私や猿豆は主たちと共に歩んできたし、これからも、それは変わらない
だろう。そして、後輩の式神達にも受け継いで行くつもりだ。
私たち式神が新しい能力を備える事で、主の負担を減らし、篠辺での仕事の重圧を
少しでも軽く出来るなら、私は努力を惜しまない。
以前、お狐様が定久様の話をなさっていた時、篠辺の仕事は過酷で、寿命を削ると
おっしゃっていた。
私は、ゆうさんの寿命を削らせたりしない。
私が側で支えられるなら、どんな苦労も苦痛も、努力も奮励も厭わないと覚悟と決心を固めている。
「…家族になれたんだね。ほんとは、柚子に一緒の生活を押し付けてしまったのでは
ないかと後悔していたの。無理をさせていたのではないかって。」
私がゆうさんの手を取り、首を振って否定すると
「あのね…あくまでも柚子の話から想定しただけで、根拠はないんだけど…。食べる
事で人と同じように補給出来たりするの…かも。柚子さえ良ければ、いろいろ試して
みない?今後、有効な手段になるかも知れないと思うんだけど…。」
私もゆうさんの考えに同意した。
式神が、本来持ち合わせていない能力を身に着けようとする時、式神自身だけでは
超えられない限界がある。
それを主がサポートする意思と、主が作ってくれたり与えてくれるものによって、
より効果的に習得出来る事が分かってきた。
それは、ゆうさんと私だけではなく、左京さんと猿豆も同様だった。
お互いに情報を共有しデータを集めていくと、他にも確証は持てなかったが、推測
出来る事も出てきて、それは杏や鴉山椒によって明らかになった。
果実の実る名を持つと、周囲の変化や違いを察知する事が出来る。
動物の名を持つと、気配を感じる事が出来て動物特有の勘が働くという事。
だから猿豆と鴉山椒は、動物と実る植物の名を持っていた為、両方の能力が備わっ
ている事が分かった。
お狐様によると、式神は形になった時点で備わった以上の能力を、主が後から加え
る事も、式神が学び習得したなどという事も聞いた事がないらしい。
それでも、私たちには目指せる先がある。それが嬉しかった。
食事だけではなく、お菓子や飲み物といったものも含め、主が作ったものなら効果
は絶大だったし、購入したものであっても主から貰う事で一定の効果はあった。
色々が分かってから篠辺では、主と式神が一緒に食事をする事も、お菓子を食べる
事も、それらを作る事も一緒に行うようになった。
依頼を熟す時にも、それらは効果を発揮し、防御力も戦闘力も補えた。
そうやって私や猿豆は主たちと共に歩んできたし、これからも、それは変わらない
だろう。そして、後輩の式神達にも受け継いで行くつもりだ。
私たち式神が新しい能力を備える事で、主の負担を減らし、篠辺での仕事の重圧を
少しでも軽く出来るなら、私は努力を惜しまない。
以前、お狐様が定久様の話をなさっていた時、篠辺の仕事は過酷で、寿命を削ると
おっしゃっていた。
私は、ゆうさんの寿命を削らせたりしない。
私が側で支えられるなら、どんな苦労も苦痛も、努力も奮励も厭わないと覚悟と決心を固めている。
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