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24:病弱な王子様
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あれから三日が経った深夜、一時過ぎ。
リナリアたちは地面に描かれた長距離転移用の魔法陣を囲むようにして、公爵邸の庭に集まっていた。
この複雑極まりない魔法陣は出立前にイザークが描いたもの。
王宮で何らかのトラブルが起きなければ、もうすぐセレンを連れてイザークが現れる。
この三日間、エルザにみっちりと演技指導され、急遽集められた講師陣からは礼儀作法や身を守るための魔法や帝王学を学び――とにかく様々な教育を施された結果、ほとんど屍と化していたイスカは誰よりも真剣な表情で魔法陣を見ている。
イスカの話によると、セレンとはもう二年以上も会っていないそうだ。魔物にされた期間を除いたとしても、一年以上。
う
実の兄弟だというのに、気軽に会うことすらできない。
それはどれほど辛く悲しいことだろう。
不意に、淡く金色に輝いていた魔法陣が強烈な光を放ち始めた。
「!!」
誰もが食い入るように魔法陣の変化を見つめた。
魔法陣は光の円柱を作り出し、円柱の中に人影が現れる。
目が眩むほどの強い光を放った直後、光の円柱が消えた。
全ての輝きを失った魔法陣の上に立っているのはイザークと、ぐったりした様子でイザークに背負われた美青年。
(イスカ様!?)
イスカが分裂して二人になったのかと思うほど、その美青年はイスカによく似ていた。
「セレン!!」
イスカが駆け寄って呼び掛けると、美青年は――セレンは閉じていた目を見開き、イザークに背負われたまま上体を起こした。
「……イスカ」
少しかすれた声で彼は弟の名前を呼んだ。
みるみるうちに瞳に涙が浮かび、頬を伝い落ちていく。
「……良かった。無事で……本当に……」
泣きながらセレンは微笑んだ。
「馬鹿だな、おれがそんな簡単に死ぬわけねえだろ。子どもじゃねえんだから泣くなよ」
そう言うイスカも泣きそうな顔をしている。
「そうだね、すまない。エルザ、ありがとう」
「どういたしまして」
ハンカチで涙を拭ってくれたエルザに礼を言って、セレンはまた目を閉じ、イザークにもたれかかった。
「セレン? おい、大丈夫か?」
「……大丈夫。安心して、気が抜けただけ」
不安そうなイスカの問いかけに、目を閉じたままセレンは答えた。
セレンの部屋は一階、物置として使用されていた部屋を片付けて作られた。病弱な彼が階段を上り下りするのは大変だろうという配慮だ。
元が物置部屋とはわからぬほど、セレンの部屋は清潔に整えられていた。
豪奢な客室に比べると壁紙は地味ではあるが、家具は品が良く、落ち着いた空間になっている。
「……イスカとエルザは久しぶりだね。ヴィネッタとリナリアは初めまして。私はセレン・フレーナ・フルーベル……こんな状態での挨拶で失礼」
ベッドに寝転び、胸元まで毛布をかけられたセレンは微苦笑した。
暗い夜の庭ではよくわからなかったが、こうして改めて明かりの下で見ると、人形のように整ったその顔は青白く、生気がない。
きちんと薬を飲んでいる状態でこれなのだ。もしも薬を絶たれていたら――ぞっとして、リナリアはその先を考えないようにした。
「まさか王宮を出ることになるなんて……イザークに話を聞いたときは驚いたよ。私のために力を尽くしてくれてありがとう。本当に、なんと礼を言えば良いのか……特にイザークは大変だっただろう」
「はい。お礼は弾んでください」
「そうしたいのはやまやまだけど、私に差し出せるものなんて何も……」
セレンはイスカと同じサファイアの目を伏せた。
「じゃあお礼はあなた自身ということで、エルザを嫁にしてやってください」
「はあっ!? ちょっと、何を言い出すんですかお兄様!!」
顔を真っ赤にし、慌てふためいてエルザが兄の手を引っ張る。
エルザがセレンを愛しているのはリナリアも気づいていた。というより、気づかないほうがどうかしている。
「ふふ。駄目だよ、エルザには幸せになってほしいからね」
単なる冗談だと思ったらしく、セレンは笑って受け流した。
「………」
あからさまに落ち込んだエルザを見てヴィネッタは苦笑し、イザークは慰めるように妹の肩を叩いた。
