さぁ、離縁して下さいませ。

結婚生活

一目惚れ

　何故、ルーラではなくシャルロットを選んだのか。

　本当ならば長女であるルーラに求婚する予定だった。けれど顔を見たとき、一緒にいたシャルロットとルーラとでは違いすぎた。
　雰囲気も、顔形も、性格も。
　ルーラは傲慢で我が儘で、いつもシャルロットに嫌味をネチネチと言っていた。シャルロットはそれをかわすような少女で、気配り上手で常に人のことを優先しているような少女だった。
　そんな彼女に、今思えば一目惚れしていたのかもしれない。

　けれど言葉は素直になれなかった。

「…ずっと考えていた」
「え？」
「お前のことで一喜一憂して、まるで子供ガキの恋愛のようで、…本当に、分からないのか？」
「分からないのかとは…」
「男が女に求婚する。…その理由が、本当に分からないのか？」

　今さらだと、自分でも思う。けれど伝えるならば今しかない。

「…お前を愛おしいと思うからだろう」

　大切なことは相手に言わなければ伝わらないと、俺は知っていたはずなのに。

　驚いたような顔をするシャルロットに、思わず苦笑が漏れてしまった。