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出会い編!
獅子狩り
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「というわけでアロマさん! パーティ組んだから仕事紹介してくれ!」
コンビの結成を宣言した後、ドンキホーテはすぐさま、レーデンスを連れて、ギルド職員のアロマのいる受付へと走った。
アロマはそれを聞くと、驚いた顔をしてドンキホーテに聞き返す。
「パーティ組んだってドンキホーテ、元の「銀色の短剣」はどうしたの?!」
「追放された」
あっけらかんと話すドンキホーテを見てアロマは頭を抱えた。
「もう……でもいいわ、とにかく仲間が見つかったのね」
「ああ、こいつが仲間のレーデンスだ!」
「よろしく」とレーデンスがアロマに挨拶をする。レーデンス自身は今まで差別を受けてきた前例があるため、人と話すのはあまり得意ではない。そのため少々ぎこちない挨拶となってしまう。
レーデンスをみるとアロマは「まあ!」と驚いた。
「ドンキホーテ、いい人とパーティ組めてよかったわね! レーデンスさんギルド内でとっても評判がいいのよ!」
「な、そうなのか?」
その言葉に一番驚いたのはレーデンスだった。
「ええ、いつも、依頼主の方からはきちんと仕事をこなしてくれるし、几帳面だし、文句も言わずに面倒くさい事もやってくれる、とてもいい冒険者だと言われておりますよ」
「知らなかったな……」
それもそのはずだ、普段そういう評判を聞けるのは大抵受付嬢などのギルド職員からなのだが、レーデンスは、依頼が終わればそそくさと帰り、冒険者ギルドの職員ともコミュニケーションを取ろうとはしなかった。
レーデンスは怖かったのだ、自分の評判を聞くのが。
最悪、自分の評判など地の底に落ちているに違いないとレーデンスは思い込んでいた。そのためアロマの言葉は、レーデンスにとって予想外のことであった。
「へぇ、そうだったのかレーデンス、すげぇな! アロマさん俺は?」
「ドンキホーテの評価はあまり高くないわよ、喧嘩っ早いし、問題起こすし」
「まじかよ……」ドンキホーテは肩を落とした。レーデンスは意外そうな顔をしてアロマに聞く。
「そんなに悪いのか? ドンキホーテは?」
「そうなんですよ、レーデンスさん! この子、根は真面目で正義感が強いんですけど、その正義感の強さのせいで他の冒険者と揉めたりしちゃって、ほら冒険者って一癖も二癖もあるような人が多いでしょう? この子、口で注意しろと言われているのにいつも、手が先に出ちゃって」
レーデンスはそれを聞くとホッとした、そういう意味の素行の悪さか、と正直に言えばそれは逆にレーデンスにとっては信頼できる男であることの証の様にも感じていた。
当の本人のドンキホーテはまた始まったよとばかりに、ため息をついた。そして言い返す。
「言っとくが、ここにいる冒険者は性根が腐っている奴が多すぎんだよ、新入りいびりとか、カツアゲしたりとかさぁ」
「だからって、喧嘩起こすのはダメよドンキホーテ! いつも言ってるでしょ、そういう事例を見かけたら冒険者ギルドの職員に言いってねって!」
「それじゃあ間に合わないんだよぉ、アロマさん!」
そこまで聞くと「まあ、いいわ」とアロマは言うと、話を元に戻す。
「そういえば、依頼を探しにきたんでしょう? ぴったりな奴があるわよ!」
アロマは受付のテーブルの上に一枚の依頼書を出した。
「遺跡調査の補助?」
レーデンスは、調査書に書かれた文字を声に出して読んだ。アロマは説明を続ける。
「最近オーロ村で地震が起きてね、そのせいで地形が少し変わって近くの山中に新しく遺跡が発見されたそうなの、その遺跡の調査の補助をして欲しいのだそうよ」
ドンキホーテは首を傾げ言った。
「遺跡調査の補助って何すりゃいいんだ?」
「遺物を発見したらそれを運んだり、魔物が現れたらそれを退治したりするんだけど、第一回の調査の時に中にいた魔物は退治しちゃったらしいから今回は遺物の、持ち運びがメインね、どう? ドンキホーテにぴったりだと思うんだけど」
とにかく今は仕事がないのだ。どんな仕事でもいいと考えていたドンキホーテはすぐさまそれに飛びつきそうになったが、ドンキホーテはレーデンスに伺う
「だってよ、レーデンスはどうする?」
たしかにこれはドンキホーテにぴったりな仕事だとドンキホーテ自身も思うのだが、問題はレーデンスのレベルに合っているかだ。
この仕事は初心者用の仕事だ、簡単すぎては、レーデンスに見合わないのではないか、ドンキホーテはそう思ったのである。
レーデンスの気が乗らないならこの別の依頼を受けようとドンキホーテは思っていた。しかしレーデンスは言う。
「いいぞ、私は。それに私達はパーティを組んだばかりだ。最初は簡単な仕事の方がいいだろう」
「じゃあ決まりだな! アロマさん、これ受けるぜ!」
ドンキホーテは元気よくそう言った。受付嬢のアロマは「はいはい」と言いながら、依頼受諾の手続きを行った。
「そういえば、パーティ名を聞いていなかったわね、手続きの時パーティ名が必要だから教えてもらっていい?」
アロマの言葉に対してドンキホーテは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべていう。
「俺たちのパーティ名かよくぞ聴いてくれた! 俺たちのパーティ名はーー」
