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25 十二歳の王子と「たくらむ」守護精霊
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シャルル王子とブルンヒョル男爵の御一行は、何事もなくヒュランデル子爵領を通り過ぎ、さらに、ふたつの伯爵領と男爵領を後にした。カエル男の先導のもと、王領に入った一行は、拍子抜けするほど順調に、王都へと街道をひた走った。
何の問題もなく旅が進んでいるのは、どうやら、カエル男のおかげらしい。紅白男とシャルル王子に弱みを握られたせいか、行く先々で、ゲコゲコと鳴いて、一行に無礼を働かないよう、釘をさしているそうだ。
妻が王領貴族のお偉いさんの娘ということで、王領ではずいぶん顔が広いカエル男こと、ヒュランデル子爵。紅白男と仲良しになったみたいで、いつも顔をジトッと湿らせて、一緒の馬車に乗っている。
「いやー、さすがにヒュランデル子爵といると、王領の役人どもがキビキビ働いてくれますな。いつも、規則がどうのこうのとうるさいのですが、おかげで旅がはかどります」
なんて、紅白男がカエル男の肩をポンポン気安げに叩いている姿を、よく見る。その度に、カエル男の顔から、あぶらがしたたり落ちる。まったく偉そうには見えないのだけど、カエルだけあって、コバエを追い払うのは得意なのかもしれない。
ブルンヒョル男爵やキアラも、「まさか、こんなに順調に旅が進むとは、思ってもみませんでしたな。王領では、街に入るたびに、検閲官がいろいろとうるさいのですが、子爵のおかげで顔パスとは。おまけに、精霊様のおかげで馬車に酔うこともなく、いやはや、快適この上ない」などと、ご機嫌だ。
ルイだけを風で包むのも、キアラと男爵を包むのも、手間は変わらない。ついでに、男爵の付き人も風で包んでおいた。馬車の旅は予定より早く進み、王都まであと二日で到着できる距離までやってきた。
街道の向こうに、大きな街が見える。レーロースという街らしい。ちょっと早いが、今日はあの街でお泊まりらしい。ルイが御者席側の窓から見える街壁にチラッと目をやって、弾かれたように二度見した。
「あれって精霊様じゃないかな?」
小さな声で話しかけてきたルイに、わたしは溜め息とともに、うなずきを返した。
『気づいちゃった? 面倒なことに、火の精霊のなわばりみたいだね』
キアラも窓に張り付くようにして、目を凝らした。
「たしか、このあたりはプレンナー山の火の精霊様のなわばりでしたかな。ひょっとして、こちらにいらっしゃいますかな」
《はぁー、まちがいなくね。面倒だから放っておこうよ。知らんぷりしておこう》
ルイ以外にも伝わるようにふるわせた風が、馬車の中で反響した。大慌てで身を起こしたブルンヒョル男爵が、おおげさに眉を跳ねあげた。
「いやいや、そういうわけにもいかないでしょう。馬車をとめて、感謝を捧げなければ」
キアラが御者に合図を送り、馬車が速度を落とし始めた。先頭の馬車に乗っていたカエル男が、まっ先に飛び出してきて、地面にはいつくばった。他のみんなも、ぞろぞろと馬車を下りて、膝をついた。
迷惑な奴だなと、ジト目で空を睨んでいると、燃えさかる炎がこちらにずんずん近づいてきた。高位の火の精霊ではあるけど、ティエルマの精霊にくらべたら、おとなとこどもほどの力の違いがありそうだ。
かろうじて、人の姿らしきものをとってはいるが、手足が極端に短い。外に出たわたしの目の前までやってきて、ボフッというよりは、かわいらしくパフッといった感じで炎を吹き出して、ペコッと頭を下げた。
『これはこれは、ようこそいらっしゃいましたー。なんにもないところですけど、ゆっくりしていってくださいねー』
胸の前で組んだ短い手が、ヒョコヒョコと上下している。ずいぶん、おこちゃまな精霊だ。とはいえ、こんなのでも、ここらへんではお偉い精霊様なんだろう。街道脇の畑で働いていた人たちも、ひざまずいて祈りを捧げている。
どうせ、大好きな風の精霊を見つけて、大急ぎで飛んできたのだろう。ティエルマの火の精霊には貸しを作っておく必要があったけど、こいつは何の役にも立たない。はっきりいって、ジャマだ。いや、熱いだけの迷惑な奴だ。とっとと追い払おう、ということで、冷たい風を送っておいた。
『うん? 見たらわかると思うんだけど、急いでるから』
『そんなこと言わないで、ゆっくりしていってくださいよー。聞いてますよー。ティエルマの火の精霊さんと仲がいいんですよね?』
プレンナーの火の精霊は、高速で揉み手しながら、思ってもみなかったことを、パフッと吐き出した。
『えっ? 何でそんなこと知ってるの?』
『あれっ? うわさをばらまくのは、たいてい、風の精霊さんですよー。まあ、高位の精霊さんは高いところをビューンって飛んでいっちゃうんで、あれですけど、中位の精霊さんはけっこう来ますよー。でも、風の精霊さんって、すぐどっかに行っちゃうじゃないですかー。もっと、一緒にいてーって、頼んでも聞いてくれないしー』
なんだろう? しっぽのようなものが、炎の向こうでパタパタとせわしなく動いている。
『でもですね、みーんな言うんですよー。ティエルマには、ものすごーく変わった風の守護精霊さんが住んでいて、火の精霊にもやさしいからって。だから、風の守護精霊さんを見つけて、なかよくしてもらいなさいって』
そんなうわさが――とショックを受けているわたしを、思いやることもせずに、火の精霊はポッポポッポと炎を吹き上げた。
『でも、風の守護精霊さんなんて会ったことなくって、ほんとかなーって思ってたんですけど、でもでも、まさか、ぼくのところに来てくれるだなんて思いもよらなかったですー。ぜひぜひ、ゆっくりしていっていただいて、なんでしたら、こちらに住んでいただいて、できれば、いっしょに飛んだり、魔獣を倒したりとか――』
思わず、わたしは、ぽふっと溜め息を吐き出した。ティエルマの精霊よりは、性格がおとなしそうではあるけど、考えていることはまったく同じだ。火の精霊には、ろくな奴がいない。
『いや、だから、すぐ出て行くから。というか、あなたがいるから、馬車がとまってるのよ。とっとと、どっかに行ってくれる?』
『えー!? そんなー!? たしかに、ぼくはティエルマの火の精霊さんほど強くはないですけど、それでも、頑張って、なわばりもきれいにしてますし、風の精霊さんがいてくれれば、もっともっと、なわばりを大きくして――』
『うーるーさーい! そんなのだから、風の精霊がすぐどっかに行っちゃうんでしょう! わたしは火の精霊が好きなんじゃなくて、ルイのために手を貸してるだけなの! とっとと向こうに行かないと、吹き飛ばすよ!』
ブワンッと風を巻き起こして威圧したわたしを見て、火の精霊はなぜか、うれしそうに炎をふくらませた。
『そうなんですかー!? じゃあ、じゃあ、その守護主さんのお役にたてれば、ぼくのことも気に入ってもらえるってことですかー!?』
『うん? まあ、そうだけど、ルイは仕事で王都に向かってるだけで、あなたには何の用もないよ』
『王都? でしたら、ぼくのなわばりの中ですよ。じゃあ、じゃあ、ぼくと一緒に――』
『なに言ってるの? 王都はトラーナスの土の精霊のなわばりだって聞いてるよ。そうだよね、ルイ?』
いきなり話を振られたルイが、潤んだ目でカクカクと頭を振った。
『なーに言ってるんですかー。トラーナスの精霊さんは、たしかに強いですけど、土の精霊さんですよー。王都というか、トラーナスの街は、ぐるっと精霊のなわばりに囲まれてるから、魔獣が入ってくることはめったにないですけどー。空を守ってるのは中位の光の精霊が二匹と、闇の精霊が三匹だったかなー? だからー、トラーナスの南の空は、何かあった場合、ぼくが守ってるんです。すごいでしょー』
得意満面といった様子で、ブワッと炎を撒き散らしながら、火の精霊は暑苦しく自慢し始めた。やはり、火の精霊はどいつもこいつも同じだ。だけど、話どおりなら、こいつは使えるかもしれない。
『うん? ということは、あなたは王都まで行って、魔獣を倒して帰ってくるだけの力を持ってるってこと?』
『もちろん、余裕ですよー。ただ、さっきもいったように、まわりになわばりを持ってる精霊さんたちが、トラーナスに魔獣が入ってくる前に、倒しちゃいますからねー。うーん、この前、王都に行ったのは、いつだったかなー?』
『つまり、あなたとわたしが手を組めば、今まで以上に大活躍できるってことね?』
