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双子の七五三 2 玉石
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そろそろ午前4時になろうかという時、一番最後に参拝していた家族が帰って
行った。式神達も篠辺へ戻り、左京も夕霧も片付けを始めていた。
その時、篠辺の狐と東雲の狼が、それぞれの門前に座り、双子の男女を見下ろしていた。手を繋いだ双子も、東西の門を塞ぐ、神達を見上げていた。
互いの姿を確認したところで、両神社の神主と巫女も駆け付けた。
「狐さんと狼さんは、本当に仲が悪いのですか?」
それぞれの神を真っ直ぐに見据えた双子が、声を揃えて尋ねた。
【真っ当ぶった犬など、好かん。】
〖悪趣味な狐とは、反りが合わぬ。〗
互いに、さらりと罵った。
すると双子は
「仲良くする方法を教えてください。」
と頭を下げた。
話を聞くと、双子の両親が喧嘩をして、離婚を考えている状態で、
双子を一人ずつ引き取る話をしているので、仲直りさせたいという事らしい。
「一般的には、子は夫婦の鎹と言いますが、僕は一緒にいるだけでは、ダメなんだと思います。無理に子供が繋ぎ止めても、ご両親の気持ちが通じていなければ、
以前のような家族には戻れません。」
「私も今、お二人に出来る事があるとすれば、ご両親の気持ちが、整理出来るのを
待つだけだと思いますよ。」
東雲の二人が言い、神主が、双子の兄の前へ右手を差し出した。
妹はちらっと兄の顔を見た後、俯いて首を振った。
「たぶん、もう決まってるの。ダメなんだと思う。…分かっていたけど、一緒に
いたかったの。」
泣き声で話した。
「僕達が双子じゃなかったら…違っていたのかも。」
繋いだ手に力を込めた。
「例え、両親とも、兄妹とも離れて暮らす事になっても、君達、双子なら、きっと
大丈夫ですよ。」
「双子だからこそ、お二人に、距離は出来ませんよ。離れて暮らしても、ご両親で
ある事も変わりません。」
篠辺の巫女に続いて、神主も笑顔で伝えた。そして神主が、双子の妹の前まで来て
座り、右手を差し出した。
双子は、少し驚いた顔をしたが、二人の神主に、謝りながら玉石を返した。
これ以上、外で話すのは寒過ぎるので、室内へ行く事にした。
双子には一度、篠辺門を出て、馬酔木鳥居を潜り、東雲の右京が案内し、再び
勝手口より入って来て貰う事にした。
勝手口には、篠辺の夕霧が待っていてくれた。
行った。式神達も篠辺へ戻り、左京も夕霧も片付けを始めていた。
その時、篠辺の狐と東雲の狼が、それぞれの門前に座り、双子の男女を見下ろしていた。手を繋いだ双子も、東西の門を塞ぐ、神達を見上げていた。
互いの姿を確認したところで、両神社の神主と巫女も駆け付けた。
「狐さんと狼さんは、本当に仲が悪いのですか?」
それぞれの神を真っ直ぐに見据えた双子が、声を揃えて尋ねた。
【真っ当ぶった犬など、好かん。】
〖悪趣味な狐とは、反りが合わぬ。〗
互いに、さらりと罵った。
すると双子は
「仲良くする方法を教えてください。」
と頭を下げた。
話を聞くと、双子の両親が喧嘩をして、離婚を考えている状態で、
双子を一人ずつ引き取る話をしているので、仲直りさせたいという事らしい。
「一般的には、子は夫婦の鎹と言いますが、僕は一緒にいるだけでは、ダメなんだと思います。無理に子供が繋ぎ止めても、ご両親の気持ちが通じていなければ、
以前のような家族には戻れません。」
「私も今、お二人に出来る事があるとすれば、ご両親の気持ちが、整理出来るのを
待つだけだと思いますよ。」
東雲の二人が言い、神主が、双子の兄の前へ右手を差し出した。
妹はちらっと兄の顔を見た後、俯いて首を振った。
「たぶん、もう決まってるの。ダメなんだと思う。…分かっていたけど、一緒に
いたかったの。」
泣き声で話した。
「僕達が双子じゃなかったら…違っていたのかも。」
繋いだ手に力を込めた。
「例え、両親とも、兄妹とも離れて暮らす事になっても、君達、双子なら、きっと
大丈夫ですよ。」
「双子だからこそ、お二人に、距離は出来ませんよ。離れて暮らしても、ご両親で
ある事も変わりません。」
篠辺の巫女に続いて、神主も笑顔で伝えた。そして神主が、双子の妹の前まで来て
座り、右手を差し出した。
双子は、少し驚いた顔をしたが、二人の神主に、謝りながら玉石を返した。
これ以上、外で話すのは寒過ぎるので、室内へ行く事にした。
双子には一度、篠辺門を出て、馬酔木鳥居を潜り、東雲の右京が案内し、再び
勝手口より入って来て貰う事にした。
勝手口には、篠辺の夕霧が待っていてくれた。
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