25 / 180
式神 2 心得
しおりを挟む
【式神についてじゃが、おぬしらの手足となって働くものじゃ。本来なら、もう少し経験も知識もあった方が良いじゃろう。正直、おぬしらは二年目故、早過ぎるが考え方次第じゃ、未熟なれど一日でも多く式神と関われば、それだけ早く意思の疎通が量れるかも知れぬ。三年目まで待ったとて、使えるまでに時が過ぎれば一緒かも知れん。要は今年でも来年でも、五年後でも使えなければ一緒じゃ!そこで、ずぶの素人の為に狐が考えたのは、式神の名じゃ。左京なら〝さ〟。夕霧なら〝ゆ〟。音を同じくする事で、少しでも馴染みやすくする事じゃ。次に草木から選ぶのが良かろう。ずぶの素人が、動物や妖から作るのは無理じゃろう。ここまでは分かるか?】
真剣な二人は頷いた。
【左京は、式神の使い方やら使う側の心得と言うたが、そんなもんは後からどうとでもなる。…というか、関わるうちに意思の疎通が量れれば良いだけの事じゃ。それよりも前にするべき事がある。】
狐は、ゆるりと尾を揺らしながら、二人の顔を見た。
真剣な眼差し、一言も聞き漏らさず理解出来るようにと、息すら凝らして集中しておる。
良い顔つきになりおったのぉ…。
【さて、おぬしらには式神を想像する事からじゃ。…うむっ。百聞は一見に如かずというように見せてやれるのが早いのじゃが、そうもいかぬ故、言葉に頼る他あるまいな…。左京の〝さ〟。夕霧の〝ゆ〟から始まる、草木の名を調べよ。本来は山などで樹形や様子、印象、名から姿を想像し、その草木に触れ、名を呼び、姿、形を表したものを式神として側に置くが、おぬしらには恐らく無理じゃ。此処を離れる時すらあるまい。故に、ずぶの素人用に狐が考えた策を試してみよ。名が決まったら、その質も想像せよ。多くの事を想像出来れば、それだけ身近に思えるし、使い方も接し方も見えてこよう。】
「お狐様、お聞きしてもよろしいでしょうか?」
夕霧が畏まって尋ねる。狐が顔を向けると
「何というか…奥歯にものの挟まったような。敢えて言及せずに〝想像〟と繰り返すのは、言葉にして私達に印象を付ける事を避けているように感じたのですが…。」
女にしておくのが惜しいほどの勘と読み、言い方次第では相手の気を悪くさせかねない言葉も、夕霧の笑みに棘を抜かれる。夕霧らしい話術じゃ。
「式神は本からの知識しかありませんが、〝擬人化した姿〟や〝獣や妖、鬼〟といった容姿をしていました。このような印象を与えない為に敢えて〝想像する姿〟という言葉を使われたのですか?」
左京も続けて聞いて来た。
真剣な二人は頷いた。
【左京は、式神の使い方やら使う側の心得と言うたが、そんなもんは後からどうとでもなる。…というか、関わるうちに意思の疎通が量れれば良いだけの事じゃ。それよりも前にするべき事がある。】
狐は、ゆるりと尾を揺らしながら、二人の顔を見た。
真剣な眼差し、一言も聞き漏らさず理解出来るようにと、息すら凝らして集中しておる。
良い顔つきになりおったのぉ…。
【さて、おぬしらには式神を想像する事からじゃ。…うむっ。百聞は一見に如かずというように見せてやれるのが早いのじゃが、そうもいかぬ故、言葉に頼る他あるまいな…。左京の〝さ〟。夕霧の〝ゆ〟から始まる、草木の名を調べよ。本来は山などで樹形や様子、印象、名から姿を想像し、その草木に触れ、名を呼び、姿、形を表したものを式神として側に置くが、おぬしらには恐らく無理じゃ。此処を離れる時すらあるまい。故に、ずぶの素人用に狐が考えた策を試してみよ。名が決まったら、その質も想像せよ。多くの事を想像出来れば、それだけ身近に思えるし、使い方も接し方も見えてこよう。】
「お狐様、お聞きしてもよろしいでしょうか?」
夕霧が畏まって尋ねる。狐が顔を向けると
「何というか…奥歯にものの挟まったような。敢えて言及せずに〝想像〟と繰り返すのは、言葉にして私達に印象を付ける事を避けているように感じたのですが…。」
女にしておくのが惜しいほどの勘と読み、言い方次第では相手の気を悪くさせかねない言葉も、夕霧の笑みに棘を抜かれる。夕霧らしい話術じゃ。
「式神は本からの知識しかありませんが、〝擬人化した姿〟や〝獣や妖、鬼〟といった容姿をしていました。このような印象を与えない為に敢えて〝想像する姿〟という言葉を使われたのですか?」
左京も続けて聞いて来た。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる