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 急にしおらしくなるなんて、和樹らしくない。

「いいから、食べよう。冷めちゃうよ」
「…うん」

 その日和樹は、『美味しい』と何度も言いながら食べていた。途中で涙ぐんでいるようだったけれど気付かないフリをしたのは、私はもう和樹の側にいられないからだ。


「…おかわり、いいか?」

 自分でいれようとしたので、慌てて立ち上がる。

「私がやるから、座ってて」
「…ありがとう」

 今までの分かな?何度も『ありがとう』『ごめん』って、そればかり。

「…どうぞ」
「ありがとう」

 ほら、またそれ。

「……なぁ」
「!」
「俺と結婚したこと、後悔してるか?」

 ーーーなんてことを聞くんだろう、この男は。

「…和樹」
「それだけ聞けたら満足だから」

 どうしてそんなに苦しそうな顔をするの。そんなにも悲しい顔をして、それでも尚強がるのは、何故?

「……してないよ。後悔なんてしてない」

 続く言葉がどれだけ残酷か分かっている、けれど。

「だって結婚したおかげで、私は陽一さんと再会できたから」

 どれだけ酷くても、それが本心なの。

                   
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