51 / 80
後編
丸薬作成。(他)
しおりを挟む
「体を悪くしたかもしれない」
王城の広い医務室で、ローデリヒは深刻な顔つきで申告した。ちなみに宮廷医長は別にいる。慣れ親しんだジギスムントにわざわざ診てもらっているだけで。
いつも国王以外には穏やかな表情を浮かべているジギスムントも、険しい表情になった。
「最近寝不足だと仰ってましたからな。やはり睡眠はきちんとなければなりませぬぞ」
「……分かっている」
「いくら若いとはいえ、無理したら早死しますぞ」
ローデリヒに小言を言いながら、ジギスムントは「そしてどこが悪いんですかな?」と問い掛けた。
「胸だ。……おそらく、心臓が悪いのだと思う」
「とりあえず調べてみましょう」
聴診器を胸に当てたジギスムントは難しい顔をする。音の異常は特にはない。
「どの様な状況でなりましたか?」
「……昨夜、アリサに抱き着かれたのだ。その時に軽い心臓発作を起こしたようで」
「………………はい?」
ジギスムントは目が点になった。
ローデリヒにふざけてる様子などない。本気だった。
「おそらく原因は寝不足による肉体的ストレスだろう。心臓発作自体は軽いものだと思われるが、今は倒れることは出来ないからな。冠動脈の血流が良くなる薬でも……」
「お、お待ちいただけますかな?!精密検査をしましょう?!」
ストップをかけたジギスムントは内心冷や汗をかいていた。
何を言っているのだ?この王太子は。
「精密検査?そんなことしてる時間がないのはジギスムントも分かっているはずだろう?特に今日はパーティーなのだぞ?」
投げやりな返答をした王太子に、ジギスムントはガッチリと腕を掴んだ。
「一国の王太子が自分の健康に気を遣えないでどうするんですか?!」
「……私的には大丈夫だと思うのだが、イーヴォが本当の心臓発作を起こしていたら怖いと連れてこられた」
ジギスムントはチラリと部屋の隅に佇む従者を見た。ローデリヒと同い年の彼は、どうしようもない奴を見る目で主君を見ている。
「とりあえず、昨夜アリサに抱き着かれて、そのまま至近距離で見上げられた時に心臓がおかしな感じになったんだ。ちなみに今朝も今も何も起こっていない。大したことはないが、念の為に薬が欲しくてな。確か医務室にあっただろう?冠動脈の流れを良くする薬草が」
「大丈夫だ。薬学には興味があって、調剤の資格は持っている。簡単なものなら作れる」と勝手に医務室の薬棚を漁り始めるローデリヒ。何も大丈夫な要素などない。心臓発作と自己診断を下した彼に、ジギスムントは遠い目になった。
「ちょっとはその薬学への興味、心理学へと向けてください」
だが、ローデリヒは一国の王太子。もし本当に心臓発作を起こしていてはいけない。
やはり、一度精密検査を……とジギスムントが提案したが、ローデリヒはバッサリ断っていた。
「というか、勝手に薬作るのはいけませんぞ!」
おかしな事があったらすぐに報告しろと、口酸っぱくジギスムントに言われ、戻ってきた執務室。
ローデリヒはゴリゴリと乳鉢でコネ回している。
イーヴォは呆れた眼差しで、ローデリヒの手元を示した。
「ジギスムント様に怒られたのに作るんですか?」
「効き目はとても弱いものだ。流石にジギスムントに止められて、一般的に処方されている薬を作る訳がないだろう?」
「いや、普通は作らないですよ!」
頭を抱えたイーヴォは「頭良い馬鹿ってホント……」と呟いていた。
「まあ、寝不足で肉体的負荷が掛かってしまっていたのだろう。反省して今日から充分な睡眠を取るようにする」
「反省する所は他にもありますけど、……本当にそうしてください」
「今日はこの薬を飲むから禁酒だ。ジギスムントにも止められているからな。体を労ることにする」
乾燥した葉っぱを粉々にしたローデリヒは、飲みやすくする為に蜂蜜を少し加える。そして、一つに薬をまとめた。
出来上がった毒々しい緑色の丸薬に、イーヴォの顔は引き攣る。
「うわあ。不味そう……」
「薬は大体不味いだろう……」
ローデリヒは水と共に丸薬を口の中にいれた。ものすごく苦い味が口の中に広がる。水を飲んでも残る苦い感覚に、眉をやや動かした。
仕方がないのだ。
治癒魔法が効くのは外傷のみ。病気は治らない。だから、ローデリヒは何かあった時の為に調剤の勉強をした。治癒魔法と両方使えれば、戦場で便利だと思ったのである。調剤といっても、調剤の数段階の資格の中で一番簡単なものではあるが。
口の苦さはそのままに、執務机に積んである仕事へと手を伸ばす。
今夜はパーティーなのだ。どこまで減らせるのだろうか。
ローデリヒは既に気が滅入りそうだった。
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
そして――、数時間後。
日はやや沈みかけ、夜の帳が次第に空を覆ってきている頃だった。王城のパーティーホールには、既に大勢の王侯貴族が集まって、思い思いに会話を楽しんでいる。
