36 / 55
第2章 救国のハムスターは新たな人生を歩む
36 処刑ってどうかしら?
しおりを挟む
文明ってすばらしいよね。
長旅から帰ってきた私は、ターニャの涙と抱擁に出迎えられ、再びお嬢様の地位を取り戻した。
残りものとはいえ、貴族の食事をたらふくお腹に詰め込んだ私は、さっそくお風呂へと飛びこんだ。
一ヶ月ぶりの文明生活に、私は幸せを噛みしめながら、お湯の中でぷかぷかと浮かんだ。
アウロラの力を抑えるための訓練とはいえ、さすがに魚ばっかりの食生活と、お風呂にも入れない無人島での暮らしは過酷だった。
しかも、ずっとふたりを召喚し続けているわけにはいかないので、夜寝るときにはひとりぼっちなのだ。
この世界に転生してからというもの、ハムスター時代は王太子様とずっと一緒だったし、人になってからもしばらくはターニャが一緒にいてくれた。
いつの間にか、ひとりで寝るのが苦手になっていたのだろう。
南国とはいえ、洞穴でひとり波の音を聞きながら寝るというのは、思ったよりも苦痛だった。
だけど、それも昨日までだ。
今日はゆっくりして、明日からまた学園に行こう。
でも、春学期が始まって三週間もたっている。
今から授業の選択って大丈夫なのかな?
シーラはちゃんと手続きをしてくれているのかな?
などと温かなお湯にくるまれながら考えを巡らせていると、浴室のドアがギギッと開く音が聞こえた。
「入浴中のところ申し訳ございません」
浴室内に反響する声に視線を向けると、クレアがすすすっと姿勢を低くしたまま近寄ってきた。
さすがはクレアだね。
今日はみんな王宮に行ってるって聞いてたけど、私が帰ってきたって聞いてさっそく来てくれたんだね。
「あー、クレア、ただいまー。いやー、アウロラの訓練にずいぶん時間がかかってね。って、クレアはアウロラのことは知らないんだったっけ?」
浴槽のすぐ傍まできたクレアは、私に微笑みかけた後、すぐさま表情を省エネモードに切り替えた。
「本日14時に、王宮広場にてラルフ・クランツ様の公開処刑が執行されることになっております」
処刑?
帰って早々に物騒な話だね、と思いつつ、私は首を傾げた。
「えーっと……誰だっけ、それ?」
「勇者様です」
「ああ、勇者ね……そういえば、そんな名前だったね……」
勇者ラルフ・クランツ。
天然バカ界最強の人族であり、ハムスター時代から変わらない私の生涯のお荷物。
名前を聞いたこともあったけど、いつも勇者としか思ってなかったから、すっかり忘れてた。
だけど、勇者はバカではあるけど、悪い奴ではない。
何かとんでもない失敗でもやらかしたのだろうか?
「……処刑って……何をしたの?」
「聖剣を折られてしまったのです」
もともとこの世界の住人ではない私は、聖剣が折れたぐらいで勇者が処刑されるというのがよくわからない。
もう一段階、首を捻った私に、クレアは淡々と説明を始めた。
「つい先日のことですが、王宮内で火事が発生いたしました。火はすぐに消し止められたのですが、救国のハムスター様を含むハムスターがすべて行方不明となりました。犯人は勇者様、と二十歳前後の女性かと思われましたが、実はこの女が青い魔族四天王だったのです」
うん?
