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双子の七五三 3 ミルクとココア
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皆で、待合室へ向かって歩いていると、
「お二人共、大きくなりましたね。初めて此処へいらしたのは、三歳でしたから、
もう二年になるんですね。」
双子を見ながら、夕霧が言うと
「覚えてるの?」
声を揃えて驚いた。
「私と神主の左京さんが、篠辺に来て、初めて七五三の祈願をしたのが、
お二人だったので良く覚えています。」
「そうだったんですか。」
右京も少し遠くを見るような目をした。
待合室につくと
「身体がすっかり冷えてしまいましたね。私は、温かいものを入れてきますが、
右京さんは、ホットミルクとココア、どちらが良いですか?」
近くにいる僕に話し掛けたにしては、少し大きめの声だったので、右京は、
夕霧を見て少し考えてから
「甘いココアが良いですね。身体が温まりそうですから。」
と、同じ様に大きめの声で言って、はにかんだ。
「お二人は、ホットミルクとココア、どちらが良いですか?
2つ作るのが、4つに増えても手間は変わりませんから、良かったら
一緒に温まりませんか?」
「僕達は悪い事をし」
双子の兄が言い終える前に
「それは、さっき謝って貰いました。訳は、後で聞かせて貰いますが、
まずは温まりましょう。」
右京は双子の頭を撫でながら、微笑んだ。
右京の言葉と笑顔に、双子の緊張が少しほぐれ、嬉しそうに二人はココアを選んだ。
そんな3人の遣り取りを眺めながら、やはり右京さんは〝お兄さん〟なんだなぁ
と感じ、無意識に出る優しい言葉や、無自覚な笑顔だけで、空気を和ませてしまう
事こそ、右京さんにしか出来ない〝才能〟だと、少し羨ましくも感じていた。
待合室のドアへ向かおうと夕霧が足を進めると、左京が入って来るなり、
「オレは、温かいコーヒーが良いなぁ。」
と、親指を立てて言った。
夕霧は
「選択肢に入っていませんけど…。仕様がないですね。今からコーヒーに変える方がいらしたら、どうぞ。」
右京だけを見て言った。
そんな夕霧の心遣いに微笑みながら
「丁度、甘いものが欲しかったので、ココアでお願いします。」
右京の返事を聞くと、
「私も手伝うわね。」
いつの間にか隣にいた朝霧が言った。
そして巫女の二人は、何か話しながら待合室を出て行った。
二人の背中を見送りながら
「夕霧さんらしい…。」
右京が独り言を言った。
「お二人共、大きくなりましたね。初めて此処へいらしたのは、三歳でしたから、
もう二年になるんですね。」
双子を見ながら、夕霧が言うと
「覚えてるの?」
声を揃えて驚いた。
「私と神主の左京さんが、篠辺に来て、初めて七五三の祈願をしたのが、
お二人だったので良く覚えています。」
「そうだったんですか。」
右京も少し遠くを見るような目をした。
待合室につくと
「身体がすっかり冷えてしまいましたね。私は、温かいものを入れてきますが、
右京さんは、ホットミルクとココア、どちらが良いですか?」
近くにいる僕に話し掛けたにしては、少し大きめの声だったので、右京は、
夕霧を見て少し考えてから
「甘いココアが良いですね。身体が温まりそうですから。」
と、同じ様に大きめの声で言って、はにかんだ。
「お二人は、ホットミルクとココア、どちらが良いですか?
2つ作るのが、4つに増えても手間は変わりませんから、良かったら
一緒に温まりませんか?」
「僕達は悪い事をし」
双子の兄が言い終える前に
「それは、さっき謝って貰いました。訳は、後で聞かせて貰いますが、
まずは温まりましょう。」
右京は双子の頭を撫でながら、微笑んだ。
右京の言葉と笑顔に、双子の緊張が少しほぐれ、嬉しそうに二人はココアを選んだ。
そんな3人の遣り取りを眺めながら、やはり右京さんは〝お兄さん〟なんだなぁ
と感じ、無意識に出る優しい言葉や、無自覚な笑顔だけで、空気を和ませてしまう
事こそ、右京さんにしか出来ない〝才能〟だと、少し羨ましくも感じていた。
待合室のドアへ向かおうと夕霧が足を進めると、左京が入って来るなり、
「オレは、温かいコーヒーが良いなぁ。」
と、親指を立てて言った。
夕霧は
「選択肢に入っていませんけど…。仕様がないですね。今からコーヒーに変える方がいらしたら、どうぞ。」
右京だけを見て言った。
そんな夕霧の心遣いに微笑みながら
「丁度、甘いものが欲しかったので、ココアでお願いします。」
右京の返事を聞くと、
「私も手伝うわね。」
いつの間にか隣にいた朝霧が言った。
そして巫女の二人は、何か話しながら待合室を出て行った。
二人の背中を見送りながら
「夕霧さんらしい…。」
右京が独り言を言った。
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