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45:未来永劫さようなら!
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◆ ◆ ◆
その日、エルダークの国民たちは――特に前線で戦っていた軍隊や魔女たちは――奇跡を目の当たりにした。
エルダークの各地を襲っていた魔獣は一斉に、まるで強烈な電撃を喰らったかのように一瞬にして炭化したのである。
魔獣と至近距離で交戦中の者がいて、そのままだと巻き添えになりそうな場合は、見えない手で薙ぎ払われたかのように魔獣だけが遠くへと吹き飛んだ。
呆気に取られている人々の前で、その魔獣は他の魔獣たちと同じ運命を辿った。
たとえ魔獣がどんな姿かたちをしていようと、小さな山ほどもある巨大な魔獣も指先ほどの小さな魔獣も分け隔てなく、電撃魔法は一匹残らず焼き尽くした。
「……な、なんだこれは……」
「まるで神の御業だ……」
「《国守りの魔女》様か?」
「そうだ、きっと《国守りの魔女》様だ! 《国守りの魔女》様が我らを守ってくださったのだ!!」
魔獣と命懸けで戦っていた人々は、口々に《国守りの魔女》の偉業を讃えたのだった。
◆ ◆ ◆
(――よし。全部死んだわ! お仕事終わりっ!!)
結界魔法を通して国中の様子を見て回ったルーシェが次に目を開いたとき、陽は完全に落ちて夜が訪れていた。
場所は変わらず、王宮の庭である。
(げ)
場所は変わらないが、ルーシェを取り囲む人間の数が倍増していた。
ルーシェを迎えるために王城から出てきたらしく、デルニスと護衛の騎士たちがいた。
リチャードとリナリーも展開中の騎士たちに混ざって立っている。
「おお、目が覚めたかルーシェ! 久しぶりだな」
「他人同士の会話には適切な距離があるでしょう、デルニス様。必要以上にルーシェに近づかないでください」
デルニスが近づこうとしてきたため、ジオはルーシェを下がらせて一歩前に出た。
「なんだ貴様。この私を誰だと思って――」
「ジオ。わたしは大丈夫だから。話をさせてちょうだい」
ルーシェはぽんとジオの腕を叩き、ジオの身体の陰から出た。
「お久しぶりですね、デルニス様。お元気そうで何よりです。ところで、パトリシアは国外へ追放されたと聞きましたが、彼女はいまどこにいるのですか?」
《人形姫》だった頃の自分なら優雅にスカートを摘まんで一礼していたところだが、いまとなっては彼に下げる頭など持っていないし、無駄話に付き合いたくもない。
だから、挨拶は最低限にして聞きたいことをそのまま彼にぶつけた。
「安心したまえ、あの悪女は《黒の森》に送られた。《黒の森》は魔獣の巣窟だからな、今頃は魔獣に喰われていることだろう。良い気味だ。この私を謀り、真の《国守りの魔女》を他国へと追いやった罪は重い」
笑うデルニスを見て、ルーシェはますます嫌悪感を募らせた。
「……パトリシアは仮にもあなたの恋人だった女性でしょう。それなのに、あなたはパトリシアの不幸を笑うのですか」
「? パトリシアが私の恋人だったのは昔の話だ。私を騙した悪女の末路など知ったことではない」
デルニスは不思議そうだ。
彼は情け容赦なくパトリシアを切り捨て、そのことに毛ほどの罪悪感も抱いていない。
(自ら望んでパトリシアを《国守りの魔女》にしたくせに、いざパトリシアがその器ではないと知ったら全責任をパトリシアに押しつけて逃げたのね……)
奥歯を噛み締め、硬く拳を握る。
(こいつと結婚しなくて良かった。本当に良かった。パトリシアには感謝しないといけないわね)
「……そうですか。わかりました。聞きたいことは聞けましたし、わたしはこれで失礼します。帰ろう、ジオ」
ルーシェの視線を受けて、ジオが巻物に手を掛けた。
巻物が破れ、ルーシェたちの足元に凄まじい速度で魔法陣が描かれていく。
「待て、ルーシェ! どこへ行くのだ!? 城では国王陛下がお待ちなのだぞ!? 私は君を連れてくるように命じられて――」
「知りません。行きません」
きっぱり言う。
