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第4章 学園卒業しました!同時に結婚しました

泳がせるつもりなのかなあ?

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  帝国に着いて早くも10日

  未だ、勇者様は見付かっていません。

  まあ、剣が見付かって1年以上経ってるのだから、直ぐには見付からないのも仕方がないんだろうね。

  その間、グダグダと過ごしておれる性格じゃないし、冒険者としての勘も鈍る。

  という事で、ヴィルジーク様と第1騎士団の6人を連れて、帝都から近いダンジョンに。

  高ランクの者には、ギルドから魔王討伐に通達が出てるの。

  だからといって、前線に出たい訳じゃない。

  帝国出身の冒険者達は、自国を守るって事で、率先して参加してる様だけど……

  他国の冒険者は、命あっての物種なので、腕に自信があり、帝国からの爵位などの野心がある者以外は、距離を置きがち。

  それでも、帝国に居るのであれば、冒険者が手薄になってるのに、魔王が居る事で魔物が強くなってるので、そちらを引き受けようかと思いまして……

  でないと、スタンピードが起きてしまったら、惨事が拡大するからね。

  でも、今のところ、前回の魔王討伐の時にいたという四天王は見ていないらしい。

  まあ、散開してるのであれば、話は別だけど。



  勝手に行動は出来ないので、一応、帝国には報告してある。

  帝都周辺のダンジョンで間引きして来ると。

  そうしたら、ダンジョンだけでなく、周辺部の掃討までお願いして来たんだけど……

  やはり、自分たちだけで動くのは懸念があるんだろう。一緒に行かせると言われた。

  その連中が……

  表向きは近衛騎士団の第3隊と言う事になってるけど、レーゼンタイル侯爵の手の者が混じってるみたい。

  この帝都で使い魔にしたお喋りカラスが教えてくれた。

  ヴィルジーク様に言えば、眉を顰めてた。

  「目的は何だ…?」と思うよねえ。

  自分も同じ事を考えたもの。


  自分たちが言い出した事なので了承して、帝都を出て、近隣で手薄になってると、冒険者ギルドで聞いた場所に向かった。

  帝国の希望ではなく、冒険者ギルドに聞き込みに行ったのは、懸念があったからなんだけど……

  中立である筈の冒険者ギルドが、帝国の意を汲んでいたら意味は無いんだけどねえ。

  ちなみに、やって来たのは5名だった。

  裏の目的を持って来てるのは誰なんだろう?と考えてしまうのは仕方がないでしょ。

  でも、疑心暗鬼になる相手と組んで、討伐して行くのは、緊張を強いられるんだよー。

  ただでさえ、いつもの討伐はソロなのに。

  冒険者にとって、自身の武器や魔法などは命綱だけに秘匿すべきものだけに、パーティを組む事さえ、自分は躊躇して来た。

  信頼出来る者なんて、婆ちゃんとヴィルジーク様くらいだったもん。

  幼少期の頃なんて、魔力操作の練習を兼ね、1日中、探索じゃなく探査を薄く流してたら、黄色と赤がいっぱい居て、嫌になったからね。

  今、探査を流したら、直ぐに結果は出るけど、そうするとやり難くなるので堪えてる。


  全員が移動手段の馬持ちだったので、冒険者とすれば異常だけど、自分以外は騎士様だからねえ。

  でも、周囲からすれば……

  騎士12名に自分という集団は、普通じゃないから、きっと目に止まってるだろうし、気にはなるだろう。

  自分以外は気にしていないけど、多数の視線が飛んできてる。

  その上、近衛は、我が国同様、貴族の子息からなるのか、馬の足を止めて、町に入る行列に並ばず、先に進んで行くので、尚のこと視線が……

  以前は並んでたけど、今は自分だけなら、目眩し魔法を掛けて素通りしてるからねえ。

  そりゃ、勇者の剣を持参してる道中は、国の旗を掲げてる事もあって、並んでいても素通りだったけど。

  で、騎士と分かる連中の中に、女の自分が1人居るものだから、尚のこと、興味津々の視線が……

  町の中に入ったら、冒険者ギルドに向かい、報告と共に、ダンジョンと周辺部の状況を訊いて、手薄をカバーって事になってる。


  森の奥にいた高ランクの魔物が、浅い場所に出ているとの事で、そちらの討伐後にダンジョンに向かうと決まるまでにも、ギルドで興味を持たれたのは自分。

  騎士の集団にも、何事だ状態だったけど……

  皇帝からの勅命じゃないけど、それに準じた指令書みたいなのが発せられていたので、意外とすんなり状況把握ができた。

  ギルドの方も、高ランク冒険者が魔王討伐で不在の為、喜んでいた様だけど……

  まあ、そうだよね。

  だって、本来、ギルドから冒険者に支払われる討伐代金が要らずに、討伐が行われるんだもん。

  騎士様達への支払いは給与して、国が支払うし……

  じゃあ、冒険者の自分は?ってなるよねえ。

  そこは、討伐した魔物が自分の取り分なのよ。

  なんか気に入らないけど、言い出したのは自分だし!

  レイトルたちも鬱憤が溜まってる様なんで、晴らさせてもらうから!

  という事で……

  森に入ったところから、戦闘モードの召喚獣と自分。

  手綱を握ってるのがヴィルジーク様状態になってる。

  既に、探索ONなので、「狼の集団を発見!」

  「数が多いねえ…50いそう」と口にすれば……

  目を見開いた騎士様たち。

  「まだ、こっちには気付いてないけど、黒だと良いなあ」

  そう希望を口にしてた自分。

  通常のウルフの色は薄茶、シルバーウルフは文字通り銀色だけど、アッシュウルフという灰色の毛色の狼のボスが、その色になるの。

  その集団の場合、数は多くても20前後。

  ちなみに、ラノベの様なシルバーウルフが進化して黒になる事はない。

  黒は最初から黒だけど、黒だけで群れる場合は10前後。

  但し、黒がボスとしてウルフ達を率いると、数が一気に増えて30、40はザラ。

  50にもなると、ボスの毛色が赤みを帯びてくる。

  黒の上はBランクのブラッドウルフ。

  100以上の群れは滅多に見掛けないけど、その時のボスの狼は真っ赤のレッドウルフになっていて、Aランクだそうだ。

  自分も、ギルドにあった資料で読んだだけで、遭遇した事はない。

  なので、50前後居るので、手強くなるブラッドじゃなく、黒が良いなあと、希望を呟いたの。

  だって、連携が凄くて、一網打尽に網をはるのに、手こずるんだもん!

  強いと言っても、召喚獣とソロでは40が限界です。

  レイトルに待った!は効かないし……

  連中の足を止めるのに、草とか土とか風で拘束するのに、避けたり抜けたりするんだもん!

  雑魚が数で襲って来る間に、レイトルがボスとバトって、レイトルが競り勝って来てるのが実情だけに……

  黒焦げになっていない=魔法耐性があるって事だからね。

  騎士様達が、顔を付き合わせて、作戦を練ってくれてるけど……

  「動いた!」


  風が少し向きが変わっただけで、直ぐに動き出し、狼の姿が見えてきた。

  雑魚は薄茶と灰色なので、混合部隊みたい。

  騎士様達が散開する中、盛大に穴を一瞬で掘った。

  森の浅い場所だったのが好都合だったよ。

  森の中であれば、この方法は取れないもん。

  ボスの姿が見えた頃には、穴に落ちた半数のウルフ達。

  穴が大きいので、飛び越せないし、回り込むにも分かれる事になるので、討ち取りやすくなる。

  落ちたウルフには、レイトルが雷魔法を落としてた。

  ボスのウルフはやっぱり赤みを帯びていて、ブラッドになっていた。

  遠吠えをあげる動作をしたので、魔法の縄を飛ばして、首に掛けて引き倒した。

  ただ、暴れる力は強く、ヴィルジーク様が討ち取ってくれた。


  狼の集団をアイテム袋に詰め込み、土を戻して、森の探索に戻った。

  いささか、唐突に始まった狼の討伐が1時間も経たずして終了した事に、騎士様達が無言になってる中……

  ヴィルジーク様だけが通常運行。

  「後で、やるのか?魔石」
  「ええ、そのつもり」
  「他に反応はあるか?」
  「今のところ、森の西にはないので、東に行きましょう」
  「そうするか」

  レイトルが、魔石を寄越せと、鼻面を寄せて来てたのを撫でてあげながら、答えてたんだ。


  その後、ダンジョンもある森の東に向かったんだけど、ブラッドウルフが大きかったのか、高ランクの魔物はいなかった。

  ので、明日からダンジョンという事で、ダンジョン前で野営とした。

  勿論、自分とヴィルジーク様は自分の召喚獣の小屋。

  我が国の騎士様達は、国から貸与された魔道具テントで、アゼリア王国では使用しなかったけど、帝国内に入ってから使用してる。

  中が気になったけど……

  ヴィルジーク様が言うには、兵舎の綺麗版だって。

  自分が持ってる、フロリバンダの谷のボスの宝箱の魔道具テントと同じ物なのよ。

  だけど、魔力を流して、所有者登録した者のイメージした宿泊施設となるので、何度も言うけど、気になったの。

  で、帝国の者達が持って来てた宿泊施設は、昔ながらのテントだった様で……

  自分の召喚獣の小屋もだけど、ダンジョンのボスのドロップ品だという魔道具テントに、興味津々。

  それも、国が冒険者から買い取って、騎士団に貸与して使用してるって事に驚いてた。

  帝国ではテイマーハウスと呼ばれる召喚獣の小屋、こちらでも、テイマー以外の者は入れないと言う事になってただけに、ヴィルジーク様が入れる事にも驚いてた。

  ので、「血縁関係にならないと無理ですよ」とは言っておいたけど。

  本当は、テイマーが許可さえすれば入れるんだけどね。



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