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第五章 風嵐都市編
第六話「十二使徒・フィアンデルマ」
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裂け目に飲み込まれたジュドはサウスディアへと転移させられ、空中から放り出される。
「あいつはどこだ…!?」
辺りにフィアンデルマの様子はない。
そう思っていると、空中にもう一つの裂け目が開く。
ジュドを追ってきたフィアンデルマは、下にいるターゲットを視認する。
そして、降下と共にこちらへと問答無用で攻撃して来た。
ジュドは間一髪で回避するが、立っていた場所は地面が削り取られる。
「あなた、聖騎士?」
ジュドに話しかけて来る。
「俺の事を覚えていないのか…?」
フィアンデルマの一挙手一投足がジュドの琴線に触れる。
今にでも飛び出しそうな殺意を抑え、聞き返した。
「水門都市で俺の仲間たちをどこへ連れ去った」
「水門、都市?」
少し間が空いた後に答える。
「あの時の、ミュセルが、気に入ってた、人間」
記憶を思い出す。
「他の、人間は、とっても、遠くに飛ばした。今頃は、魔物の、腹の中」
生きている可能性が見えたものの、依然として仲間の居場所はわからない。
ジュドは一瞬安堵したが、その安堵は不安でもあることを再認識する。
フィアンデルマの腕がみるみる黒い靄に覆われ、あっという間に巨大な手に変わった。
「その手で…みんなを…」
敵へ一目散に駆け出すジュド。
フィアンデルマの薙ぎ払いを躱し、身体に斬り込む。
斬ろうとした身体に裂け目が生まれ、剣身が裂け目の中へと入った。
次の瞬間、背後にもう一つの裂け目ができ、そこから吸い込まれた剣身が現れる。
「ッ!!!」
自分の剣が、自身の背中を斬り裂く。
すぐ後ろに距離を取るが、フィアンデルマはそれを逃がさない。
何とか間一髪で追撃を回避しているが、あの巨大な手に触れられればおそらく、触れた箇所を転移させられ致命傷は免れないだろう。
〝天空島〟での言葉が頭をよぎる。
「〝末の光〟は単なる技ではなく能力よ。そう、〝未来を創る〟能力」
脳内を過ぎるシュブ=ニグラスと名乗った少女の言葉。
(あれが本当なら…できるはず…)
ジュドは強くイメージした。
「やつに武器さえ当たれば…!」
フィアンデルマの手が直撃する寸前、ジュドは剣で受け身を取った。
―ガキンッ。
本来であれば防御不可の攻撃を受け止めることに成功する。
「あ、れ…?」
フィアンデルマはジュドを弾き飛ばした後、自分の手を確認する。
「なんで、転移が、発動してない?」
状況を理解できていないフィアンデルマだが、すぐに疑問を切り捨てる。
「まあ、いい、これでも、殺れる」
見開いた目が殺意を増し、その視線はジュドへと向けられた。
「思った通りだ…。この能力があれば、あいつを倒せる…!」
光る拳に力を込める。
フィアンデルマは崩れた柱に手をあて、裂け目に柱を飲み込ませた。
追撃を仕掛けるジュドの真上に裂け目が開き、柱が頭上へと落ちて来る。
飛び込み回避で避けるが、煙を薙ぎ払い巨大な手が現れた。
剣で受け止めることができるようになったものの、十二使徒としての異常な強さは依然としてジュドに猛威を振るう。
「もう一度、〝末の光〟を…」
ジュドは再度、未来を作り変えようとする。
「俺が勝つ未来を…!」
能力を行使しようとしたジュドの頭に激痛が走る。
「ッ!!」
突然の激痛に目や鼻からは血が流れ、ジュドは膝を着いてしまった。
目の前からはフィアンデルマの手が迫り来る。
「ま…ずい…」
ふらつく視界のせいで剣を構えることができない。
「…みんな」
ジュドは死を覚悟して、目を閉じた。
「ジュドっ!!!」
