前世の私は幸せでした

米粉

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43 主の責任、従者の心配

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 雨粒が窓を叩く。
 数分前に、たつたつと緩やかに降り始めた雨は徐々に勢いを増し、今や本降りへと変わっていた。

「予報では夜から雨だったはずだけど、これは止みそうにないな」

 夜から明日にかけて雨が降り続くと聞いていたが時刻はまだ昼過ぎ。予報よりも早く降り始めた雨は、この勢いだと止まずに降り続けるだろう。
 サイラスは窓の外を眺めながら、右手に包丁、左手にじゃが芋を持ち、器用に皮をむき進めていく。

「待たせたな、サイ坊。出来たぞ」

 小さなカゴを手にサイラスに声をかけたのは、白い調理服に身を包んだ小太りの男性。王宮の厨房で料理長を任されているジット・スケルツだった。

「ありがと、ジットさん。これ、もうちょっとで全部剥き終わるから最後までやってくよ。そこ置いといて」

 会話しながらも手を止めず、サイラスはひとつ、またひとつと皮むきを終えていく。

「おー、悪いな。相変わらず仕事が早くて助かるぜ」
「いいえー、急なお願いで手間かけさせちゃったし、これくらいはやりますよ」
「しかし、こんなもんでいいのか? 殿下のおやつだろ? ケーキとか、もうちょい手の込んだもんの方が良いんじゃないか?」

 ジットの手にするカゴの中に入っているのは、小さめのシンプルなスコーン。
 味、形、焼き色、全てにおいて手は抜いていないが、普段間食をしないアーヴェントに久方ぶりに出すものとしては、些か煌びやかさが足りないのではないかと、カゴに視線を向けながらジットは眉間に皺を寄せた。

「殿下はそういうの気にしないし、ジットさんのスコーン美味しいから大丈夫。それに、あまりゴテゴテしてると気軽に摘まみにくいでしょ。今日は昼もまともに摂れてないから夕食までのつなぎにちょうどいいよ」
「ならいいんだが」

 ジットはカゴを作業台の上に置き、皮むきを手伝い始めた。

「しかし、今回の会議は長引いてるな。来年の誕生式典についてだろ?」
「うん」

 午前から始まり昼前には終わる予定だった会議は、昼を跨いでも終わっていない。
 予め長引くだろうと予想はしていたが、一度軽い休憩を挟んで部屋に戻ってきたアーヴェントの顔は厳しいものだった。

「で、結局やるのかね。誕生式典」
「それこそが会議が長引いてる一番の理由だと思う」
「やっぱりそうか。式典は楽しみだが、主役のリヴェル殿下が療養中じゃな。来年までに元気になってるかどうかも分からないってんじゃあ、難しいとこだよな」

 元より魔力暴走やサーリーについて知っている人間は王宮内でもリヴェルの世話係や近しい者のみ。
 その為、現在のリヴェルの不在について何も知らない人々には、体が弱い為に避暑地で療養中という事になっている。

「かといって、簡単には中止に出来ないしね。数十年に一度あるかないかの事だから、それだけ大きなお金が動くし、国交にだって影響するし」
「アーヴェント殿下の時には、式典をきっかけに他の国との貿易が決まったんだよなー。おかげで珍しいスパイスが手に入るようになって、料理のレパートリーも増えた。アーヴェント殿下様様だ」
「その殿下は今頃眉間に皺寄せて、胃痛と戦ってると思うけど」

 式典を延期する派と予定通り行う派で意見が対立し、数回の会議を経ても決まらず、いよいよ持って決めなければ準備が間に合わない所まできている。
 用意しておいた軽食にも殆ど手をつけず、お茶を一杯飲み干してすぐに会議に戻っていったアーヴェントの様子を見るに相当意見が割れているのだろう。

「んじゃ、今日の夕食はなるべく胃に優しめのメニューだな。じゃが芋はポタージュにするつもりだが、メインは肉より魚で脂少なめにいくか。おーい、お前ら! メイン魚に変更だー!」