ああ、そういえば、四天王ってもう一人残ってたね。
「行方不明って、逃げちゃったってこと?」
私の疑問に、クレアは首を横に振った。
「いえ、行方がわからないというだけで、恐らくは燃えてしまわれたのではないかと思われます。四天王最弱ながらも、催眠や誘惑の能力を持ったサキュバス系の魔族である青い四天王は、勇者様をたぶらかし王国の最高機密を聞き出したらしいのです。すなわち、救国のハムスター様がすでにティトラン王国にいらっしゃらないということを。その確認のために火を放ったのだと思われます」
ああ、なるほど。
四天王最弱だけあって、悪知恵が働くタイプなんだ。
「犯行自体はすぐに発覚し、青い四天王はその場で倒されました。ただ、青い四天王は最後にこう叫んだそうです。魔王様と四天王を殺した報いを受けるがよい。この国は同族の手によって滅ぶであろう、と。その数日後、勇者様ご自身の署名が入った書状が、王国内の全貴族とありとあらゆる役所に届きました。救国のハムスター様はティトラン王国を見捨てて、神の御許に帰られた、という内容です。どうやら、青い四天王が事前に手配していたようです。今現在では、周辺諸国にもその書状が届いていることが確認されております」
またか、と私はギュッと目を閉じた。
精霊界最速の精霊と最強の精霊と契約したというのに、それでも救国のハムスターの力には遠く及ばない。
私は大きなため息を吐いた後、なんとか現実へと意識を戻した。
「でも、そんなこといずれはばれることじゃない。勇者を処刑することはないんじゃないの?」
硬く閉じられたまぶたの向こうで、クレアが大きくうなずいた気配がした。
「問題はその後なのです。青い四天王を倒した時には、すでに聖剣が折られていました。さらに、その五日後のことですが、大天使様が王宮に現われたのです」
大天使という言葉に驚いた私は、思わず浴槽の底を蹴って、大きく伸びあがった。
「大天使様は国王陛下におっしゃったそうです。聖剣を折った償いが必要だと」
「つぐない……って何?」
「わかりません。大天使様はそれだけをおっしゃると姿を消されたそうです。早急に御前会議が開かれ、勇者の命をもって償いとする、と決まりました」
「それは、恐いほうの大天使だよね? 一方的に言いたいことだけ言って、姿を消すだなんて……」
「私たちにはどちらの大天使様でいらっしゃるかまではわかりません」
私は立ち上がったまま頭を抱えた。
つぐない?
そうだね。
ティトラン王国の人たちは勇者の命ぐらいしか思いつかないよね。
それはしょうがない。
でも、聖剣が折れたのは魔族のせいなんだから、その償いで勇者が命を落とすなんておかしい。
そもそも、そんなに簡単に折れる聖剣ってどうなのよ。
というか、聖剣が折れると大天使に伝わるの?
うん?
じゃあ、もう一度呼び出して聞けばいいか。
あの悪魔に会うのは気が進まないけど、しょうがないね。
さすがは勇者だよ。
いつもいつも、私に迷惑ばかりかけるね。
「折れた聖剣はどこにあるの?」
「王宮広場に設けられた貴賓席の最上段。王族席の前に置かれる予定です」
最悪だ。
王様の目の前で聖剣をもう一度折るなんて言ったって、許してもらえるはずがない。
王族席まで行く許可すら出ないだろう。
とはいえ、勇者を見殺しにするなんて、目覚めが悪すぎる。
「しょうがないか。気が進まないけど、それを叩き折りに行こうか」
しぶしぶながら意を決した私に、クレアは笑顔とともに手を差し出した。
私は苦笑いを浮かべたまま、その手をとって浴室を後にした。
長旅から帰ってきた私は、ターニャの涙と抱擁に出迎えられ、再びお嬢様の地位を取り戻した。
残りものとはいえ、貴族の食事をたらふくお腹に詰め込んだ私は、さっそくお風呂へと飛びこんだ。
一ヶ月ぶりの文明生活に、私は幸せを噛みしめながら、お湯の中でぷかぷかと浮かんだ。
アウロラの力を抑えるための訓練とはいえ、さすがに魚ばっかりの食生活と、お風呂にも入れない無人島での暮らしは過酷だった。
しかも、ずっとふたりを召喚し続けているわけにはいかないので、夜寝るときにはひとりぼっちなのだ。
この世界に転生してからというもの、ハムスター時代は王太子様とずっと一緒だったし、人になってからもしばらくはターニャが一緒にいてくれた。
いつの間にか、ひとりで寝るのが苦手になっていたのだろう。
南国とはいえ、洞穴でひとり波の音を聞きながら寝るというのは、思ったよりも苦痛だった。
だけど、それも昨日までだ。
今日はゆっくりして、明日からまた学園に行こう。
でも、春学期が始まって三週間もたっている。
今から授業の選択って大丈夫なのかな?