複数の影がジュドとフィアンデルマの間に割って入った。
懐かしいその声にジュドは目を開ける。
「…なんで」
ジュドはあまりの衝撃に自分が死んでしまったかと錯覚していた。
フィアンデルマによって消されたシスティ、ダグラス、ルシア、モーリスが目の前にいる。
背後にもう一人誰かいる。
その人物にジュドは襟を持ち上げられた。
「久しぶりに会ったと思ったら、なんじゃその弱腰は!」
ジュドは振り返る。
「じ…爺さん?」
ジュドの祖父、アイザック=ルーカスがそこには立っていた。
「ん?憧れの爺さんに会えた第一声がそれか…?まったく、孫として恥ずかしいわい」
ジュドが冒険に出るきっかけをくれた祖父。
確かにジュドの憧れは〝希望を紡ぐ木〟の性質で与えられた感情だったかもしれない。
だが、ジュドは確かに祖父の本を読んで旅立つことを決めた。それは紛れもない事実なのだ。
「何で爺さんがここに…」
立て続けに起こる出来事に困惑しつつも、アイザックへ問いかける。
「ワシが荒炎都市へ向かっている最中、突然四人が落ちてきてな。瀕死だったから、手当して…それから色々あって同行することになったんじゃ」
アイザックはざっくりと説明した後、忠告する。
「生き別れの仲間との再会を祝いたいところじゃろうが…あっちの嬢ちゃんは待ってくれないみたいじゃの」
アイザックはフィアンデルマの方を見る。
「人間、増えた。私の能力も、調子が変。これも、イレギュラー?」
一帯の邪気が濃くなっていく。
「邪魔な人間ハ、全員、殺ス」
禍々しさは大きく膨れ上がり、邪神と同じ気配がフィアンデルマから溢れ始めた。
「《邪禍の装束》」
黒い靄が全身を覆いフィアンデルマは異形の姿へと変化する。
一瞬にしていくつもの裂け目がジュドたち一行を囲んだ。
「行くわよ!ジュド!」
システィが振り返り、叫ぶ。
「リベンジってやつね」
ジュドは涙を堪え、血を拭った。
そして武器を構える。
「みんな…行くぞ!!」
仲間たちと再会し、フィアンデルマとの再戦が始まる。
「あいつはどこだ…!?」
辺りにフィアンデルマの様子はない。
そう思っていると、空中にもう一つの裂け目が開く。
ジュドを追ってきたフィアンデルマは、下にいるターゲットを視認する。
そして、降下と共にこちらへと問答無用で攻撃して来た。
ジュドは間一髪で回避するが、立っていた場所は地面が削り取られる。
「あなた、聖騎士?」
ジュドに話しかけて来る。
「俺の事を覚えていないのか…?」
フィアンデルマの一挙手一投足がジュドの琴線に触れる。
今にでも飛び出しそうな殺意を抑え、聞き返した。
「水門都市で俺の仲間たちをどこへ連れ去った」
「水門、都市?」
少し間が空いた後に答える。
「あの時の、ミュセルが、気に入ってた、人間」
記憶を思い出す。
「他の、人間は、とっても、遠くに飛ばした。今頃は、魔物の、腹の中」
生きている可能性が見えたものの、依然として仲間の居場所はわからない。
ジュドは一瞬安堵したが、その安堵は不安でもあることを再認識する。
フィアンデルマの腕がみるみる黒い靄に覆われ、あっという間に巨大な手に変わった。
「その手で…みんなを…」
敵へ一目散に駆け出すジュド。
フィアンデルマの薙ぎ払いを躱し、身体に斬り込む。
斬ろうとした身体に裂け目が生まれ、剣身が裂け目の中へと入った。
次の瞬間、背後にもう一つの裂け目ができ、そこから吸い込まれた剣身が現れる。
「ッ!!!」
自分の剣が、自身の背中を斬り裂く。
すぐ後ろに距離を取るが、フィアンデルマはそれを逃がさない。
何とか間一髪で追撃を回避しているが、あの巨大な手に触れられればおそらく、触れた箇所を転移させられ致命傷は免れないだろう。
〝天空島〟での言葉が頭をよぎる。
