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結婚生活

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 ネックレスを奪った。俺の勘違いで、隠してしまった。シャルロットはきっと捨てられたと思っただろう。

「…お…?」

 街の宝石店で、とても綺麗な宝石を見つけた。シャルロットに似合いそうな、綺麗な指輪。

 シャルロットの好きそうなデザインで、少し高価だったけれど買った。
 罪滅ぼしにはならないけれど、代わりぐらいにはなるはずだ。

「…やっぱり、自宅に帰ってくれ」

 用事よりもシャルロットの顔が見たい。要らないと言われても、なんとか押し付ける。
 シャルロットは人から貰ったものは捨てたりしない。

 離縁などするものか。俺は、彼女と離れたくないのだ。
 もしお腹の子が女でも、俺は嬉しい。むしろ女の方が嬉しい。そうすれば、シャルロットはまだ自分のそばにいてくれる。
 その間に、少しでも俺のことを考えてくれれば。

「だ、旦那様…お帰りなさいませ…」

 家に帰宅したとき、使用人達の曖昧な表情の理由が分からなかった。
 そしてその後すぐ、知ることとなる。



「人の妻を呼び捨てにするな!!」

 部屋に響いた声に、ユーリはやや退いた。

「旦那様っ…!」

 手の中で握りつぶされた箱のリボンがグシャリと音を立てる。

「旦那様、落ち着いて…」

 落ち着いていられるか。

 シャルロットがユーリを好きなことは、気付いていた。だから牽制したのだ。なのに、どうして。どうしてこんなことになっているんだ。

「…おい」

 近くにいた使用人達を呼びつける。
 つい最近、俺とシャルロットが仮面夫婦だったと知ったばかりの奴ら。

「…客のお帰りだ。見送れ」
「旦那様!」

 シャルロットの引き止める声が聞こえるけれど、耳を貸している余裕なんてない。

「なにをしている、早くお見送りしろ!!」

 シャルロットと住むために買った、家。シャルロットの好みに合うように新調した家具。
 これ以上、この空間にいてほしくなかった。一刻も早く、ユーリに出ていって欲しかった。

「イルタナー伯爵様!」

 ユーリが何かを言おうとするが、思い切り睨むと怯んだ。

「もう遅い。早くお帰りを」

 これ以上、シャルロットに近付くな。
 シャルロットの心を、奪うな。

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