 ジットが他で作業している調理員達に向かって叫ぶと「うーっす!!」と威勢の良い返事が返ってきた。

「えっ、さっき今日のメインは肉って」
「なーに、肉は明日に回せばいい。体調に合った飯を作るのも俺達の仕事だ。それに、殿下のおかげで鍋とフライパン新調できたし! な!」
「「「「うっす!!」」」」

 各々、真新しい包丁やフライパンを構えながら、笑顔で同意を返す調理員達。
 グレースに食の大切さを説かれ、病院の視察で厨房での話をウェスタに聞いたアーヴェントが「厨房で困ってる事があったら教えてくれ」と、聞き取り調査を行い要望を通した結果、厨房の古くなった調理器具が一新されたのだ。

「お、芋これで最後だな。助かったぜサイ坊」
「こちらこそ。それじゃあ、俺戻るね。皆さんもお邪魔しました! 夕飯、宜しくお願いします」

 ジットと調理員達の快活な笑顔に見送られ、サイラスは厨房を後にした。



 ***



 アーヴェントが会議を終え、執務室に戻ってきたのはそれから程無くした頃だった。

「これはまた随分と……」
「なんだ?」

 扉を開け、顔を合わせたサイラスの第一声にアーヴェントは首を傾げる。

「老けましたね。殿下」
「……せめて、やつれたと言え」

 本当は声を荒げたいところだが、長引いた会議のせいでそんな気力も残っていない。
 それに、サイラスが言わんとしている事も分かる。
 憔悴しきった自分の顔はきっと酷いものだろう。

 アーヴェントはソファーに腰を下ろし、背もたれに寄り掛るように天を仰ぎ見た。
 重い溜息を吐き出し、瞼を閉じた所に「動かないでくださいね」と声を掛けられ、そっと顔に何かを掛けられた。じわりっと皮膚に心地よい熱が伝わってくる。

「……あつ」
「蒸しタオルです。とりあえず、その緊張し切った顔の筋肉ほぐしてください。眉間の皺酷いし、顔色も悪いですよ。そのままでいいので、ちょっと失礼します」

 そう言うとサイラスは、アーヴェントの肩と首を解し始めた。長丁場の会議で蓄積された疲労が少しづつ解されていく。

「よし、こんなもんでしょ。お茶淹れますね」

 数分間マッサージは続き、アーヴェントが眠気に負けそうになった辺りでサイラスは手を止めて、お茶の用意に取り掛かり始めた。
 アーヴェントは顔からタオルを避けて上体を起こし、ゆっくりと頭を回してから目を開ける。

「あー……、生き返った」

 肩と頭から重みが消え、心なしか視界も明るい。
 指を組んで、ぐっと上に腕を伸ばすアーヴェントの前にティーカップが置かれた。

「うん。いつもの顔に戻りましたね」
「お陰様で。悪いな、有難うサイラス」
「もっと感謝してくれてもいいんですよ? 昼食をちゃんと食べれなかった殿下の為に、ジットさんお手製スコーンまで焼いて貰ったんですから」

 サイラスは、スコーンの入ったカゴを得意げにアーヴェントの前に置く。

「うわ、おまえっ、最高」

 大袈裟に感動する素振りを見せながらカゴを覗き込み、早速ひとつ摘まんでアーヴェントはスコーンを口にした。
 疲れた脳と身体に優しい甘さが染みわたっていく。

「はー、美味い。ジットの腕は確かだし、俺の側付きは優秀だな」
「それはどうも。厨房の方々がお疲れの殿下の体調を考慮した夕飯を作ってくれるそうなんで、ほどほどに。食べ過ぎないでくださいね」
「おう。あとで厨房に顔出しに行かないとな。お前も座れよ、サイラス。休憩付き合ってくれ」
「それじゃあ失礼して」

