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火消しごっこ 1
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毎年、夏の夜は参拝者が増えるが、大半は物見雄山である。
〝夜だけの神社〟さらに狐を祀っている故、〝何かが起きそうだ〟〝起きて欲しい〟と思い、願うんじゃ。にも関わらず奴らは常に、何も起きない事が前提で、勝手に好奇心を掻き立て、怖い物見たさに心が擽ぐられておるようじゃ。
篠辺の狐は〝子供好き〟と言われておるらしいが、幾つだろうと悪ガキも、聞き分けのないガキも好きではない。ただ暇潰しにはなる故、嫌いではないがのぉ。
そろそろ参拝者も居なくなり、篠辺の住人はゆっくりと二食でも食べようかという頃に、奴らは来おった。
馬酔木鳥居に、六人の男達が集まり何やら話しておった。
【愚か者共が来た故、六人それぞれに式神を付けて用心するんじゃ。】
狐の言葉に、皆が一斉に動いた。
その時、急に赤髪の男が篠辺門まで上がって来て、スマホを手に、後ろ向きで撮影を始めた。
「さぁ!始めるかっ。」
スキンヘッドの男の掛け声で、鳥居から篠辺門までの灯籠の灯りが、次々と吹き消されていく。
篠辺門で一度集まり、金髪の男によって、近くの雪見灯籠の灯りが消されると、蜘蛛の子を散らすように、境内へと雪崩込み、灯籠の灯りを吹き消して行った。
一番最後に境内へ入って来たピアスの男も、スマホを片手に撮影していた。
【灯籠の灯りを消す遊びか?それとも…。何にしても全て消せたら、この狐が褒美をやろう。】
ハーフパンツは西の御籤掛けに、金髪は東の御籤掛けに、Tシャツは東の五葉松に、スキンヘッドは拝殿前に、それぞれの配置に着いた。
それを撮影する為、赤髪は狐の石像に、ピアスは狼の石像に登ると、拝殿の軒先に左右一対で設置してある、吊るし灯籠に水鉄砲を向けて、二人で一斉に放水し灯りを消した。
「スタンバイOK!」
二人は少し興奮した様子で、声を揃えて合図を出した。
こちらも、ハーフパンツに鴉山椒、金髪に犬枇杷、Tシャツに猿豆、スキンヘッドに柚子を付けた。
そして、赤髪に杏、ピアスに鬼縛りを配置した。
【奴らは、境内の侵入禁止区域に立ち入り、火消しごっこをするようじゃ。入っただけでは手出しをするな。物に触れたり、壊したならば動きを封じろ!忘れるでないぞ、手を出してからじゃ。】
「はい。」
【杏と坊主は、赤髪とピアスを石像から降ろさず、撮り続けさせろ。】
「はい。」
式神達の気合の入った返事が揃ったところで、左京は本殿から奥に立ち入らせないように施錠し監視。何かあった時は警察に連絡する手筈になっていた。
同じく夕霧は、茶室と倉庫に立ち入らせないように施錠し監視。もし男達が戸を壊して入って来たら、近くの猿豆か犬枇杷を呼ぶ手筈になっていた。
〝夜だけの神社〟さらに狐を祀っている故、〝何かが起きそうだ〟〝起きて欲しい〟と思い、願うんじゃ。にも関わらず奴らは常に、何も起きない事が前提で、勝手に好奇心を掻き立て、怖い物見たさに心が擽ぐられておるようじゃ。
篠辺の狐は〝子供好き〟と言われておるらしいが、幾つだろうと悪ガキも、聞き分けのないガキも好きではない。ただ暇潰しにはなる故、嫌いではないがのぉ。
そろそろ参拝者も居なくなり、篠辺の住人はゆっくりと二食でも食べようかという頃に、奴らは来おった。
馬酔木鳥居に、六人の男達が集まり何やら話しておった。
【愚か者共が来た故、六人それぞれに式神を付けて用心するんじゃ。】
狐の言葉に、皆が一斉に動いた。
その時、急に赤髪の男が篠辺門まで上がって来て、スマホを手に、後ろ向きで撮影を始めた。
「さぁ!始めるかっ。」
スキンヘッドの男の掛け声で、鳥居から篠辺門までの灯籠の灯りが、次々と吹き消されていく。
篠辺門で一度集まり、金髪の男によって、近くの雪見灯籠の灯りが消されると、蜘蛛の子を散らすように、境内へと雪崩込み、灯籠の灯りを吹き消して行った。
一番最後に境内へ入って来たピアスの男も、スマホを片手に撮影していた。
【灯籠の灯りを消す遊びか?それとも…。何にしても全て消せたら、この狐が褒美をやろう。】
ハーフパンツは西の御籤掛けに、金髪は東の御籤掛けに、Tシャツは東の五葉松に、スキンヘッドは拝殿前に、それぞれの配置に着いた。
それを撮影する為、赤髪は狐の石像に、ピアスは狼の石像に登ると、拝殿の軒先に左右一対で設置してある、吊るし灯籠に水鉄砲を向けて、二人で一斉に放水し灯りを消した。
「スタンバイOK!」
二人は少し興奮した様子で、声を揃えて合図を出した。
こちらも、ハーフパンツに鴉山椒、金髪に犬枇杷、Tシャツに猿豆、スキンヘッドに柚子を付けた。
そして、赤髪に杏、ピアスに鬼縛りを配置した。
【奴らは、境内の侵入禁止区域に立ち入り、火消しごっこをするようじゃ。入っただけでは手出しをするな。物に触れたり、壊したならば動きを封じろ!忘れるでないぞ、手を出してからじゃ。】
「はい。」
【杏と坊主は、赤髪とピアスを石像から降ろさず、撮り続けさせろ。】
「はい。」
式神達の気合の入った返事が揃ったところで、左京は本殿から奥に立ち入らせないように施錠し監視。何かあった時は警察に連絡する手筈になっていた。
同じく夕霧は、茶室と倉庫に立ち入らせないように施錠し監視。もし男達が戸を壊して入って来たら、近くの猿豆か犬枇杷を呼ぶ手筈になっていた。
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