パーティー前のざわめきを控え室で聞きながら、ローデリヒは己の父親と向き合っていた。
あまり着飾るのは得意ではないローデリヒは、暗い色のジュストコールにシンプルな装飾品を身に付けている。
以前にイーヴォから、元の素材が良すぎて飾らない方が魅力的だと言われたが、男にそんな褒められ方をされても微妙に気持ち悪いだけだったが。
対する国王は、その地位に相応しい程の宝石を身に付けていた。全ての指に装飾品を付けている程ではないが、ローデリヒと並ぶとその数は格段に多い。ベルベット地の赤色のマントに、数多くの宝石が付けられた王冠も相まって、派手であった。
隣りにハイデマリーという、二十代にしか見えない派手な女を侍らせているせいで、どこからどう見ても好色デブジジイである。隠し子の噂も真実ではないかと納得出来る見た目になっていた。
「最近、陛下に隠し子疑惑が出ているそうですが……」
無言でソファーに座るローデリヒは目を瞑った。少しでも体の疲れを取りたかった。
そんなローデリヒの事はスルーして、ハイデマリーが国王に問いかける。とても気がかりだとでもいうように、甘えるようにしなだれかかった。国王は慌てて手を振った。鼻の下が伸びている。
「だ、大丈夫じゃ!隠し子なんておらぬ!」
「本当ですか?」
「身に覚えが無さすぎる!」
やや目を細めたハイデマリーだったが、国王の必死の否定にようやく納得したような顔をする。そして、ハイデマリーはローデリヒへとターゲットを変えた。
「そういえば襲撃があった時からアリサ様を見ていないのだけれど、アリサ様は無事?」
流石に自分の妻のことを話題に出され、ローデリヒは目を開けた。ハイデマリーの黒目がちな瞳と目が合う。
「……ああ。無事だ」
端的に返したローデリヒに、ハイデマリーはますます笑みを浮かべる。
「よかったわ。心配になってしまって……、だってアリサ様は今一人のお体ではないもの」
その言葉に、ローデリヒの目は大きく見開かれた。
安定期ではないから、正式にはまだ……あと少し先まで伏せておく予定だったのに。
「何故……、知っている?」
「あ、教えたの、ワシ」
自然と声が低くなったローデリヒに、国王が軽く答える。深刻さが全くない国王の様子にローデリヒは脱力した。色々と言いたいことはある。……あるが、知られている以上、もう取り返しはつかない。
「そうですか……」
一気に疲れた顔をしたローデリヒは、そのまま立ち上がってフラフラと控え室から出て行く。
部屋の外で待機していたらしいイーヴォが、開いた扉の隙間から見えたので、国王はひとまず忠実な従者に息子を任せることとした。
ハイデマリーが座っているソファーの背もたれに手を回した国王は、もたれかかってくるハイデマリーに問うた。
「そういえばこの前、アリサと会ったそうじゃな」
「ええ」
「どうじゃったか?」
ハイデマリーはしばし口元に手を当てて考え込む。唇に引かれた赤い口紅が弧を描いた。
「そうですわね……。いい意味でも悪い意味でも真っ直ぐだと思いましたわ。実直なローデリヒ殿下とも性格的な相性は良さそうですし、流石アルヴォネン王国の公爵令嬢という所でしょうか、魔力も充分で妊娠中に魔力不足になる事がない。本人自身にわたくしは不満はありませんわ。可愛らしいもの。
ただ……、王太子妃として良いかと問われると難しいところですわね」
「そうなのか?」
「ええ。王太子妃の一番の仕事である後継者作りは達成していても、全く表に姿を表さないですし。最低限の危機管理能力は持っているようですけれど、読心能力が無ければ、すぐに悪い大人に騙されてしまいそうですわ」
そして、ハイデマリーは続けた。
「あと、アルヴォネン王国で狙われていたのも気がかりだわ……。この前の襲撃も関係しているのでしょう?」
そこまで言ってから、クスリとハイデマリーは小さく笑う。
「でも、わたくしはほとんど聞いた話ばかりですわ。だって、後宮から出られないのですもの」
「よく言うわい。よく転移で脱走している癖に」
呆れたように肩を竦めた国王。ハイデマリーはその様子に楽しそうに声をあげる。そして、ローデリヒが消えた扉を見やった。
「ふふっ。これでもわたくし、心配しているんですのよ?」
王城の広い医務室で、ローデリヒは深刻な顔つきで申告した。ちなみに宮廷医長は別にいる。慣れ親しんだジギスムントにわざわざ診てもらっているだけで。
いつも国王以外には穏やかな表情を浮かべているジギスムントも、険しい表情になった。
「最近寝不足だと仰ってましたからな。やはり睡眠はきちんとなければなりませぬぞ」
「……分かっている」
「いくら若いとはいえ、無理したら早死しますぞ」
ローデリヒに小言を言いながら、ジギスムントは「そしてどこが悪いんですかな?」と問い掛けた。
「胸だ。……おそらく、心臓が悪いのだと思う」
「とりあえず調べてみましょう」
聴診器を胸に当てたジギスムントは難しい顔をする。音の異常は特にはない。
「どの様な状況でなりましたか?」
「……昨夜、アリサに抱き着かれたのだ。その時に軽い心臓発作を起こしたようで」