「……! な、ならば無理にとは言わぬ! しかし、どうか私の元から去ろうとしないでくれ! あの悪魔はいなくなったのだ、もう私たちの恋路を邪魔する者はいない! 再び《国守りの魔女》となり、私の妻として――」
「どちらもお断りします」
殺気立ったジオが無言で剣に手を掛けるのを見て、ルーシェは素早く彼の手を掴んで止めた。
「デルニス様はパトリシアを非難されておられましたが、わたしにとってはあなたも同じ加害者です。わたしの言葉に一切耳を貸さず、問答無用で平手打ちしたク――男性の元に誰が嫁ぎたいと思うのですか?」
クソ野郎と言いかけて、急いで訂正する。
不敬罪で処刑されたくはなかった。
(大体、『私たちの恋路』って何よ? わたしはあんたに恋をしたことなんて一度もないっつーの)
養父に決められた婚約者だから愛そうと努力していただけだ。
「たとえパトリシアに騙されていたのだとしても。この期に及んで謝罪の言葉一つ出てこない時点であなたの人間性は終わっています。未来の王子妃殿下には心の底から同情致しますわ」
軽蔑を視線に込めつつ淡々と言う。
「わたしはもう二度と《国守りの魔女》になるつもりはありません。わたしが今日ここに来たのはこれまでわたしに感謝し、敬意を表してくれた人々のためです。次に同じことがあってもわたしはエルダークを助けません。これからは何があっても自国の民だけで解決してください」
「そんな、エルダークを見捨てるというのか!?」
「はい、見捨てます。あなたがパトリシアを見捨てたように。いまのわたしはラスファルの魔女ですから、他国まで守る義理はないんですよ。ただの魔女に万人を救済する慈悲深い聖女像を求めるのはお止めください。迷惑です」
ルーシェは零下の眼差しでデルニスを凍らせた。
「……ど、どうしたんだルーシェ……以前の君とはまるで別人ではないか。誰よりも優しく可憐で、慈愛に満ち溢れていた君は一体どこへ行ってしまったのだ?」
デルニスは信じられない、という顔をしている。
「幻想を壊してしまったようですが、あいにくこちらがわたしの素なのです。是非とも失望して、二度と求婚などなさらないでください。わたしの嫁ぎ先はもう決まっておりますので」
完成間近の魔法陣から立ち上る金色の光に包まれながら、ルーシェは見せつけるようにジオの頬にキスをした。
もう一度デルニスのほうを向いて、いま彼がどんな顔をしているのか確かめてみようと思ったのだが。
その前にジオがルーシェの頬を両手で掴んで固定し、唇を塞いだ。
「…………っ!!?」
熱烈なキスをされ、燃え上がりそうなほど全身が熱くなる。
やがてキスが終わると、ジオは顔を真っ赤にして固まっているルーシェを抱きしめた。
そして、あまりのことに口を半開きにし、間抜け面を晒しているデルニスに金色の目を向ける。
「こういうことなので、婚約者探しは他をあたってください。では未来永劫さようなら王子様!」
ルーシェを腕の中に閉じ込めたまま、ジオが勝ち誇ったように笑う。
直後、足元の魔法陣が強烈な光を放った。
その日、エルダークの国民たちは――特に前線で戦っていた軍隊や魔女たちは――奇跡を目の当たりにした。
エルダークの各地を襲っていた魔獣は一斉に、まるで強烈な電撃を喰らったかのように一瞬にして炭化したのである。
魔獣と至近距離で交戦中の者がいて、そのままだと巻き添えになりそうな場合は、見えない手で薙ぎ払われたかのように魔獣だけが遠くへと吹き飛んだ。
呆気に取られている人々の前で、その魔獣は他の魔獣たちと同じ運命を辿った。
たとえ魔獣がどんな姿かたちをしていようと、小さな山ほどもある巨大な魔獣も指先ほどの小さな魔獣も分け隔てなく、電撃魔法は一匹残らず焼き尽くした。
「……な、なんだこれは……」
「まるで神の御業だ……」
「《国守りの魔女》様か?」
「そうだ、きっと《国守りの魔女》様だ! 《国守りの魔女》様が我らを守ってくださったのだ!!」
魔獣と命懸けで戦っていた人々は、口々に《国守りの魔女》の偉業を讃えたのだった。
◆ ◆ ◆
(――よし。全部死んだわ! お仕事終わりっ!!)