シーラはちゃんと手続きをしてくれているのかな?
などと温かなお湯にくるまれながら考えを巡らせていると、浴室のドアがギギッと開く音が聞こえた。
「入浴中のところ申し訳ございません」
浴室内に反響する声に視線を向けると、クレアがすすすっと姿勢を低くしたまま近寄ってきた。
さすがはクレアだね。
今日はみんな王宮に行ってるって聞いてたけど、私が帰ってきたって聞いてさっそく来てくれたんだね。
「あー、クレア、ただいまー。いやー、アウロラの訓練にずいぶん時間がかかってね。って、クレアはアウロラのことは知らないんだったっけ?」
浴槽のすぐ傍まできたクレアは、私に微笑みかけた後、すぐさま表情を省エネモードに切り替えた。
「本日14時に、王宮広場にてラルフ・クランツ様の公開処刑が執行されることになっております」
処刑?
帰って早々に物騒な話だね、と思いつつ、私は首を傾げた。
「えーっと……誰だっけ、それ?」
「勇者様です」
「ああ、勇者ね……そういえば、そんな名前だったね……」
勇者ラルフ・クランツ。
天然バカ界最強の人族であり、ハムスター時代から変わらない私の生涯のお荷物。
名前を聞いたこともあったけど、いつも勇者としか思ってなかったから、すっかり忘れてた。
だけど、勇者はバカではあるけど、悪い奴ではない。
何かとんでもない失敗でもやらかしたのだろうか?
「……処刑って……何をしたの?」
「聖剣を折られてしまったのです」
もともとこの世界の住人ではない私は、聖剣が折れたぐらいで勇者が処刑されるというのがよくわからない。
もう一段階、首を捻った私に、クレアは淡々と説明を始めた。
「つい先日のことですが、王宮内で火事が発生いたしました。火はすぐに消し止められたのですが、救国のハムスター様を含むハムスターがすべて行方不明となりました。犯人は勇者様、と二十歳前後の女性かと思われましたが、実はこの女が青い魔族四天王だったのです」
うん?
ああ、そういえば、四天王ってもう一人残ってたね。
「行方不明って、逃げちゃったってこと?」
私の疑問に、クレアは首を横に振った。
「いえ、行方がわからないというだけで、恐らくは燃えてしまわれたのではないかと思われます。四天王最弱ながらも、催眠や誘惑の能力を持ったサキュバス系の魔族である青い四天王は、勇者様をたぶらかし王国の最高機密を聞き出したらしいのです。すなわち、救国のハムスター様がすでにティトラン王国にいらっしゃらないということを。その確認のために火を放ったのだと思われます」
ああ、なるほど。
四天王最弱だけあって、悪知恵が働くタイプなんだ。
「犯行自体はすぐに発覚し、青い四天王はその場で倒されました。ただ、青い四天王は最後にこう叫んだそうです。魔王様と四天王を殺した報いを受けるがよい。この国は同族の手によって滅ぶであろう、と。その数日後、勇者様ご自身の署名が入った書状が、王国内の全貴族とありとあらゆる役所に届きました。救国のハムスター様はティトラン王国を見捨てて、神の御許に帰られた、という内容です。どうやら、青い四天王が事前に手配していたようです。今現在では、周辺諸国にもその書状が届いていることが確認されております」
またか、と私はギュッと目を閉じた。
精霊界最速の精霊と最強の精霊と契約したというのに、それでも救国のハムスターの力には遠く及ばない。
私は大きなため息を吐いた後、なんとか現実へと意識を戻した。
「でも、そんなこといずれはばれることじゃない。勇者を処刑することはないんじゃないの?」
硬く閉じられたまぶたの向こうで、クレアが大きくうなずいた気配がした。
「問題はその後なのです。青い四天王を倒した時には、すでに聖剣が折られていました。さらに、その五日後のことですが、大天使様が王宮に現われたのです」
大天使という言葉に驚いた私は、思わず浴槽の底を蹴って、大きく伸びあがった。
「大天使様は国王陛下におっしゃったそうです。聖剣を折った償いが必要だと」
「つぐない……って何?」
「わかりません。大天使様はそれだけをおっしゃると姿を消されたそうです。早急に御前会議が開かれ、勇者の命をもって償いとする、と決まりました」
「それは、恐いほうの大天使だよね? 一方的に言いたいことだけ言って、姿を消すだなんて……」
「私たちにはどちらの大天使様でいらっしゃるかまではわかりません」
私は立ち上がったまま頭を抱えた。
つぐない?
