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後編

“アロイス”(ローデリヒ過去)

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 目を見開いた。
 ローデリヒの海色の瞳が小刻みに揺れる。

 聞き間違えかと思うくらいの、掠れた小さな声だった。
 それでも、ローデリヒの耳にはハッキリ入ってきた。

 母は今、なんと言ったのか?

 ほんの七日前に見た時には、少女のように若々しく、そしてどこか儚げで、俗世とは隔絶されているかのような雰囲気だったのに。

 今では一気に十歳以上老け込んでしまったかのような見た目をしていた。
 乱れた髪はそのままで、結われることなく下ろされている。
 服も部屋着のまま。それも着崩してしまっている。
 理解出来なかったローデリヒはそれでも、べティーナへと手を伸ばした。

「は、はうえ……。お体の調子が悪いと伺いました……。大丈夫でしょうか……」

 痛いのだろうか、こめかみを押さえた手にローデリヒは自身の手を重ねる。酷くカサついた手。水分が足りていない手。病人の手。

 その手は、振り払われはしなかった。
 だが同時に、受け入れられもしなかった。

 べティーナの虚ろな瞳がローデリヒの姿をぼんやりと眺める。だが、その視線はローデリヒを通り過ぎて、後ろから追いかけてきた侍女へと向けられる。

「……どこ?どこに行ったの?」
「母上?」

 首を傾げたローデリヒの肩にやんわりと侍女が手を乗せる。

「さあ、殿下。べティーナ様はお身体の調子が悪いのです。こちらに」

 それに抗うように、ローデリヒはべティーナの手から自身の手を離した。そして侍女の手をどかそうとする。
 だけど、侍女の手を掴んだローデリヒの手は、不自然に止まった。
 べティーナの言葉によって。

「どこにやったの?を!!」

 その瞳はローデリヒを捉えてはいない。ローデリヒの存在なんか目に入らないというように。

「母上……?僕はここにむぐっ」

 自分はここにいる、そう言おうとした口は侍女に塞がれた。子供ながらに鍛えていたローデリヒには、容易く振り解けるような力で。

 だから、振り解こうとしたのだ。
 何度も何度も母親へと向かおうとするのを阻む侍女を腹立たしく思いながら、頭一半ほど高い侍女を睨めつけ半分で見上げる。

 そして侍女と目が合った瞬間、ローデリヒは頭から冷や水を浴びたかのように、全身の怒りという感情が、熱が引いていった。

 侍女の瞳が俯いた拍子に暗く映る。でも、痛々しそうに、憐れむように歪められていたのをローデリヒは見た。

 普通じゃない。
 王子であるローデリヒに、そんな瞳を直接向ける人はいなかった。ローデリヒを可哀想な顔をして見る者などいなかった。いなかったからこそ、ローデリヒにとっては異端に映った。

 抵抗のなくなった子供を移動させるのは、侍女でも容易かったのだろう。べティーナの部屋から引きずり出されたローデリヒは、近くの別の侍女へと引き渡された。途中からローデリヒを迎えに来た衛兵に囲われながら、べティーナの部屋から離される。

 母親付きの侍女の顔に嫌な予感を覚えながら、それでもローデリヒは奥歯を噛み締めた。

「どうして……」

 どうして、母上は僕がいるのに気付かなかったのだろうか?

「……母上は、御目が悪いのか?」

 辿りついた精一杯の答えに、近くにいた衛兵は不思議そうな表情だった。母親と繋がりのない衛兵に聞くより、父王に聞いた方が手っ取り早いとローデリヒは口を閉ざす。
 残念ながら、後日聞いた際にはそんな事はないと言っていたけれど。



 次に回復したべティーナと会った時、まるで先の出来事は幻であったかのようだった。元通り、どこか浮世離れした雰囲気の、少女のような姿。純粋無垢でいて、今にも消えてしまいそうな儚さのまま。そして、以前のようにローデリヒの事を可愛がってくれたのである。