バークレイン一家のやり取りに気づくことなく、セレンはリナリアの左手を見ている。
「ご覧になられますか?」
リナリアはベッドに近づき、左手を差し出した。
「ありがとう。綺麗だね。これが《光の花》……文献では見たことがあるけれど、実物は初めて見たよ。《花冠の聖女》は植物と交信できる力があるというのは本当?」
「交信と呼べるほどのものではありませんが、花を咲かせることはできます」
「花……」
セレンは視線で花を探し求めたが、この部屋には花瓶がない。
病弱なセレンは花の匂いというささやかな刺激でさえ発作を起こす危険があるため、メイドがわざと置かないようにしたのだろう。
壁際でやり取りを見ていたユマがいったん部屋を出て、花瓶を持ってきてくれた。
花瓶に活けられた花は匂いをほとんど発しない種類のもので、紫と白い花はまだ蕾。
セレンに聖女としての力を示すにはちょうど良い。
さすがはユマ、完璧な仕事ぶりである。
「リナリアは歌が上手だと聞いたよ。イスカが聞き惚れたというのだから相当だろうね。いまこの場で一曲歌ってみてもらえないだろうか? 曲は何でもいいから」
「はい」
リナリアは息を吸って、ゆったりしたテンポのバラードを歌い始めた。
たちまちセレンは目を見開いた。
花瓶の花が全て咲いたのを見て、その目を無垢な子どものようにキラキラと輝かせる。
すごい。声には出さなかったが、セレンの唇は確かにそう動いた。
他の皆もリナリアの歌に聞き入っている。
やがて歌が終わると、セレンは毛布から両手を出し、興奮気味に拍手した。
「君はこの国で、いや、この世界で最高の歌姫だよ、リナリア! 久しぶりに心が震えた! 本当に、本当に、素晴らしかった! もっと歌ってほし――」
急にセレンは顔を背けて咳き込み始めた。
「セレン様!?」
「セレン!!」
「だい、ゲホッ! ゴホッ!!」
「喋るな!!」
身を折って咳き込む兄を見てイスカが叫び、エルザがセレンの背中を摩る。
セレンの発作は激しく、血を吐くのではないかと気が気ではなかった。
やがてセレンはヒューヒューと壊れた笛のような音を繰り返し……どうにか発作は収まったようだった。
「……すまない。心配させて、しまって」
苦しそうな呼吸の狭間でセレンが言う。その瞳は発作の苦痛に潤んでいた。
「謝らないでください。後でいくらでも歌いますから、どうかいまは安静になさってください、セレン様」
「ああ……せっかくの、素晴らしい、歌が。再び弟と会えた、夢のよう、な、夜が。私の、せいで、台無し、に……ゲホッ」
「もういいから喋るなって。頼むから。黙ってろ」
咳き込む兄の肩を掴み、懇願するようにイスカが言う。
「イスカ様、セレン様のお世話がわたくしとメイドたちが致します。積もる話はおありでしょうが、もう夜も遅いですし、今日のところは……どうか」
「……そうだな。話はまた明日にしよう」
頭を下げたエルザにイスカが頷き、エルザやユマを除く全員が退室した。
「……すみません。私のせいで……歌わなければ良かったですね」
意気消沈して、リナリアは項垂れた。
「謝るな。リナリアが悪いんじゃない。そもそも歌えと言ったのはあいつだし、興奮しすぎたあいつが悪い」
「でも……」
「気にするなって。あいつのあんな楽しそうな顔は初めて見たよ」
兄のことが心配で堪らないだろうに、イスカは笑った。リナリアの罪悪感を和らげるために。
(……絶対にフローラ様にセレン様を治していただこう)
唇を噛み、リナリアは固く心に誓った。
リナリアたちは地面に描かれた長距離転移用の魔法陣を囲むようにして、公爵邸の庭に集まっていた。
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イスカの話によると、セレンとはもう二年以上も会っていないそうだ。魔物にされた期間を除いたとしても、一年以上。
う
実の兄弟だというのに、気軽に会うことすらできない。
それはどれほど辛く悲しいことだろう。
不意に、淡く金色に輝いていた魔法陣が強烈な光を放ち始めた。
「!!」
誰もが食い入るように魔法陣の変化を見つめた。
魔法陣は光の円柱を作り出し、円柱の中に人影が現れる。
目が眩むほどの強い光を放った直後、光の円柱が消えた。
全ての輝きを失った魔法陣の上に立っているのはイザークと、ぐったりした様子でイザークに背負われた美青年。
(イスカ様!?)
イスカが分裂して二人になったのかと思うほど、その美青年はイスカによく似ていた。
「セレン!!」
イスカが駆け寄って呼び掛けると、美青年は――セレンは閉じていた目を見開き、イザークに背負われたまま上体を起こした。
「……イスカ」
少しかすれた声で彼は弟の名前を呼んだ。
みるみるうちに瞳に涙が浮かび、頬を伝い落ちていく。
「……良かった。無事で……本当に……」
泣きながらセレンは微笑んだ。
「馬鹿だな、おれがそんな簡単に死ぬわけねえだろ。子どもじゃねえんだから泣くなよ」
そう言うイスカも泣きそうな顔をしている。
「そうだね、すまない。エルザ、ありがとう」
「どういたしまして」
ハンカチで涙を拭ってくれたエルザに礼を言って、セレンはまた目を閉じ、イザークにもたれかかった。
「セレン? おい、大丈夫か?」
「……大丈夫。安心して、気が抜けただけ」
不安そうなイスカの問いかけに、目を閉じたままセレンは答えた。
セレンの部屋は一階、物置として使用されていた部屋を片付けて作られた。病弱な彼が階段を上り下りするのは大変だろうという配慮だ。
元が物置部屋とはわからぬほど、セレンの部屋は清潔に整えられていた。
豪奢な客室に比べると壁紙は地味ではあるが、家具は品が良く、落ち着いた空間になっている。
「……イスカとエルザは久しぶりだね。ヴィネッタとリナリアは初めまして。私はセレン・フレーナ・フルーベル……こんな状態での挨拶で失礼」
ベッドに寝転び、胸元まで毛布をかけられたセレンは微苦笑した。
暗い夜の庭ではよくわからなかったが、こうして改めて明かりの下で見ると、人形のように整ったその顔は青白く、生気がない。
きちんと薬を飲んでいる状態でこれなのだ。もしも薬を絶たれていたら――ぞっとして、リナリアはその先を考えないようにした。
「まさか王宮を出ることになるなんて……イザークに話を聞いたときは驚いたよ。私のために力を尽くしてくれてありがとう。本当に、なんと礼を言えば良いのか……特にイザークは大変だっただろう」
「はい。お礼は弾んでください」
「そうしたいのはやまやまだけど、私に差し出せるものなんて何も……」
セレンはイスカと同じサファイアの目を伏せた。
「じゃあお礼はあなた自身ということで、エルザを嫁にしてやってください」
「はあっ!? ちょっと、何を言い出すんですかお兄様!!」
顔を真っ赤にし、慌てふためいてエルザが兄の手を引っ張る。
エルザがセレンを愛しているのはリナリアも気づいていた。というより、気づかないほうがどうかしている。
「ふふ。駄目だよ、エルザには幸せになってほしいからね」
単なる冗談だと思ったらしく、セレンは笑って受け流した。
「………」
あからさまに落ち込んだエルザを見てヴィネッタは苦笑し、イザークは慰めるように妹の肩を叩いた。
バークレイン一家のやり取りに気づくことなく、セレンはリナリアの左手を見ている。
「ご覧になられますか?」
リナリアはベッドに近づき、左手を差し出した。
「ありがとう。綺麗だね。これが《光の花》……文献では見たことがあるけれど、実物は初めて見たよ。《花冠の聖女》は植物と交信できる力があるというのは本当?」
「交信と呼べるほどのものではありませんが、花を咲かせることはできます」
「花……」
セレンは視線で花を探し求めたが、この部屋には花瓶がない。
病弱なセレンは花の匂いというささやかな刺激でさえ発作を起こす危険があるため、メイドがわざと置かないようにしたのだろう。
壁際でやり取りを見ていたユマがいったん部屋を出て、花瓶を持ってきてくれた。
花瓶に活けられた花は匂いをほとんど発しない種類のもので、紫と白い花はまだ蕾。
セレンに聖女としての力を示すにはちょうど良い。
さすがはユマ、完璧な仕事ぶりである。
「リナリアは歌が上手だと聞いたよ。イスカが聞き惚れたというのだから相当だろうね。いまこの場で一曲歌ってみてもらえないだろうか? 曲は何でもいいから」
「はい」
リナリアは息を吸って、ゆったりしたテンポのバラードを歌い始めた。
たちまちセレンは目を見開いた。
花瓶の花が全て咲いたのを見て、その目を無垢な子どものようにキラキラと輝かせる。
すごい。声には出さなかったが、セレンの唇は確かにそう動いた。
他の皆もリナリアの歌に聞き入っている。
やがて歌が終わると、セレンは毛布から両手を出し、興奮気味に拍手した。
「君はこの国で、いや、この世界で最高の歌姫だよ、リナリア! 久しぶりに心が震えた! 本当に、本当に、素晴らしかった! もっと歌ってほし――」
急にセレンは顔を背けて咳き込み始めた。
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「セレン!!」
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「喋るな!!」
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「……すまない。心配させて、しまって」
苦しそうな呼吸の狭間でセレンが言う。その瞳は発作の苦痛に潤んでいた。
「謝らないでください。後でいくらでも歌いますから、どうかいまは安静になさってください、セレン様」
「ああ……せっかくの、素晴らしい、歌が。再び弟と会えた、夢のよう、な、夜が。私の、せいで、台無し、に……ゲホッ」
「もういいから喋るなって。頼むから。黙ってろ」
咳き込む兄の肩を掴み、懇願するようにイスカが言う。
「イスカ様、セレン様のお世話がわたくしとメイドたちが致します。積もる話はおありでしょうが、もう夜も遅いですし、今日のところは……どうか」
「……そうだな。話はまた明日にしよう」
頭を下げたエルザにイスカが頷き、エルザやユマを除く全員が退室した。
「……すみません。私のせいで……歌わなければ良かったですね」
意気消沈して、リナリアは項垂れた。
「謝るな。リナリアが悪いんじゃない。そもそも歌えと言ったのはあいつだし、興奮しすぎたあいつが悪い」
「でも……」
「気にするなって。あいつのあんな楽しそうな顔は初めて見たよ」
兄のことが心配で堪らないだろうに、イスカは笑った。リナリアの罪悪感を和らげるために。
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