結界魔法を通して国中の様子を見て回ったルーシェが次に目を開いたとき、陽は完全に落ちて夜が訪れていた。
場所は変わらず、王宮の庭である。
(げ)
場所は変わらないが、ルーシェを取り囲む人間の数が倍増していた。
ルーシェを迎えるために王城から出てきたらしく、デルニスと護衛の騎士たちがいた。
リチャードとリナリーも展開中の騎士たちに混ざって立っている。
「おお、目が覚めたかルーシェ! 久しぶりだな」
「他人同士の会話には適切な距離があるでしょう、デルニス様。必要以上にルーシェに近づかないでください」
デルニスが近づこうとしてきたため、ジオはルーシェを下がらせて一歩前に出た。
「なんだ貴様。この私を誰だと思って――」
「ジオ。わたしは大丈夫だから。話をさせてちょうだい」
ルーシェはぽんとジオの腕を叩き、ジオの身体の陰から出た。
「お久しぶりですね、デルニス様。お元気そうで何よりです。ところで、パトリシアは国外へ追放されたと聞きましたが、彼女はいまどこにいるのですか?」
《人形姫》だった頃の自分なら優雅にスカートを摘まんで一礼していたところだが、いまとなっては彼に下げる頭など持っていないし、無駄話に付き合いたくもない。
だから、挨拶は最低限にして聞きたいことをそのまま彼にぶつけた。
「安心したまえ、あの悪女は《黒の森》に送られた。《黒の森》は魔獣の巣窟だからな、今頃は魔獣に喰われていることだろう。良い気味だ。この私を謀り、真の《国守りの魔女》を他国へと追いやった罪は重い」
笑うデルニスを見て、ルーシェはますます嫌悪感を募らせた。
「……パトリシアは仮にもあなたの恋人だった女性でしょう。それなのに、あなたはパトリシアの不幸を笑うのですか」
「? パトリシアが私の恋人だったのは昔の話だ。私を騙した悪女の末路など知ったことではない」
デルニスは不思議そうだ。
彼は情け容赦なくパトリシアを切り捨て、そのことに毛ほどの罪悪感も抱いていない。
(自ら望んでパトリシアを《国守りの魔女》にしたくせに、いざパトリシアがその器ではないと知ったら全責任をパトリシアに押しつけて逃げたのね……)
奥歯を噛み締め、硬く拳を握る。
(こいつと結婚しなくて良かった。本当に良かった。パトリシアには感謝しないといけないわね)
「……そうですか。わかりました。聞きたいことは聞けましたし、わたしはこれで失礼します。帰ろう、ジオ」
ルーシェの視線を受けて、ジオが巻物に手を掛けた。
巻物が破れ、ルーシェたちの足元に凄まじい速度で魔法陣が描かれていく。
「待て、ルーシェ! どこへ行くのだ!? 城では国王陛下がお待ちなのだぞ!? 私は君を連れてくるように命じられて――」
「知りません。行きません」
きっぱり言う。
「……! な、ならば無理にとは言わぬ! しかし、どうか私の元から去ろうとしないでくれ! あの悪魔はいなくなったのだ、もう私たちの恋路を邪魔する者はいない! 再び《国守りの魔女》となり、私の妻として――」
「どちらもお断りします」
殺気立ったジオが無言で剣に手を掛けるのを見て、ルーシェは素早く彼の手を掴んで止めた。
「デルニス様はパトリシアを非難されておられましたが、わたしにとってはあなたも同じ加害者です。わたしの言葉に一切耳を貸さず、問答無用で平手打ちしたク――男性の元に誰が嫁ぎたいと思うのですか?」
クソ野郎と言いかけて、急いで訂正する。
不敬罪で処刑されたくはなかった。
(大体、『私たちの恋路』って何よ? わたしはあんたに恋をしたことなんて一度もないっつーの)
養父に決められた婚約者だから愛そうと努力していただけだ。
「たとえパトリシアに騙されていたのだとしても。この期に及んで謝罪の言葉一つ出てこない時点であなたの人間性は終わっています。未来の王子妃殿下には心の底から同情致しますわ」
軽蔑を視線に込めつつ淡々と言う。
「わたしはもう二度と《国守りの魔女》になるつもりはありません。わたしが今日ここに来たのはこれまでわたしに感謝し、敬意を表してくれた人々のためです。次に同じことがあってもわたしはエルダークを助けません。これからは何があっても自国の民だけで解決してください」
「そんな、エルダークを見捨てるというのか!?」
「はい、見捨てます。あなたがパトリシアを見捨てたように。いまのわたしはラスファルの魔女ですから、他国まで守る義理はないんですよ。ただの魔女に万人を救済する慈悲深い聖女像を求めるのはお止めください。迷惑です」
ルーシェは零下の眼差しでデルニスを凍らせた。
「……ど、どうしたんだルーシェ……以前の君とはまるで別人ではないか。誰よりも優しく可憐で、慈愛に満ち溢れていた君は一体どこへ行ってしまったのだ?」
デルニスは信じられない、という顔をしている。
「幻想を壊してしまったようですが、あいにくこちらがわたしの素なのです。是非とも失望して、二度と求婚などなさらないでください。わたしの嫁ぎ先はもう決まっておりますので」
完成間近の魔法陣から立ち上る金色の光に包まれながら、ルーシェは見せつけるようにジオの頬にキスをした。
もう一度デルニスのほうを向いて、いま彼がどんな顔をしているのか確かめてみようと思ったのだが。
その前にジオがルーシェの頬を両手で掴んで固定し、唇を塞いだ。
「…………っ!!?」
熱烈なキスをされ、燃え上がりそうなほど全身が熱くなる。
やがてキスが終わると、ジオは顔を真っ赤にして固まっているルーシェを抱きしめた。
そして、あまりのことに口を半開きにし、間抜け面を晒しているデルニスに金色の目を向ける。
「こういうことなので、婚約者探しは他をあたってください。では未来永劫さようなら王子様!」
ルーシェを腕の中に閉じ込めたまま、ジオが勝ち誇ったように笑う。
直後、足元の魔法陣が強烈な光を放った。
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