 だからローデリヒは、前のことに口を出す気はなかった。

 拒絶されるのが怖くて。


 その出来事からしばらく経ってから、べティーナは静かに体力を減らして亡くなった。元々妊婦の時に身体を壊していたのだ。むしろローデリヒがある程度物心がつく頃まで生きられたのは良かった方だと、宮廷医長は話していた。

 ポツポツとべティーナが引っかかる言動をする事は幾度となくあった。だが、昔からのことで慣れてしまっていたローデリヒや、身体を壊していると知っていた皆には、さして気に留めることでもない。

 だから、違和感を抱いていてもすぐに流してしまっていたのである。

 ボタンを掛け違えていた事にも気付かないまま。


 しばしの間、葬式が終わってもローデリヒは落ち込んでいた。いつか死ぬ時が来る。べティーナが長くない事はローデリヒだって知っていた。しかし、その時を迎えても受け入れられない年頃。いくら聡いとはいえ、まだ十にも満たない子供なのだ。

 神童だった父のようにはならない剣術に身が入らなかったり、ふとした瞬間にうわの空になったり。毎日毎日、王城近くのべティーナの墓に通ったり。

 べティーナが亡くなった後に思う存分泣いたから、涙はほとんど出尽くしていた。壊れた蛇口のように止まらないのではないか、と思っていた涙は時間と共に自然と止まった。

 それでも、居なくなった人は戻っては来ない。

 その日もべティーナの墓に行こうとしていた。ローデリヒにとっては、もはや日々のルーティンと化している。

 昨日、墓石に置いていた花束がどこかに吹き飛ばされてしまっていたから、今日は母親の好きだった薔薇を持って行こう。
 そんな軽い気持ちで、後宮に足を踏み入れた。真っ直ぐにべティーナの部屋へと足を向ける。部屋の主が居なくなっても、そこは綺麗に保たれていた。

 薔薇はまだ蕾の方が多かった。これから満開になるのだろう。一つだけ、もう満開になっていたから棘に注意をして切り落とす。花束でなくても、一輪だけでも喜んでくれるだろう。咲きましたよ、といち早く報告するのだ。

 慎重に棘を切り落していた。もうそろそろその作業も終わるか、といった頃。滅多に人が来ないはずのこの後宮の外れの部屋に、人の声が届いた。

 他の側室だろうか?何故こんな所に?あまり遭遇はしたくなくて、ローデリヒは木々の隅に身を隠す。それと同時に、細い手がべティーナの部屋の窓を開け放った。

「――もうそろそろ、咲く頃ね」

 平民初の側室が亡くなった事に国中が悲しんだ。普段は一線引いた王族との結婚。彼女のシンデレラストーリーは、国民の憧れでもあった。

 他の側室もまだ喪が開けていないので、黒服を身にまとっている。禁欲的な格好なのにも関わらず――、いや、むしろ黒服に赤い口紅が艶やかに映えるハイデマリーの姿を見て、ローデリヒは固まった。

 ハイデマリーは隠れているローデリヒには気付かず、室内のに語りかける。

「ほら、べティーナの好きな花がもうすぐ咲きますわよ」
「――ああ」

 ハイデマリーの隣に立ったのは父親だった。ローデリヒと同色の瞳が眩しそうに目を細める。
 周囲はずっと国王の事を気遣っていた。最愛の人を亡くしたはずのに、一粒の涙も零さない国王の事を。

「なあ、ハイデマリー」
「どうなさったの?」
「べティーナが死んでから、ずっと考えている。……いや、べティーナが妊娠していた時からずっと考えていた。
 ――本当は、もっと他の道があったのではないのか、と」

 重苦しい程の沈黙がその場を支配した。ローデリヒも部外者ではない。己の母の話に、思わず息を詰めて聞き入る。

「だが、……後悔だけは、してはいけないのだろうな。ジギスムントが言っていた。全ては、大人になったべティーナの選択だと。私の子供を産んだのも、私の子供を育てたのも、全てべティーナが選択したことだと」
「……ええ、そうですわね。本当に、どうしようもない事でしたもの。国王と平民の壁を目の前で見せられたようなものでしたわ。
 魔力が足りずに人体を構成する事が出来ない事が、あんなにも悲惨だなんて」

 ローデリヒはすぐにハイデマリーが言っていることの意味が分かった。べティーナが己の事を人の形をしていなかった、今こうして元気なのは奇跡だと。

 でも、それは――母親の妄言ではなかったのか?

