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双子の七五三 5 両親
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【狼だけでなく、この狐を欺けるとでも思ったか!】
「あざむく?」
双子の兄が呟くと、朝霧は双子に
「だますこと。」
と分かる言葉に言い換えた。
「黙って持ち出そうとしたけど、七歳のお祝いに、必ずこの神社に来ようって、お兄ちゃんと約束したの。その時まで、お父さんやお母さんには内緒で、お守り代わりに持っていて、七歳のお祝いに返しに来るつもりだったの。」
「僕の五歳のお祝い…仕事とかが忙しくて忘れちゃったみたい。そしたら妹が、二人で神社へ行こうって言ったんだ。三歳の時みたいにはいかないけど、ちゃんとお参りもしたんだ。でも妹は千歳飴もお守りもないお祝いを悲しいって言って、二人で一緒に石を持って帰ろうって話したんです。本当に必ず返しに来る約束を妹としていたんです。」
左京は
「人の家のものを勝手に持ち出す事が、悪い事で犯罪なのは知ってるみたいだね。神社の石一つでも一緒なんだよ。神社の玉石は法律で罪になる事はないかも知れないけど、神社は住んでいる所で、境内は庭だと思ってね。この神社には神様が祀られている本殿があって、境内には悪い事やいけない事をした動物の霊を石とか物に閉じ込めてある場所や、天災を鎮める為に置かれているのもあるんだ。そういった様々な謂れのあるものが此処には沢山あるんだ。だから、どんなに小さな物でも、神社の敷地内にある物を持ち出すのは、危ない事なんだ。今回は君達が悪い事をしようと思って、玉石を持ち出そうとしたんじゃないと分かったけど、二度とこういう事はしないと約束してくれるかな?」
双子は
「ごめんなさい。もうしません。」
と狐と狼を見ながら約束した。
そして
「教えてくれて、ありがとう。」
「私も、今日の事は忘れません。」
そう言った。
五歳の子供が大人に囲まれて怖いだろうに、きちんと謝って、自分達の行動を説明出来て、少し難しい左京さんの話しも最後まで聞いて理解し、反省をした。
更に、感謝の言葉と今日を忘れないと誓った姿が、朝霧には眩しい程美しく映った。
そんな時、狐が左京を見た。そして、左京と右京が揃って拝殿を出て行った。
暫くして神主二人と一緒に、双子の両親も拝殿へ入って来た。
両親は入って来るなり、双子に訳も聞かず叱り付けた。
一方的に叱り続けて、手を繋いで座っていた双子を立たせ、父親は娘の、母親は息子の手を取り、双子を引き離した事にも気付かず、今度は夫婦で責任転嫁して喧嘩を始めた。
耳障りと言わんばかりに狐が、尾を叩きつけると同時に、二人の神主が数回、手を叩いた。
その音に驚いた夫婦は口喧嘩を止め、呆然とした。
双子は、その隙に親の手を振りほどいて、朝霧の背に逃げて来た。
「何をしているの!陽は、母さんと一緒に帰るわよ。」
「月も、一緒に帰ろう!」
朝霧の後ろにいる双子に、両親が手を差し出したが、双子はその手を取ろうとはしなかった。
「あざむく?」
双子の兄が呟くと、朝霧は双子に
「だますこと。」
と分かる言葉に言い換えた。
「黙って持ち出そうとしたけど、七歳のお祝いに、必ずこの神社に来ようって、お兄ちゃんと約束したの。その時まで、お父さんやお母さんには内緒で、お守り代わりに持っていて、七歳のお祝いに返しに来るつもりだったの。」
「僕の五歳のお祝い…仕事とかが忙しくて忘れちゃったみたい。そしたら妹が、二人で神社へ行こうって言ったんだ。三歳の時みたいにはいかないけど、ちゃんとお参りもしたんだ。でも妹は千歳飴もお守りもないお祝いを悲しいって言って、二人で一緒に石を持って帰ろうって話したんです。本当に必ず返しに来る約束を妹としていたんです。」
左京は
「人の家のものを勝手に持ち出す事が、悪い事で犯罪なのは知ってるみたいだね。神社の石一つでも一緒なんだよ。神社の玉石は法律で罪になる事はないかも知れないけど、神社は住んでいる所で、境内は庭だと思ってね。この神社には神様が祀られている本殿があって、境内には悪い事やいけない事をした動物の霊を石とか物に閉じ込めてある場所や、天災を鎮める為に置かれているのもあるんだ。そういった様々な謂れのあるものが此処には沢山あるんだ。だから、どんなに小さな物でも、神社の敷地内にある物を持ち出すのは、危ない事なんだ。今回は君達が悪い事をしようと思って、玉石を持ち出そうとしたんじゃないと分かったけど、二度とこういう事はしないと約束してくれるかな?」
双子は
「ごめんなさい。もうしません。」
と狐と狼を見ながら約束した。
そして
「教えてくれて、ありがとう。」
「私も、今日の事は忘れません。」
そう言った。
五歳の子供が大人に囲まれて怖いだろうに、きちんと謝って、自分達の行動を説明出来て、少し難しい左京さんの話しも最後まで聞いて理解し、反省をした。
更に、感謝の言葉と今日を忘れないと誓った姿が、朝霧には眩しい程美しく映った。
そんな時、狐が左京を見た。そして、左京と右京が揃って拝殿を出て行った。
暫くして神主二人と一緒に、双子の両親も拝殿へ入って来た。
両親は入って来るなり、双子に訳も聞かず叱り付けた。
一方的に叱り続けて、手を繋いで座っていた双子を立たせ、父親は娘の、母親は息子の手を取り、双子を引き離した事にも気付かず、今度は夫婦で責任転嫁して喧嘩を始めた。
耳障りと言わんばかりに狐が、尾を叩きつけると同時に、二人の神主が数回、手を叩いた。
その音に驚いた夫婦は口喧嘩を止め、呆然とした。
双子は、その隙に親の手を振りほどいて、朝霧の背に逃げて来た。
「何をしているの!陽は、母さんと一緒に帰るわよ。」
「月も、一緒に帰ろう!」
朝霧の後ろにいる双子に、両親が手を差し出したが、双子はその手を取ろうとはしなかった。
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