 サイラスは自分の分のお茶を淹れて、アーヴェントの向かいに腰かける。
 そして、本題へと話を進めた。

「会議について聞きたいところですが、先に報告を」
「あぁ」
「調べられる限り調べましたが、王妃様の部屋および執務室からはリヴェル殿下を害そうとした証拠は何も出てきませんでした」
「見落としてる可能性もないんだな?」
「ないですね。ただ、既に処分された可能性と別に隠してある可能性はあるかもしれませんが」
「あの人は滅多に王宮外に出ないから別の場所ってのは考えづらい。証拠隠滅をジルか他の人間に頼む可能性は――」
「低いです。王妃様の側付きではありますが、リヴェル殿下を害する事に執事長が手を貸す筈はありません。他の人間に頼むというのも、執事長が常日頃側にいれば厳しいかと」

 リヴェルの命を狙う可能性のある人物を手当たり次第探り続け、確たる証拠が見つからないまま最後に残されたのは王妃リディアのみ。
 サイラスは、リディアが会議に出席している間に証拠の有無を調べるようにと、アーヴェントから命を受けていた。

「不安ならもう一度調べるという手もありますけど、難しいですよ。今回の会議ではリディア様の側付きである執事長も給仕で議場につく事になったのでチャンスを得ましたけど……。王妃様の部屋に不法侵入したなんて、ばれたら確実に首が飛びます」
「その時は俺がどうにかする。しかし、とりあえずは何もなかったか……」

 アーヴェントは安堵とも落胆ともとれる深い溜息を吐いた。

「一先ず疑惑が晴れて一安心、とは言えない表情ですね」
「多少なりと安心はしたさ。実の母親が黒幕だったなんてリヴェルに伝えずに済む。だが、振り出しに戻った」
「今のところ王宮内で疑っていた人達の中に、黒と言える人は居ませんでしたしね」

 王宮内でリヴェルの存在を疎む人間、高度な魔法を使える人間、リヴェルの顔と前世を知る人間。
 それらに少しでも当てはまる人物を割り出し、片っ端から調べたものの有力な手掛かりは得られなかった。

「ダイナーは? 新たに記憶を思い出したりしていないか?」
「ブラム様からの報告には、新しい情報は何も……」

 首を横に振るサイラスにアーヴェントは「そうか」と呟いた。

 ダイナーは唯一、あちら側の人間と接触を持った人物だ。しかし、その人物の顔は魔法によって覚えていない。
 酒場の店主や客にもその時の事を聞いて回ったが「見慣れない男がダイナーと酒を飲んでいた」以外の情報は得られず、ダイナーと同じように魔法をかけられていたのか、誰も男の顔を覚えていなかった。

「これだけ高度な魔法を使える人間なんて国内にそう多くない筈なんだがな……。魔力が多いってだけで疑うことはできても、証拠がないんじゃどうしようもできない」

 ブラムにも協力して貰い、出来うる限りの手は尽くした。
 しかし、有力な情報が得られないまま、時間だけが過ぎていく。
 アーヴェントの眉間の皺が深くなるのを見て、サイラスはもう一つの話題へ移る事にした。

「会議の方はどうだったんですか? ジットさん達も誕生式典をやるのかどうか気にしてましたよ」
「あぁ、予定通り開催する事になった」

 さらっと答えるアーヴェントにサイラスは目を見開く。
 アーヴェントは式典に関して延期を望んでいた筈だが、返ってきた答えはその逆だ。

「リヴェル派は予定通りの開催を望んでたから、俺が同意見だと知って勢いづいてたよ。反対してたのは王妃と俺を王にしたい派の人間だし」
「推してる王子に裏切られた方々動揺したでしょうね」
「裏切ったつもりはねぇよ。人聞きの悪い」
「それにしてもどうして急に意見が変わったんです? 今まで延期した方が良いとおっしゃっていたじゃないですか」