「〝末の光〟は単なる技ではなく能力よ。そう、〝未来を創る〟能力」
脳内を過ぎるシュブ=ニグラスと名乗った少女の言葉。
(あれが本当なら…できるはず…)
ジュドは強くイメージした。
「やつに武器さえ当たれば…!」
フィアンデルマの手が直撃する寸前、ジュドは剣で受け身を取った。
―ガキンッ。
本来であれば防御不可の攻撃を受け止めることに成功する。
「あ、れ…?」
フィアンデルマはジュドを弾き飛ばした後、自分の手を確認する。
「なんで、転移が、発動してない?」
状況を理解できていないフィアンデルマだが、すぐに疑問を切り捨てる。
「まあ、いい、これでも、殺れる」
見開いた目が殺意を増し、その視線はジュドへと向けられた。
「思った通りだ…。この能力があれば、あいつを倒せる…!」
光る拳に力を込める。
フィアンデルマは崩れた柱に手をあて、裂け目に柱を飲み込ませた。
追撃を仕掛けるジュドの真上に裂け目が開き、柱が頭上へと落ちて来る。
飛び込み回避で避けるが、煙を薙ぎ払い巨大な手が現れた。
剣で受け止めることができるようになったものの、十二使徒としての異常な強さは依然としてジュドに猛威を振るう。
「もう一度、〝末の光〟を…」
ジュドは再度、未来を作り変えようとする。
「俺が勝つ未来を…!」
能力を行使しようとしたジュドの頭に激痛が走る。
「ッ!!」
突然の激痛に目や鼻からは血が流れ、ジュドは膝を着いてしまった。
目の前からはフィアンデルマの手が迫り来る。
「ま…ずい…」
ふらつく視界のせいで剣を構えることができない。
「…みんな」
ジュドは死を覚悟して、目を閉じた。
「ジュドっ!!!」
複数の影がジュドとフィアンデルマの間に割って入った。
懐かしいその声にジュドは目を開ける。
「…なんで」
ジュドはあまりの衝撃に自分が死んでしまったかと錯覚していた。
フィアンデルマによって消されたシスティ、ダグラス、ルシア、モーリスが目の前にいる。
背後にもう一人誰かいる。
その人物にジュドは襟を持ち上げられた。
「久しぶりに会ったと思ったら、なんじゃその弱腰は!」
ジュドは振り返る。
「じ…爺さん?」
ジュドの祖父、アイザック=ルーカスがそこには立っていた。
「ん?憧れの爺さんに会えた第一声がそれか…?まったく、孫として恥ずかしいわい」
ジュドが冒険に出るきっかけをくれた祖父。
確かにジュドの憧れは〝希望を紡ぐ木〟の性質で与えられた感情だったかもしれない。
だが、ジュドは確かに祖父の本を読んで旅立つことを決めた。それは紛れもない事実なのだ。
「何で爺さんがここに…」
立て続けに起こる出来事に困惑しつつも、アイザックへ問いかける。
「ワシが荒炎都市へ向かっている最中、突然四人が落ちてきてな。瀕死だったから、手当して…それから色々あって同行することになったんじゃ」
アイザックはざっくりと説明した後、忠告する。
「生き別れの仲間との再会を祝いたいところじゃろうが…あっちの嬢ちゃんは待ってくれないみたいじゃの」
アイザックはフィアンデルマの方を見る。
「人間、増えた。私の能力も、調子が変。これも、イレギュラー?」
一帯の邪気が濃くなっていく。
「邪魔な人間ハ、全員、殺ス」
禍々しさは大きく膨れ上がり、邪神と同じ気配がフィアンデルマから溢れ始めた。
「《邪禍の装束》」
黒い靄が全身を覆いフィアンデルマは異形の姿へと変化する。
一瞬にしていくつもの裂け目がジュドたち一行を囲んだ。
「行くわよ!ジュド!」
システィが振り返り、叫ぶ。
「リベンジってやつね」
ジュドは涙を堪え、血を拭った。
そして武器を構える。
「みんな…行くぞ!!」
仲間たちと再会し、フィアンデルマとの再戦が始まる。
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