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式神 5
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狐が柚子の言葉を伝えると、夕霧は驚き
「身勝手で、他力本願だと一掃されてもおかしくない話しです。未熟故に、貴方の言葉すら聞けない私ですが、どうか私に貴方のお力をお貸し頂けませんか?私も今まで以上に学び、知識を増やしていきます。もし貴方が私の式神となってくださるのなら、全力で貴方の言葉を聞き取れるように、貴方と意思疎通が量れるように努力します。私の式神になって頂けませんか?」
柚子は夕霧を見つめながら、ゆっくりと近づいて来た。
「今まで、これ程までに私を必要としてくれた人はいませんでした。貴女の言葉が嬉しいのです。今までの穏やかで生かされていた私ではなく、これからは何があっても貴女と共に生きて行きたいと思います。」
再び、狐は柚子の言葉を伝えた。
夕霧は嬉しさと安堵から、涙が頬を伝った。
【式神にするには、名を呼び、命じる事じゃ。】
そう狐が言うと、再度、
「未熟で、無知で、経験の浅い巫女ですが、お力をお貸し頂けますか?そして本当に私と共に戦い、生きて頂けますか?」
そう確認した。
篠辺に来てから何度も自信を失い、心が折れそうになり、それでも日々努力を重ねて、今まで務めてきた夕霧だからこそ、自身の姿や危うい足元が見えておるのじゃろうが、未熟故、経験が浅い故、手堅い仕事をしておる。
…が、夕霧は己に厳しく、評価が低い。言葉は容赦ないが、投げやりな態度は一度も見せた事など無い奴じゃ。
一筋縄ではいかない奴じゃが、信頼のおける女じゃ。
夕霧の言葉に柚子は、しっかりと頷き、片膝をついた。
「私はまだ未熟物ですが、貴方の覚悟に報いる為、今まで以上に精進していきます。柚子、貴方に私 真瀬夕霧の式神になる事を命じます。」
少しして夕霧は、片膝をついて頭を下げている柚子に、両手を差し出し立たせると
「ありがとうございます。」
と頭を下げた。
狐は
【口説いたのぉ。そして口説き落としおった。しかし不器用で飾り気も、色気もない口説き文句よのぉ…。さすが篠辺の美丈夫!】
それを聞いて
「篠辺のお狐様に煩わされて男勝りになってしまいましたが、これからはお狐様を構う暇などなく、少しでも多く柚子と共に過ごすので、以前のように清楚な女性に戻れるはずです。」
凍るような笑みを浮かべて、狐を見ていると
「この柚子には、気取らず優しい、優美な女性に見えます。」
柚子がぼそっと呟いたが、狐には聞こえてしまい、ニヤリと笑うと
【優美な夕霧が、篠辺に舞い降りる日が楽しみじゃ!】
そう言いながら姿を消した。
神楽殿の上から夕霧と柚子を見ながら、こんな形もあるものかと微笑ましく思ったもんじゃ。
だが、その後、夕霧の行動など少しばかり型破りだったというだけで、可愛いもんじゃったと思い知らされる事になった。
「身勝手で、他力本願だと一掃されてもおかしくない話しです。未熟故に、貴方の言葉すら聞けない私ですが、どうか私に貴方のお力をお貸し頂けませんか?私も今まで以上に学び、知識を増やしていきます。もし貴方が私の式神となってくださるのなら、全力で貴方の言葉を聞き取れるように、貴方と意思疎通が量れるように努力します。私の式神になって頂けませんか?」
柚子は夕霧を見つめながら、ゆっくりと近づいて来た。
「今まで、これ程までに私を必要としてくれた人はいませんでした。貴女の言葉が嬉しいのです。今までの穏やかで生かされていた私ではなく、これからは何があっても貴女と共に生きて行きたいと思います。」
再び、狐は柚子の言葉を伝えた。
夕霧は嬉しさと安堵から、涙が頬を伝った。
【式神にするには、名を呼び、命じる事じゃ。】
そう狐が言うと、再度、
「未熟で、無知で、経験の浅い巫女ですが、お力をお貸し頂けますか?そして本当に私と共に戦い、生きて頂けますか?」
そう確認した。
篠辺に来てから何度も自信を失い、心が折れそうになり、それでも日々努力を重ねて、今まで務めてきた夕霧だからこそ、自身の姿や危うい足元が見えておるのじゃろうが、未熟故、経験が浅い故、手堅い仕事をしておる。
…が、夕霧は己に厳しく、評価が低い。言葉は容赦ないが、投げやりな態度は一度も見せた事など無い奴じゃ。
一筋縄ではいかない奴じゃが、信頼のおける女じゃ。
夕霧の言葉に柚子は、しっかりと頷き、片膝をついた。
「私はまだ未熟物ですが、貴方の覚悟に報いる為、今まで以上に精進していきます。柚子、貴方に私 真瀬夕霧の式神になる事を命じます。」
少しして夕霧は、片膝をついて頭を下げている柚子に、両手を差し出し立たせると
「ありがとうございます。」
と頭を下げた。
狐は
【口説いたのぉ。そして口説き落としおった。しかし不器用で飾り気も、色気もない口説き文句よのぉ…。さすが篠辺の美丈夫!】
それを聞いて
「篠辺のお狐様に煩わされて男勝りになってしまいましたが、これからはお狐様を構う暇などなく、少しでも多く柚子と共に過ごすので、以前のように清楚な女性に戻れるはずです。」
凍るような笑みを浮かべて、狐を見ていると
「この柚子には、気取らず優しい、優美な女性に見えます。」
柚子がぼそっと呟いたが、狐には聞こえてしまい、ニヤリと笑うと
【優美な夕霧が、篠辺に舞い降りる日が楽しみじゃ!】
そう言いながら姿を消した。
神楽殿の上から夕霧と柚子を見ながら、こんな形もあるものかと微笑ましく思ったもんじゃ。
だが、その後、夕霧の行動など少しばかり型破りだったというだけで、可愛いもんじゃったと思い知らされる事になった。
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