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15:お酒には気を付けて
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物干し場で洗濯物を干し終えた私は達成感を覚えながら風にはためく衣類を見つめた。
雨が降りそうな天気だが、実際に雨が降り出したら洗濯物を取り込めば良いだろう。
今日は外出の予定もないため随時対応可能だ。
「戻りましょうか、ユリウス様」
私は空になった洗濯籠を両手で抱えて言った。
物干し場の隅にはちょこんとお座りした黒猫が――ユリウス様がいる。
彼は私が洗濯物を洗い始めてから干し終わるまで、一連の作業を遠巻きに観察していた。
猫になって何もできず、暇なのかもしれない。
「ああ。お疲れ様。お前は本当に、万事において手際が良いな。伯爵令嬢というのが信じられない」
私を屋敷まで導くように、私の前方を四本の足で可愛らしくとてとて歩きながら、赤いスカーフを首に巻いたユリウス様が振り返って言う。
お褒めの言葉を頂きました。
やっぱり直接言われると嬉しいものですね。
「ありがとうございます」
伯爵令嬢というのはただの肩書で、家ではこき使われていましたし、実際は妹の侍女みたいなものでした――とは言わないほうがいいだろう。
ユリウス様はお優しいお方だ。
ただでさえ猫になって大変なのに、余計な心労をかけるようなことは言いたくない。
――あら?
ユリウス様に続いて屋敷に戻ろうとしていた私は、視界の端に気になる光景を捉えた。
屋敷がある丘の下の道を一人の赤髪の女性が歩いている。
まだ午前中だというのに酔っ払ってでもいるのか、その足取りはおぼつかない。
あっちへふらふら、こっちへふらふらと、見るからに危なっかしい。
――大変、吐いた!!
「ユリウス様、先に屋敷に戻っていてください!!」
私は洗濯籠を地面に置いて駆け出した。
夏の緑で覆われた丘を貫くようにまっすぐに伸びる煉瓦敷きの坂道を駆け下り、道端でうずくまっている女性の元へ行く。
「大丈夫ですか!?」
「あー、だいじょぶですー……おえっ」
「わっ。は、吐けるならとことん吐いてください。そのほうがスッキリしますから」
つんと鼻につく吐瀉物の臭いが吐き気を誘う。
私はぐっと喉の奥に力を込めて吐き気を堪え、女性の背中を摩った。
「……落ち着きました?」
しばらくして私は尋ねた。
女性はもう吐いておらず、やや青ざめた顔でうずくまっている。
「あー……うん。まだちょっと気持ち悪いけど、だいぶマシになったわ。ありがと」
女性が汚れた口元を手の甲で拭おうとしたため、私はポケットからハンカチを取り出した。
「使ってください。差し上げます」
言いながら差し出す。
「あら、どうも。そんじゃ遠慮なく」
口元を拭って汚れたハンカチを丸めてポケットに突っ込み、女性は立ち上がった。
私も立ち上がる。
改めて見ると彼女は背の高い艶麗な美女だった。
腰まで届く波打つ赤い髪。同じ色の瞳。
右目の下にはほくろがあり、褐色の肌をしている。
もしも髪や衣服が乱れておらず、その口からほんのり吐瀉物の臭いが漂っていなければ、私はその美しさに陶酔していたかもしれない。
「あんた、いい子ねえ。見ず知らずの他人にこんなに優しくしてもらったのは久しぶりよ。朝から開いてる酒場で一緒に楽しく飲んでた奴らも、あたしがテーブルに盛大にゲロぶちまけたら嫌な顔して逃げちゃってさあ。酒場を追い出されて、ふらふら歩いてても、だーれも声をかけてくれないどころか、私は見えてません知りませんって顔であたしを避けてくの。ゴミでも見るようなすっごい冷たい目で見る人もいたわね。でも、あんたみたいな子がいるなら、まだまだ世の中捨てたもんじゃないわね。おねーさん感激しちゃった」
女性はにこにこ笑った。
「それは光栄ですが、朝から前後不覚になるほど飲んではいけませんよ。女性なんですから特に気を付けないと――」
「はーい、気を付けまーす。ねえ、名前は?」
お説教は嫌なのか、女性は早々に話題の転換にかかった。
「セラといいます。貴女は?」
「あたしは……んー、アマンダって感じ?」
まだ酔っ払っているのか、女性は視線を落として自身の豊満な胸を見つめた後、首を傾げて不思議な名乗り方をした。
「? アマンダさん、でいいんですか?」
「うんうん。アマンダさんでいいや、それでいきましょう。セラはあの立派なお屋敷で働いてるの?」
アマンダさんは丘の上に立つ伯爵邸を見上げた。
「はい」
「それじゃ、あの猫はお屋敷のペット?」
アマンダさんは右手にある植え込みを指差した。
植え込みの陰からこちらを見ていた黒猫は、アマンダさんに急に指さされて驚いたのか、さっと植え込みの後ろに引っ込んだ。
あれ、ユリウス様?
ついてきてたのか。
女性が苦手なのに、私のことを心配して、おっかなびっくりついてきてくれたのかもしれない。
そう思うと胸の奥が温かくなり、知らないうちに微笑が浮かぶ。
「いえ、ペットではありません。あの猫は伯爵家の家族の一員です。伯爵家にとっても私にとっても大事な猫です」
「ふうん、そう。本当に大事なのね。表情を見てればわかるわ」
アマンダさんは艶やかな唇の端を上げた。
不意に吹き付けてきた風に、燃え上がる炎のような彼女の赤髪がふわふわ踊っている。
「愛されてるみたいであの猫も幸せね。そうだ、セラ。介抱してもらったお礼にこれあげる」
アマンダさんはポケットに手を入れてごそごそと動かし、護符のようなものを私に手渡した。
赤い紙には何やら複雑な図形と文字が書かれている。
魔法陣のようにも見えるが、こんな複雑な形の魔法陣など見たことがなかった。
「もしこの先、セラがどうしようもなく困ったときはこれを破いて、何もない空間に向かって適当に放り投げて。大抵の問題は解決してあげる」
「……? なんですかこれは?」
「内緒。それ、作るの超大変な貴重品だから大事にしてよね。機会があればまた会いましょう。じゃあねー」
アマンダさんは手を振り、赤い髪を風になびかせながら去っていった。
私と話しているうちに酔いは覚めたのか、足取りはしっかりしていて、もう心配はなさそうだ。
「……なんだったんだ、あの女は」
アマンダさんが十分に離れるのを待ってから、ユリウス様が近づいてきた。
「さあ。でも、陽気で面白い人でしたね。お酒の飲みすぎには注意して欲しいですが……お屋敷に戻りましょう、ユリウス様。スコップを取ってこないと」
私は赤い護符をポケットに入れて歩き始めた。
「待て、後片付けまでしてやるつもりなのか? 身内の不始末ならともかく、あの女は出会ったばかりの赤の他人だろう? それに、ここは公道であって自分の家の庭でもない。放っといてもお前には関係ないだろう。なんでそこまでするんだ?」
ユリウス様が隣にやってきて私を見上げる。
ここまで彼が近くに来てくれたのは初めてだったので、地味に嬉しかった。
「他人の吐瀉物を好き好んで見たいと思う人はいません。誰かが後始末をするべきだというなら、その『誰か』が自分でも良いではありませんか」
「………」
「自分から関わった以上、最後まできっちり面倒を見たいんです。知らん顔して逃げるのは簡単ですが、それではモヤモヤすると言いますか、やっぱり気持ち悪いじゃないですか。アマンダさんは私を良い人間だと言ってくれました。だから私はその言葉に相応しい人間でいたいと思うんです。お礼も貰いましたし」
私はポケットを叩いてみせた。
「……。お前が根っからの善人だということがよくわかった。そういうお前だからリュオンを助けられたんだな」
ユリウス様は猫の姿だけれど、笑っているような気がした。
雨が降りそうな天気だが、実際に雨が降り出したら洗濯物を取り込めば良いだろう。
今日は外出の予定もないため随時対応可能だ。
「戻りましょうか、ユリウス様」
私は空になった洗濯籠を両手で抱えて言った。
物干し場の隅にはちょこんとお座りした黒猫が――ユリウス様がいる。
彼は私が洗濯物を洗い始めてから干し終わるまで、一連の作業を遠巻きに観察していた。
猫になって何もできず、暇なのかもしれない。
「ああ。お疲れ様。お前は本当に、万事において手際が良いな。伯爵令嬢というのが信じられない」
私を屋敷まで導くように、私の前方を四本の足で可愛らしくとてとて歩きながら、赤いスカーフを首に巻いたユリウス様が振り返って言う。
お褒めの言葉を頂きました。
やっぱり直接言われると嬉しいものですね。
「ありがとうございます」
伯爵令嬢というのはただの肩書で、家ではこき使われていましたし、実際は妹の侍女みたいなものでした――とは言わないほうがいいだろう。
ユリウス様はお優しいお方だ。
ただでさえ猫になって大変なのに、余計な心労をかけるようなことは言いたくない。
――あら?
ユリウス様に続いて屋敷に戻ろうとしていた私は、視界の端に気になる光景を捉えた。
屋敷がある丘の下の道を一人の赤髪の女性が歩いている。
まだ午前中だというのに酔っ払ってでもいるのか、その足取りはおぼつかない。
あっちへふらふら、こっちへふらふらと、見るからに危なっかしい。
――大変、吐いた!!
「ユリウス様、先に屋敷に戻っていてください!!」
私は洗濯籠を地面に置いて駆け出した。
夏の緑で覆われた丘を貫くようにまっすぐに伸びる煉瓦敷きの坂道を駆け下り、道端でうずくまっている女性の元へ行く。
「大丈夫ですか!?」
「あー、だいじょぶですー……おえっ」
「わっ。は、吐けるならとことん吐いてください。そのほうがスッキリしますから」
つんと鼻につく吐瀉物の臭いが吐き気を誘う。
私はぐっと喉の奥に力を込めて吐き気を堪え、女性の背中を摩った。
「……落ち着きました?」
しばらくして私は尋ねた。
女性はもう吐いておらず、やや青ざめた顔でうずくまっている。
「あー……うん。まだちょっと気持ち悪いけど、だいぶマシになったわ。ありがと」
女性が汚れた口元を手の甲で拭おうとしたため、私はポケットからハンカチを取り出した。
「使ってください。差し上げます」
言いながら差し出す。
「あら、どうも。そんじゃ遠慮なく」
口元を拭って汚れたハンカチを丸めてポケットに突っ込み、女性は立ち上がった。
私も立ち上がる。
改めて見ると彼女は背の高い艶麗な美女だった。
腰まで届く波打つ赤い髪。同じ色の瞳。
右目の下にはほくろがあり、褐色の肌をしている。
もしも髪や衣服が乱れておらず、その口からほんのり吐瀉物の臭いが漂っていなければ、私はその美しさに陶酔していたかもしれない。
「あんた、いい子ねえ。見ず知らずの他人にこんなに優しくしてもらったのは久しぶりよ。朝から開いてる酒場で一緒に楽しく飲んでた奴らも、あたしがテーブルに盛大にゲロぶちまけたら嫌な顔して逃げちゃってさあ。酒場を追い出されて、ふらふら歩いてても、だーれも声をかけてくれないどころか、私は見えてません知りませんって顔であたしを避けてくの。ゴミでも見るようなすっごい冷たい目で見る人もいたわね。でも、あんたみたいな子がいるなら、まだまだ世の中捨てたもんじゃないわね。おねーさん感激しちゃった」
女性はにこにこ笑った。
「それは光栄ですが、朝から前後不覚になるほど飲んではいけませんよ。女性なんですから特に気を付けないと――」
「はーい、気を付けまーす。ねえ、名前は?」
お説教は嫌なのか、女性は早々に話題の転換にかかった。
「セラといいます。貴女は?」
「あたしは……んー、アマンダって感じ?」
まだ酔っ払っているのか、女性は視線を落として自身の豊満な胸を見つめた後、首を傾げて不思議な名乗り方をした。
「? アマンダさん、でいいんですか?」
「うんうん。アマンダさんでいいや、それでいきましょう。セラはあの立派なお屋敷で働いてるの?」
アマンダさんは丘の上に立つ伯爵邸を見上げた。
「はい」
「それじゃ、あの猫はお屋敷のペット?」
アマンダさんは右手にある植え込みを指差した。
植え込みの陰からこちらを見ていた黒猫は、アマンダさんに急に指さされて驚いたのか、さっと植え込みの後ろに引っ込んだ。
あれ、ユリウス様?
ついてきてたのか。
女性が苦手なのに、私のことを心配して、おっかなびっくりついてきてくれたのかもしれない。
そう思うと胸の奥が温かくなり、知らないうちに微笑が浮かぶ。
「いえ、ペットではありません。あの猫は伯爵家の家族の一員です。伯爵家にとっても私にとっても大事な猫です」
「ふうん、そう。本当に大事なのね。表情を見てればわかるわ」
アマンダさんは艶やかな唇の端を上げた。
不意に吹き付けてきた風に、燃え上がる炎のような彼女の赤髪がふわふわ踊っている。
「愛されてるみたいであの猫も幸せね。そうだ、セラ。介抱してもらったお礼にこれあげる」
アマンダさんはポケットに手を入れてごそごそと動かし、護符のようなものを私に手渡した。
赤い紙には何やら複雑な図形と文字が書かれている。
魔法陣のようにも見えるが、こんな複雑な形の魔法陣など見たことがなかった。
「もしこの先、セラがどうしようもなく困ったときはこれを破いて、何もない空間に向かって適当に放り投げて。大抵の問題は解決してあげる」
「……? なんですかこれは?」
「内緒。それ、作るの超大変な貴重品だから大事にしてよね。機会があればまた会いましょう。じゃあねー」
アマンダさんは手を振り、赤い髪を風になびかせながら去っていった。
私と話しているうちに酔いは覚めたのか、足取りはしっかりしていて、もう心配はなさそうだ。
「……なんだったんだ、あの女は」
アマンダさんが十分に離れるのを待ってから、ユリウス様が近づいてきた。
「さあ。でも、陽気で面白い人でしたね。お酒の飲みすぎには注意して欲しいですが……お屋敷に戻りましょう、ユリウス様。スコップを取ってこないと」
私は赤い護符をポケットに入れて歩き始めた。
「待て、後片付けまでしてやるつもりなのか? 身内の不始末ならともかく、あの女は出会ったばかりの赤の他人だろう? それに、ここは公道であって自分の家の庭でもない。放っといてもお前には関係ないだろう。なんでそこまでするんだ?」
ユリウス様が隣にやってきて私を見上げる。
ここまで彼が近くに来てくれたのは初めてだったので、地味に嬉しかった。
「他人の吐瀉物を好き好んで見たいと思う人はいません。誰かが後始末をするべきだというなら、その『誰か』が自分でも良いではありませんか」
「………」
「自分から関わった以上、最後まできっちり面倒を見たいんです。知らん顔して逃げるのは簡単ですが、それではモヤモヤすると言いますか、やっぱり気持ち悪いじゃないですか。アマンダさんは私を良い人間だと言ってくれました。だから私はその言葉に相応しい人間でいたいと思うんです。お礼も貰いましたし」
私はポケットを叩いてみせた。
「……。お前が根っからの善人だということがよくわかった。そういうお前だからリュオンを助けられたんだな」
ユリウス様は猫の姿だけれど、笑っているような気がした。
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