ニヤリと笑みを浮かべたわたしに、火の精霊がしっぽをブンブン振りながら、短い手を差し出した。
『はいー、おっしゃるとおりですー。何なりとお申しつけ下さいー』
何の問題もなく旅が進んでいるのは、どうやら、カエル男のおかげらしい。紅白男とシャルル王子に弱みを握られたせいか、行く先々で、ゲコゲコと鳴いて、一行に無礼を働かないよう、釘をさしているそうだ。
妻が王領貴族のお偉いさんの娘ということで、王領ではずいぶん顔が広いカエル男こと、ヒュランデル子爵。紅白男と仲良しになったみたいで、いつも顔をジトッと湿らせて、一緒の馬車に乗っている。
「いやー、さすがにヒュランデル子爵といると、王領の役人どもがキビキビ働いてくれますな。いつも、規則がどうのこうのとうるさいのですが、おかげで旅がはかどります」
なんて、紅白男がカエル男の肩をポンポン気安げに叩いている姿を、よく見る。その度に、カエル男の顔から、あぶらがしたたり落ちる。まったく偉そうには見えないのだけど、カエルだけあって、コバエを追い払うのは得意なのかもしれない。
ブルンヒョル男爵やキアラも、「まさか、こんなに順調に旅が進むとは、思ってもみませんでしたな。王領では、街に入るたびに、検閲官がいろいろとうるさいのですが、子爵のおかげで顔パスとは。おまけに、精霊様のおかげで馬車に酔うこともなく、いやはや、快適この上ない」などと、ご機嫌だ。
ルイだけを風で包むのも、キアラと男爵を包むのも、手間は変わらない。ついでに、男爵の付き人も風で包んでおいた。馬車の旅は予定より早く進み、王都まであと二日で到着できる距離までやってきた。
街道の向こうに、大きな街が見える。レーロースという街らしい。ちょっと早いが、今日はあの街でお泊まりらしい。ルイが御者席側の窓から見える街壁にチラッと目をやって、弾かれたように二度見した。
「あれって精霊様じゃないかな?」
小さな声で話しかけてきたルイに、わたしは溜め息とともに、うなずきを返した。
『気づいちゃった? 面倒なことに、火の精霊のなわばりみたいだね』
キアラも窓に張り付くようにして、目を凝らした。
「たしか、このあたりはプレンナー山の火の精霊様のなわばりでしたかな。ひょっとして、こちらにいらっしゃいますかな」
《はぁー、まちがいなくね。面倒だから放っておこうよ。知らんぷりしておこう》
ルイ以外にも伝わるようにふるわせた風が、馬車の中で反響した。大慌てで身を起こしたブルンヒョル男爵が、おおげさに眉を跳ねあげた。
「いやいや、そういうわけにもいかないでしょう。馬車をとめて、感謝を捧げなければ」
キアラが御者に合図を送り、馬車が速度を落とし始めた。先頭の馬車に乗っていたカエル男が、まっ先に飛び出してきて、地面にはいつくばった。他のみんなも、ぞろぞろと馬車を下りて、膝をついた。
迷惑な奴だなと、ジト目で空を睨んでいると、燃えさかる炎がこちらにずんずん近づいてきた。高位の火の精霊ではあるけど、ティエルマの精霊にくらべたら、おとなとこどもほどの力の違いがありそうだ。
かろうじて、人の姿らしきものをとってはいるが、手足が極端に短い。外に出たわたしの目の前までやってきて、ボフッというよりは、かわいらしくパフッといった感じで炎を吹き出して、ペコッと頭を下げた。
『これはこれは、ようこそいらっしゃいましたー。なんにもないところですけど、ゆっくりしていってくださいねー』
胸の前で組んだ短い手が、ヒョコヒョコと上下している。ずいぶん、おこちゃまな精霊だ。とはいえ、こんなのでも、ここらへんではお偉い精霊様なんだろう。街道脇の畑で働いていた人たちも、ひざまずいて祈りを捧げている。
どうせ、大好きな風の精霊を見つけて、大急ぎで飛んできたのだろう。ティエルマの火の精霊には貸しを作っておく必要があったけど、こいつは何の役にも立たない。はっきりいって、ジャマだ。いや、熱いだけの迷惑な奴だ。とっとと追い払おう、ということで、冷たい風を送っておいた。
『うん? 見たらわかると思うんだけど、急いでるから』
『そんなこと言わないで、ゆっくりしていってくださいよー。聞いてますよー。ティエルマの火の精霊さんと仲がいいんですよね?』