「………………はい?」
ジギスムントは目が点になった。
ローデリヒにふざけてる様子などない。本気だった。
「おそらく原因は寝不足による肉体的ストレスだろう。心臓発作自体は軽いものだと思われるが、今は倒れることは出来ないからな。冠動脈の血流が良くなる薬でも……」
「お、お待ちいただけますかな?!精密検査をしましょう?!」
ストップをかけたジギスムントは内心冷や汗をかいていた。
何を言っているのだ?この王太子は。
「精密検査?そんなことしてる時間がないのはジギスムントも分かっているはずだろう?特に今日はパーティーなのだぞ?」
投げやりな返答をした王太子に、ジギスムントはガッチリと腕を掴んだ。
「一国の王太子が自分の健康に気を遣えないでどうするんですか?!」
「……私的には大丈夫だと思うのだが、イーヴォが本当の心臓発作を起こしていたら怖いと連れてこられた」
ジギスムントはチラリと部屋の隅に佇む従者を見た。ローデリヒと同い年の彼は、どうしようもない奴を見る目で主君を見ている。
「とりあえず、昨夜アリサに抱き着かれて、そのまま至近距離で見上げられた時に心臓がおかしな感じになったんだ。ちなみに今朝も今も何も起こっていない。大したことはないが、念の為に薬が欲しくてな。確か医務室にあっただろう?冠動脈の流れを良くする薬草が」
「大丈夫だ。薬学には興味があって、調剤の資格は持っている。簡単なものなら作れる」と勝手に医務室の薬棚を漁り始めるローデリヒ。何も大丈夫な要素などない。心臓発作と自己診断を下した彼に、ジギスムントは遠い目になった。
「ちょっとはその薬学への興味、心理学へと向けてください」
だが、ローデリヒは一国の王太子。もし本当に心臓発作を起こしていてはいけない。
やはり、一度精密検査を……とジギスムントが提案したが、ローデリヒはバッサリ断っていた。
「というか、勝手に薬作るのはいけませんぞ!」
おかしな事があったらすぐに報告しろと、口酸っぱくジギスムントに言われ、戻ってきた執務室。
ローデリヒはゴリゴリと乳鉢でコネ回している。
イーヴォは呆れた眼差しで、ローデリヒの手元を示した。
「ジギスムント様に怒られたのに作るんですか?」
「効き目はとても弱いものだ。流石にジギスムントに止められて、一般的に処方されている薬を作る訳がないだろう?」
「いや、普通は作らないですよ!」
頭を抱えたイーヴォは「頭良い馬鹿ってホント……」と呟いていた。
「まあ、寝不足で肉体的負荷が掛かってしまっていたのだろう。反省して今日から充分な睡眠を取るようにする」
「反省する所は他にもありますけど、……本当にそうしてください」
「今日はこの薬を飲むから禁酒だ。ジギスムントにも止められているからな。体を労ることにする」
乾燥した葉っぱを粉々にしたローデリヒは、飲みやすくする為に蜂蜜を少し加える。そして、一つに薬をまとめた。
出来上がった毒々しい緑色の丸薬に、イーヴォの顔は引き攣る。
「うわあ。不味そう……」
「薬は大体不味いだろう……」
ローデリヒは水と共に丸薬を口の中にいれた。ものすごく苦い味が口の中に広がる。水を飲んでも残る苦い感覚に、眉をやや動かした。
仕方がないのだ。
治癒魔法が効くのは外傷のみ。病気は治らない。だから、ローデリヒは何かあった時の為に調剤の勉強をした。治癒魔法と両方使えれば、戦場で便利だと思ったのである。調剤といっても、調剤の数段階の資格の中で一番簡単なものではあるが。
口の苦さはそのままに、執務机に積んである仕事へと手を伸ばす。
今夜はパーティーなのだ。どこまで減らせるのだろうか。
ローデリヒは既に気が滅入りそうだった。
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
そして――、数時間後。
日はやや沈みかけ、夜の帳が次第に空を覆ってきている頃だった。王城のパーティーホールには、既に大勢の王侯貴族が集まって、思い思いに会話を楽しんでいる。
パーティー前のざわめきを控え室で聞きながら、ローデリヒは己の父親と向き合っていた。
あまり着飾るのは得意ではないローデリヒは、暗い色のジュストコールにシンプルな装飾品を身に付けている。
以前にイーヴォから、元の素材が良すぎて飾らない方が魅力的だと言われたが、男にそんな褒められ方をされても微妙に気持ち悪いだけだったが。
対する国王は、その地位に相応しい程の宝石を身に付けていた。全ての指に装飾品を付けている程ではないが、ローデリヒと並ぶとその数は格段に多い。ベルベット地の赤色のマントに、数多くの宝石が付けられた王冠も相まって、派手であった。
隣りにハイデマリーという、二十代にしか見えない派手な女を侍らせているせいで、どこからどう見ても好色デブジジイである。隠し子の噂も真実ではないかと納得出来る見た目になっていた。
「最近、陛下に隠し子疑惑が出ているそうですが……」
無言でソファーに座るローデリヒは目を瞑った。少しでも体の疲れを取りたかった。