そうだね。
ティトラン王国の人たちは勇者の命ぐらいしか思いつかないよね。
それはしょうがない。
でも、聖剣が折れたのは魔族のせいなんだから、その償いで勇者が命を落とすなんておかしい。
そもそも、そんなに簡単に折れる聖剣ってどうなのよ。
というか、聖剣が折れると大天使に伝わるの?
うん?
じゃあ、もう一度呼び出して聞けばいいか。
あの悪魔に会うのは気が進まないけど、しょうがないね。
さすがは勇者だよ。
いつもいつも、私に迷惑ばかりかけるね。
「折れた聖剣はどこにあるの?」
「王宮広場に設けられた貴賓席の最上段。王族席の前に置かれる予定です」
最悪だ。
王様の目の前で聖剣をもう一度折るなんて言ったって、許してもらえるはずがない。
王族席まで行く許可すら出ないだろう。
とはいえ、勇者を見殺しにするなんて、目覚めが悪すぎる。
「しょうがないか。気が進まないけど、それを叩き折りに行こうか」
しぶしぶながら意を決した私に、クレアは笑顔とともに手を差し出した。
私は苦笑いを浮かべたまま、その手をとって浴室を後にした。
0
お気に入りに追加
204
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
【完結】そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします。
たろ
恋愛
わたしの愛する人の隣には、わたしではない人がいる。………彼の横で彼を見て微笑んでいた。
わたしはそれを遠くからそっと見て、視線を逸らした。
ううん、もう見るのも嫌だった。
結婚して1年を過ぎた。
政略結婚でも、結婚してしまえばお互い寄り添い大事にして暮らしていけるだろうと思っていた。
なのに彼は婚約してからも結婚してからもわたしを見ない。
見ようとしない。
わたしたち夫婦には子どもが出来なかった。
義両親からの期待というプレッシャーにわたしは心が折れそうになった。
わたしは彼の姿を見るのも嫌で彼との時間を拒否するようになってしまった。
そして彼は側室を迎えた。
拗れた殿下が妻のオリエを愛する話です。
ただそれがオリエに伝わることは……
とても設定はゆるいお話です。
短編から長編へ変更しました。
すみません
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
七年間の婚約は今日で終わりを迎えます
hana
恋愛
公爵令嬢エミリアが十歳の時、第三王子であるロイとの婚約が決まった。しかし婚約者としての生活に、エミリアは不満を覚える毎日を過ごしていた。そんな折、エミリアは夜会にて王子から婚約破棄を宣言される。
殿下には既に奥様がいらっしゃる様なので私は消える事にします
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のアナスタシアは、毒を盛られて3年間眠り続けていた。そして3年後目を覚ますと、婚約者で王太子のルイスは親友のマルモットと結婚していた。さらに自分を毒殺した犯人は、家族以上に信頼していた、専属メイドのリーナだと聞かされる。
真実を知ったアナスタシアは、深いショックを受ける。追い打ちをかける様に、家族からは役立たずと罵られ、ルイスからは側室として迎える準備をしていると告げられた。
そして輿入れ前日、マルモットから恐ろしい真実を聞かされたアナスタシアは、生きる希望を失い、着の身着のまま屋敷から逃げ出したのだが…
7万文字くらいのお話です。
よろしくお願いいたしますm(__)m
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる