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32:怒りと悲しみと、それから侯爵家のご令嬢
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「ほら、あれがユリウス様だよ」
「ああ、例の、花嫁に逃げられたっていう。それも、結婚式当日でしょ?」
「ヒサンだよねえ。カワイソー。でも花嫁が逃げるってことは、本人に何か重大な問題があるんじゃないの? とても言えない趣味があるとか」
「どんな趣味よお、それ。猟奇的とか? ああ見えて少女趣味の変態だったり?」
「嫌だ、最悪。将来そんな人が私たちの領主になるの? 大変だわ、いまのうちに引っ越さないと」
――くすくすくす。
花嫁に逃げられて引きこもりになった伯爵子息の話は領民の間でも広く知られている。
それはわかっていたが、ほとんどの領民はユリウス様に同情的だった。
ユリウス様と一緒に街を歩いていてこれほどあからさまに嘲笑されたのは初めてだ。
ユリウス様は大層傷ついたらしい。
リュオンが痛みを堪えるように眉間を皺を寄せたことで『猫化解除魔法』が発動したのがわかった。
「…………っ」
私は衝動的に駆け寄って怒鳴りたくなる気持ちを必死で堪えた。
花嫁が逃げたのは花嫁の勝手だ。
それなのに、何故ユリウス様が嘲笑されなければならないのか。
何故何一つ悪いことなどしていないユリウス様が、見知らぬ他人に軽々しく傷つけられなければならないのか。
激しい怒りで視界が真っ赤に染まる。
「落ち着け、ノエル」
ユリウス様の声が聞こえて、私は前方に注意を戻した。
ノエル様の腕をユリウス様が押さえている。
ノエル様の指先では銀色の刃物が鈍い光を放っていた。
「ノエル様、駄目です。堪えてください」
私も慌ててノエル様の背中に触れた。
大好きな兄を侮辱されたのだ。
ノエル様の怒りはもっともだが、領主の息子が領民を刃物で脅せば大問題に発展しかねない。
「ノエル、俺は大丈夫だ。いちいち気にしていたら身が持たないからな。行こう」
ノエル様の腕を叩いて、ユリウス様は気丈に笑った。
その笑みを見て、ノエル様は苦い薬でも飲んだような顔でナイフを戻し、私はそっと唇を噛んだ。
でも、ユリウス様。
私は知ってるんです。リュオンの反応で気づいてしまいました。
リュオンがいなかったらユリウス様は猫になってましたよね?
心構えがあれば女性《わたし》が触れても平気になったのに、相当なショックを受けた証ですよ。
何事もなかったように歩き出したユリウス様の後を追いながら、私はリュオンと繋いだ手を強く握った。
リュオンも私の手を握り返した。
多分、私が胸に抱いている想いと彼の想いは一緒だ。きっとノエル様も。
――ああ、どうか、これ以上誰も嘲笑しないで。
お願いだから、ようやく立ち直りかけているユリウス様を打ちのめすようなことを言わないで。
一か月をかけて女性に慣れ、少しずつ行動範囲を広げ、やっと川沿いの道を歩けるようにまでなったのに――これではまたユリウス様が人間の世界に絶望して家に閉じこもってしまう。
やっぱり人間より猫がいい、なんて悲しいことを、ユリウス様に思わせないで。
焼けたようにヒリヒリ胸が痛む。
大切な人を馬鹿にされた怒りと悲しみと悔しさと――色んな感情がない交ぜになって、心が破裂してしまいそうだ。
私たちはそれ以降、無言で歩いた。
辿り着いた公園では向日葵を始めとした夏の花々が美しく咲き乱れている。
でも、膨れ上がったままの負の感情を処理しきれない私の目にはせっかくの花も景色も、全てが色褪せて見えた。
子どもたちの笑い声も、大人たちが会話する声も、どこか遠い世界の出来事のよう。
心境は皆同じだったらしく、やはり公園に着いても言葉を発する人間は誰もいなかった。
「では帰りましょうか、ユーリ様。帰ったらとびきり美味しい紅茶を淹れますね。良い茶葉が手に入ったんですよ――」
「――ユリウス様?」
努めて明るく言ったそのとき、公園内から年若い女性の声がかかった。
反射的にだろう、びくりとユリウス様が身体を震わせる。
公園内の遊歩道。
向日葵が咲く花壇の前に立っていたのは、黒と白のお仕着せを着た侍女にフリルのついた黒い日傘を差しかけられている可憐な美少女だった。
年齢は私と同じか、少し下か。
肩口で切り揃えられた薄茶色の髪。ぱっちりとした大きなエメラルドグリーンの瞳。
着ているのは海のような藍色のドレスだった。
「ラザフォード嬢……?」
驚きと困惑が入り混じったような顔でユリウス様が呟く。
ラザフォードといえば、五爵――公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵 ――の第二位、エンドリーネ伯爵家より格上の侯爵家だ。
「はい、エマ・ラザフォードです。不思議ですね。偶然を装ってエンドリーネ伯爵邸の付近や目抜き通りを何度歩いても出会えなかったのに、まさかこんなところで出会えるなんて……これが運命の悪戯というものなのでしょうか」
エマ様は驚いた顔でユリウス様を見つめている。
「私の屋敷の付近を歩いた? 偶然を装って? 何故?」
伯爵子息としての対応に切り替えたらしく、ユリウス様の一人称が「私」になった。
「あっ。いえ、何でもないのですっ、何でも! どうかお気になさらないでください!」
エマ様は失言したとばかりに顔を赤らめて咳払いし、片手をあげた。
「ベネット、傘はもういいわ。畳んで」
黒髪にオレンジ色の瞳をした長身の侍女――ベネットさんは主人の命令に従って傘を畳んだ。
「それでは改めましてご挨拶を。ユリウス様、お久しぶりです。そして、皆さまにはお初にお目にかかります。ビクトール・ラザフォード侯爵の次女、エマ・ラザフォードと申します」
エマ様はスカートを摘まんで優雅な礼をしてみせた。
「ああ、例の、花嫁に逃げられたっていう。それも、結婚式当日でしょ?」
「ヒサンだよねえ。カワイソー。でも花嫁が逃げるってことは、本人に何か重大な問題があるんじゃないの? とても言えない趣味があるとか」
「どんな趣味よお、それ。猟奇的とか? ああ見えて少女趣味の変態だったり?」
「嫌だ、最悪。将来そんな人が私たちの領主になるの? 大変だわ、いまのうちに引っ越さないと」
――くすくすくす。
花嫁に逃げられて引きこもりになった伯爵子息の話は領民の間でも広く知られている。
それはわかっていたが、ほとんどの領民はユリウス様に同情的だった。
ユリウス様と一緒に街を歩いていてこれほどあからさまに嘲笑されたのは初めてだ。
ユリウス様は大層傷ついたらしい。
リュオンが痛みを堪えるように眉間を皺を寄せたことで『猫化解除魔法』が発動したのがわかった。
「…………っ」
私は衝動的に駆け寄って怒鳴りたくなる気持ちを必死で堪えた。
花嫁が逃げたのは花嫁の勝手だ。
それなのに、何故ユリウス様が嘲笑されなければならないのか。
何故何一つ悪いことなどしていないユリウス様が、見知らぬ他人に軽々しく傷つけられなければならないのか。
激しい怒りで視界が真っ赤に染まる。
「落ち着け、ノエル」
ユリウス様の声が聞こえて、私は前方に注意を戻した。
ノエル様の腕をユリウス様が押さえている。
ノエル様の指先では銀色の刃物が鈍い光を放っていた。
「ノエル様、駄目です。堪えてください」
私も慌ててノエル様の背中に触れた。
大好きな兄を侮辱されたのだ。
ノエル様の怒りはもっともだが、領主の息子が領民を刃物で脅せば大問題に発展しかねない。
「ノエル、俺は大丈夫だ。いちいち気にしていたら身が持たないからな。行こう」
ノエル様の腕を叩いて、ユリウス様は気丈に笑った。
その笑みを見て、ノエル様は苦い薬でも飲んだような顔でナイフを戻し、私はそっと唇を噛んだ。
でも、ユリウス様。
私は知ってるんです。リュオンの反応で気づいてしまいました。
リュオンがいなかったらユリウス様は猫になってましたよね?
心構えがあれば女性《わたし》が触れても平気になったのに、相当なショックを受けた証ですよ。
何事もなかったように歩き出したユリウス様の後を追いながら、私はリュオンと繋いだ手を強く握った。
リュオンも私の手を握り返した。
多分、私が胸に抱いている想いと彼の想いは一緒だ。きっとノエル様も。
――ああ、どうか、これ以上誰も嘲笑しないで。
お願いだから、ようやく立ち直りかけているユリウス様を打ちのめすようなことを言わないで。
一か月をかけて女性に慣れ、少しずつ行動範囲を広げ、やっと川沿いの道を歩けるようにまでなったのに――これではまたユリウス様が人間の世界に絶望して家に閉じこもってしまう。
やっぱり人間より猫がいい、なんて悲しいことを、ユリウス様に思わせないで。
焼けたようにヒリヒリ胸が痛む。
大切な人を馬鹿にされた怒りと悲しみと悔しさと――色んな感情がない交ぜになって、心が破裂してしまいそうだ。
私たちはそれ以降、無言で歩いた。
辿り着いた公園では向日葵を始めとした夏の花々が美しく咲き乱れている。
でも、膨れ上がったままの負の感情を処理しきれない私の目にはせっかくの花も景色も、全てが色褪せて見えた。
子どもたちの笑い声も、大人たちが会話する声も、どこか遠い世界の出来事のよう。
心境は皆同じだったらしく、やはり公園に着いても言葉を発する人間は誰もいなかった。
「では帰りましょうか、ユーリ様。帰ったらとびきり美味しい紅茶を淹れますね。良い茶葉が手に入ったんですよ――」
「――ユリウス様?」
努めて明るく言ったそのとき、公園内から年若い女性の声がかかった。
反射的にだろう、びくりとユリウス様が身体を震わせる。
公園内の遊歩道。
向日葵が咲く花壇の前に立っていたのは、黒と白のお仕着せを着た侍女にフリルのついた黒い日傘を差しかけられている可憐な美少女だった。
年齢は私と同じか、少し下か。
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着ているのは海のような藍色のドレスだった。
「ラザフォード嬢……?」
驚きと困惑が入り混じったような顔でユリウス様が呟く。
ラザフォードといえば、五爵――公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵 ――の第二位、エンドリーネ伯爵家より格上の侯爵家だ。
「はい、エマ・ラザフォードです。不思議ですね。偶然を装ってエンドリーネ伯爵邸の付近や目抜き通りを何度歩いても出会えなかったのに、まさかこんなところで出会えるなんて……これが運命の悪戯というものなのでしょうか」
エマ様は驚いた顔でユリウス様を見つめている。
「私の屋敷の付近を歩いた? 偶然を装って? 何故?」
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「あっ。いえ、何でもないのですっ、何でも! どうかお気になさらないでください!」
エマ様は失言したとばかりに顔を赤らめて咳払いし、片手をあげた。
「ベネット、傘はもういいわ。畳んで」
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「それでは改めましてご挨拶を。ユリウス様、お久しぶりです。そして、皆さまにはお初にお目にかかります。ビクトール・ラザフォード侯爵の次女、エマ・ラザフォードと申します」
エマ様はスカートを摘まんで優雅な礼をしてみせた。
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