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領地発展

048話 ナイトーさん、いやナイヤさん

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 バタバタしたけど、ようやく落ち着いたお2人。(ターナ義姉ねえさんとリゲルさん)

 そんなターナ義姉さんが僕に質問をしてきたんだ。

「トーヤくん、フェルに聞いたのだけど、他に乳液とか化粧水なんかもあるんですって?」

 ターナ義姉さんにそう聞かれたので、僕はまたカバンをゴソゴソ道具箱をゴソゴソして、乳液と化粧水を取り出した。
 勿論、プレゼントしますよ、義姉さん。僕が笑顔で差し出したら、気がついた時にはその豊満な胸部装甲に僕の顔が包まれていたよ…… 見事なまでのマシュマロ感に僕の意識は幸福感に満たされていく。

 ああ~、何て幸福感のある胸部装甲なんだぁ! しかし、その幸せの時間は長くは続かなかった。

「お姉様! トーヤがピクピクしてます! 呼吸させてあげて!」

「タ、ターナ、それ以上抱きしめていたらハイナイト伯爵が昇天してしまうっ!!」

 その2人の言葉にハッとしたターナ義姉さんが僕を解放したんだ。ああ、僕はあのまま昇天しても本望だったかも……
 いや、ダメダメッ!! フェルと幸せな結婚生活が待っているんだから、まだ死ねないよっ!!

「あら、ゴメンナサイね。トーヤくん、大丈夫だった? 嬉しくてついね…… オホホホ」

 フォグマイヤー伯爵ご夫婦は最後に笑って話を終わる似た者夫婦なのかな? でも喜んで貰えたようで良かったよ。これでまたお客様が増えたね。フェルも嬉しいみたいだ。
 お姉さんに素敵な贈り物が出来たからね。そして又、フェルとターナ義姉さんが別室に向かったので、僕たちはナイトーさんがやって来るまで歓談していたんだ。まあ、僕は聞き役だけどね。

 そうしていたら執事さんがナイトーさんがやって来たと告げたので、僕たちは入ってくるのを静かに待つ。

「ハール・ロッテンマイヤー公爵閣下、お呼びにより参上致しました。しがない商人のナイトーと申します。よろしくお願い致します」

 部屋に入るなり戸口でそう挨拶をするナイトーさん。この人がフェルの兄上のナイヤさんか。僕はしっかりと観察した。見極眼みきわめでね。


名前:ナイトー(ナイヤ・テルマイヤー(侯爵家三男)
年齢:32歳
種族:人種
位階レベル:45
性別:男
性格:思慮分別・冷静沈着・熟女好き
称号:目利きの商人
体力:265
気力:435
技力:280
魔力:473
魂力:622
技能:鑑定眼(MAX)・魔力操作・属性魔法(5)【水・青・黄・濃紺】・身体強化(大)・気配察知(範囲中)・隠密行動(8)
加護:スクナヒコナの加護
   【収納】


 おお、目利きの商人さんだけはあるね。僕の見極眼みきわめと同じような能力の鑑定眼がMAXになってるよ。

「おお、よく来てくれたな、ナイトーよ。お主を呼んだのは他でもない、お主の商品の懐中電灯とやらを見せて貰おうと思ってな。我が領地にある鉱山で活躍しそうだと思ってな。今は採掘の際に必ず2人の金(光)属性を持つ者が着いていくようにしておるのだが、お主の商品があれば金(光)属性を持っておらずとも採掘に行けると聞いてな」

 ハール様がそう言いながらナイトー(ナイヤ)さんにソファに座るように促した。失礼しますと言って座るナイヤ(面倒だからこっからナイヤさんで統一しよう)さん。そして、持っていた鞄に手を入れて前世でよく見た懐中電灯とヘッドライトを取り出したんだ。

「閣下、コチラが懐中電灯になります。手に持つタイプと頭に装着するタイプの2種類がございまして、魔石に特殊な細工を施して動力としております。コチラの飛び出ている物を一度押すと点灯しまして、もう一度押すと消灯します。よろしければ明るさの確認の為に部屋を暗くして頂けますか?」