プレンナーの火の精霊は、高速で揉み手しながら、思ってもみなかったことを、パフッと吐き出した。
『えっ? 何でそんなこと知ってるの?』
『あれっ? うわさをばらまくのは、たいてい、風の精霊さんですよー。まあ、高位の精霊さんは高いところをビューンって飛んでいっちゃうんで、あれですけど、中位の精霊さんはけっこう来ますよー。でも、風の精霊さんって、すぐどっかに行っちゃうじゃないですかー。もっと、一緒にいてーって、頼んでも聞いてくれないしー』
なんだろう? しっぽのようなものが、炎の向こうでパタパタとせわしなく動いている。
『でもですね、みーんな言うんですよー。ティエルマには、ものすごーく変わった風の守護精霊さんが住んでいて、火の精霊にもやさしいからって。だから、風の守護精霊さんを見つけて、なかよくしてもらいなさいって』
そんなうわさが――とショックを受けているわたしを、思いやることもせずに、火の精霊はポッポポッポと炎を吹き上げた。
『でも、風の守護精霊さんなんて会ったことなくって、ほんとかなーって思ってたんですけど、でもでも、まさか、ぼくのところに来てくれるだなんて思いもよらなかったですー。ぜひぜひ、ゆっくりしていっていただいて、なんでしたら、こちらに住んでいただいて、できれば、いっしょに飛んだり、魔獣を倒したりとか――』
思わず、わたしは、ぽふっと溜め息を吐き出した。ティエルマの精霊よりは、性格がおとなしそうではあるけど、考えていることはまったく同じだ。火の精霊には、ろくな奴がいない。
『いや、だから、すぐ出て行くから。というか、あなたがいるから、馬車がとまってるのよ。とっとと、どっかに行ってくれる?』
『えー!? そんなー!? たしかに、ぼくはティエルマの火の精霊さんほど強くはないですけど、それでも、頑張って、なわばりもきれいにしてますし、風の精霊さんがいてくれれば、もっともっと、なわばりを大きくして――』
『うーるーさーい! そんなのだから、風の精霊がすぐどっかに行っちゃうんでしょう! わたしは火の精霊が好きなんじゃなくて、ルイのために手を貸してるだけなの! とっとと向こうに行かないと、吹き飛ばすよ!』
ブワンッと風を巻き起こして威圧したわたしを見て、火の精霊はなぜか、うれしそうに炎をふくらませた。
『そうなんですかー!? じゃあ、じゃあ、その守護主さんのお役にたてれば、ぼくのことも気に入ってもらえるってことですかー!?』
『うん? まあ、そうだけど、ルイは仕事で王都に向かってるだけで、あなたには何の用もないよ』
『王都? でしたら、ぼくのなわばりの中ですよ。じゃあ、じゃあ、ぼくと一緒に――』
『なに言ってるの? 王都はトラーナスの土の精霊のなわばりだって聞いてるよ。そうだよね、ルイ?』
いきなり話を振られたルイが、潤んだ目でカクカクと頭を振った。
『なーに言ってるんですかー。トラーナスの精霊さんは、たしかに強いですけど、土の精霊さんですよー。王都というか、トラーナスの街は、ぐるっと精霊のなわばりに囲まれてるから、魔獣が入ってくることはめったにないですけどー。空を守ってるのは中位の光の精霊が二匹と、闇の精霊が三匹だったかなー? だからー、トラーナスの南の空は、何かあった場合、ぼくが守ってるんです。すごいでしょー』
得意満面といった様子で、ブワッと炎を撒き散らしながら、火の精霊は暑苦しく自慢し始めた。やはり、火の精霊はどいつもこいつも同じだ。だけど、話どおりなら、こいつは使えるかもしれない。
『うん? ということは、あなたは王都まで行って、魔獣を倒して帰ってくるだけの力を持ってるってこと?』
『もちろん、余裕ですよー。ただ、さっきもいったように、まわりになわばりを持ってる精霊さんたちが、トラーナスに魔獣が入ってくる前に、倒しちゃいますからねー。うーん、この前、王都に行ったのは、いつだったかなー?』
『つまり、あなたとわたしが手を組めば、今まで以上に大活躍できるってことね?』
ニヤリと笑みを浮かべたわたしに、火の精霊がしっぽをブンブン振りながら、短い手を差し出した。
『はいー、おっしゃるとおりですー。何なりとお申しつけ下さいー』
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