AIと十字館の恐怖

八木山

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キッチン

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主人公がリビングを通り寝室に戻ろうとドアノブを手にかけた、その時だった。

「破滅の時は近い」

生贄をよこせと言ってきたあの声が、再びけたたましく脳に響く。
それと同時に、周囲の壁が黒い粒子で覆われていくではないか!

「あぁ・・・可哀そうに。お前は、運命にとわわれた哀れな子犬だ」

小馬鹿にしたような、愉悦交じりの声色に辟易する主人公。
彼は勇気を振り絞り、謎の声に対して答える。

「俺は誰かの生贄にはならない。さっさと、この場所から脱出する方法を教えろ」
「何もお前が生贄にならなくてもいいんだぞ?」よい提案のつもりなのだろうか、演技ぶった口調で声は続けた。「代わりに、あの小娘の命を差し出せばいい」

主人公は決意を込めて答える。

「絶対にそんなことはしない。彼女が仮に化け物でも、共に生きる方法を見つけるべきだ。お前はいいからさっさとどうやってこの場所から脱出できるのか教えろ!」
「共生?は、片腹痛い。どうしたってあと3日と生きられないだろうよ、アレは」
「何?」
「お前が生きるためにほんの数時間、寿命を借りるだけだと思えばいいではないか」

どうせ主人公はそういう手段を取らないだろう?
そう暗に挑発するような、それでいて甘美な悪魔的な誘惑。

「俺はどんな状況においても、無実の者を犠牲にしたくない。俺たちは生きる方法を見つけ出し、共に脱出してやる」

「あの少女のせいで、お前が一度死んでいるとしてもか?」
愉快痛快と言わんばかりに、声は高笑いした。
「痛み、恐怖、絶望、死。そしてその忘却と、物理的な封印」
声に呼応するように、黒い粒子に包まれた部屋中がガタガタと揺れていく。
「お前がそこにそうして存在するすべての原因が、まさかこの私のせいだとでも思っていたのか?」

それでもなお、主人公は固く言葉を返した。
「俺に過去起きたことは関係ない。二人で脱出してやる」
「残念ながら、そんなものは存在しない」
気付けば黒い粒子は消えてなくなり、部屋は元に戻っていた。

主人公は希望を胸に、謎の声とのやりとりを終えて寝室へと戻る。
この奇妙な場所から脱出する方法を見つけるために、彼は冷静さを保ちつつ探索を続けることを決意する。
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