 無意識に生唾を飲んでいた。父親は言っていた。昔も今も、ローデリヒは健康だったと。
 でも、ハイデマリーはまるで人の形をしていなかった話が過去に起きた事であるかのように話す。父親もそれを否定すること無く、黙っている。

「お前はこれで良かったのか?」

 国王の視線が庭から外されて、ハイデマリーの方を向いた。

「良かった、とはどういう事ですの?」
「ローデリヒをべティーナに育てさせた事だ」

 ハイデマリーは窓枠に両肘をつく。遠くで鳥が鳴いている。夏のはじまりを感じさせる風が微かに吹き、ハイデマリーの髪飾りを揺らした。

「わたくしは、子供の育て方なんて知らないわ。自分が親に育てられていないのに、真っ当に親として振る舞えるのかしら?だったら、親に愛情たっぷりに育てられたべティーナにお願いした方が合理的ではなくて?」
「確かに合理的ではある」
「それにローデリヒを見たべティーナが久しぶりに微笑んだから、少しでも元気になってくれるかもしれないと思ったのよ」

 ハイデマリーが空を見上げる。雲ひとつない。どこまでも青く透き通っていて、薔薇の葉が時々音を立てていた。

 咄嗟に聞いてはいけない、と思った。でも、足に根が生えたようにローデリヒは動けなかった。

「でも、面白くないとは思う時はあったわ。
 ――ローデリヒはわたくしが産んだのに、って」

 木々のさざめきも、人の気配も、動物の声も、ローデリヒの耳から全て消えた。蘇るは、己の母親の言葉。

 ――『薔薇の蕾を見ながら考えていたのよ。男の子が産まれたら、名前はアロイスにしようって』
 ――『お庭の薔薇がそろそろ咲く頃ねえ……。アロイスが産まれたのもこんな時期だったのよ』
 ――『貴方は産まれた時、人の形をしていなかったんだもの……!無理をしてはいけないわ……!』
 ――『だから、アロイス。貴方が今こうしているのは奇跡なのよ』

 あれは、本当の事だった?
 べティーナはどこかおかしかった。でも、それは一つだけ。一つだけ、おかしかったのならば全て辻褄が合ってしまう。

 は別人だったということならば、
 ローデリヒとアロイスをべティーナが混同しているのならば、
 べティーナはローデリヒを見ていなかったのだとしたら、
 は金属のトレイに乗せられた血塗れのまま。

 人の形をせずに産まれて、今は健康だなんていう事実がなかったということだ。

 回復魔法だって、死んだ人間を生き返らせる事は出来ない。どんなに小さい子供であっても知っている。
 不思議だったのだ。人の形をしていない胎児をどうやって健康にするというのか。人の形をしていないのに、回復魔法を使えるのだろうか。

 のならば、不自然な点の説明がついてしまう。

 国王の子供アロイスを産み、国王の子供ローデリヒを育てたのがべティーナの選択であれば、
 彼女がおかしくなってしまっても構わないとまで思ってしまったなど無い方が良かったのではないか?

 べティーナとローデリヒの八年間は何だった言うのか?

 母が側室だから、平民だからと頑張ってきたローデリヒの努力は無駄だったのか?

「……っ、く」

 堪えるように両手を握りしめる。熱いものが込み上げて、飲み込んだ。頬を熱いものが滑り落ちてくる。
 ポタリ、と地面に雫が落ちて土の色が変わった。乱暴にジュストコールの袖で目元を拭う。

 いつの間にか国王とハイデマリーはいなくなっていた。しかし、ローデリヒはその場で立ち尽くしたまま。

 二人を追いかけて事の真相を聞く勇気なんて、

 なかった。
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