 取り出した商品の説明をするナイヤさん。僕はそれを見て前世で見た懐中電灯やヘッドライトの古いタイプと同じだと思ったんだ。これなら僕の道具箱に入ってる最新式の懐中電灯の方が絶対に明るいね。

「おお、それは楽しみだ。オイ、カーテンを引いて部屋を消灯するのだ」

 ハール様がそう言って控えていた執事さんと侍女さんに指示を出した。僕は彼らが動く前にハール様に身振りでちょっと待ってと伝えた。

「うん? どうしたんじゃ? トーヤよ、何かあるのかの?」

 ハール様にそう聞かれたから僕も鞄から出す振りをして道具箱から最新式の懐中電灯とヘッドライトを取り出した。LEDの明るさも日々進歩していて、ナイヤさんが出した物もLED仕様だけど、一昔前のタイプだからコッチの方が明るい筈だよ。

 僕が同じような商品を取り出したのを見てハール様が言う。

「何じゃ、トーヤも似たような商品を持っていたのか。ちょうどいいからソレの明るさも見てみるか。良いかの? ナイトーよ」

 ハール様の問いかけにナイヤさんは、

「勿論でございます閣下。但し、私のお持ちした商品は明るさでは負ける事は無いと思います」

 と自信たっぷりに言ったんだ。見極眼みきわめで見る限り一昔前の懐中電灯だし、違うのは電池を使う所を魔石を加工して電池サイズにして電源にしてあるぐらいだからコッチの方が明るい筈だけど、良く考えて見たら一昔前でも出た当初はそれまでの物よりもかなり明るかったからね。この世界だとビックリするぐらい明るいだろうね。だから自信があるのも頷けると思ったよ。

 そして、暗くなった部屋でハール様が手に懐中電灯を持とうとする前に僕は危険が無いのを知っていたけど、知らないリゲルさんが先に手に取り、
 
「ハール様、私が試しますので」

 そう言ってスイッチを押したんだ。ハール様がワシがやりたかったのにと呟いたけど、明るくなった部屋を見て驚いた。

「おお、コレは! コレならば採掘の際に役に立ちそうじゃ!」

 僕が見極眼みきわめで見たナイヤさんが出した懐中電灯の明るさは500ルーメン。ヘッドライトも同じ。僕はもう一度スイッチを押して消したリゲルさんに、僕が出した懐中電灯を手渡した。

「ん? 今度はハイナイト伯爵の方を点けてみれば良いのかな? よし、分かった。オオッ! コレはっ!!」

 僕の出した懐中電灯のスイッチを押したリゲルさんが驚愕の声を上げた。だって僕の出した懐中電灯は最新式で、明るさは3000ルーメンだよ。そして、光の範囲を調節出来る機能付きなんだ。僕はリゲルさんの手に手を添えて、照射角を変更してみたんだ。

「な、何と! こんな事まで出来るのか!」

 コレはナイヤさんの声。ナイヤさんも自信たっぷりだったけど、今は驚愕しているようだ。それに、鑑定眼で見ても懐中電灯としか表示されないようにしてたからね。まさかと思ったんだろうね。

「コレは凄いの! トーヤよ、どれぐらい持つのだ?」

 部屋の電灯を点けて、カーテンを開けてからハール様に聞かれたから、僕は紙に書いて答えたよ。

【連続点灯時間は1日です。ナイヤさんがお持ちした商品の方が持ち時間は長いです。連続点灯で3日ほど持つ筈です】

 あ、やっちゃった…… 僕が紙にナイヤさんって書いたから、3人が固まっているよ…… そこにノックの後にフェルとターナ義姉さんが入ってきたんだ。そして、ナイヤさんを見るなりターナ義姉さんがこう言ったんだ。

「アラアラ、ナイヤ兄さんじゃない! お久しぶりね! 今までどうしていたの?」

 助かりました、ターナ義姉さん。
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