そして自信たっぷりにドンキホーテは言い放つ。
「「獅子狩り」だ!」
コンビの結成を宣言した後、ドンキホーテはすぐさま、レーデンスを連れて、ギルド職員のアロマのいる受付へと走った。
アロマはそれを聞くと、驚いた顔をしてドンキホーテに聞き返す。
「パーティ組んだってドンキホーテ、元の「銀色の短剣」はどうしたの?!」
「追放された」
あっけらかんと話すドンキホーテを見てアロマは頭を抱えた。
「もう……でもいいわ、とにかく仲間が見つかったのね」
「ああ、こいつが仲間のレーデンスだ!」
「よろしく」とレーデンスがアロマに挨拶をする。レーデンス自身は今まで差別を受けてきた前例があるため、人と話すのはあまり得意ではない。そのため少々ぎこちない挨拶となってしまう。
レーデンスをみるとアロマは「まあ!」と驚いた。
「ドンキホーテ、いい人とパーティ組めてよかったわね! レーデンスさんギルド内でとっても評判がいいのよ!」
「な、そうなのか?」
その言葉に一番驚いたのはレーデンスだった。
「ええ、いつも、依頼主の方からはきちんと仕事をこなしてくれるし、几帳面だし、文句も言わずに面倒くさい事もやってくれる、とてもいい冒険者だと言われておりますよ」
「知らなかったな……」
それもそのはずだ、普段そういう評判を聞けるのは大抵受付嬢などのギルド職員からなのだが、レーデンスは、依頼が終わればそそくさと帰り、冒険者ギルドの職員ともコミュニケーションを取ろうとはしなかった。
レーデンスは怖かったのだ、自分の評判を聞くのが。
最悪、自分の評判など地の底に落ちているに違いないとレーデンスは思い込んでいた。そのためアロマの言葉は、レーデンスにとって予想外のことであった。
「へぇ、そうだったのかレーデンス、すげぇな! アロマさん俺は?」
「ドンキホーテの評価はあまり高くないわよ、喧嘩っ早いし、問題起こすし」
「まじかよ……」ドンキホーテは肩を落とした。レーデンスは意外そうな顔をしてアロマに聞く。
「そんなに悪いのか? ドンキホーテは?」
「そうなんですよ、レーデンスさん! この子、根は真面目で正義感が強いんですけど、その正義感の強さのせいで他の冒険者と揉めたりしちゃって、ほら冒険者って一癖も二癖もあるような人が多いでしょう? この子、口で注意しろと言われているのにいつも、手が先に出ちゃって」
レーデンスはそれを聞くとホッとした、そういう意味の素行の悪さか、と正直に言えばそれは逆にレーデンスにとっては信頼できる男であることの証の様にも感じていた。
当の本人のドンキホーテはまた始まったよとばかりに、ため息をついた。そして言い返す。
「言っとくが、ここにいる冒険者は性根が腐っている奴が多すぎんだよ、新入りいびりとか、カツアゲしたりとかさぁ」
「だからって、喧嘩起こすのはダメよドンキホーテ! いつも言ってるでしょ、そういう事例を見かけたら冒険者ギルドの職員に言いってねって!」
「それじゃあ間に合わないんだよぉ、アロマさん!」
そこまで聞くと「まあ、いいわ」とアロマは言うと、話を元に戻す。
「そういえば、依頼を探しにきたんでしょう? ぴったりな奴があるわよ!」
アロマは受付のテーブルの上に一枚の依頼書を出した。
「遺跡調査の補助?」
レーデンスは、調査書に書かれた文字を声に出して読んだ。アロマは説明を続ける。
「最近オーロ村で地震が起きてね、そのせいで地形が少し変わって近くの山中に新しく遺跡が発見されたそうなの、その遺跡の調査の補助をして欲しいのだそうよ」
ドンキホーテは首を傾げ言った。
「遺跡調査の補助って何すりゃいいんだ?」
「遺物を発見したらそれを運んだり、魔物が現れたらそれを退治したりするんだけど、第一回の調査の時に中にいた魔物は退治しちゃったらしいから今回は遺物の、持ち運びがメインね、どう? ドンキホーテにぴったりだと思うんだけど」
とにかく今は仕事がないのだ。どんな仕事でもいいと考えていたドンキホーテはすぐさまそれに飛びつきそうになったが、ドンキホーテはレーデンスに伺う
「だってよ、レーデンスはどうする?」
たしかにこれはドンキホーテにぴったりな仕事だとドンキホーテ自身も思うのだが、問題はレーデンスのレベルに合っているかだ。
この仕事は初心者用の仕事だ、簡単すぎては、レーデンスに見合わないのではないか、ドンキホーテはそう思ったのである。
レーデンスの気が乗らないならこの別の依頼を受けようとドンキホーテは思っていた。しかしレーデンスは言う。
「いいぞ、私は。それに私達はパーティを組んだばかりだ。最初は簡単な仕事の方がいいだろう」
「じゃあ決まりだな! アロマさん、これ受けるぜ!」
ドンキホーテは元気よくそう言った。受付嬢のアロマは「はいはい」と言いながら、依頼受諾の手続きを行った。
「そういえば、パーティ名を聞いていなかったわね、手続きの時パーティ名が必要だから教えてもらっていい?」
アロマの言葉に対してドンキホーテは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべていう。
「俺たちのパーティ名かよくぞ聴いてくれた! 俺たちのパーティ名はーー」
そして自信たっぷりにドンキホーテは言い放つ。
「「獅子狩り」だ!」
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