 じとっとしたアーヴェントの視線を避けて、サイラスは疑問を口にする。

「ブラムからきた手紙に、最近のリヴェルがどんな風に過ごしてるか書いてあった。精神的に落ち着いてるのか魔力暴走もなく、穏やかに過ごせてるらしい。最近では自ら体を鍛え始めたんだと。あのリヴェルがだぞ? 信じられるか?」
「それは、意外ですね……」
「だろ? あいつの事が心配だったのと、時を止めてる魔法をリヴェルが解除しないかぎり難しいだろうって理由で延期を望んでた。でも、手紙を読んで大丈夫なんじゃないかと思ってな」
「大丈夫と言える根拠は――」
「ない。でも、心配するだけじゃなく、変わろうとするあいつを信じたくなった」

 食い気味に断言しながら、笑みを浮かべるアーヴェント。

「見た目が幼くても年齢的には十歳だ。誰にも文句は言わせない」
「もし、リヴェル殿下の方が出たくないと言ったらどうするんです?」
「それは無いと思いたいが、もし意地でも出ないと言われたらフィグを引っ張り出すか」
「大事な式典に変わり身なんて許される訳ないでしょう……」
「そんな事言ったら親父はどうする? 目を覚まさなくなってから、ずっと身代わり立てられてるぞ」
「それは致し方ないことであってですね」
「別に何かあれば俺が責任をとればいいだろ。俺が式典の主導者みたいなもんだし」
「お、王妃様は……?」
「国が恥をかかないように必要最低限の手助けしかしないとさ。なんせあの人は開催延期派だ」

 リヴェルの母である王妃が式典の開催に延期を唱えている中で予定通りに開催し、何か不具合があれば本当にアーヴェントが責任を負わされかねない。
 不敵な笑みを崩さず、簡単に責任を口にする主にサイラスは頭を抱える。
 そんなサイラスを、楽しそうにアーヴェントは見つめていた。

「本当に、あんたって人は……!! この弟バカが!!」
「地が出てるぞー、サイラス」
「犯人捜しで大変な時に仕事増やしてどうすんですか!! 式典準備がどんだけのもんか分かってます!? ただでさえ準備期間ギリギリなんですよ!?」
「逆に良い機会かもしれないぞ?」
「何が!?」
「犯人を誘い出せるかもしれない」
「っ!!」

 今にもテーブルを乗り越えてきそうなほど身を乗り出すサイラスを両手で抑えながら、アーヴェントは楽しそうな笑みを不敵なものに変える。

「誕生式典は王族として、その存在を国内外に示すもんだ。相手さんは、言動から察するにリヴェルが王位継承権を持つのを良しとしてないみたいだし、絶対なんか仕掛けてくる」
「確かにそうかもしれませんが……」
「リヴェルの誕生日も祝える。不届き者も捕まえられる。一石二鳥。だろ?」

 アーヴェントは同意を求めるように、言いよどむサイラスの肩に手を置いた。
 表情は笑顔ではあるが、その瞳から感じる決意は強いものだと分かる。

 長い付き合いだから知っている。こういう目をするときは絶対に自分を貫き通す。
 幼い頃からそうなのだ、この男は。

(あぁ、もう……こうなると何を言っても無駄だ)

 頑として意志を曲げないであろうアーヴェントに、サイラスは「分かりました」と観念の意を伝えた。
 アーヴェントの手を肩からおろして、サイラスはソファーに座り直す。

「無理、無茶をするなと言ってもするんでしょうし、俺が止めても聞かないのは重々承知してます。だからこそ、俺を頼って、俺を使ってください。その為の側付きです」

 アーヴェントは驚いた様に目を見開いた。きっと咎められると思っていたのだろう。
 いつもならもう少し説得するところだが、リヴェルの件が関わっている今回ばかりは無駄だとサイラスは察した。ならば少しでも、主が責任を負わないようにするのが側付きであるサイラスの役目だ。

 そんなサイラスの意志を感じたのか、アーヴェントは目を細めて「ははっ!」と笑い声をあげた。

「本当、俺の側付きは最高だな! よし、食え! 飲め! あ、お茶おかわり淹れるか?」
「結構ですから、黙って食べ過ぎない程度にスコーン食べててください。おかわりは?」
「ん、頼む」

 嬉しそうなアーヴェントに困った様に笑いながら、サイラスは差し出されたティーカップを受け取った。


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