そんなローデリヒの事はスルーして、ハイデマリーが国王に問いかける。とても気がかりだとでもいうように、甘えるようにしなだれかかった。国王は慌てて手を振った。鼻の下が伸びている。
「だ、大丈夫じゃ!隠し子なんておらぬ!」
「本当ですか?」
「身に覚えが無さすぎる!」
やや目を細めたハイデマリーだったが、国王の必死の否定にようやく納得したような顔をする。そして、ハイデマリーはローデリヒへとターゲットを変えた。
「そういえば襲撃があった時からアリサ様を見ていないのだけれど、アリサ様は無事?」
流石に自分の妻のことを話題に出され、ローデリヒは目を開けた。ハイデマリーの黒目がちな瞳と目が合う。
「……ああ。無事だ」
端的に返したローデリヒに、ハイデマリーはますます笑みを浮かべる。
「よかったわ。心配になってしまって……、だってアリサ様は今一人のお体ではないもの」
その言葉に、ローデリヒの目は大きく見開かれた。
安定期ではないから、正式にはまだ……あと少し先まで伏せておく予定だったのに。
「何故……、知っている?」
「あ、教えたの、ワシ」
自然と声が低くなったローデリヒに、国王が軽く答える。深刻さが全くない国王の様子にローデリヒは脱力した。色々と言いたいことはある。……あるが、知られている以上、もう取り返しはつかない。
「そうですか……」
一気に疲れた顔をしたローデリヒは、そのまま立ち上がってフラフラと控え室から出て行く。
部屋の外で待機していたらしいイーヴォが、開いた扉の隙間から見えたので、国王はひとまず忠実な従者に息子を任せることとした。
ハイデマリーが座っているソファーの背もたれに手を回した国王は、もたれかかってくるハイデマリーに問うた。
「そういえばこの前、アリサと会ったそうじゃな」
「ええ」
「どうじゃったか?」
ハイデマリーはしばし口元に手を当てて考え込む。唇に引かれた赤い口紅が弧を描いた。
「そうですわね……。いい意味でも悪い意味でも真っ直ぐだと思いましたわ。実直なローデリヒ殿下とも性格的な相性は良さそうですし、流石アルヴォネン王国の公爵令嬢という所でしょうか、魔力も充分で妊娠中に魔力不足になる事がない。本人自身にわたくしは不満はありませんわ。可愛らしいもの。
ただ……、王太子妃として良いかと問われると難しいところですわね」
「そうなのか?」
「ええ。王太子妃の一番の仕事である後継者作りは達成していても、全く表に姿を表さないですし。最低限の危機管理能力は持っているようですけれど、読心能力が無ければ、すぐに悪い大人に騙されてしまいそうですわ」
そして、ハイデマリーは続けた。
「あと、アルヴォネン王国で狙われていたのも気がかりだわ……。この前の襲撃も関係しているのでしょう?」
そこまで言ってから、クスリとハイデマリーは小さく笑う。
「でも、わたくしはほとんど聞いた話ばかりですわ。だって、後宮から出られないのですもの」
「よく言うわい。よく転移で脱走している癖に」
呆れたように肩を竦めた国王。ハイデマリーはその様子に楽しそうに声をあげる。そして、ローデリヒが消えた扉を見やった。
「ふふっ。これでもわたくし、心配しているんですのよ?」
14
お気に入りに追加
3,787
あなたにおすすめの小説
いらないと言ったのはあなたの方なのに
水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。
セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。
エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。
ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。
しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。
◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬
◇いいね、エールありがとうございます!
ヤクザの帝王と小人の皇子
荷居人(にいと)
BL
親が多額の借金を追い、自殺にて他界。借金は息子による成人したばかりの星野皇子(ほしのおうじ)が受け持つことに。
しかし、皇子は愛情遮断性低身長を患い、さらには父による虐待、母のうつ病による人間不信、最低限の食事による栄養不足に陥っていた。
そんな皇子をひとりにしなかったのは借金取りヤクザの若頭海野帝王(うみのていおう)。
躊躇わず人を殺せる極悪非道の帝王と心を閉じている小人皇子の依存ラブ。
私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。
彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。
それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。
そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。
公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。
そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。
「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」
こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。
彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。
同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。
茶番には付き合っていられません
わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。
婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。
これではまるで私の方が邪魔者だ。
苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。
どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。
彼が何をしたいのかさっぱり分からない。
もうこんな茶番に付き合っていられない。
そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。
噂好きのローレッタ
水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。
ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。
※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです)
※小説家になろうにも掲載しています
◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました
(旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜
藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。
__婚約破棄、大歓迎だ。
そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った!
勝負は一瞬!王子は場外へ!
シスコン兄と無自覚ブラコン妹。
そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。
周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!?
短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています
カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。
死を回避したい悪役令嬢は、ヒロインを破滅へと導く
miniko
恋愛
お茶会の参加中に魔獣に襲われたオフィーリアは前世を思い出し、自分が乙女ゲームの2番手悪役令嬢に転生してしまった事を悟った。
ゲームの結末によっては、断罪されて火あぶりの刑に処されてしまうかもしれない立場のキャラクターだ。
断罪を回避したい彼女は、攻略対象者である公爵令息との縁談を丁重に断ったのだが、何故か婚約する代わりに彼と友人になるはめに。
ゲームのキャラとは距離を取りたいのに、メインの悪役令嬢にも妙に懐かれてしまう。
更に、ヒロインや王子はなにかと因縁をつけてきて……。
平和的に悪役の座を降りたかっただけなのに、どうやらそれは無理みたいだ。
しかし、オフィーリアが人助けと自分の断罪回避の為に行っていた地道な根回しは、徐々に実を結び始める。
それがヒロインにとってのハッピーエンドを阻む結果になったとしても、仕方の無い事だよね?
だって本来、悪役って主役を邪魔するものでしょう?
※主人公以外の視点が入る事があります。主人公視点は一人称、他者視点は三人称で書いています。
※連載開始早々、タイトル変更しました。(なかなかピンと来ないので、また変わるかも……)
※感想欄は、ネタバレ有り/無しの分類を一切おこなっておりません。ご了承下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる